2023年度の消費者物価指数対前年変化率(食料)では、岩手県が9.6%で全国1位、和歌山県が7.1%で最下位となりました。この指標は食料品の物価水準が1年間でどの程度変化したかを示す重要な経済指標で、総務省統計局が毎月発表する消費者物価指数の食料部門における前年同月比の変化率を年度平均として算出しています。地域間で2.5ポイントの格差が生じており、家計への直接的な影響、インフレ動向の把握、地域経済の健全性、農業・食品産業への影響、社会保障政策への影響を反映する重要な経済指標となっています。
概要
消費者物価指数対前年変化率(食料)は、食料品の物価水準が1年間でどの程度変化したかを示す重要な経済指標です。この指標は、総務省統計局が毎月発表する消費者物価指数の食料部門における前年同月比の変化率を年度平均として算出しています。
食料費は家計支出の大きな部分を占めており、その価格変動は国民の生活に直結します。特に低所得世帯ほど食料費の割合が高く、物価上昇の影響を受けやすいとされています。食料品の価格変動は、全体的なインフレ率を判断する上で重要な要素です。食料品は日常的に購入される必需品であり、その価格動向は経済政策の立案において重要な判断材料となります。
各都道府県の食料品価格変動は、地域経済の特性や流通構造を反映します。地域間の格差は、経済発展の不均衡や構造的な問題を示す指標として機能します。食料品価格の変動は、農業生産者や食品製造業者の経営状況に直結し、地域の農業振興や食品産業の発展に大きな影響を与えます。
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上位5県の詳細分析
岩手県
岩手県は9.6%の変化率で全国1位(偏差値77.0)を獲得しました。これは全国平均を1.5ポイント上回る高い水準です。
地理的に本州の北部に位置し、主要な食料品供給基地からの距離が遠く、輸送コストが価格に反映されやすい構造があります。農業県でありながら、多様な食料品については県外からの調達に依存する部分が大きく、流通費用の上昇が価格に転嫁されています。人口密度が比較的低く、小売店舗の効率性が都市部に比べて劣る傾向があります。
茨城県
茨城県は9.1%の変化率で全国2位(偏差値68.1)となりました。農業大県でありながら高い上昇率を示している点が特徴的です。
東京都心部への農産物供給基地でありながら、消費地としての性格も強く、需要の競合が価格上昇を招いています。生鮮食品の生産は盛んですが、加工食品や調味料などは他地域からの調達が多く、これらの価格上昇の影響を受けています。首都圏への物流が集中し、地域内での流通効率が相対的に低下している可能性があります。
福岡県
福岡県も9.1%の変化率で全国2位(偏差値68.1)となりました。九州地方の中核都市を抱える特性が影響しています。
福岡市などの都市部では輸入食品や加工食品の需要が高く、価格上昇の影響を受けやすい構造があります。地理的に近い韓国や中国からの食料品輸入が多く、国際的な価格変動の影響を受けやすい立場にあります。コロナ禍からの観光需要回復により、外食産業の食材需要が増加し、価格上昇圧力となっています。
沖縄県
沖縄県も9.1%の変化率で全国2位(偏差値68.1)となりました。島嶼県特有の構造的な要因が大きく影響しています。
本土からの食料品輸送には海上輸送が必要で、燃料費上昇の影響を直接受けています。米軍基地の存在により、輸入食品の流通が活発で、円安の影響を受けやすい構造があります。観光業の回復により、外食・宿泊業界の食材需要が急増し、価格上昇の要因となっています。
宮城県
宮城県は9.0%の変化率で全国5位(偏差値66.3)となりました。東北地方の中核県としての特徴が現れています。
東日本大震災からの復興が続く中、建設関係者の増加により食料品需要が高まっています。東北地方最大の都市である仙台市を抱え、都市部特有の価格上昇圧力が存在します。水産県でありながら、魚価の高騰により代替食品への需要が高まり、全体的な価格上昇につながっています。
下位5県の詳細分析
和歌山県
和歌山県は7.1%の変化率で最下位(偏差値32.5)となりました。この比較的低い上昇率には以下の要因が考えられます。
