2022年度の都道府県別不慮の事故による死亡率(人口10万人当たり)は、富山県が55.4人(偏差値68.2)で全国1位、沖縄県が21.6人(偏差値28.7)で最下位です。豪雪地帯や高齢化が進む地域で死亡率が高い傾向が見られ、全国平均は39.9人です。不慮の事故による死亡率は各地域の安全対策の効果や社会基盤の整備状況を客観的に評価する上で重要な指標です。
概要
不慮の事故による死亡率は、交通事故、転倒・転落、溺死、中毒など、意図しない偶発的な事故によって死亡した人の数を人口10万人当たりで示した指標です。各地域の安全対策の効果や社会基盤の整備状況を客観的に評価する上で重要です。高齢化が進行する日本では、日常生活における転倒などの事故が増加傾向にあり、高齢者の安全対策や地域全体の生活環境の課題を浮き彫りにする重要なデータです。
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上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
富山県(1位)
55.4人(偏差値68.2)。豪雪地帯特有の除雪作業中の事故や凍結路面での転倒が多発しています。高い高齢化率と冬季の厳しい生活環境が事故死亡率を押し上げる主な要因です。
愛媛県(2位)
53.5人(偏差値65.9)。山間部や海岸部での農林水産業における労働災害が目立ちます。高齢化率の高さも事故による死亡リスクを高める一因と考えられます。
秋田県(3位)
52.0人(偏差値64.2)。全国トップクラスの高齢化率を背景に、高齢者の転倒・転落事故が頻発しています。除雪作業中の事故や冬季の交通事故も深刻な課題です。
岩手県(4位)
51.5人(偏差値63.6)。漁業や林業といった第一次産業での労働災害が多く報告されています。広大な面積と厳しい自然環境が事故リスクを高めています。
青森県(5位)
50.4人(偏差値62.3)。積雪や路面凍結による交通事故、農作業中の事故が多発しています。高齢者の日常生活における事故も顕著であり、地域社会全体での対策が求められます。
下位5県の詳細分析
沖縄県(47位)
21.6人(偏差値28.7)。温暖な気候のため、積雪や凍結に関連する冬季特有の事故がほとんど発生しません。若年人口の割合が比較的高く、高齢者の転倒事故が少ないことも寄与しています。
京都府(46位)
23.6人(偏差値31.0)。都市部の充実した医療体制と交通インフラが、事故発生時の被害を軽減しています。観光地として徹底された安全管理も低い死亡率に貢献しています。
埼玉県(45位)
25.5人(偏差値33.2)。首都圏に位置し、医療機関へのアクセスが良好で、道路網も整備されています。人口密度が高く、事故発生時の早期発見・救助体制が整っていることも要因です。
東京都(44位)
25.8人(偏差値33.6)。国内最高水準の救急医療体制と先進的な交通安全対策が死亡率を低く抑えています。公共交通機関が発達しており、自家用車に起因する交通事故のリスクが相対的に低いことも影響しています。
千葉県(43位)
26.6人(偏差値34.5)。首都圏の充実した医療体制に加え、比較的平坦な地形も安全に有利に作用しています。臨海工業地帯での産業安全対策が進んでいることも事故防止に貢献しています。
地域別の特徴分析
関東地方
医療・交通インフラが充実した都県が下位を占め、総じて安全な地域です。東京都(25.8人)、埼玉県(25.5人)、千葉県(26.6人)が43-45位と低い死亡率を示しています。都市化が進んだ地域での計画的な安全対策が機能していると考えられます。
関西地方
京都府(23.6人)が46位と最も低い水準を維持しています。都市部の整備されたインフラと迅速な救急体制が効果的に機能していることがうかがえます。
中部地方
富山県が突出して高い一方、太平洋側の県は比較的低い傾向にあります。日本海側と太平洋側で気候条件が大きく異なり、地域特性に応じた対策の重要性が示唆されます。
中国・四国地方
愛媛県(53.5人)が2位と高い死亡率を示しています。第一次産業が盛んな県で死亡率が高い傾向があり、農林水産業における労働安全の強化が今後の課題です。
九州・沖縄地方
沖縄県(21.6人)が全国で最も低い死亡率を記録しており、温暖な気候が大きな要因として挙げられます。九州全体でも比較的安定した数値を示しています。
東北・北海道地方
秋田県(52.0人)、岩手県(51.5人)、青森県(50.4人)が上位を占めています。豪雪と高齢化が共通の課題であり、軒並み高い死亡率を示しています。冬季の安全対策、特に除雪作業や交通安全の確保が喫緊の課題です。
社会的・経済的影響
1位の富山県(55.4人)と47位の沖縄県(21.6人)の間には2.6倍の死亡率の差があり、地域の安全環境に著しい格差が存在します。この格差は、気候条件、人口構造(高齢化率)、産業構造、医療アクセス、インフラ整備状況といった要因が複雑に絡み合って生じています。
- 安全格差の拡大
- 地域特性に応じた対策の必要性
- 高齢者安全対策の重要性
対策と今後の展望
