ゴルフ実施率は愛知9%vs青森2.8%で3.2倍|なぜ宮崎が大阪と並ぶ?

「同じ日本に住んでいても、ゴルフをする人の割合が3倍以上違う」──そう聞くと、まず思い浮かぶのは「所得が高い県ほどゴルフをするのだろう」という説明ではないでしょうか。

総務省の社会生活基本調査(2021年)によると、過去1年間にゴルフ(練習を除く)を行った人の割合=ゴルフの行動者率は、1位の愛知県が9.0%、最下位の青森県が2.8%で、その差は3.2倍にのぼります。10人に1人弱がゴルフをする県と、35人に1人しかしない県が同居しているわけです。

ところが上位の顔ぶれを見ると、「所得が高い県ほど高い」という単純な図式は崩れます。温暖な宮崎県が8.4%で大阪府と並ぶ同率4位に食い込む一方、所得水準の高い東京都は7.4%で12位。本記事では2021年のゴルフ行動者率を47都道府県で並べ、「所得だけでは説明できない」地域差の正体を読み解きます。

NOTE

「行動者率」とは、過去1年間にその活動を1回以上行った人の割合(10歳以上人口に占める比率)です。プレー頻度や上達度ではなく「やったかどうか」を測る指標なので、年に数回しか回らないライト層も含まれます。出典は総務省「社会生活基本調査」(2021年)。

ゴルフ行動者率TOP10と最下位

まず上位10県と最下位5県を見てみましょう。

順位都道府県行動者率
1愛知県9.0%
2兵庫県8.8%
3奈良県8.5%
4大阪府8.4%
4宮崎県8.4%
6茨城県8.1%
7栃木県8.0%
8山梨県7.8%
8長野県7.8%
10群馬県7.6%
44山形県4.1%
45岩手県3.7%
46長崎県3.5%
47青森県2.8%

上位を眺めると、明確なパターンが2つ見えてきます。

ひとつは大都市圏とその周辺。1位の愛知県(9.0%)に加え、近畿圏の兵庫県(8.8%)・奈良県(8.5%)・大阪府(8.4%)が上位を占めます。もうひとつは北関東のゴルフ場密集地帯。茨城県(8.1%)・栃木県(8.0%)・群馬県(7.6%)が6・7・10位に並びました。北関東は首都圏向けゴルフ場が集中し、車で気軽に行ける環境が整っているエリアです。

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そして上位の中で異彩を放つのが、温暖な南国・宮崎県(8.4%)が大阪府と同率4位に入ったことです。所得水準で言えば近畿の大都市に大きく劣る宮崎が、ここで肩を並べる──この「ねじれ」こそが本記事の核心です。

最下位グループ:東北・日本海側が下位に集中

次に下位5県を詳しく見ます。

順位都道府県行動者率
43鳥取県4.3%
44山形県4.1%
45岩手県3.7%
46長崎県3.5%
47青森県2.8%

最下位の青森県は2.8%で、1位愛知県(9.0%)の約3分の1にとどまります。下位グループには東北勢が目立ち、青森(47位)・岩手(45位)・山形(44位)に加え、秋田県も4.5%で41位と低水準です。

これは「冬の長さ」と整合的に読めます。雪が深く屋外プレー期間が短い地域では、ゴルフが日常的なレジャーとして根づきにくい──という構造的な要因が考えられます。実際、北海道も5.2%で33位とやや低めです。ただし日本海側の鳥取(4.3%・43位)や、雪は少ないはずの長崎(3.5%・46位)も下位に入っており、気候だけでは説明しきれない部分も残ります。

WARNING

行動者率は「県の魅力」や「ゴルフ場の数そのもの」を直接示すわけではありません。観光客や近隣県からの来訪者がプレーしても、それはその県の住民の行動者率には反映されません。あくまで「その県に住む人がどれだけゴルフをするか」を測る指標である点に注意してください。

発見:所得だけでは説明できない「東京12位・宮崎4位」

最も興味深いのは、所得の高さと行動者率が一致しないことです。代表的なねじれを並べてみましょう。

  • 宮崎県 … 8.4%で4位(大阪と同率)。温暖な気候で年間を通じてプレー可能なことが効いていると考えられます。
  • 沖縄県 … 7.5%で11位。同じく通年でプレーできる温暖な地域です。
  • 東京都 … 7.4%で12位。所得水準は全国トップクラスながら、上位グループには届きません。
  • 北海道 … 5.2%で33位。広大でゴルフ場も多いものの、住民の行動者率は中位以下です。

つまり「お金があるから(所得が高いから)ゴルフをする」という単純な図式では、宮崎が大阪と並び、東京が12位にとどまる理由は説明できません。

ここから読み取れる [仮説] は、行動者率を押し上げる要因が「所得」よりも「プレーしやすい環境」(温暖で通年プレー可能な気候・車でアクセスできるゴルフ場の密度)に強く左右される、というものです。宮崎・沖縄の温暖さ、北関東のゴルフ場密度がそれを後押しし、逆に冬の長い東北では行動者率が伸びにくい──と整理できます。

TIP

この仮説を検証するには、各県の年間ゴルフ可能日数(積雪・気温データ)やゴルフ場数を行動者率と突き合わせる必要があります。本記事のデータ単独では因果は確定できないため、あくまで「気候・環境が所得以上に効いている可能性が高い」という読み筋として捉えてください。

ちなみに人口規模の大きい都市圏が上位に多いのは、母数となる人口が多くゴルフ場ビジネスが成立しやすいという面もありますが、それでも東京が12位という事実は、「都市の規模 = 行動者率の高さ」でもないことを示しています。

都道府県別ゴルフ行動者率の全47位を確認する

まとめ

  • 1位は愛知県の9.0%。大都市圏の愛知・兵庫・奈良・大阪が上位を固めた。
  • 最下位は青森県の2.8%で、1位との差は3.2倍。東北勢(青森47位・岩手45位・山形44位・秋田41位)が下位に集中した。
  • 温暖な宮崎県が8.4%で大阪と同率4位、沖縄県も7.5%で11位と、南国勢が健闘した。
  • 一方で所得トップ級の東京都は7.4%で12位、広い北海道も5.2%で33位にとどまり、「所得が高い=ゴルフをする」という図式は成立しなかった。
  • [仮説] 行動者率を左右するのは所得よりも、通年プレー可能な気候とゴルフ場へのアクセスのしやすさ(環境)である可能性が高い。

データ出典

総務省統計局「社会生活基本調査」(2021年)。e-Stat(政府統計の総合窓口)経由で整備したデータをもとに、47都道府県のゴルフ行動者率(過去1年間に1回以上ゴルフを行った10歳以上人口の割合)を集計しています。

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