都道府県別死亡数ランキング(2022年度)
概要
2022年度の都道府県別死亡数データを分析すると、日本全体で約157万人の死亡が記録されました。死亡数のランキングでは、人口規模の小さい地方県が上位(死亡数が少ない)を占め、人口集中地域である大都市圏が下位(死亡数が多い)となる傾向が見られます。しかし、単純な人口比だけでなく、高齢化率や医療アクセスなどの地域特性も死亡数に影響を与えています。
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上位5県と下位5県の比較
上位県(死亡数が少ない県)の特徴
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鳥取県(8,031人): 日本で最も人口が少ない県であり、死亡数も最も少なくなっています。ランキングでは1位(偏差値58.7)を獲得しています。しかし、高齢化率は高く、人口あたりの死亡率では全国平均を上回る傾向にあります。
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島根県(10,434人): 人口規模が小さく、若年層の流出が続いている地方県として、総死亡数は少なく2位(偏差値57.9)となっています。高齢化率は全国でも上位に位置しています。
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福井県(10,519人): 北陸地方の小規模県であり、人口規模に応じて死亡数も少なく3位(偏差値57.9)となっています。製造業を中心とした産業基盤があり、比較的安定した地域経済を維持しています。
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徳島県(10,968人): 四国地方の人口規模が小さい県として、死亡数も少なく4位(偏差値57.7)にランクインしています。高齢化率は高く、医療資源の確保が課題となっています。
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山梨県(11,090人): 内陸県で人口規模が小さく、死亡数も少なく5位(偏差値57.7)となっています。首都圏に近いという地理的条件がありながらも、人口減少が進んでいる状況です。
下位県(死亡数が多い県)の特徴
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東京都(139,264人): 日本最大の人口を抱える都市として、死亡数も最多となり、ランキングでは47位(偏差値13.5)となっています。比較的若年層の割合が高いため、人口あたりの死亡率は全国平均より低い傾向にあります。
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大阪府(106,277人): 関西圏の中心都市として大きな人口を抱え、高齢化も進んでいることから死亡数が多く46位(偏差値24.8)となっています。
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神奈川県(98,821人): 首都圏の主要県として人口が多く、それに伴い死亡数も多くなり45位(偏差値27.4)にランクされています。東京都や大阪府と同様に、偏差値は低い値を示しています。
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埼玉県(82,221人): 首都圏のベッドタウンとして人口増加が続いていましたが、近年は高齢化が進み、死亡数も増加傾向で44位(偏差値33.1)となっています。
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愛知県(81,183人): 中京圏の中心として大きな人口を抱え、製造業を中心とした産業集積地として、死亡数も多く43位(偏差値33.5)となっています。
地域別の特徴分析
大都市圏と地方の格差
2022年の死亡数を地域別に分析すると、関東地方が全体の30.7%(約48万人)を占め、近畿地方が17.5%(約27万人)、中部地方が17.0%(約27万人)と続いています。これらの大都市圏では人口集中に伴い死亡数も多くなっていますが、偏差値で見ると関東地方の平均は37.8と低く、四国地方は56.7と高い値を示しています。
これは大都市圏では比較的若年層の割合が高いのに対し、地方では高齢化が進んでいることを反映しています。特に四国地方や中国地方では、偏差値の平均がそれぞれ56.7、54.7と高く、人口が少ないため死亡数は少ないものの、人口あたりの死亡率は高い傾向にあります。
医療アクセスの影響
三大都市圏(首都圏、関西圏、中京圏)では医療機関の集積があり、高度医療へのアクセスが比較的良好です。一方、死亡数は少ないものの、死亡数ランキング上位(死亡数が少ない)の地方県では医師不足や医療機関の減少が課題となっており、これが人口あたりの死亡率に影響を与えている可能性があります。
特に死亡数ランキング上位の鳥取県(1位)や島根県(2位)などの山陰地方、徳島県(4位)や高知県(7位)などの四国地方では、医療資源の地域格差が死亡率に影響している可能性が考えられます。
死亡数に影響を与える要因と今後の課題
高齢化の地域差
日本全体で進行する高齢化は、死亡数増加の主要因となっています。特に75歳以上の後期高齢者の増加に伴い、死亡数は今後も増加傾向が続くと予測されています。
偏差値が高い地方県(ランキング上位の県)では、若年層の流出と高齢者の残留により高齢化が加速しています。例えば鳥取県(1位、偏差値58.7)や島根県(2位、偏差値57.9)では、人口減少と高齢化が同時に進行しており、人口あたりの死亡率が高くなっています。
人口動態の変化
人口減少社会において、死亡数の地域差は今後さらに拡大する可能性があります。特に地方の過疎地域では、人口減少と高齢化の「負の連鎖」により、医療・介護サービスの維持が困難になることが懸念されています。
一方、ランキング下位の大都市圏でも高齢化は進行しており、今後は東京都(47位、139,264人)や大阪府(46位、106,277人)などでも死亡数の増加が予想されます。
地域医療体制の強化と予防医療の推進
地域包括ケアシステムの構築
高齢者が住み慣れた地域で最期まで暮らせるよう、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が全国で進められています。
特に死亡数が少なく偏差値が高い地方県(鳥取県、島根県、福井県など上位県)では、限られた医療資源を効率的に活用するための地域連携が重要となっています。
予防医療の重要性
死亡数の増加を抑制するためには、生活習慣病の予防や早期発見・早期治療が重要です。特に死亡数が多いランキング下位の大都市圏(東京都、大阪府、神奈川県など)では、健康診断の受診率向上や生活習慣の改善に向けた取り組みが進められています。
また、地域の特性に合わせた健康施策の展開も重要です。例えば、高齢化率の高い地方では、フレイル予防や認知症対策などが優先課題となっています。
まとめ
2022年度の都道府県別死亡数データは、日本の人口動態や地域の医療・福祉体制を考える上で重要な指標となっています。死亡数の少なさを示すランキングでは地方の小規模県が上位を占めていますが、単なる死亡数の多寡だけでなく、偏差値や地域特性を踏まえた分析が必要です。
ランキング上位の地方の小規模県では死亡数は少ないものの偏差値は高く、下位の大都市圏では人口集中により死亡数は多いものの偏差値は低いという特徴が見られます。これは人口構成や高齢化率、医療アクセスなど、様々な要因が複合的に影響した結果と考えられます。
今後の超高齢社会に向けて、死亡数の地域差を踏まえた医療・介護体制の構築が求められています。