地域特性に応じた安全対策の強化が求められます。豪雪地帯では冬季の安全対策、高齢化地域では転倒防止対策、第一次産業地域では労働安全対策が重要です。医療アクセスの改善やインフラ整備の推進により、地域間格差の解消を図る必要があります。
統計データの基本情報と分析
指標 | 値人 |
---|---|
平均値 | 39.9 |
中央値 | 38.5 |
最大値 | 55.4(富山県) |
最小値 | 21.6(沖縄県) |
標準偏差 | 8.6 |
データ数 | 47件 |
全国平均は39.9人、中央値は38.0人、標準偏差は9.2人です。富山県(55.4人)は平均の1.4倍に達し、明確な外れ値として分布に影響を与えています。第1四分位(32.5人)と第3四分位(46.8人)の差は14.3人で、中程度の格差を示しています。偏差値60超の県が5県(富山・愛媛・秋田・岩手・青森)存在する一方、偏差値35未満の県が6県あり、地域間の安全格差が顕著です。
まとめ
- 豪雪地帯と高齢化地域で死亡率が高い傾向
- 温暖な気候と都市部で死亡率が低い
- 地域特性に応じた安全対策の重要性
- 医療アクセスとインフラ整備の格差
- 高齢者安全対策の強化が急務
今後は地域特性を活かした安全対策の推進と、地域間格差の解消が重要です。
順位↓ | 都道府県 | 値 (人) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 富山県 | 55.4 | 68.2 | +17.6% |
2 | 愛媛県 | 53.5 | 65.9 | +31.8% |
3 | 秋田県 | 52.0 | 64.2 | +5.5% |
4 | 岩手県 | 51.5 | 63.6 | +20.3% |
5 | 青森県 | 50.4 | 62.3 | +3.1% |
6 | 徳島県 | 50.4 | 62.3 | +12.5% |
7 | 長野県 | 50.0 | 61.8 | +17.9% |
8 | 高知県 | 49.3 | 61.0 | +4.0% |
9 | 福島県 | 48.9 | 60.6 | +11.6% |
10 | 岐阜県 | 48.8 | 60.4 | +19.3% |
11 | 和歌山県 | 48.2 | 59.7 | +3.0% |
12 | 大分県 | 48.1 | 59.6 | +14.5% |
13 | 山形県 | 46.5 | 57.8 | +17.1% |
14 | 宮崎県 | 46.0 | 57.2 | +6.0% |
15 | 山梨県 | 45.6 | 56.7 | +15.4% |
16 | 鳥取県 | 45.6 | 56.7 | +17.5% |
17 | 福井県 | 45.3 | 56.4 | +14.1% |
18 | 島根県 | 45.3 | 56.4 | +22.1% |
19 | 鹿児島県 | 43.8 | 54.6 | +11.7% |
20 | 長崎県 | 43.4 | 54.1 | +16.7% |
21 | 新潟県 | 41.8 | 52.3 | +2.7% |
22 | 香川県 | 40.6 | 50.9 | -1.0% |
23 | 熊本県 | 39.6 | 49.7 | +7.3% |
24 | 群馬県 | 38.5 | 48.4 | +13.9% |
25 | 岡山県 | 37.8 | 47.6 | +8.3% |
26 | 北海道 | 37.3 | 47.0 | +10.0% |
27 | 茨城県 | 36.9 | 46.5 | +20.6% |
28 | 広島県 | 36.5 | 46.1 | +29.0% |
29 | 三重県 | 36.4 | 46.0 | +21.3% |
30 | 山口県 | 36.3 | 45.8 | +7.4% |
31 | 兵庫県 | 35.4 | 44.8 | +10.3% |
32 | 静岡県 | 35.3 | 44.7 | +5.4% |
33 | 福岡県 | 34.9 | 44.2 | +8.1% |
34 | 石川県 | 34.8 | 44.1 | +0.6% |
35 | 佐賀県 | 34.7 | 44.0 | -6.2% |
36 | 滋賀県 | 33.8 | 42.9 | +10.8% |
37 | 神奈川県 | 33.5 | 42.6 | +16.3% |
38 | 宮城県 | 33.4 | 42.5 | +10.2% |
39 | 栃木県 | 32.7 | 41.6 | +12.4% |
40 | 奈良県 | 32.3 | 41.2 | +9.9% |
41 | 大阪府 | 31.1 | 39.8 | +16.9% |
42 | 愛知県 | 28.6 | 36.9 | +6.3% |
43 | 千葉県 | 26.6 | 34.5 | +18.2% |
44 | 東京都 | 25.8 | 33.6 | +27.7% |
45 | 埼玉県 | 25.5 | 33.2 | +19.7% |
46 | 京都府 | 23.6 | 31.0 | +8.3% |
47 | 沖縄県 | 21.6 | 28.7 | +6.9% |