都道府県別平均余命(65歳・男)ランキング(2020年度)

概要

2020年度の65歳男性の平均余命について都道府県別に分析すると、全国平均は19.86年となっています。最上位の長野県20.86年、最下位の青森県18.51年となり、両県間で2.35年という大きな格差が生じています。特に長野県を中心とした中部地方と近畿地方の県が上位を占める一方、東北地方の県が下位に集中する傾向が顕著に表れています。

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上位5県の特徴と要因分析

長寿県として確固たる地位を築く上位県

長野県20.86年(偏差値74.6)で堂々の1位を獲得しており、これは全国平均を約1年上回る優秀な数値です。同県は伝統的に長寿県として知られ、高齢者の就労率の高さ、野菜摂取量の多さ、適度な運動習慣などが長寿の要因として挙げられています。

滋賀県20.68年(偏差値69.9)で2位に位置し、琵琶湖を有する自然環境の豊かさと、関西圏への通勤圏でありながら比較的ストレスの少ない生活環境が影響していると考えられます。

奈良県20.53年(偏差値66.0)で3位となっており、古都の落ち着いた環境と医療アクセスの良さが寄与していると推測されます。近畿圏でありながら自然環境に恵まれた立地が特徴的です。

熊本県20.45年(偏差値63.9)で4位にランクインし、九州地方では最上位となっています。温暖な気候と豊富な地下水、農業県としての食文化の豊かさが要因として考えられます。

京都府20.39年(偏差値62.4)で5位となり、古都としての歴史ある文化環境と充実した医療体制が長寿に寄与していると考えられます。

下位5県の課題と構造的要因

改善が急務とされる下位県の状況

青森県18.51年(偏差値13.4)で最下位となっており、全国平均を1.35年も下回る深刻な状況です。同県は塩分摂取量の多さ、野菜摂取不足、喫煙率の高さなどの生活習慣病リスク要因が指摘されています。

秋田県19.23年(偏差値32.2)で46位となっており、人口減少と高齢化の進行が著しい地域として医療アクセスの課題や社会的孤立の問題が影響していると考えられます。

大阪府19.35年(偏差値35.3)で45位という結果は、大都市圏でありながら下位に位置する特徴的なケースです。都市部特有のストレス、大気汚染、生活習慣の乱れなどが要因として考えられます。

岩手県19.42年(偏差値37.1)で44位、福島県19.48年(偏差値38.7)で43位となっており、東北地方の厳しい気候条件や医療アクセスの問題、東日本大震災の影響なども背景にあると推測されます。

地域別特徴分析

中部・近畿地方の優位性

中部地方では長野県が全国1位、近畿地方では滋賀県(2位)、奈良県(3位)、京都府(5位)が上位にランクインしており、これらの地域が65歳男性の平均余命において全国をリードしています。特に長野県周辺の山間部と、琵琶湖周辺地域の環境の良さが際立っています。

東北地方の深刻な状況

東北地方は全体的に下位に集中しており、青森県(47位)、秋田県(46位)、岩手県(44位)、福島県(43位)が下位5県のうち4県を占めています。気候的要因、食生活の特徴、医療アクセスの課題などが複合的に影響していると考えられます。

九州・沖縄地方の二極化

熊本県が4位と健闘する一方で、他の九州各県は中位から下位に分散しており、地域内での格差が存在します。沖縄県の状況も含め、離島を抱える地域特有の医療アクセス問題が影響している可能性があります。

格差と課題の考察

最上位の長野県20.86年)と最下位の青森県18.51年)の間には2.35年という大きな格差が存在し、これは約2年4ヶ月分の余命の差に相当します。この格差は単純な地理的要因だけでなく、生活習慣、医療体制、社会環境などの複合的な要因によるものと考えられます。

特に東北地方と中部・近畿地方の格差は顕著であり、地域医療の充実、予防医学の推進、生活習慣改善への取り組みなど、包括的な健康政策の重要性が浮き彫りになっています。

統計データの詳細分析

全国平均の19.86年に対し、データの分布を見ると比較的正規分布に近い形状を示していますが、下位県での数値の落ち込みが顕著です。標準偏差から算出される偏差値の分布では、長野県の偏差値74.6青森県の偏差値13.4の差は61.2ポイントに達し、都道府県間の格差の大きさを示しています。

第1四分位から第3四分位までの範囲を見ると、中央50%の都道府県が比較的狭い範囲に集中している一方で、上位と下位での外れ値的な県の存在が全体の分布を押し広げています。特に長野県青森県は統計的に外れ値に近い位置にあり、それぞれが持つ特殊な環境要因の影響が強く表れていると考えられます。

まとめ

  • 長野県20.86年で全国1位を獲得し、伝統的な長寿県としての地位を維持
  • 中部・近畿地方の県が上位を占め、良好な生活環境と医療体制が寄与
  • 東北地方の県が下位に集中し、青森県18.51年で最下位
  • 最大格差は2.35年に達し、地域間の健康格差が深刻
  • 大阪府など大都市圏でも下位に位置するケースがあり、都市部特有の課題が浮上
  • 生活習慣、医療アクセス、環境要因などの複合的改善が必要
  • 継続的な健康政策と地域医療の充実が重要課題
出典