都道府県別小学校数ランキング(2023年度)

概要

2023年度の都道府県別小学校数を比較すると、東京都が全国1位で1,323校、大阪府が2位で983校、愛知県が3位で967校となっています。小学校数は人口規模や地域特性によって大きく異なり、都市部では児童数の多い大規模校が多く、地方では小規模校が点在する傾向があります。

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上位5県と下位5県の比較

上位5県の特徴

  1. 東京都(1,323校、偏差値80.0): 日本最大の人口を抱える都市圏であり、小学校数も全国で最も多くなっています。都心部では大規模校が多い一方、島嶼部では小規模校も存在します。23区内では児童数の増加に伴い、新設校や校舎の増築も進められています。
  2. 大阪府(983校、偏差値72.5): 関西の中心都市として人口密度が高く、多くの小学校が設置されています。都市部の人口集中地域では大規模校が多い傾向にあります。近年は都心回帰による児童数の増加地域と、郊外での減少地域の二極化が進んでいます。
  3. 愛知県(967校、偏差値72.0): 名古屋市を中心とした都市圏に多くの小学校が集中しており、製造業が盛んな地域として人口も多く、学校数も多くなっています。トヨタ自動車関連企業の集積地域では、従業員の子どもたちのための学校整備も充実しています。
  4. 北海道(950校、偏差値70.2): 広大な面積を持ち、点在する集落に小学校が設置されているため、1校あたりの児童数は少ないものの、学校数としては多くなっています。過疎地域では統廃合が進む一方、広域な通学区域のため小規模校の維持も課題となっています。
  5. 神奈川県(881校、偏差値68.0): 横浜市や川崎市など人口密集地域を抱え、首都圏のベッドタウンとして多くの小学校が設置されています。新興住宅地では児童数の増加に伴い新設校も見られる一方、古くからの住宅地では児童数減少による統廃合も進んでいます。

下位5県の特徴

  1. 鳥取県(114校、偏差値40.0): 人口が最も少ない県であり、小学校数も全国で最も少なくなっています。過疎化の進行により統廃合も進んでいます。小規模校が多く、複式学級(異なる学年を同時に指導する学級)を導入している学校も少なくありません。
  2. 香川県(160校、偏差値41.2): 面積が小さく人口も比較的少ないため、小学校数も少なくなっています。県内でも高松市に学校が集中し、島嶼部や山間部では小規模校の統廃合が進んでいます。
  3. 佐賀県(163校、偏差値41.3): 九州の中でも人口規模が小さく、小学校数も少ない状況です。農村部では過疎化による児童数減少が著しく、学校の統廃合が進んでいます。
  4. 秋田県(174校、偏差値41.5): 人口減少と少子化が進行しており、学校の統廃合が進んでいることから小学校数が少なくなっています。一方で、学力水準は全国トップクラスを維持しており、少人数教育の利点を活かした教育が行われています。
  5. 山梨県(176校、偏差値41.6): 山間部が多く、人口も比較的少ないため、小学校数も少なくなっています。甲府盆地に人口が集中し、山間部の学校は小規模化が進んでいます。

地域別の特徴分析

関東地方

東京都(1,323校、偏差値80.0)が突出して多く、神奈川県(881校、偏差値68.0)、埼玉県(821校、偏差値65.5)、千葉県(811校、偏差値65.0)と続きます。首都圏では人口密度が高く、多くの小学校が設置されています。特に東京都は23区内の人口集中地域に多くの学校が集中しています。一方、茨城県(491校、偏差値53.2)や栃木県(366校、偏差値48.6)、群馬県(334校、偏差値47.5)は相対的に小学校数が少なく、都市部と農村部の格差も見られます。

関西地方

大阪府(983校、偏差値72.5)が全国2位と突出しており、兵庫県(795校、偏差値64.5)も8位と小学校数が多くなっています。特に大阪市内や阪神間の人口密集地域に多くの学校が設置されています。一方、奈良県(223校、偏差値43.3)や和歌山県(249校、偏差値44.3)、滋賀県(232校、偏差値43.6)では比較的少なくなっています。関西地方内でも大阪府と他府県の間には大きな格差があります。