みかんや柿などの果物生産が盛んで、地産地消により価格上昇を抑制できています。大阪市場との近接性により、効率的な流通システムが構築されています。人口減少により食料品需要が相対的に減少し、価格上昇圧力が緩和されています。
愛知県
愛知県は7.2%の変化率で46位(偏差値34.3)となりました。工業県としての特性が価格安定に寄与しています。
中部地方の物流拠点として、効率的な流通システムが整備されています。製造業が盛んで、企業による従業員向けの食料品調達が効率化されています。工業地帯の消費者は価格に敏感で、小売業者も価格競争が激しい環境にあります。
青森県
青森県は7.3%の変化率で44位(偏差値36.1)となりました。農業県としての特性が価格安定に寄与しています。
りんごの一大産地として、地域内での果物価格が安定しています。本州最北端の立地により、新鮮な海産物の供給が豊富です。地域の農水産物を活用した加工食品産業が発達し、価格競争力を維持しています。
徳島県
徳島県も7.3%の変化率で44位(偏差値36.1)となりました。四国地方の特性が影響しています。
温暖な気候を活かした野菜生産が盛んで、地産地消が進んでいます。淡路島を経由した関西圏との物流網が発達し、効率的な流通が実現されています。適度な人口規模により、需給バランスが保たれています。
山梨県
山梨県は7.5%の変化率で43位(偏差値39.6)となりました。内陸県としての特性が価格安定に寄与しています。
ぶどうや桃などの果物生産が盛んで、地域内での価格競争が活発です。東京都心部への近接性により、効率的な流通システムが構築されています。観光地として多様な食文化が発達し、価格競争が促進されています。
社会的・経済的影響
最上位の岩手県(9.6%)と最下位の和歌山県(7.1%)の間には2.5ポイントの格差が存在します。これは食料費負担の地域差を示すものであり、国民の生活に直結する重要な指標です。
食料費の上昇は、特に低所得世帯の家計に直接的な影響を与えます。上位県では食料品価格の上昇により家計の可処分所得が圧迫される可能性があります。地域間の食料品価格変動の差は、食料品アクセスの格差拡大につながる可能性があります。
食料品価格の変動は、農業生産者や食品製造業者の経営状況に直結し、地域の農業振興や食品産業の発展に大きな影響を与えます。特に上位県では、流通コストの上昇が農業・食品産業の競争力に影響を与える可能性があります。
対策と今後の展望
各自治体では、食料品価格の安定化に向けた様々な取り組みが進められています。地産地消の推進、流通システムの効率化、食料品価格監視体制の強化などが主要な対策として挙げられます。
上位県では流通コストの削減と価格安定の両立、下位県では地産地消の維持と食料品アクセスの確保が重要な課題となります。地域の実情に応じたきめ細やかな政策対応が求められています。
デジタル技術の活用により、流通の効率化と食料品価格の透明性向上が期待されます。オンライン流通システムの充実により、地域間格差の解消が可能になります。
地域の農業・食品産業と流通システムの連携強化により、効率的な食料品供給体制の構築が図られています。特に地産地消の推進と流通コストの削減が重要となります。
統計データの基本情報と分析
指標 | 値- |
---|---|
平均値 | 8.1 |
中央値 | 7.9 |
最大値 | 9.6(岩手県) |
最小値 | 7.1(和歌山県) |
標準偏差 | 0.6 |
データ数 | 47件 |
2023年度の消費者物価指数対前年変化率(食料)の平均値は8.08%、最小値は7.1%(和歌山県)、最大値は9.6%(岩手県)となっています。
平均値と中央値を比較すると、分布に若干の歪みが見られます。上位県の影響で平均値が中央値を上回る傾向があり、これは一部の地域で顕著な食料品価格上昇が発生していることを示しています。
分布の歪みについては、上位県と下位県の格差が大きいため、正の歪みが確認されます。外れ値としては岩手県の9.6%が特に高い値を示しており、流通コストの影響を反映しています。
四分位範囲による分布の特徴では、上位25%の県と下位25%の県の間で大きな格差が生じており、地域間の食料品価格変動の差が明確に現れています。標準偏差によるばらつきの程度は中程度であり、地域間で一定の格差が存在することを示しています。
まとめ
