都道府県別老年化指数ランキング(2022年度)

概要

老年化指数(高齢化指数)とは、年少人口(0〜14歳)100人に対する老年人口(65歳以上)の比率を表す指標です。この記事では、2022年度の都道府県別老年化指数のランキングを紹介します。

老年化指数は、人口構造の高齢化の程度を示す重要な指標であり、世代間バランスや将来の人口構成、社会保障制度の持続可能性などを考える上で参考になります。この値が高いほど、相対的に高齢者の割合が多く、若年層が少ないことを意味します。

地図データを読み込み中...

上位県と下位県の比較

老年化指数が高い上位5県

2022年度の老年化指数ランキングでは、秋田県417.4(偏差値83.1)で全国1位となりました。秋田県は若年層の流出が続き、出生率も低いことから、年少人口に対する高齢者の比率が極めて高くなっています。

2位は青森県340.7(偏差値65.7)、3位は高知県338.9(偏差値65.3)、4位は徳島県328.0(偏差値62.8)、5位は岩手県326.4(偏差値62.4)となっています。上位県には中山間地域を多く抱える地方県が目立ちます。

老年化指数が低い下位5県

最も老年化指数が低かったのは沖縄県143.3(偏差値20.8)でした。沖縄県は出生率が高く、年少人口の割合が多いことから、相対的に老年化指数が低くなっています。

46位は愛知県202.5(偏差値34.2)、45位は滋賀県203.2(偏差値34.4)、44位は東京都208.6(偏差値35.6)、43位は福岡県221.6(偏差値38.6)となっています。下位県には大都市圏の都府県が多く、若年層の流入や出生率の相対的な高さにより、老年化指数が低くなっています。

地域別の特徴分析

東北地方の高い老年化指数

東北地方は全体的に老年化指数が高く、秋田県(1位、417.4)をはじめ、青森県(2位、340.7)、岩手県(5位、326.4)、山形県(6位、320.4)と上位を占めています。これらの地域では、若年層の流出が続き、出生率も低いことから、年少人口に対する高齢者の比率が高くなっています。

中国・四国地方の高齢化

中国・四国地方も老年化指数が高く、高知県(3位、338.9)、徳島県(4位、328.0)、山口県(8位、314.3)、愛媛県(12位、301.4)が上位に位置しています。これらの地域は中山間地域や過疎地域を多く抱え、若年層の流出が続いていることが高い老年化指数の要因となっています。

三大都市圏の相対的な若さ

三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)は相対的に老年化指数が低く、愛知県(46位、202.5)、滋賀県(45位、203.2)、東京都(44位、208.6)、福岡県(43位、221.6)、神奈川県(42位、226.3)などが下位に位置しています。これらの地域は、教育機関や雇用機会が多く、若年層の流入が続いていることが要因です。

北海道・北陸地方の状況

北海道(7位、318.1)は全国的に見ても老年化指数が高い地域です。北陸地方では、富山県(11位、301.8)が上位に位置する一方、石川県(31位、256.1)や福井県(33位、255.4)は中位にあります。

九州地方の多様性

九州地方では、大分県(15位、287.0)や長崎県(19位、275.3)が上位にある一方、福岡県(43位、221.6)や佐賀県(40位、239.0)は下位に位置しています。福岡県は九州の中心都市として若年層を集めていることが、相対的に低い老年化指数の要因です。

沖縄県の特異性

沖縄県(47位、143.3)は全国で最も老年化指数が低く、46位の愛知県(202.5)との差も大きく、独自の人口構造を持っています。これは、出生率の高さ、若年層の県内定着率の高さなど、複合的な要因によるものです。

老年化指数の格差がもたらす課題

世代間バランスの崩れ

老年化指数の高い地域では、年少人口に対して老年人口が極めて多く、世代間のバランスが崩れています。これは、将来の人口再生産力の低下や地域社会の持続可能性に影響を与えます。

教育環境への影響

老年化指数の高い地域では、年少人口の減少により、学校の統廃合や教育環境の変化が生じています。一方で、老年化指数の低い地域では、教育施設の不足や過密化が課題となることがあります。

地域の活力と文化継承

老年化指数の高い地域では、若年層の減少により、地域の活力低下や伝統文化の継承が課題となっています。特に過疎地域では、祭りや伝統行事の担い手不足が深刻化しています。

社会保障制度の地域間格差

老年化指数の高い地域では、年金受給者が多く、医療・介護サービスの需要も高い一方、それを支える若年層が少ないため、社会保障制度の持続可能性に課題を抱えています。

統計データの基本情報と分析

統計的特徴の分析

2022年度の都道府県別老年化指数データを統計的に分析すると、以下のような特徴が見られます:

  1. 平均値と中央値の比較:平均値と中央値はデータから計算すると、平均値は約264.1、中央値は約260.2であり、ほぼ同じ値を示しています。これは、データの分布がほぼ対称的であることを示しています。

  2. 分布の歪み:データは全体としてはほぼ対称的ですが、秋田県(417.4)という極端に高い値と、沖縄県(143.3)という極端に低い値があります。特に沖縄県は、46位の愛知県(202.5)との差が大きく、下側の外れ値と考えられます。

  3. 外れ値の特定:秋田県(417.4)は上側の外れ値、沖縄県(143.3)は下側の外れ値と考えられます。特に秋田県は、2位の青森県(340.7)との差も大きく、統計的に見ても特異な値を示しています。

  4. 四分位範囲による分布の特徴:データから計算された四分位数に基づくと、地域間の格差の大きさがわかります。

  5. 標準偏差によるばらつき:標準偏差は約50.9ポイントで、多くの都道府県が平均値から±50.9ポイントの範囲内に分布していることを示しています。変動係数(標準偏差÷平均値)は約19.3%となり、相対的なばらつきはやや大きいと言えます。最高値と最低値の差は274.1ポイント(417.4−143.3)に達し、地域間の格差が大きいことを示しています。

まとめ

2022年度の都道府県別老年化指数ランキングでは、秋田県が417.4で1位、沖縄県が143.3で47位となりました。上位には東北地方や中国・四国地方の県が多く、下位には三大都市圏の都府県や沖縄県が位置しています。

老年化指数の地域差は、若年層の移動パターン、出生率の違い、産業構造の変化など様々な要因によって生じており、この差は世代間バランス、教育環境、地域の活力、社会保障制度など多方面に影響を与えています。

統計分析からは、都道府県間の老年化指数に大きなばらつきがあり、最高値と最低値の差は274.1ポイントに達することがわかります。この地域差は、日本の人口動態の不均衡を示すとともに、地域特性に応じた対策の必要性を物語っています。

高齢化が進む日本において、老年化指数の上昇への対応は全国共通の課題ですが、その対応策は地域の特性に応じて異なるアプローチが必要です。老年化指数の高い地方では若年層の定着促進や出生率向上策、都市部では高齢者と若年層の共生環境の整備など、地域の実情に合わせた取り組みが求められています。

出典