中部・東海地方

愛知県(967校、偏差値72.0)が全国3位と突出しており、静岡県(513校、偏差値54.0)も10位と小学校数が多くなっています。名古屋市を中心とした都市圏や静岡県の沿岸部に多くの学校が集中しています。一方、富山県(192校、偏差値42.0)や福井県(188校、偏差値41.9)などの北陸地方では比較的少なくなっています。山梨県(176校、偏差値41.6)も山間部が多いことから小学校数が少なくなっています。

九州・沖縄地方

福岡県(734校、偏差値62.5)が全国9位と小学校数が多くなっています。福岡市や北九州市などの都市部に多くの学校が集中しています。鹿児島県(491校、偏差値53.2)も離島を多く抱えることから学校数が多くなっています。一方、佐賀県(163校、偏差値41.3)や大分県(260校、偏差値44.7)、宮崎県(232校、偏差値43.6)などでは比較的少なくなっています。沖縄県(266校、偏差値44.9)は人口規模の割に小学校数が多く、島嶼県としての特性が表れています。

東北・北海道地方

北海道(950校、偏差値70.2)が全国4位と小学校数が多くなっています。広大な面積に対して点在する集落に小学校が設置されているため、学校数が多くなっています。東北地方では宮城県(361校、偏差値48.4)が最も多く、仙台市を中心とした都市圏に学校が集中しています。一方、秋田県(174校、偏差値41.5)や山形県(223校、偏差値43.3)などでは人口減少と少子化の影響で小学校数が少なくなっています。

小学校数の格差と課題

小学校数の地域間格差は、人口分布や地理的条件、少子化の進行度合いなどによって生じています。東京都と鳥取県では約12倍もの差があり、この格差は人口規模の差(約14倍)をほぼ反映しています。

特に過疎地域では児童数の減少により学校の統廃合が進み、通学距離の長距離化や地域コミュニティの核としての学校の喪失などの課題が生じています。山間部や離島では、小規模校でありながらも地域唯一の教育機関として存続の必要性が高い学校も多く、効率性と地域維持のバランスが課題となっています。

一方、都市部では児童数の増加による教室不足や大規模校化による教育環境の課題も存在します。特に東京都や大阪府などの大都市では、学校の過密化や校庭面積の不足などの問題も生じています。また、地域によって学校の施設・設備や教育内容にも格差が生じている場合があります。

統計データの基本情報

この統計データは2023年度の都道府県別小学校数を示しています。小学校数とは、各都道府県に設置されている公立、私立、国立の小学校の総数を指します。

データの分析から、以下のような特徴が見られます:

  1. 分布の歪み: 小学校数の分布は正の歪みを示しており、平均値(約450校)が中央値(約350校)を上回っています。これは東京都や大阪府などの突出した地域が平均値を押し上げているためです。
  2. 明確な外れ値の存在: 東京都(1,323校)は明らかな外れ値であり、第2位の大阪府(983校)との間にも差があります。
  3. 四分位範囲: 上位25%の都道府県(第3四分位)は約600校以上、下位25%(第1四分位)は約200校以下となっており、中間50%の範囲も比較的広く、地域間格差の大きさを示しています。
  4. 標準偏差の大きさ: 標準偏差は約250校と大きく、平均値の約55%に相当します。これは都道府県間のばらつきが大きいことを示しています。
  5. 人口との相関: 小学校数は人口規模と高い相関関係にありますが、北海道のように面積が広い地域では人口当たりの学校数が多くなる傾向があります。

まとめ

小学校数は地域の人口規模や地理的条件、教育行政の方針などを反映する重要な指標です。東京都や大阪府などの大都市圏で多くの小学校が集中する一方、鳥取県や香川県などの人口規模の小さい県では小学校数も少ない状況にあります。

この地域間格差は、人口分布や少子化の進行度合い、地理的条件など様々な要因によって形成されてきました。特に近年では少子化の影響により、多くの地域で小学校の統廃合が進んでいます。

今後は、人口減少社会の中で小学校の適正配置がさらに重要な課題となります。単に効率性だけを追求するのではなく、地域コミュニティの核としての学校の役割や、子どもたちの教育環境の質を考慮した統廃合の検討が必要です。

また、ICT技術の発展により、小規模校でも質の高い教育を提供できる可能性が広がっています。遠隔教育や学校間連携などの新たな取り組みにより、地域による教育格差の是正も期待されています。

小学校は義務教育の基盤であり、地域コミュニティの核としても重要な役割を果たしています。人口減少社会においても、すべての子どもたちが質の高い教育を受けられる環境を整備することが求められています。

出典