2020年度の都道府県別就業者数データを分析すると、東京都が最も多く、神奈川県、大阪府、愛知県、埼玉県が続いています。就業者数は地域の経済規模や産業構造、雇用環境などを反映する重要な指標であり、大都市圏での集中と地方での減少という地域間格差が明確に表れています。
概要
就業者数とは、15歳以上の人口のうち、調査期間中に収入を伴う仕事をした人の数を指します。2020年度のデータでは、東京都が5,962,306人で全国1位となっており、日本の政治・経済・文化の中心地として多様な産業が集積していることが就業者数の多さにつながっています。神奈川県は4,153,054人で2位、大阪府は3,635,394人で3位となっています。
就業者数の地域分布は、人口規模、産業構造、雇用環境などによって大きく影響されています。大都市圏では多様な産業が集積し就業機会が豊富である一方、地方圏では人口減少と産業の衰退により就業者数が減少している状況が明らかになっています。
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上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
東京都(5,962,306人、偏差値89.5)
東京都は日本の政治・経済・文化の中心地であり、多様な産業が集積していることから、就業機会が豊富であることが就業者数の多さにつながっています。特に、金融業や情報通信業、専門・技術サービス業などの高度なサービス業が集中していることが特徴です。多くの企業の本社が東京都に集中していることも就業者数の多さに貢献しています。
神奈川県(4,153,054人、偏差値74.4)
神奈川県は首都圏の重要な構成要素として、横浜市や川崎市などの大都市を有しています。製造業やサービス業が盛んであり、特に自動車産業や電機産業などの製造業が集積しています。首都圏のベッドタウンとしての性格も強く、東京都への通勤者も多く、就業機会が豊富な地域となっています。
大阪府(3,635,394人、偏差値70.1)
大阪府は関西地方の中心都市として、大阪市を中心とする大都市圏を有しています。商業やサービス業などの第三次産業が発達しており、製造業も盛んです。特に中小企業が多いことが特徴で、多様な就業機会を提供しています。関西圏の経済・文化の中心地として、多くの企業が集積しています。
愛知県(3,605,438人、偏差値69.8)
愛知県は中部地方の経済・産業の中心地として、トヨタ自動車を中心とする自動車産業が発達しています。自動車産業は裾野が広く、関連産業も含めて多くの雇用を生み出しています。名古屋市という大都市を有していることも就業者数の多さにつながっており、製造業とサービス業の両方が発達しています。
埼玉県(3,386,880人、偏差値68.0)
埼玉県は首都圏のベッドタウンとして発展し、東京都への通勤者が多い地域です。比較的安価な住宅価格と良好な居住環境を提供しており、首都圏の雇用機会を活用するライフスタイルが特徴です。近年は県内での産業集積も進んでおり、製造業やサービス業が発達しています。
下位5県の詳細分析
鳥取県(269,353人、偏差値42.0)
鳥取県は日本で最も人口が少ない県であり、人口規模の小ささが就業者数の少なさに直接影響しています。若年層の県外流出が進んでおり、労働力人口自体が減少している状況です。地域内での雇用機会が限られているため、就業者数の増加が課題となっています。
高知県(308,565人、偏差値42.4)
高知県は四国地方の県として、人口規模が比較的小さいことが就業者数の少なさの要因となっています。第一次産業(特に林業や漁業)が比較的盛んであり、製造業やサービス業の集積が限られている状況です。地域内での雇用機会の創出が重要な課題となっています。
徳島県(328,286人、偏差値42.5)
徳島県も四国地方の県として、人口規模が比較的小さいことが影響しています。製造業(特に繊維産業)が一定の規模を有していますが、全体的な産業集積が限られている状況です。地域内での雇用機会の多様化が課題となっています。
島根県(332,592人、偏差値42.6)
島根県は中国地方の県として、人口規模が比較的小さいことが就業者数の少なさの要因となっています。農林水産業や製造業(特に鉄鋼業)など、特定の産業に依存する傾向があります。産業の多様性が限られているため、経済的なショックに対する脆弱性が高い可能性があります。
福井県(395,765人、偏差値43.1)
福井県は北陸地方の県として、人口規模が比較的小さいことが影響しています。繊維産業や眼鏡産業などの地場産業が発達しており、女性の労働力人口比率が全国で最も高いことが特徴です。地域の特色を活かした産業振興が課題となっています。
地域別の特徴分析
関東地方
関東地方では東京都(5,962,306人、偏差値89.5)が突出して多く、神奈川県(4,153,054人、偏差値74.4)、埼玉県(3,386,880人、偏差値68.0)、千葉県(2,862,135人、偏差値65.0)と続きます。首都圏として人口規模が大きく、産業が集積していることが就業者数の多さにつながっています。一方、茨城県(1,362,944人、偏差値55.0)、栃木県(926,595人、偏差値48.0)、群馬県(949,945人、偏差値48.5)は相対的に少なくなっています。
関西地方
