都道府県別昼間人口ランキング(2020年度)
概要
昼間人口とは、常住人口(夜間人口)に、他地域からの流入人口を加え、他地域への流出人口を差し引いた人口のことです。この記事では、2020年度の都道府県別昼間人口のランキングを紹介します。
昼間人口は、その地域の経済活動や都市機能の集積度を示す重要な指標であり、通勤・通学などの日常的な人口移動の実態を反映しています。昼間人口が多い地域は、雇用や教育の中心地としての役割を担っていることを示しています。
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上位県と下位県の比較
昼間人口が多い上位5都府県
2020年度の昼間人口ランキングでは、東京都が16,315,279人(偏差値96.7)で全国1位となりました。東京都は日本の政治・経済・文化の中心地であり、多くの企業や教育機関が集中していることから、周辺県からの通勤・通学者が多く、昼間人口が極めて多くなっています。
2位は大阪府で9,182,101人(偏差値72.2)、3位は神奈川県で8,468,946人(偏差値69.8)、4位は愛知県で7,629,723人(偏差値66.9)、5位は埼玉県で6,581,578人(偏差値63.3)となっています。上位には三大都市圏の都府県が占めており、経済活動や都市機能の集積が反映されています。
昼間人口が少ない下位5県
最も昼間人口が少なかったのは鳥取県で552,505人(偏差値42.7)でした。鳥取県は日本で最も人口が少ない県であり、大規模な都市や産業集積地が少ないことから、昼間人口も少なくなっています。
46位は島根県で671,741人(偏差値43.1)、45位は高知県で690,797人(偏差値43.2)、44位は徳島県で716,742人(偏差値43.3)、43位は福井県で767,987人(偏差値43.4)となっています。下位県には地方の小規模県が多く、人口規模が小さく、大規模な都市や産業集積地が少ないことが特徴です。
地域別の特徴分析
三大都市圏の高い昼間人口
三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)は全体的に昼間人口が多く、東京都(1位、16,315,279人)をはじめ、大阪府(2位、9,182,101人)、神奈川県(3位、8,468,946人)、愛知県(4位、7,629,723人)、埼玉県(5位、6,581,578人)、千葉県(6位、5,672,183人)と上位を占めています。これらの地域は、企業や教育機関が集中し、周辺地域からの通勤・通学者が多いことが要因です。
地方中枢都市を持つ県の状況
福岡県(9位、5,139,579人)や北海道(8位、5,223,042人)、兵庫県(7位、5,249,636人)など、地方中枢都市を持つ県も比較的昼間人口が多くなっています。これらの地域は、地方における経済・行政・教育の中心地としての役割を担っており、周辺地域からの人口流入があります。
中部・東北地方の状況
中部地方では、静岡県(10位、3,625,491人)や新潟県(15位、2,200,267人)が中位に位置しています。東北地方では、宮城県(14位、2,303,479人)が仙台市を中心に比較的高い昼間人口を示していますが、他の東北各県は中位から下位に位置しています。
中国・四国地方の状況
中国・四国地方は全体的に昼間人口が少なく、広島県(11位、2,804,391人)や岡山県(20位、1,889,120人)などの中枢都市を持つ県を除き、下位に集中しています。特に鳥取県(47位、552,505人)、島根県(46位、671,741人)、高知県(45位、690,797人)、徳島県(44位、716,742人)は全国の下位を占めています。
九州地方の多様性
九州地方では、福岡県(9位、5,139,579人)が九州の中心都市として高い昼間人口を示す一方、熊本県(23位、1,732,011人)や鹿児島県(24位、1,586,642人)は中位、佐賀県(41位、814,329人)は下位に位置しています。福岡県と他の九州各県との格差が顕著です。
昼間人口の格差がもたらす影響と課題
都市機能の集中と地域間格差
昼間人口の多い都市部では、商業・業務機能が集中し、経済活動が活発である一方、昼間人口の少ない地方では、都市機能の衰退や経済活動の停滞が課題となっています。この格差は、地域の発展や住民の生活環境に大きな影響を与えています。
交通インフラへの負荷
昼間人口の多い都市部では、通勤・通学時の交通混雑が深刻な問題となっています。特に東京都や大阪府などの大都市圏では、朝夕のラッシュ時に公共交通機関が過密状態になり、通勤・通学者の負担が大きくなっています。
災害時の脆弱性
昼間人口が多い都市部では、災害発生時に多くの人々が滞在しており、避難や救助活動が複雑化するリスクがあります。特に東京都や大阪府などの大都市圏では、大規模災害時の帰宅困難者対策が重要な課題となっています。
地方創生と人口分散の必要性
昼間人口の地域間格差は、地方の衰退や東京一極集中の問題と密接に関連しています。地方創生や働き方改革、テレワークの推進などを通じて、人口や経済活動の分散を図ることが、持続可能な国土形成のために重要な課題となっています。
統計データの基本情報と分析
統計的特徴の分析
2020年度の都道府県別昼間人口データを統計的に分析すると、以下のような特徴が見られます:
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平均値と中央値の比較:平均値は約2,739,000人、中央値は約1,586,642人と大きく異なっています。これは、東京都や大阪府などの極端に昼間人口が多い都府県があるため、分布が右に歪んでいることを示しています。
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分布の歪み:データは強い正の歪み(右に裾を引いた形状)を示しています。特に東京都(16,315,279人)は、2位の大阪府(9,182,101人)と比べても極端に高い値を示しており、上側の外れ値と考えられます。
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外れ値の特定:東京都(16,315,279人)、大阪府(9,182,101人)、神奈川県(8,468,946人)などは上側の外れ値と考えられます。特に東京都は、他の都道府県と比較して突出した値を示しています。
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四分位範囲による分布の特徴:第1四分位数(Q1)は約814,329人、第3四分位数(Q3)は約3,625,491人で、四分位範囲(IQR)は約2,811,162人です。これは、中央の50%の都道府県の昼間人口が814,329人から3,625,491人の間に収まっていることを示しています。
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標準偏差によるばらつき:標準偏差は約3,255,000人で、変動係数(標準偏差÷平均値)は約118.8%となり、相対的なばらつきが非常に大きいことを示しています。最高値と最低値の差は15,762,774人(16,315,279人−552,505人)に達し、地域間の格差が極めて大きいことを示しています。
まとめ
2020年度の都道府県別昼間人口ランキングでは、東京都が16,315,279人で1位、鳥取県が552,505人で47位となりました。上位には三大都市圏の都府県が多く、下位には地方の小規模県が多く見られました。
昼間人口の地域差は、経済活動や都市機能の集積度、通勤・通学などの日常的な人口移動の実態を反映しており、この差は都市機能の集中と地域間格差、交通インフラへの負荷、災害時の脆弱性など多方面に影響を与えています。
統計分析からは、都道府県間の昼間人口に極めて大きなばらつきがあり、特に東京都は他の都道府県と比較して突出した値を示していることがわかります。この地域差は、日本の国土構造の不均衡を示すとともに、地方創生や人口分散の必要性を物語っています。
持続可能な国土形成のためには、テレワークの推進や地方拠点の強化など、人口や経済活動の分散を図る取り組みが重要です。また、昼間人口の多い都市部では、交通インフラの整備や災害対策の強化が、昼間人口の少ない地方では、地域の特性を活かした産業振興や生活環境の整備が求められています。