2020年度の都道府県別第1次産業就業者比率ランキングでは、青森県が11.1%で首位となり、続いて高知県が10.2%で2位となりました。最下位の東京都は0.4%となり、最上位と最下位の格差は約27.8倍に達しています。第1次産業就業者比率は、地域の産業構造や経済基盤を反映する重要な指標であり、農業や漁業が盛んな地域では比率が高くなる傾向があります。
概要
第1次産業就業者比率とは、全就業者数に占める農業、林業、漁業などの第1次産業に従事している人の割合を指します。この指標は、地域の産業構造や経済基盤を反映する重要な指標であり、特に農業や漁業が盛んな地域では比率が高くなる傾向があります。
2020年度の都道府県別第1次産業就業者比率ランキングでは、青森県や高知県などの東北・四国地方や、宮崎県や熊本県などの九州地方で第1次産業就業者比率が高く、東京都や大阪府などの大都市圏で低くなっています。
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上位5県の詳細分析
青森県
青森県は11.1%(偏差値71.2)で首位を維持しており、農業と漁業が盛んな地域です。りんごやにんにくなどの特産品の生産が有名で、三方を海に囲まれた地理的特性から漁業も発達しています。第1次産業が地域経済の重要な基盤となっており、地域の産業構造を反映しています。
高知県
高知県は10.2%(偏差値68.0)で2位に位置し、温暖な気候を活かした施設園芸が盛んです。ナスやピーマンなどの野菜の生産が盛んであり、四万十川などの豊かな水資源を活かした漁業も発達しています。四国山地に囲まれた地理的特性により、大規模な製造業の立地が限られていることも影響しています。
宮崎県
宮崎県は9.9%(偏差値67.0)で3位となり、温暖な気候を活かした施設園芸や畜産業が盛んです。宮崎牛や宮崎マンゴーなどのブランド農畜産物の生産が盛んであり、農業が地域経済の重要な基盤となっています。他の産業の発達が相対的に遅れていることも要因として考えられます。
岩手県
岩手県は9.6%(偏差値65.9)で4位に位置し、広大な森林面積を持ち林業も地域の重要な産業となっています。農業と林業の両方が発達しており、第1次産業が地域経済において重要な役割を果たしています。地理的特性を活かした産業構造が特徴です。
熊本県
熊本県は8.8%(偏差値63.1)で5位となり、温暖な気候や肥沃な土壌を活かした農業が盛んです。九州地方の食料供給基地としての役割を担っており、多様な農畜産物の生産が行われています。第1次産業が地域経済において重要な役割を果たしています。
下位5県の詳細分析
東京都
東京都は0.4%(偏差値33.4)で最下位となり、日本最大の都市圏として第3次産業を中心とした産業構造となっています。都市化が進み、農地や漁場が限られていることから、第1次産業の就業者比率が極めて低くなっています。金融業やサービス業などの第3次産業が高度に発達しています。
大阪府
大阪府は0.5%(偏差値33.7)で46位に位置し、高度に都市化が進み、農地や漁場が限られています。製造業やサービス業などの第2次・第3次産業が発達しており、産業構造が第1次産業から離れています。関西経済圏の中心として都市機能が集積しています。
神奈川県
神奈川県は0.8%(偏差値34.8)で45位となり、首都圏という立地条件により都市化が進んでいます。人口規模の大きさと経済活動の活発さが特徴で、東京圏のベッドタウンとしての発展も影響しています。第1次産業よりも第2次産業や第3次産業が中心となっています。
埼玉県
埼玉県は1.5%(偏差値37.3)で44位に位置し、首都圏の一角として都市化が進んでいます。東京圏のベッドタウンとしての発展により、第1次産業の就業者比率が低くなっています。都市近郊型農業は一部残っているものの、全体的には第2次・第3次産業が中心です。
兵庫県
兵庫県は1.8%(偏差値38.3)で43位となり、都市化が進んだ地域として第1次産業の比率が低くなっています。製造業やサービス業などの第2次・第3次産業が発達しており、産業構造が多様化しています。都市部と農村部の格差が顕著に現れています。
地域別の特徴分析
関東地方
関東地方では、栃木県(21位、5.2%)と茨城県(22位、5.1%)の第1次産業就業者比率が比較的高く、東京都(47位、0.4%)、神奈川県(45位、0.8%)、埼玉県(44位、1.5%)の第1次産業就業者比率が特に低くなっています。関東地方全体として第1次産業就業者比率が低い理由としては、東京都を中心とした都市化の進展や、製造業やサービス業などの第2次・第3次産業の発達が挙げられます。特に東京都や神奈川県などの大都市圏では、都市化が進み、農地や漁場が限られていることから、第1次産業の就業者比率が低くなっています。
中部地方