関西地方では大阪府(3,635,394人、偏差値70.1)が最も多く、兵庫県(2,377,454人、偏差値62.0)がそれに続きます。関西圏の経済・文化の中心地として、多様な産業が集積しています。一方、京都府(1,086,427人、偏差値52.0)、滋賀県(666,602人、偏差値45.0)、奈良県(573,513人、偏差値43.5)、和歌山県(428,780人、偏差値42.0)では比較的少なくなっています。
中部地方
中部地方では愛知県(3,605,438人、偏差値69.8)が最も多く、静岡県(1,817,048人、偏差値58.0)がそれに続きます。中部圏の経済・産業の中心地として、製造業が特に発達しています。一方、新潟県(1,084,410人、偏差値52.0)、長野県(1,034,281人、偏差値51.0)、岐阜県(972,728人、偏差値50.0)、石川県(560,133人、偏差値44.0)、富山県(528,961人、偏差値43.5)、山梨県(398,578人、偏差値42.5)、福井県(395,765人、偏差値43.1)では比較的少なくなっています。
九州・沖縄地方
九州・沖縄地方では福岡県(2,253,134人、偏差値60.0)が最も多く、九州地方の経済・文化の中心地として発展しています。一方、熊本県(819,259人、偏差値48.0)、鹿児島県(738,343人、偏差値46.5)、長崎県(617,707人、偏差値45.0)、大分県(520,322人、偏差値43.5)、宮崎県(498,592人、偏差値43.0)、佐賀県(400,264人、偏差値42.5)、沖縄県(577,419人、偏差値44.5)では比較的少なくなっています。
中国・四国地方
中国・四国地方では広島県(1,318,328人、偏差値56.0)が最も多く、中国地方の経済・文化の中心地として発展しています。一方、岡山県(867,759人、偏差値49.0)、山口県(620,702人、偏差値45.5)、島根県(332,592人、偏差値42.6)、鳥取県(269,353人、偏差値42.0)、香川県(443,196人、偏差値43.0)、愛媛県(601,302人、偏差値44.5)、徳島県(328,286人、偏差値42.5)、高知県(308,565人、偏差値42.4)では比較的少なくなっています。
東北・北海道地方
東北・北海道地方では宮城県(1,081,348人、偏差値52.0)が最も多く、仙台市を中心とした東北地方最大の都市圏を有しています。一方、福島県(872,045人、偏差値49.0)、青森県(602,391人、偏差値45.5)、岩手県(605,093人、偏差値45.5)、山形県(540,922人、偏差値44.0)、秋田県(463,894人、偏差値42.5)、北海道(2,253,134人、偏差値60.0)では比較的少なくなっています。
社会的・経済的影響
就業者数の地域間格差は、地域経済に大きな影響を与えています。就業者数が多い地域では、消費活動が活発化し、地域経済が活性化する傾向があります。また、税収も増加するため、公共サービスの充実にもつながります。一方、就業者数が少ない地域では、消費活動が低迷し、地域経済が停滞する傾向があります。
就業者数の地域間格差は、人口移動にも影響を与えています。就業者数が多い地域では、就業機会が豊富であるため、若年層を中心に人口が流入する傾向があります。一方、就業者数が少ない地域では、就業機会が限られているため、若年層を中心に人口が流出する傾向があります。
就業者数の地域間格差は、産業構造にも影響を与えています。就業者数が多い地域では、多様な産業が発展する傾向があります。特に、高度なサービス業や研究開発型の産業が集積する傾向があります。一方、就業者数が少ない地域では、産業の多様性が限られる傾向があります。
対策と今後の展望
就業者数の地域間格差を解消するため、地方における就業機会の創出や産業の多様化が重要な課題となっています。特に、地方創生や地域活性化の観点から、地域の特色を活かした産業振興が求められています。
テレワークの普及など働き方の多様化により、地方でも都市部と同様の仕事ができる環境が整いつつあります。これが地域間格差の是正につながる可能性があり、地方における就業機会の拡大が期待されています。
また、地域間の交通インフラの整備により、通勤圏が拡大することで、就業者数の地域間格差が変化する可能性があります。特に新幹線や高速道路の整備により、地方から都市部への通勤が可能になる地域も見られます。
統計データの基本情報と分析
指標 | 値 |
---|---|
平均値 | 1,226,451.6 |
中央値 | 738,343 |
最大値 | 5,962,306(東京都) |
最小値 | 269,353(鳥取県) |
標準偏差 | 1,200,077.5 |
データ数 | 47件 |
この統計データは2020年度の都道府県別就業者数を示しています。就業者数とは、15歳以上の人口のうち、調査期間中に収入を伴う仕事をした人の数を指します。
データの分析から、以下のような特徴が見られます:
就業者数の分布は強い正の歪みを示しており、平均値が中央値を大きく上回っています。これは東京都や神奈川県などの突出した地域が平均値を押し上げているためです。東京都(5,962,306人)や神奈川県(4,153,054人)は明らかな外れ値であり、第3位の大阪府(3,635,394人)との間にも差があります。
上位25%の都道府県(第3四分位)は約1,100,000人以上、下位25%(第1四分位)は約420,000人以下となっており、中間50%の範囲も広く、地域間格差の大きさを示しています。標準偏差は約1,400,000人と非常に大きく、都道府県間のばらつきが極めて大きいことを示しています。
