都道府県別刑法犯検挙件数ランキング(2022年度)

概要

刑法犯検挙件数は、各都道府県において刑法に規定される犯罪で検挙された事件の総数を示す重要な治安指標です。この統計は、窃盗、詐欺、暴行、傷害などの刑法犯について、警察が検挙した件数を集計したものです。

2022年度のデータを見ると、都道府県間で大きな格差が存在し、最上位の東京都30,587件から最下位の徳島県1,131件まで、約27倍の差が生じています。人口規模の大きな都市部で検挙件数が多い傾向が顕著に表れており、地域の治安状況や警察活動の実態を反映した結果となっています。

この指標は、地域の治安水準を測る基本的な指標として、防犯対策や警察政策の立案において重要な役割を果たしています。

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上位5県の詳細分析

東京都30,587件(偏差値93.6)で圧倒的な1位となっています。人口約1,400万人を抱える首都として、商業施設や交通拠点が集中し、人の流動性が高いことが検挙件数の多さに影響していると考えられます。また、警察組織の規模も大きく、検挙体制が充実していることも要因の一つです。

大阪府18,109件(偏差値72.0)で2位に位置しています。関西圏の中心都市として、商業・経済活動が活発で、人口密度も高いことが検挙件数の多さにつながっています。東京都との差は約1.7倍となっており、関東と関西の経済規模の違いが反映されています。

神奈川県16,567件(偏差値69.4)で3位です。横浜市、川崎市といった大都市を抱え、東京都に隣接する立地から人口流動が大きく、都市型犯罪の発生が多いことが検挙件数の多さに影響していると推測されます。

埼玉県15,253件(偏差値67.1)で4位、兵庫県14,504件(偏差値65.8)で5位となっており、いずれも人口が多く都市化が進んだ地域が上位を占める結果となっています。

下位5県の詳細分析

最下位の徳島県1,131件(偏差値42.8)と、人口約73万人の四国地方の県として、人口規模に対応した検挙件数となっています。地域コミュニティの結束が強く、犯罪抑制効果が働いていることも考えられます。

秋田県1,265件(偏差値43.0)で46位です。人口減少と高齢化が進む東北地方の特徴を反映し、犯罪発生自体が少ない傾向にあると考えられます。

山梨県1,278件(偏差値43.0)で45位、島根県1,303件(偏差値43.1)で44位、鳥取県1,449件(偏差値43.3)で43位となっており、いずれも人口が少なく、地方部の特徴を示しています。これらの県では、人口密度が低く、都市型犯罪の発生が少ないことが検挙件数の少なさにつながっていると考えられます。

地域別の特徴分析

関東地方では、東京都を筆頭に神奈川県、埼玉県、千葉県が上位に位置し、首都圏の一体的な都市圏としての特徴が顕著に表れています。人口集中と経済活動の活発さが検挙件数の多さに直結している傾向が見られます。

関西地方では、大阪府が突出して多く、兵庫県、京都府が続く構造となっており、関西経済圏の中核地域での検挙件数の多さが特徴的です。

中部地方では、愛知県が比較的上位に位置する一方で、山梨県や福井県などは下位に位置し、地域内での格差が大きくなっています。

東北地方四国地方は全体的に検挙件数が少なく、人口減少地域の特徴を反映しています。特に秋田県、徳島県は最下位グループに位置し、地方部の実態を示しています。

九州地方では、福岡県が比較的上位に位置する一方で、他県は中位から下位に分布しており、地域内での差が見られます。

格差や課題の考察

最上位の東京都(30,587件)と最下位の徳島県(1,131件)の間には約27.0倍の格差があり、人口規模や都市化の程度が検挙件数に大きく影響していることが明らかです。

この格差は主に人口密度、経済活動の活発さ、都市化の程度といった構造的要因によるものと考えられます。大都市圏では犯罪機会が多い一方で、検挙体制も充実しているため、結果として検挙件数が多くなる傾向があります。

地方部では人口減少と高齢化が進む中で、コミュニティの結束力が犯罪抑制に働いている可能性もあり、単純に検挙件数の多少で治安の良し悪しを判断することは適切ではありません。今後は、人口当たりの発生率や検挙率なども含めた総合的な治安評価が重要となります。

統計分析の結果、平均値が中央値を上回っており、上位県の値が全体の分布を押し上げる正の歪みを持つ分布となっています。特に東京都の値が際立って大きく、外れ値として全体の平均を引き上げています。

標準偏差の大きさは都道府県間の格差が相当程度存在することを示しており、四分位範囲から見ても、上位25%の都道府県と下位25%の都道府県の間には大きな開きがあることが確認できます。この分布特性は、日本の人口分布と都市化の地域差を反映したものと言えます。

まとめ

  • 東京都が圧倒的な検挙件数を記録し、大都市圏が上位を占める構造
  • 人口規模と都市化の程度が検挙件数に強く影響している
  • 地方部では人口減少に対応して検挙件数も少ない傾向
  • 最大約27倍の地域格差が存在し、日本の人口分布の特徴を反映
  • 今後は人口当たりの発生率など、相対的指標での分析も重要
  • 地域特性に応じた効果的な防犯対策の展開が課題
  • 継続的なデータ蓄積により、治安状況の変化を長期的に監視する必要性
出典