2020年度の都道府県別道路平均交通量ランキングを発表しました。道路平均交通量とは、各都道府県内の主要道路で12時間当たりに通行する車両台数の平均値です。この指標は、地域の経済活動の活発さや都市化の程度を表し、経済活動指標、インフラ整備指針、地域格差分析の観点から重要です。
概要
道路平均交通量とは、各都道府県内の主要道路で12時間当たりに通行する車両台数の平均値です。この指標は、地域の経済活動の活発さや都市化の程度を表し、経済活動指標、インフラ整備指針、地域格差分析の観点から重要です。
2020年度のデータでは、都市部への交通集中が顕著であり、上位県と下位県の格差は約6倍に達しており、地域間の経済活動や都市化の進行度に大きな違いがあることを示しています。
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上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
大阪府
大阪府が全国1位です。関西経済圏の中核として高い交通需要を維持しています。人口密度の高さと企業集積による通勤・物流需要、阪神高速道路網による交通の効率化が主な特徴です。
東京都
東京都は僅差の2位です。首都圏の中心として安定した高交通量を記録しており、3,700万人の経済活動による交通需要が背景にあります。公共交通の発達により適度な交通分散も実現しています。
神奈川県
神奈川県は3位です。東京都に隣接する地理的優位性を活用し、東京都心部への通勤・通学需要、横浜港を中心とした物流活動、工業地帯からの貨物輸送需要が主要因です。
埼玉県
埼玉県は4位です。首都圏のベッドタウン機能が交通量を創出しており、東京都心部への通勤需要が主要因です。圏央道などの高速道路網による物流拠点化も進んでいます。
愛知県
愛知県は5位です。自動車産業を中心とした製造業の集積が安定した交通需要を生み出しており、中部圏の経済中心地としての機能も果たしています。
下位5県の詳細分析
島根県
島根県が最下位です。人口約68万人と全国最少レベルであり、主要産業が農林水産業中心で物流需要が限定的です。山間部が多く、交通網の整備が困難なことも要因です。
北海道
北海道は46位です。広大な面積に対し人口密度が低い構造的要因があり、冬季の交通制約が年間平均を押し下げています。農業・観光業中心で通年の安定需要が不足しています。
高知県
高知県は45位です。四国の地理的制約と人口減少が影響しており、山地が県土の大部分を占める地形的制約も要因です。
青森県
青森県は44位です。本州最北端の立地条件が制約となっており、人口減少率が全国上位レベルです。冬季の交通条件が厳しい気候的要因も影響しています。
秋田県
秋田県は43位です。人口減少と高齢化の影響が顕著であり、製造業の県外移転により物流需要が減少しています。
地域別の特徴分析
関東地方
関東地方では圧倒的な交通量を記録しており、東京都、神奈川県、埼玉県が上位に集中しています。首都圏3,700万人の経済活動により安定した高需要を維持しています。
関西地方
関西地方では大阪府が全国1位を獲得し、京都府、兵庫県も中位以上を確保しています。関西経済圏の中核機能により、人口規模以上の交通需要を創出しています。
中部地方
中部地方では愛知県が突出し、製造業の集積により安定した物流需要を維持しています。静岡県も健闘する一方で、山間部の多い県は低位に留まります。
九州・沖縄地方
九州・沖縄地方では福岡県を中心に中位を維持しています。沖縄県は観光需要により予想以上の交通量を記録しています。人口規模に比例した交通需要を確保しています。
中国・四国地方
中国・四国地方では地理的制約により交通量が伸び悩み、島根県が最下位、高知県も45位と苦戦しています。広島県、岡山県など瀬戸内海沿岸は比較的良好です。
東北・北海道地方
東北・北海道地方では全体的に交通量が少ない傾向です。人口減少と産業構造の影響で、秋田県、青森県が下位に位置します。冬季の交通制約も年間平均を押し下げる要因です。
社会的・経済的影響
最上位県と最下位県の格差は約6倍に達します。この格差の主要因は、人口集中度、産業構造、インフラ整備度です。
都市部では交通渋滞による経済損失の拡大、大気汚染や騒音などの環境問題、インフラの老朽化進行が課題となっています。
地方部では物流コストの上昇による経済活動の制約、公共交通の維持困難化、地域間格差の拡大による人口流出加速が課題となっています。
対策と今後の展望
地域間の交通格差を縮小するためには、以下の取り組みが重要です:
- 都市部の取り組み: テレワーク推進による通勤需要の分散化、公共交通機関の利便性向上による自動車依存度の低下が有効です。
- 地方部の取り組み: 企業誘致による雇用創出と物流需要の拡大、観光振興による交流人口の増加が重要です。
- 技術革新の活用: 自動運転技術の導入による交通効率化と、地方創生政策との連携強化です。
- 継続的な改善: 全国的な交通ネットワークの最適化を図る必要があります。
統計データの基本情報と分析
指標 | 値台/12h |
---|---|
平均値 | 6,166 |
中央値 | 5,033 |
最大値 | 16,472(大阪府) |
最小値 | 2,724(島根県) |
標準偏差 | 3,289.3 |
データ数 | 47件 |
統計データの分析
2020年度の都道府県別道路平均交通量データを統計的に分析すると、以下のような特徴が見られます:
