2022年度の都道府県別糖尿病による死亡者数(人口10万人当たり)ランキングでは、東北地方の県が上位を占め、中部・関東地方が下位となっています。地域間で大きな格差があり、生活習慣、医療アクセス、産業構造の違いが主な要因となっています。この指標は地域の生活習慣病対策の成果を測る重要な健康指標です。
概要
糖尿病による死亡者数(人口10万人当たり)は、各都道府県の生活習慣病対策や健康増進の取り組み効果を示す重要な指標です。
この指標が重要な理由は3つあります。まず健康格差の実態把握により、地域間の健康水準の違いを明確化できます。次に予防医療の効果測定として、各自治体の糖尿病対策の成果を客観的に評価できます。最後に医療政策の立案基礎として、重点的に支援すべき地域の特定に活用できます。
2022年度のデータでは、東北地方の高さと中部・関東地方の低さが際立っています。地域間の格差は生活習慣、医療アクセス、産業構造の違いによって生じています。
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上位県と下位県の比較
上位県(糖尿病による死亡者数が多い県)の特徴
青森県
青森県は全国最多となりました。同県は高血圧や脳血管疾患による死亡率も全国上位に位置しています。塩分摂取量の多い食生活や運動不足が要因として指摘されています。県では減塩推進や生活習慣改善運動を展開中です。
秋田県
秋田県は2位となりました。高齢化率が全国トップクラスで、糖尿病合併症のリスクが高い状況です。県民の健康意識向上と早期発見・治療体制の充実が課題です。県民総ぐるみの健康づくり運動で包括的な生活習慣病対策を推進しています。
福島県
福島県は3位です。東日本大震災後の生活環境変化やストレスが健康状態に影響している可能性があります。復興支援と併せた健康支援が重要です。県では健民カード事業で県民の健康づくりを支援しています。
徳島県
徳島県は4位タイです。四国地方では糖尿病死亡率が高い傾向にあります。うどん文化による炭水化物過多や車社会による運動不足が指摘されています。健康づくり憲章に基づく総合的な健康増進策を展開中です。
香川県
香川県は徳島県と同率4位です。うどん県として知られ、炭水化物摂取量が多い県民性があります。糖尿病有病率も全国上位に位置しています。県では糖尿病ワースト脱出作戦で積極的な改善に取り組んでいます。
下位県(糖尿病による死亡者数が少ない県)の特徴
愛知県
愛知県は全国最少です。製造業が盛んで勤労者の健康管理意識が高いことが要因の一つです。企業の健康経営推進も効果を上げています。県では健康プランで予防医療を重視した取り組みを継続しています。
神奈川県
神奈川県は46位です。都市部の医療アクセスの良さや健康意識の高い住民が多いことが特徴です。予防医療や早期治療体制が充実しています。健康プランで生活習慣病の総合的な予防対策を推進中です。
東京都
東京都は44位タイです。医療機関の集積度が高く、専門的な糖尿病治療を受けやすい環境にあります。健康意識の高い住民層も多く見られます。都では健康推進プランで予防重視の政策を展開しています。
山形県
山形県は東京都と同率44位です。東北地方では最も良好な数値を示しています。県民の健康づくり意識向上の成果が現れています。健康づくりステーション事業で地域密着型の支援を実施中です。
長崎県
長崎県は43位です。九州地方では比較的良好な水準を維持しています。離島医療の充実や県民の健康意識向上が寄与しています。健やかプランで島嶼部を含む包括的な健康支援を展開中です。
地域別の特徴分析
関東地方
神奈川県、東京都など大都市圏で良好な数値を示しています。医療アクセスの良さと健康意識の高さが特徴的です。群馬県など内陸部では課題も見られます。地域内での取り組み格差が健康格差に反映されています。
関西地方
全体的に全国平均前後の数値が多く、地域内格差は比較的小さい傾向です。滋賀県が最も良好で、和歌山県が最も高くなっています。都市部と山間部での医療アクセス格差が影響している可能性があります。
中部地方
愛知県が全国最少値を記録し、長野県も良好です。製造業中心の産業構造と企業の健康経営推進が効果を発揮しています。新潟県など日本海側では課題も残ります。
九州・沖縄地方
地域内でのばらつきが大きく、大分県が高い一方、長崎県は良好です。離島部での医療体制整備状況が健康指標に影響している可能性があります。沖縄県は中位に位置しています。
中国・四国地方
徳島県、香川県が全国上位に位置しています。うどん文化圏での炭水化物過多摂取が指摘されています。広島県、岡山県など中国地方は比較的良好です。
東北・北海道地方
東北6県中4県が全国平均を上回っています。青森県、秋田県と突出して高い数値です。高齢化の進行と生活習慣の課題が複合的に影響しています。一方で山形県は地域内格差も大きい状況です。
社会的・経済的影響
地域間格差の主な要因として、生活習慣、医療アクセス、産業構造が挙げられます。生活習慣では、食塩摂取量、運動習慣、喫煙率の地域差が影響します。医療アクセスでは、専門医療機関への距離と搬送時間が影響します。産業構造では、製造業の集積度、企業の健康経営推進が影響します。
社会的影響として以下が挙げられます。医療費負担として、糖尿病治療費の地域格差拡大があります。労働力として、糖尿病による労働損失があります。地域活力として、働き盛り世代の健康問題が経済活動に直接的な打撃を与えています。
対策と今後の展望
効果的な取り組みとして以下が注目されています。予防対策の強化として、減塩運動の地域展開、定期健診受診率向上、生活習慣病予防教育があります。医療体制整備として、遠隔医療システム導入、救急搬送ネットワーク強化、かかりつけ医制度推進があります。
成功事例として愛知県の企業と連携した健康経営推進があります。製造業を中心とした定期健診の徹底と生活習慣改善支援が効果を上げています。