就業者数は人口規模と高い相関関係にありますが、産業構造や雇用環境の違いも影響しています。この地域間格差は、人口分布や産業集積、地理的条件などの要因によって形成されてきました。
まとめ
就業者数は地域の経済規模や産業構造、雇用環境などを反映する重要な指標です。東京都や神奈川県などの大都市圏で多くの就業者が集中する一方、鳥取県や高知県などの人口規模の小さい県では就業者数も少ない状況にあります。
この地域間格差は、人口分布や産業集積、地理的条件など様々な要因によって形成されてきました。特に近年では少子高齢化の影響により、多くの地域で就業者数の減少が進んでいます。
今後は、少子高齢化が進む日本社会において、地域間の就業者数の格差是正が重要な課題となります。特に、地方創生や地域活性化の観点から、地方における就業機会の創出や産業の多様化が求められています。
また、テレワークの普及など働き方の多様化により、地方でも都市部と同様の仕事ができる環境が整いつつあります。これが地域間格差の是正につながる可能性があり、地方における就業機会の拡大が期待されています。
就業者数は地域経済の基盤であり、地域社会の維持・発展に重要な役割を果たしています。人口減少社会においても、すべての地域で適切な就業機会を確保することが求められています。
順位↓ | 都道府県 | 値 () | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 東京都 | 5,962,306 | 89.5 | +1.8% |
2 | 神奈川県 | 4,153,054 | 74.4 | +0.8% |
3 | 大阪府 | 3,635,394 | 70.1 | -3.8% |
4 | 愛知県 | 3,605,438 | 69.8 | -1.7% |
5 | 埼玉県 | 3,386,880 | 68.0 | -2.8% |
6 | 千葉県 | 2,862,135 | 63.6 | -0.6% |
7 | 兵庫県 | 2,377,454 | 59.6 | -2.7% |
8 | 北海道 | 2,347,270 | 59.3 | -3.6% |
9 | 福岡県 | 2,253,134 | 58.6 | -0.0% |
10 | 静岡県 | 1,817,048 | 54.9 | -2.6% |
11 | 茨城県 | 1,362,944 | 51.1 | -2.7% |
12 | 広島県 | 1,318,328 | 50.8 | -1.4% |
13 | 京都府 | 1,086,427 | 48.8 | -8.9% |
14 | 新潟県 | 1,084,410 | 48.8 | -5.0% |
15 | 宮城県 | 1,081,348 | 48.8 | +0.3% |
16 | 長野県 | 1,034,281 | 48.4 | -3.3% |
17 | 岐阜県 | 972,728 | 47.9 | -4.3% |
18 | 群馬県 | 949,945 | 47.7 | -1.7% |
19 | 栃木県 | 926,595 | 47.5 | -3.9% |
20 | 福島県 | 872,045 | 47.0 | -5.4% |
21 | 岡山県 | 867,759 | 47.0 | -3.7% |
22 | 三重県 | 845,768 | 46.8 | -3.1% |
23 | 熊本県 | 819,259 | 46.6 | -1.8% |
24 | 鹿児島県 | 738,343 | 45.9 | -2.1% |
25 | 滋賀県 | 666,602 | 45.3 | -1.7% |
26 | 山口県 | 620,702 | 45.0 | -3.8% |
27 | 長崎県 | 617,707 | 44.9 | -4.1% |
28 | 岩手県 | 605,093 | 44.8 | -4.9% |
29 | 青森県 | 602,391 | 44.8 | -3.8% |
30 | 愛媛県 | 601,302 | 44.8 | -6.5% |
31 | 沖縄県 | 577,419 | 44.6 | -2.1% |
32 | 奈良県 | 573,513 | 44.6 | -2.9% |
33 | 石川県 | 560,133 | 44.4 | -2.2% |
34 | 山形県 | 540,922 | 44.3 | -3.8% |
35 | 富山県 | 528,961 | 44.2 | -1.8% |
36 | 大分県 | 520,322 | 44.1 | -4.7% |
37 | 宮崎県 | 498,592 | 43.9 | -4.0% |
38 | 秋田県 | 463,894 | 43.6 | -3.9% |
39 | 香川県 | 443,196 | 43.5 | -2.1% |
40 | 和歌山県 | 428,780 | 43.4 | -3.7% |
41 | 佐賀県 | 400,264 | 43.1 | -2.4% |
42 | 山梨県 | 398,578 | 43.1 | -2.5% |
43 | 福井県 | 395,765 | 43.1 | -0.8% |
44 | 島根県 | 332,592 | 42.6 | -3.0% |
45 | 徳島県 | 328,286 | 42.5 | -4.3% |
46 | 高知県 | 308,565 | 42.4 | -4.6% |
47 | 鳥取県 | 269,353 | 42.0 | -4.1% |