2022年度の都道府県別建物火災出火件数について、全国47都道府県のランキングデータを詳しく分析します。建物火災は市民の生命と財産に深刻な影響を与える重要な安全指標であり、各地域の防災対策や安全管理の状況を表す重要な統計です。
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上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
建物火災出火件数の多い上位5県について詳しく見てみます。
東京都が2,859件(偏差値101.5)で1位となっています。人口密集地域であり、建物数が多いことから火災件数も突出して多くなっています。商業施設や住宅が密集する都市部特有の課題が反映されています。
大阪府が1,272件(偏差値67.9)で2位です。東京都に次ぐ大都市圏として、多くの建物火災が発生しており、都市部における火災リスクの高さを示しています。
神奈川県が1,175件(偏差値65.8)で3位となっています。首都圏の一角として人口密度が高く、住宅密集地域での火災発生が多い傾向にあります。
愛知県が1,046件(偏差値63.1)で4位です。中京圏の中核として工業地域も多く、住宅火災に加えて産業関連の火災も発生しています。
埼玉県が1,039件(偏差値62.9)で5位となっています。首都圏のベッドタウンとして住宅が多く、生活に密着した火災が多発している状況です。
下位5県の詳細分析
建物火災出火件数の少ない下位5県の状況を確認します。
富山県が106件(偏差値43.2)で45位となっています。人口規模に対して比較的火災発生が抑制されており、地域の防火意識の高さがうかがえます。
鳥取県が95件(偏差値42.9)で46位です。人口が少ないことに加え、適切な防火対策により火災発生を低く抑えています。
福井県も95件(偏差値42.9)で46位(同率)となっています。地域コミュニティの結束が強く、火災予防への取り組みが効果的に機能していると考えられます。
これらの県では、人口密度が低いことに加え、地域住民の防火意識の高さや効果的な火災予防対策が功を奏していると分析できます。
地域別の特徴分析
**首都圏(関東地方)**では、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県がいずれも上位に位置しており、人口密集地域特有の火災リスクの高さが顕著に表れています。建物の密集度や人口密度が火災発生に大きく影響していることが分かります。
近畿地方では、大阪府が2位、兵庫県が8位、京都府が16位と、都市部を中心に火災件数が多くなっています。一方で奈良県は36位と比較的少なく、地域内でも差が見られます。
中部地方では、愛知県が4位と高い一方で、新潟県や長野県は中位、山梨県や富山県、石川県、福井県は下位グループに位置しており、都市化の程度や産業構造による違いが表れています。
九州地方では、福岡県が9位と上位にある一方、他県は中位から下位に分散しており、地域の中心都市とその他地域での格差が見られます。
中国・四国地方では、広島県が12位と比較的上位にあるものの、他県は総じて中位以下となっており、人口密度の低さが火災件数の少なさに寄与していると考えられます。
格差と課題の考察
最多の東京都(2,859件)と最少の鳥取県・福井県(95件)では約30倍の差があり、極めて大きな地域格差が存在します。この格差は主に人口規模や建物密度の違いによるものですが、単純な人口比以上の差が生じている地域もあります。
大都市圏では人口密度や建物密度が高いため火災リスクも高くなりがちですが、同時に消防体制の充実度や防火設備の普及状況も火災発生に影響を与えています。地方部では人口密度は低いものの、高齢化に伴う火災リスクの増加や消防力の相対的な不足といった課題も指摘されています。
また、住宅の構造や築年数、地域の気候条件なども火災発生に影響を与える要因として考慮する必要があります。特に木造住宅の比率が高い地域や、乾燥しやすい気候の地域では、より一層の注意が必要です。
統計データの基本情報と分析
2022年度の全国平均は約336件となっており、中央値は約255件です。平均値が中央値を上回っていることから、東京都や大阪府などの大都市圏が全体の数値を押し上げている右偏りの分布となっています。
標準偏差は約533件と大きく、都道府県間のばらつきが非常に大きいことを示しています。特に東京都は他県と比較して突出して高い値を示しており、明らかな外れ値となっています。
四分位範囲を見ると、第1四分位(25パーセンタイル)が約164件、第3四分位(75パーセンタイル)が約343件となっており、多くの県が比較的狭い範囲に集中していることが分かります。
偏差値の分布では、最高が東京都の101.5、最低が鳥取県と福井県の42.9となっており、約60ポイントの差があります。偏差値50を上回る県は主に大都市圏に集中しており、地方部の多くは偏差値50を下回っています。
まとめ
2022年度の都道府県別建物火災出火件数ランキングでは、東京都が圧倒的に多い2,859件で1位となり、人口密集地域における火災リスクの高さが明確に表れました。上位県は首都圏や関西圏などの大都市圏が占めており、人口密度や建物密度が火災発生に大きく影響していることが確認できます。
一方、鳥取県と福井県が95件で最少となり、地方部では相対的に火災発生が抑制されています。ただし、これは単純に人口が少ないだけでなく、地域の防火意識や効果的な予防対策の成果も反映されていると考えられます。
全国的に見ると、都市部と地方部で大きな格差があり、それぞれの地域特性に応じた火災予防対策の重要性が浮き彫りになっています。今後は各地域の実情に合わせた防火体制の強化と、市民の防火意識向上に向けた取り組みが求められます。