香川県の糖尿病ワースト脱出作戦では、県民参加型のキャンペーンで意識改革を推進中です。うどん店でのヘルシーメニュー導入など地域特性を活かした取り組みが注目されています。
今後の重要課題として、AIを活用した健診データ分析による高リスク者の早期発見システム構築が期待されています。
統計データの基本情報と分析
指標 | 値人 |
---|---|
平均値 | 14.4 |
中央値 | 14.3 |
最大値 | 22.3(青森県) |
最小値 | 8.3(愛知県) |
標準偏差 | 2.8 |
データ数 | 47件 |
統計分析結果から以下の特徴が明らかです。分布の特徴として、平均値と中央値がほぼ一致しており、比較的正規分布に近い分布形状を示しています。これは極端な外れ値の影響が限定的であることを意味します。
標準偏差は中程度で、全国平均からのばらつきは中程度です。上位県は統計的に顕著な高値を示しています。
第1四分位から第3四分位の範囲に半数の都道府県が集中しています。この範囲外の都道府県については、特に重点的な対策が必要と考えられます。
最小値と最大値の差は大きく、人口規模を考慮すると大きな地域格差が存在します。
この分析により、地域医療政策の優先順位設定と資源配分の指針が明確になります。
まとめ
2022年度の糖尿病死亡率分析から以下が明らかになりました。地域格差として、最大の格差で東北地方の深刻さが顕著です。医療アクセスとして、都市部と地方の医療体制格差が死亡率に直結しています。生活習慣として、食文化と運動習慣の地域差が大きく影響しています。産業構造として、製造業の集積度と企業の健康経営推進が影響しています。予防重視として、治療より予防の重要性が数値で実証されています。連携強化として、地域医療ネットワークの充実が効果的です。
今後は各自治体が成功事例を参考に、地域特性に応じた総合的な糖尿病対策を推進することが重要です。継続的なモニタリングによる効果検証と政策改善により、全国的な健康格差縮小を目指すべきです。
順位↓ | 都道府県 | 値 (人) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 青森県 | 22.3 | 78.2 | +28.9% |
2 | 秋田県 | 19.8 | 69.3 | +4.8% |
3 | 福島県 | 18.8 | 65.7 | +31.5% |
4 | 徳島県 | 18.6 | 65.0 | +30.1% |
5 | 香川県 | 18.6 | 65.0 | +7.5% |
6 | 大分県 | 17.9 | 62.5 | +30.7% |
7 | 岩手県 | 17.6 | 61.4 | +16.6% |
8 | 愛媛県 | 17.0 | 59.3 | +10.4% |
9 | 鳥取県 | 16.5 | 57.5 | +21.3% |
10 | 宮崎県 | 16.5 | 57.5 | - |
11 | 北海道 | 15.9 | 55.3 | +1.3% |
12 | 栃木県 | 15.8 | 55.0 | +6.8% |
13 | 群馬県 | 15.8 | 55.0 | +21.5% |
14 | 高知県 | 15.8 | 55.0 | +39.8% |
15 | 茨城県 | 15.6 | 54.2 | +15.6% |
16 | 千葉県 | 15.4 | 53.5 | +24.2% |
17 | 山梨県 | 15.4 | 53.5 | +4.0% |
18 | 長野県 | 15.2 | 52.8 | +13.4% |
19 | 沖縄県 | 15.1 | 52.5 | +42.5% |
20 | 福井県 | 15.0 | 52.1 | +2.0% |
21 | 富山県 | 14.8 | 51.4 | +7.3% |
22 | 新潟県 | 14.7 | 51.0 | -2.0% |
23 | 奈良県 | 14.6 | 50.7 | +17.7% |
24 | 鹿児島県 | 14.3 | 49.6 | +8.3% |
25 | 石川県 | 14.2 | 49.2 | +10.9% |
26 | 広島県 | 14.1 | 48.9 | +7.6% |
27 | 山口県 | 14.1 | 48.9 | -0.7% |
28 | 福岡県 | 13.9 | 48.2 | +16.8% |
29 | 三重県 | 13.6 | 47.1 | +3.8% |
30 | 静岡県 | 13.4 | 46.4 | +12.6% |
31 | 島根県 | 13.3 | 46.0 | -9.5% |
32 | 和歌山県 | 13.2 | 45.7 | +5.6% |
33 | 熊本県 | 13.1 | 45.3 | +26.0% |
34 | 大阪府 | 12.8 | 44.2 | +12.3% |
35 | 岐阜県 | 12.6 | 43.5 | +11.5% |
36 | 兵庫県 | 12.6 | 43.5 | +8.6% |
37 | 滋賀県 | 12.4 | 42.8 | +14.8% |
38 | 佐賀県 | 12.1 | 41.7 | +12.0% |
39 | 岡山県 | 12.0 | 41.4 | +15.4% |
40 | 京都府 | 11.9 | 41.0 | +7.2% |
41 | 埼玉県 | 11.6 | 39.9 | +13.7% |
42 | 宮城県 | 10.9 | 37.4 | +0.9% |
43 | 長崎県 | 10.5 | 36.0 | -18.6% |
44 | 山形県 | 10.4 | 35.6 | +10.6% |
45 | 東京都 | 10.4 | 35.6 | +11.8% |
46 | 神奈川県 | 9.1 | 31.0 | +4.6% |
47 | 愛知県 | 8.3 | 28.1 | +9.2% |