経常収支比率は、地方自治体の財政構造の弾力性を測る重要な指標で、経常経費(人件費、扶助費、公債費など)が経常一般財源(地方税、地方交付税など)に占める割合を示します。この比率が高いほど財政の硬直化が進んでいることを意味し、一般的に都道府県では80%程度が適正とされています。
2021年度のデータでは、地域によって大きな格差が存在しており、上位県では財政硬直化が進んでいる一方、下位県では比較的健全な財政構造を維持している状況が確認できます。この指標は自治体の財政運営の自由度を示すため、将来の政策展開や突発的な財政需要への対応能力を評価する上で極めて重要な意味を持っています。
概要
経常収支比率は地方自治体の財政健全性を測る最も重要な指標の一つです。この比率が高いほど、経常的な支出が収入を圧迫し、新規事業や突発的な財政需要への対応が困難になることを意味します。
各地域の経済構造や人口動態、地理的条件により、経常収支比率には大きな格差が生じています。特に災害復旧を経験した地域や、人口密集地域では高い比率を示す傾向があります。
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上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
上位5県では、財政硬直化が進んでいる状況が確認できます。これらの県では、災害復旧事業や人口密集地域特有の高い行政需要、地理的制約による高コスト構造などが共通の要因となっています。
各地域の特性に応じた財政課題が存在し、短期的な改善が困難な構造的課題を抱えている県が多い状況です。国の支援制度や財政調整機能の重要性が改めて認識される結果となっています。
下位5県の詳細分析
下位5県では、効率的な行政運営や適切な財政規律により、比較的健全な財政構造を維持しています。ただし、過度に低い比率は必要な住民サービスの水準確保に影響を与える可能性もあり、バランスの取れた財政運営が重要です。
これらの県では、地域特性を活かした財政基盤の安定化が図られており、持続可能な財政構造の構築に成功している事例として注目されます。
地域別の特徴分析
各地域の特徴を分析すると、近畿地方では人口密集地域特有の高い行政需要と、インフラ老朽化対応が共通の課題となっています。東北地方では震災復興の有無による財政構造の違いが顕著に現れています。
九州地方では離島や火山地域を抱える県で比率が高い傾向があり、中国・四国地方は全体的に中位から下位に分布しており、比較的安定した財政構造を維持している県が多い特徴があります。
関東地方では首都圏内での財政力格差が明確に現れており、北海道は単独で上位に位置し、広域自治体特有の構造的課題を抱えています。
社会的・経済的影響
経常収支比率の地域格差は、各地域が抱える構造的な課題や特性の違いを反映しています。上位県の多くは、災害復旧・復興、人口密集地域の高い行政需要、地理的制約による高コスト構造といった共通要因を抱えています。
これらの格差は、地域の経済発展や住民サービスの質に直接的な影響を与える可能性があり、持続可能な地域社会の構築における重要な課題となっています。
対策と今後の展望
今後は、高齢化の進展や社会保障費の増加により、全国的に経常収支比率の上昇圧力が高まることが予想されます。各都道府県には事業の見直しや効率化による経常経費の抑制と、持続可能な財政構造の構築が求められています。
継続的なモニタリングにより、財政健全化の進捗を注視していく必要があります。地域特性を活かした独自の取り組みや、国との連携による包括的な財政改革の推進が重要です。
統計データの基本情報と分析
指標 | 値% |
---|---|
平均値 | 88 |
中央値 | 88.3 |
最大値 | 97.2(兵庫県) |
最小値 | 77.8(東京都) |
標準偏差 | 3.2 |
データ数 | 47件 |
統計データの分析から、都道府県間の財政構造の違いが明確に現れていることが確認できます。地域の特性や歴史的背景により、経常収支比率には大きな格差が存在しています。
特に上位県と下位県の間には顕著な差があり、これは各地域が抱える構造的な課題の違いを反映しています。今後の財政運営においては、地域特性を考慮したきめ細かな対応が求められます。
