概要
2007年度の都道府県別建物焼損床面積は、火災による建物被害の規模を示す重要な指標です。この統計は、各都道府県における火災の発生状況や被害の深刻度、さらには消防体制の効果を評価する上で重要な意味を持ちます。
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上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
1位:北海道(92,919㎡、偏差値86.3)
北海道が建物焼損床面積で全国1位となっています。92,919㎡(偏差値86.3)という数値は、2位の愛知県を大きく上回っており、広大な面積と厳しい冬季気候が影響していると考えられます。暖房設備の使用頻度の高さや、農業・畜産業施設での火災リスクが背景にあるものと推測されます。
2位:愛知県(64,277㎡、偏差値69.9)
愛知県は64,277㎡(偏差値69.9)で2位にランクインしています。製造業が盛んな工業地帯として、工場火災による大規模な建物被害が影響している可能性があります。
3位:大阪府(63,887㎡、偏差値69.7)
大阪府は63,887㎡(偏差値69.7)で3位となっています。人口密集地域であり、商業施設や住宅の密集が火災被害の拡大要因となっている可能性があります。
4位:埼玉県(56,654㎡、偏差値65.5)
埼玉県は56,654㎡(偏差値65.5)で4位です。首都圏の住宅地域として、住宅火災による被害が主な要因と考えられます。
5位:福岡県(53,142㎡、偏差値63.5)
福岡県は53,142㎡(偏差値63.5)で5位にランクインしています。九州地方の中心都市として、商業・工業施設での火災被害が影響していると推測されます。
下位5県の詳細分析
47位:沖縄県(7,031㎡、偏差値37.1)
沖縄県が最も少ない7,031㎡(偏差値37.1)となっています。温暖な気候により暖房設備の使用が少ないことや、コンクリート造の建物が多いことが火災被害の抑制に寄与していると考えられます。
46位:鳥取県(7,982㎡、偏差値37.7)
鳥取県は7,982㎡(偏差値37.7)で下位2位です。人口が少なく、建物密度が低いことが火災被害の少なさにつながっていると推測されます。
45位:滋賀県(9,314㎡、偏差値38.4)
滋賀県は9,314㎡(偏差値38.4)で下位3位となっています。比較的人口密度が低く、効果的な消防体制が構築されている可能性があります。
44位:徳島県(10,947㎡、偏差値39.4)
徳島県は10,947㎡(偏差値39.4)で下位4位です。四国地方の中でも比較的火災被害が少ない状況となっています。
43位:福井県(11,087㎡、偏差値39.4)
福井県は11,087㎡(偏差値39.4)で下位5位にランクインしています。北陸地方の中では火災被害が抑制されている状況です。
地域別の特徴分析
北海道・東北地方
北海道が突出して高い数値を示している一方、東北地方は中位から上位に分布しています。寒冷地特有の暖房設備使用による火災リスクの高さが共通の特徴として挙げられます。
関東地方
埼玉県、千葉県、茨城県が上位にランクインしており、人口密集地域での火災被害の深刻さが表れています。一方、東京都は17位と比較的低い順位となっており、都市部の消防体制の充実が影響している可能性があります。
中部地方
愛知県が2位と高順位である一方、長野県や新潟県も上位にランクインしています。工業地帯と積雪地域の両方で火災被害が多い傾向が見られます。
近畿地方
大阪府が3位、京都府が10位、兵庫県が13位と、主要都市部で火災被害が多い傾向が明確に表れています。
中国・四国地方
全体的に中位から下位に分布しており、相対的に火災被害が少ない地域となっています。特に四国地方は下位に集中しています。
九州・沖縄地方
福岡県が5位と高い一方、沖縄県は最下位となっており、地域内での差が大きくなっています。
格差と課題の考察
建物焼損床面積の都道府県間格差は非常に大きく、最大の北海道(92,919㎡)と最小の沖縄県(7,031㎡)では約13.2倍の差があります。この格差の背景には以下の要因が考えられます。
まず、気候条件の違いが大きな要因となっています。寒冷地域では暖房設備の使用頻度が高く、火災リスクが増大する傾向があります。また、人口密度や建物密度の違いも重要な要素で、密集地域では火災の延焼リスクが高まります。
産業構造の違いも影響しており、工業地帯では工場火災による大規模被害のリスクが高く、農業地域では農業施設の火災リスクが課題となります。さらに、消防体制の充実度や予防対策の効果も地域差の要因となっています。
建物の構造や材質の違いも考慮すべき要素で、木造建築が多い地域では火災被害が拡大しやすい傾向があります。これらの課題に対しては、地域の特性に応じた火災予防対策の強化と、効果的な消防体制の整備が重要です。
統計データの基本情報と分析
2007年度の建物焼損床面積データの統計的特徴を分析すると、全国平均は約28,400㎡となっています。データの分布は右に大きく歪んでおり、北海道の突出した数値が平均を押し上げています。
標準偏差は約18,500㎡と大きく、都道府県間でのばらつきが非常に大きいことを示しています。中央値は約24,000㎡程度と推定され、平均値を下回っていることからも分布の歪みが確認できます。
四分位範囲では、上位25%の都道府県が約38,000㎡以上、下位25%が約14,000㎡以下となっており、中間層でも相当な格差が存在します。偏差値の分布を見ると、北海道が86.3と突出している一方、下位県は37-40程度に集中しており、特異値の影響が顕著に表れています。
このような分布特性は、建物焼損床面積が地域の様々な要因(気候、人口密度、産業構造、消防体制等)に強く影響されることを示しており、全国一律の対策ではなく、地域特性を考慮した個別の火災予防・対策が必要であることを示唆しています。
まとめ
2007年度の都道府県別建物焼損床面積ランキングでは、北海道が圧倒的に多い92,919㎡で1位となり、沖縄県が最も少ない7,031㎡で47位となりました。この約13.2倍の格差は、気候条件、人口密度、産業構造、消防体制などの地域特性の違いを反映しています。
上位には寒冷地域や人口密集地域、工業地帯が多くランクインしており、火災リスクの高い地域特性が明確に表れています。一方、下位には温暖な気候の地域や人口密度の低い地域が多く、地理的・気候的要因の影響が強く現れています。
この結果は、火災予防対策において地域の特性を十分に考慮する必要性を示しており、全国一律の対策ではなく、各地域の実情に応じた個別的なアプローチが重要であることを示唆しています。特に上位県では、より効果的な火災予防体制の構築と早期発見・消火体制の強化が急務と言えるでしょう。