中部地方では、長野県(8位、8.4%)と和歌山県(10位、8.1%)の第1次産業就業者比率が比較的高く、愛知県(42位、1.9%)の第1次産業就業者比率が特に低くなっています。中部地方全体として第1次産業就業者比率にばらつきがある理由としては、地理的特性や産業構造の違いが挙げられます。特に長野県では、果樹栽培や高原野菜の生産が盛んであり、農業が地域経済の重要な基盤となっています。一方、愛知県では自動車産業を中心とした製造業が発達しており、第2次産業の就業者比率が高くなっています。
近畿地方
近畿地方では、和歌山県(10位、8.1%)の第1次産業就業者比率が特に高く、大阪府(46位、0.5%)の第1次産業就業者比率が特に低くなっています。近畿地方全体として第1次産業就業者比率が低い理由としては、大阪府を中心とした都市化の進展や、製造業やサービス業などの第2次・第3次産業の発達が挙げられます。特に大阪府や京都府などの都市部では、農地や漁場が限られており、第1次産業の就業者比率が低くなる傾向があります。
中国・四国地方
中国・四国地方では、高知県(2位、10.2%)の第1次産業就業者比率が特に高く、広島県(35位、2.7%)の第1次産業就業者比率が比較的低くなっています。中国・四国地方全体として第1次産業就業者比率にばらつきがある理由としては、地理的特性や産業構造の違いが挙げられます。特に高知県では、温暖な気候を活かした施設園芸が盛んであり、ナスやピーマンなどの野菜の生産が盛んです。また、四万十川などの豊かな水資源を活かした漁業も発達しています。
九州・沖縄地方
九州・沖縄地方では、宮崎県(3位、9.9%)と熊本県(5位、8.8%)の第1次産業就業者比率が特に高く、福岡県(37位、2.4%)の第1次産業就業者比率が比較的低くなっています。九州・沖縄地方全体として第1次産業就業者比率が高い理由としては、温暖な気候や肥沃な土壌を活かした農業が盛んであることや、四方を海に囲まれた地理的特性から漁業も発達していることが挙げられます。特に、九州地方は日本の食料供給基地としての役割を担っており、多様な農畜産物の生産が行われています。
東北・北海道地方
東北・北海道地方では、青森県(1位、11.1%)と岩手県(4位、9.6%)の第1次産業就業者比率が特に高く、宮城県(26位、4.1%)の第1次産業就業者比率が比較的低くなっています。東北・北海道地方全体として第1次産業就業者比率が高い理由としては、広大な農地や豊かな森林資源、長い海岸線を持つ地理的特性が挙げられます。特に青森県では、りんごやにんにくなどの特産品を生産する農業が盛んであり、三方を海に囲まれた地理的特性から漁業も発達しています。
社会的・経済的影響
最上位の青森県(11.1%)と最下位の東京都(0.4%)の格差は約27.8倍に達し、地域間の第1次産業就業者比率の格差の深刻さを示しています。この格差は、都市化の進展や産業構造の違いを反映したものです。
第1次産業就業者比率が高い地域では、農林水産業が地域経済の重要な基盤となっており、関連産業の発達や雇用の創出にも貢献しています。一方、第1次産業就業者比率が低い地域では、第2次産業や第3次産業が中心となっており、産業構造の多様性が特徴となっています。
このような地域間格差は、食料自給率の低下や地域間格差の拡大などの課題を生み出しています。特に、大都市圏では災害時などの非常時における食料供給の脆弱性が指摘されています。
統計データの基本情報と分析
指標 | 値% |
---|---|
平均値 | 5.1 |
中央値 | 4.7 |
最大値 | 11.1(青森県) |
最小値 | 0.4(東京都) |
標準偏差 | 2.8 |
データ数 | 47件 |
平均値は約5.0%、中央値は約4.3%となり、平均値が中央値を上回っていることから、上位県(特に青森県)の突出した数値により分布が右に歪んでいることが分かります。
標準偏差は約2.9%となり、全国平均の約58%に相当するばらつきがあることを示しています。これは地域間格差の大きさを統計的に裏付けるものです。
四分位範囲を見ると、第1四分位(25%点)が約2.6%、第3四分位(75%点)が約7.7%となり、中位50%の都道府県でも5.1%ポイントの差があることが確認できます。
東京都(0.4%)と大阪府(0.5%)は下側の外れ値として機能しており、青森県(11.1%)や高知県(10.2%)などは上側の外れ値として機能しています。これらを除いて分析すると地域間格差はより均等に近づきますが、それでも上位県と下位県の格差は依然として大きく、構造的な地域格差の存在が明確になっています。
まとめ
2020年度の都道府県別第1次産業就業者比率ランキングでは、青森県が11.1%で1位、東京都が0.4%で47位となりました。上位には青森県、高知県、宮崎県などの農業や漁業が盛んな地域が多く、下位には東京都、大阪府、神奈川県などの大都市圏や都市化が進んだ地域が多く見られました。