2023年度の消費者物価指数対前年変化率(食料)では、地域間で2.5ポイントの格差が生じており、地域の流通構造や農業・食品産業の発展状況が明確に現れています。上位県では流通コストの影響や観光需要の回復による価格上昇が顕著に表れ、下位県では地産地消の推進や効率的な流通システムが影響しています。
今後の食料品価格政策には、地域固有の農業・食品産業を活かした地産地消の推進、デジタル技術の活用による流通の効率化、地域間格差の解消による食料品アクセスの確保が重要となります。また、地域間格差の是正に向けて、流通システムの改善と食料品価格監視体制の強化が求められます。
順位↓ | 都道府県 | 値 (-) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 岩手県 | 9.6 | 77.0 | +146.2% |
2 | 茨城県 | 9.1 | 68.1 | +160.0% |
3 | 福岡県 | 9.1 | 68.1 | +85.7% |
4 | 沖縄県 | 9.1 | 68.1 | +75.0% |
5 | 宮城県 | 9.0 | 66.3 | +91.5% |
6 | 栃木県 | 9.0 | 66.3 | +95.7% |
7 | 奈良県 | 9.0 | 66.3 | +63.6% |
8 | 長野県 | 8.8 | 62.8 | +83.3% |
9 | 北海道 | 8.7 | 61.0 | +55.4% |
10 | 大阪府 | 8.6 | 59.2 | +79.2% |
11 | 鳥取県 | 8.5 | 57.4 | +80.8% |
12 | 秋田県 | 8.3 | 53.9 | +59.6% |
13 | 岡山県 | 8.3 | 53.9 | +137.1% |
14 | 富山県 | 8.2 | 52.1 | +74.5% |
15 | 島根県 | 8.2 | 52.1 | +70.8% |
16 | 広島県 | 8.2 | 52.1 | +67.3% |
17 | 群馬県 | 8.1 | 50.3 | +113.2% |
18 | 熊本県 | 8.1 | 50.3 | +72.3% |
19 | 滋賀県 | 8.0 | 48.5 | +116.2% |
20 | 京都府 | 8.0 | 48.5 | +95.1% |
21 | 愛媛県 | 8.0 | 48.5 | +95.1% |
22 | 佐賀県 | 8.0 | 48.5 | +100.0% |
23 | 鹿児島県 | 8.0 | 48.5 | +150.0% |
24 | 千葉県 | 7.9 | 46.7 | +102.6% |
25 | 東京都 | 7.9 | 46.7 | +75.6% |
26 | 石川県 | 7.9 | 46.7 | +83.7% |
27 | 福井県 | 7.9 | 46.7 | +64.6% |
28 | 三重県 | 7.9 | 46.7 | +92.7% |
29 | 神奈川県 | 7.8 | 45.0 | +77.3% |
30 | 新潟県 | 7.8 | 45.0 | +62.5% |
31 | 山口県 | 7.8 | 45.0 | +66.0% |
32 | 高知県 | 7.8 | 45.0 | +129.4% |
33 | 長崎県 | 7.8 | 45.0 | +73.3% |
34 | 大分県 | 7.8 | 45.0 | +100.0% |
35 | 福島県 | 7.7 | 43.2 | +71.1% |
36 | 埼玉県 | 7.7 | 43.2 | +97.4% |
37 | 静岡県 | 7.7 | 43.2 | +113.9% |
38 | 香川県 | 7.7 | 43.2 | +71.1% |
39 | 宮崎県 | 7.7 | 43.2 | +71.1% |
40 | 山形県 | 7.6 | 41.4 | +81.0% |
41 | 岐阜県 | 7.6 | 41.4 | +137.5% |
42 | 兵庫県 | 7.6 | 41.4 | +85.4% |
43 | 山梨県 | 7.5 | 39.6 | +53.1% |
44 | 青森県 | 7.3 | 36.1 | +46.0% |
45 | 徳島県 | 7.3 | 36.1 | +97.3% |
46 | 愛知県 | 7.2 | 34.3 | +75.6% |
47 | 和歌山県 | 7.1 | 32.5 | +73.2% |