都道府県別平均余命(20歳・女)ランキング(2020年度)
概要
2020年度の都道府県別平均余命(20歳・女)ランキングでは、岡山県が68.58年で全国1位となり、青森県が66.69年で最下位となっています。最上位県と最下位県の格差は約1.9年となっており、西日本の県が上位に多く位置する一方、東北地方の県が下位に集中する傾向が見られます。
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上位5県の詳細分析
上位5県は岡山県が68.58年(偏差値65.7)で1位、滋賀県が68.57年(偏差値65.4)で2位、長野県、京都府、島根県が同率3位で68.51年(偏差値64.0)となっています。
岡山県は中国地方の県として初めて女性の平均余命で全国1位を獲得しました。瀬戸内海に面した温暖な気候と、医療機関の充実、特に岡山大学病院を中心とした高度医療体制が整備されていることが要因として考えられます。また、桃やマスカットなどの果物生産が盛んで、栄養面でも恵まれた環境にあります。
滋賀県は琵琶湖を中心とした豊かな自然環境と、京阪神地域へのアクセスの良さから医療や生活環境が充実しています。近江八幡市や草津市などでは健康づくり施策が積極的に推進されており、女性の健康寿命延伸に取り組んでいます。
長野県は従来から長寿県として知られており、高原野菜の摂取や山間部での日常的な運動習慣、きれいな空気などの自然環境が健康長寿に寄与しています。また、減塩運動の発祥地としても知られ、生活習慣病予防への意識が高い地域です。
京都府は医療機関の集積度が高く、京都大学医学部附属病院をはじめとする高度医療機関が充実しています。また、伝統的な京料理の食文化や茶文化など、健康的な生活様式が根付いていることも長寿の要因と考えられます。
下位5県の詳細分析
下位5県は茨城県が67.41年(偏差値37.3)で41位、岩手県が67.33年(偏差値35.4)で44位、福島県が67.22年(偏差値32.7)で45位、栃木県が67.20年(偏差値32.2)で46位、青森県が66.69年(偏差値19.9)で47位となっています。
青森県は長年にわたって平均余命が全国最下位水準にあります。塩分摂取量の多い食習慣、喫煙率の高さ、アルコール消費量の多さなどが要因として指摘されています。また、冬季の日照時間の短さや積雪による運動不足も健康状態に影響を与えていると考えられます。県では「だし活」などの減塩運動を推進しています。
栃木県と茨城県は関東地方の中でも平均余命が短い傾向にあります。車社会による運動不足、外食チェーンの多さによる食生活の乱れ、医療機関へのアクセス格差などが要因として考えられます。特に県北部では医師不足が深刻な問題となっています。
福島県は東日本大震災と原発事故の影響により、生活環境の変化やストレス、健康管理体制の変化などが平均余命に影響を与えている可能性があります。復興とともに健康づくり施策の再構築が重要な課題となっています。
岩手県は内陸部の寒冷な気候や塩分の多い食習慣、医療機関への距離の遠さなどが要因として挙げられます。県では「岩手発の健康づくり」として生活習慣改善に取り組んでいます。
地域別の特徴分析
北海道・東北地方では、北海道が比較的上位に位置する一方、東北6県のうち4県(青森、岩手、福島、秋田)が下位20位以内に位置しています。寒冷な気候による運動不足、塩分の多い保存食文化、医療機関への距離の遠さなどが共通の課題となっています。
関東地方では東京都や神奈川県が中位に位置する一方、茨城県と栃木県が下位に位置するなど、都市部と地方部での格差が見られます。群馬県や埼玉県は中位程度を維持しており、医療アクセスの良さが影響していると考えられます。
中部地方では長野県が上位に位置し、山梨県や静岡県も比較的上位にあります。これらの県は自然環境に恵まれ、健康的な食材が豊富で、日常的な運動習慣が定着している特徴があります。
近畿地方では滋賀県と京都府が上位に位置し、大阪府や兵庫県も中位を維持しています。医療機関の充実度と都市機能の集積が平均余命の向上に寄与していると考えられます。
中国・四国地方では岡山県が1位、島根県が3位と上位に位置する県がある一方、地域内での格差も存在します。瀬戸内海沿岸部と山間部での生活環境の違いが影響している可能性があります。
九州・沖縄地方では沖縄県が中位に位置し、他の県も比較的安定した数値を示しています。温暖な気候と独特の食文化が健康維持に寄与していると考えられます。
格差や課題の考察
最上位の岡山県(68.58年)と最下位の青森県(66.69年)の格差は1.89年となっており、偏差値では45.8ポイントの大きな差が生じています。この格差は食生活、運動習慣、医療アクセス、気候条件などの複合的な要因によるものと考えられます。
特に東北地方の県が下位に集中している現象は、地域の構造的な課題を示しています。塩分摂取量の多い食文化の改善、冬季における運動機会の確保、医療機関への距離の問題解決などが重要な課題となります。
一方で、岡山県や滋賀県などの上位県の取り組みは他県の参考となる可能性があります。地域の特性を活かした健康づくり施策の推進、医療体制の充実、健康的な食文化の普及などが平均余命の向上につながっていると考えられます。
統計データの基本情報と分析
統計データの分析では、全国平均が約68.0年程度で、標準偏差は比較的小さく、多くの都道府県が平均値周辺に集中している分布を示しています。しかし、青森県の66.69年(偏差値19.9)は明らかな外れ値として際立っており、他県との格差が顕著に現れています。
中央値と平均値はほぼ同水準にあり、データの分布は正規分布に近い形を示しています。第1四分位から第3四分位までの範囲は約1年程度であり、多くの県が比較的狭い範囲に収まっている一方で、上位県と下位県での二極化傾向も見られます。
偏差値の分布を見ると、50を基準として上位県では60を超える県が複数ある一方、下位県では30を下回る県も存在し、地域間格差の大きさを数値的に示しています。
まとめ
- 岡山県が68.58年で全国1位を獲得、中国地方の県として注目される結果
- 青森県が66.69年で最下位、東北地方の県が下位に集中する傾向が継続
- 最大格差は1.89年で、偏差値では45.8ポイントの大きな地域差が存在
- 西日本の県が上位に多く、寒冷地域の県が下位に多い地理的な特徴が顕著
- 医療アクセス、食文化、運動習慣、気候条件などの複合的要因が平均余命に影響
- 食生活改善や医療体制充実などの総合的な健康づくり施策の重要性が浮き彫り
今後は各都道府県の特性を活かした健康づくり施策の推進と、地域間格差の縮小に向けた継続的な取り組みが重要となります。特に下位県では構造的な課題の解決に向けた長期的な戦略が求められており、定期的なモニタリングによる効果検証が必要です。