第1次産業就業者比率の地域差は、地理的特性、産業構造、都市化の程度など様々な要素を反映しており、この差は地域経済、食料自給率、国土保全など様々な面に影響を与えています。特に、第1次産業就業者比率が高い地域では、農林水産業が地域経済の重要な基盤となっており、関連産業の発達や雇用の創出にも貢献しています。
統計分析からは、都道府県間の第1次産業就業者比率の格差が顕著であることがわかります。特に、青森県や高知県などの上位県と、東京都や大阪府などの下位県との間には大きな差があります。これは、地理的特性や産業構造の違いを反映していると考えられます。
第1次産業は、食料の生産だけでなく、国土の保全や環境の維持、伝統文化の継承など、多面的な機能を有しており、地域社会の持続可能性に大きく貢献しています。しかし、就業者の高齢化や担い手不足など、多くの課題も抱えています。これらの課題に対応するためには、第1次産業の生産性向上や付加価値の創出、若い世代の参入促進など、総合的な取り組みが求められています。
順位↓ | 都道府県 | 値 (%) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 青森県 | 11.1 | 71.2 | -7.5% |
2 | 高知県 | 10.2 | 68.0 | -10.5% |
3 | 宮崎県 | 9.9 | 67.0 | -8.3% |
4 | 岩手県 | 9.6 | 65.9 | -9.4% |
5 | 熊本県 | 8.8 | 63.1 | -8.3% |
6 | 秋田県 | 8.6 | 62.4 | -10.4% |
7 | 山形県 | 8.6 | 62.4 | -6.5% |
8 | 長野県 | 8.4 | 61.7 | -7.7% |
9 | 鹿児島県 | 8.3 | 61.3 | -10.8% |
10 | 和歌山県 | 8.1 | 60.6 | -8.0% |
11 | 鳥取県 | 7.7 | 59.2 | -12.5% |
12 | 徳島県 | 7.4 | 58.1 | -9.8% |
13 | 佐賀県 | 7.4 | 58.1 | -11.9% |
14 | 愛媛県 | 6.8 | 56.0 | -6.8% |
15 | 北海道 | 6.7 | 55.7 | -4.3% |
16 | 山梨県 | 6.6 | 55.3 | -8.3% |
17 | 長崎県 | 6.6 | 55.3 | -10.8% |
18 | 島根県 | 6.4 | 54.6 | -17.9% |
19 | 福島県 | 6.2 | 53.9 | -4.6% |
20 | 大分県 | 6.1 | 53.5 | -9.0% |
21 | 栃木県 | 5.2 | 50.4 | -5.5% |
22 | 茨城県 | 5.1 | 50.0 | -8.9% |
23 | 新潟県 | 5.1 | 50.0 | -12.1% |
24 | 香川県 | 4.7 | 48.6 | -11.3% |
25 | 群馬県 | 4.5 | 47.9 | -10.0% |
26 | 宮城県 | 4.1 | 46.5 | -6.8% |
27 | 岡山県 | 4.1 | 46.5 | -10.9% |
28 | 山口県 | 4.1 | 46.5 | -14.6% |
29 | 沖縄県 | 4.0 | 46.1 | -11.1% |
30 | 静岡県 | 3.5 | 44.3 | -7.9% |
31 | 福井県 | 3.2 | 43.3 | -13.5% |
32 | 三重県 | 3.1 | 42.9 | -13.9% |
33 | 富山県 | 2.9 | 42.2 | -12.1% |
34 | 岐阜県 | 2.8 | 41.9 | -9.7% |
35 | 広島県 | 2.7 | 41.5 | -12.9% |
36 | 石川県 | 2.6 | 41.2 | -13.3% |
37 | 千葉県 | 2.4 | 40.5 | -14.3% |
38 | 滋賀県 | 2.4 | 40.5 | -7.7% |
39 | 奈良県 | 2.4 | 40.5 | -7.7% |
40 | 福岡県 | 2.4 | 40.5 | -14.3% |
41 | 京都府 | 2.0 | 39.0 | -4.8% |
42 | 愛知県 | 1.9 | 38.7 | -9.5% |
43 | 兵庫県 | 1.8 | 38.3 | -10.0% |
44 | 埼玉県 | 1.5 | 37.3 | -6.3% |
45 | 神奈川県 | 0.8 | 34.8 | - |
46 | 大阪府 | 0.5 | 33.7 | - |
47 | 東京都 | 0.4 | 33.4 | - |