-
平均値と中央値の比較: 平均値が中央値を大きく上回っており、都市部の極端に高い交通量が平均値を押し上げている「右に歪んだ分布」を示しています。
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分布の歪み: データの分布は右に歪んでおり(正の歪度)、多くの県が平均値よりも低い交通量を持つ一方で、一部の県が突出して高い値を示しています。
-
外れ値の特定: 上位3県が他県を大きく上回る交通量を記録しており、極端な外れ値として機能しています。
-
四分位範囲による分布の特徴: 第1四分位数(Q1)と第3四分位数(Q3)の間には、中央の50%の都道府県の道路平均交通量が収まっています。
-
標準偏差によるばらつきの程度: 標準偏差は大きく、都道府県間のばらつきが相当程度存在することを示しています。これは、日本の都市集中型の社会構造を反映しており、交通政策においても地域特性を考慮したアプローチが必要です。
まとめ
道路平均交通量ランキングでは、都市集中の加速、地域格差の拡大、経済活動の反映、構造的課題が明確に表れています。
最大6倍の格差により地方の交通インフラ維持が困難であり、交通量が地域の経済規模や産業構造と強く相関しています。
自動運転技術やDXを活用した交通効率化と、地方創生による交通需要創出の両面での取り組みが重要です。継続的なモニタリングにより、全国の交通ネットワーク最適化を図り、持続可能な地域社会の実現を目指すことが求められています。
順位↓ | 都道府県 | 値 (台/12h) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 大阪府 | 16,472 | 81.3 | -5.0% |
2 | 東京都 | 16,289 | 80.8 | -3.8% |
3 | 神奈川県 | 15,615 | 78.7 | -1.7% |
4 | 埼玉県 | 12,326 | 68.7 | +0.3% |
5 | 愛知県 | 10,395 | 62.9 | -5.2% |
6 | 千葉県 | 9,189 | 59.2 | -2.4% |
7 | 福岡県 | 9,073 | 58.8 | -1.7% |
8 | 沖縄県 | 8,382 | 56.7 | -1.4% |
9 | 茨城県 | 7,997 | 55.6 | -0.1% |
10 | 静岡県 | 7,800 | 55.0 | -4.4% |
11 | 兵庫県 | 7,384 | 53.7 | -2.4% |
12 | 滋賀県 | 7,173 | 53.1 | -1.6% |
13 | 栃木県 | 6,752 | 51.8 | -3.3% |
14 | 宮城県 | 6,748 | 51.8 | -7.7% |
15 | 佐賀県 | 6,409 | 50.7 | -4.8% |
16 | 群馬県 | 6,381 | 50.7 | -7.1% |
17 | 三重県 | 6,068 | 49.7 | -2.7% |
18 | 香川県 | 5,887 | 49.2 | -3.3% |
19 | 石川県 | 5,548 | 48.1 | -5.3% |
20 | 京都府 | 5,482 | 47.9 | -1.9% |
21 | 山梨県 | 5,346 | 47.5 | -4.7% |
22 | 岐阜県 | 5,212 | 47.1 | -6.4% |
23 | 長崎県 | 5,122 | 46.8 | -2.9% |
24 | 広島県 | 5,033 | 46.6 | -2.3% |
25 | 熊本県 | 4,939 | 46.3 | -5.9% |
26 | 富山県 | 4,851 | 46.0 | -8.8% |
27 | 奈良県 | 4,739 | 45.7 | -1.8% |
28 | 岡山県 | 4,703 | 45.6 | -4.6% |
29 | 長野県 | 4,613 | 45.3 | -5.3% |
30 | 新潟県 | 4,564 | 45.1 | -6.7% |
31 | 福井県 | 4,498 | 44.9 | -3.9% |
32 | 山口県 | 4,475 | 44.9 | -3.2% |
33 | 福島県 | 4,157 | 43.9 | -8.7% |
34 | 大分県 | 4,100 | 43.7 | -6.7% |
35 | 宮崎県 | 3,974 | 43.3 | -5.0% |
36 | 和歌山県 | 3,903 | 43.1 | +1.1% |
37 | 鳥取県 | 3,877 | 43.0 | -0.7% |
38 | 徳島県 | 3,874 | 43.0 | -3.0% |
39 | 山形県 | 3,835 | 42.9 | -7.5% |
40 | 鹿児島県 | 3,809 | 42.8 | -3.8% |
41 | 愛媛県 | 3,769 | 42.7 | -4.2% |
42 | 岩手県 | 3,598 | 42.2 | -12.0% |
43 | 秋田県 | 3,566 | 42.1 | -5.7% |
44 | 青森県 | 3,428 | 41.7 | -7.2% |
45 | 高知県 | 2,881 | 40.0 | -3.3% |
46 | 北海道 | 2,844 | 39.9 | -8.0% |
47 | 島根県 | 2,724 | 39.5 | -5.7% |