まとめ
順位↓ | 都道府県 | 値 (%) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 兵庫県 | 97.2 | 78.7 | +0.5% |
2 | 京都府 | 94.4 | 70.0 | -0.1% |
3 | 福島県 | 93.8 | 68.1 | -1.3% |
4 | 鹿児島県 | 92.8 | 65.0 | -4.9% |
5 | 北海道 | 92.7 | 64.7 | -5.6% |
6 | 福井県 | 91.1 | 59.7 | -5.1% |
7 | 埼玉県 | 90.1 | 56.5 | -4.9% |
8 | 香川県 | 89.9 | 55.9 | -6.3% |
9 | 長野県 | 89.6 | 55.0 | -4.4% |
10 | 高知県 | 89.6 | 55.0 | -6.8% |
11 | 岡山県 | 89.4 | 54.4 | -8.0% |
12 | 新潟県 | 89.3 | 54.0 | -5.7% |
13 | 愛知県 | 89.2 | 53.7 | -10.8% |
14 | 福岡県 | 89.2 | 53.7 | -8.1% |
15 | 長崎県 | 89.2 | 53.7 | -7.7% |
16 | 宮城県 | 89.0 | 53.1 | -7.6% |
17 | 青森県 | 88.9 | 52.8 | -7.2% |
18 | 栃木県 | 88.8 | 52.5 | -6.6% |
19 | 佐賀県 | 88.8 | 52.5 | -5.3% |
20 | 山形県 | 88.7 | 52.2 | -6.1% |
21 | 神奈川県 | 88.6 | 51.9 | -10.0% |
22 | 富山県 | 88.6 | 51.9 | -7.0% |
23 | 静岡県 | 88.4 | 51.2 | -8.0% |
24 | 茨城県 | 88.3 | 50.9 | -6.4% |
25 | 岩手県 | 88.2 | 50.6 | -7.1% |
26 | 沖縄県 | 88.0 | 50.0 | -8.7% |
27 | 石川県 | 87.7 | 49.0 | -7.0% |
28 | 群馬県 | 87.6 | 48.7 | -8.4% |
29 | 広島県 | 87.6 | 48.7 | -6.3% |
30 | 三重県 | 87.4 | 48.1 | -9.2% |
31 | 大阪府 | 87.1 | 47.2 | -13.6% |
32 | 大分県 | 87.1 | 47.2 | -7.8% |
33 | 和歌山県 | 86.9 | 46.6 | -8.7% |
34 | 徳島県 | 86.9 | 46.6 | -6.7% |
35 | 秋田県 | 86.6 | 45.6 | -7.3% |
36 | 山口県 | 86.6 | 45.6 | -5.0% |
37 | 滋賀県 | 86.3 | 44.7 | -9.3% |
38 | 熊本県 | 84.9 | 40.3 | -8.4% |
39 | 千葉県 | 84.8 | 40.0 | -13.7% |
40 | 奈良県 | 84.8 | 40.0 | -8.4% |
41 | 岐阜県 | 84.7 | 39.7 | -8.3% |
42 | 愛媛県 | 84.7 | 39.7 | -4.7% |
43 | 山梨県 | 84.5 | 39.1 | -9.3% |
44 | 島根県 | 83.9 | 37.2 | -6.8% |
45 | 宮崎県 | 83.7 | 36.6 | -9.5% |
46 | 鳥取県 | 82.8 | 33.7 | -7.2% |
47 | 東京都 | 77.8 | 18.1 | -8.4% |
経常収支比率の地域格差は、各地域の財政課題を明確に示しています。上位県では災害復旧、人口密集地域の行政需要、地理的制約が共通要因となっており、下位県では効率的な行政運営により健全な財政構造を維持しています。
今後は社会保障費の増加や公共インフラの老朽化対応により、さらなる財政硬直化が懸念されます。各都道府県には持続可能な財政構造の構築が求められており、継続的な財政健全化の取り組みが重要です。