2021年度の都道府県別財政力指数ランキングでは、東京都が1.073で首位を維持し、続いて愛知県が0.885で2位となりました。最下位の島根県は0.254となり、最上位と最下位の格差は約4.2倍に達しています。財政力指数は1.0を基準として、それ以上であれば地方交付税に依存しない財政自立を意味し、それ以下であれば国からの財政支援が必要な状況を示します。大都市圏と地方部の財政力格差が鮮明に表れており、地域間の経済格差が財政基盤の違いとして顕著に現れています。
概要
財政力指数は、都道府県の財政力を客観的に評価する指標として、地方交付税の算定に使用されています。この指標は、各都道府県の標準財政収入額を標準財政需要額で除した値として算出され、1.0を基準として財政力の強さを表します。
2021年度の都道府県別財政力指数ランキングでは、大都市圏と地方部の格差が顕著に現れています。財政力指数の高い県は、企業の本社機能や製造業の集積、高い地価などにより豊富な税収基盤を有しています。一方、財政力指数の低い県では、人口減少や産業空洞化により税収基盤が脆弱化している状況が続いています。
ランキング表示
地図データを読み込み中...
上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
東京都(1.073、偏差値82.4)
東京都は1.073で圧倒的な財政力を示しており、これは企業本社の集積や高い地価、豊富な税収基盤によるものです。唯一財政力指数が1.0を超えており、地方交付税に依存しない財政自立を実現しています。首都圏の中心として、経済活動の活発さが財政基盤を支えています。
愛知県(0.885、偏差値71.8)
愛知県は0.885で2位を維持し、トヨタ自動車をはじめとする製造業の集積が強固な税収基盤を形成しています。輸出産業の好調により、安定した財政力を確保しています。中部地方の中核として地域経済を牽引しています。
神奈川県(0.853、偏差値70.0)
神奈川県は0.853で3位となり、首都圏という立地条件と多様な産業構造により高い財政力を維持しています。人口規模の大きさと経済活動の活発さが財政基盤を支えています。東京圏のベッドタウンとしての発展も財政力向上に寄与しています。
大阪府(0.752、偏差値64.3)
大阪府は0.752で4位に位置し、関西経済圏の中心として商業・サービス業の集積により一定の財政力を確保しています。関西地方の中核として、多様な産業構造により安定した財政基盤を築いています。
千葉県(0.751、偏差値64.2)
千葉県は0.751で5位となり、東京圏のベッドタウンとしての発展と工業地帯の形成により、安定した財政基盤を築いています。成田空港関連の税収も財政力向上に寄与しており、首都圏の一角として一定の財政力を維持しています。
下位5県の詳細分析
徳島県(0.312、偏差値39.3)
徳島県は0.312で43位となり、人口減少と産業基盤の脆弱性が財政力の低下要因となっています。過疎化の進行により税収基盤の縮小が続いており、四国地方の地理的条件により大規模な産業立地が困難な状況が続いています。
秋田県(0.311、偏差値39.3)
秋田県は0.311で44位に位置し、急速な人口減少と高齢化により税収が減少傾向にあります。主力産業の農業や伝統的製造業の競争力低下も影響しており、東北地方の地理的条件により産業立地の制約も大きな課題となっています。
鳥取県(0.273、偏差値37.1)
鳥取県は0.273で45位となり、全国最少の人口規模により税収基盤が限られています。中国地方の地理的条件により大規模な産業立地が困難な状況が続いており、人口流出により経済基盤の脆弱化が進行しています。
高知県(0.261、偏差値36.4)
高知県は0.261で46位に位置し、四国山地という地理的制約と人口流出により経済基盤が脆弱化しています。第一次産業依存からの脱却が課題となっており、四国地方の地理的条件により産業立地の制約も大きな課題となっています。
島根県(0.254、偏差値36.0)
島根県は0.254で最下位となり、人口減少率の高さと産業基盤の限定性が財政力を制約しています。中山間地域が多く、インフラ維持コストの負担も大きな課題となっており、中国地方の地理的条件により大規模な産業立地が困難な状況が続いています。
地域別の特徴分析
関東地方
関東地方では、1都3県(東京・神奈川・千葉・埼玉)がすべて上位に位置し、首都圏への人口・経済の集中が財政力の高さに直結しています。特に東京都の突出した数値は、日本の中枢管理機能の集積を反映しており、関東地方全体として高い財政力を示しています。
中部地方
中部地方では、愛知県が製造業の集積により高い財政力を示している一方、山間部の県では数値が低くなる傾向があります。工業地帯と農山村部の格差が顕著に現れており、地域内での財政力格差も存在しています。
近畿地方
近畿地方では、大阪府・京都府・兵庫県が上位に位置していますが、東京圏ほどの集積効果は見られません。関西経済圏の分散的な発展が特徴となっており、関西地方全体として一定の財政力を維持しています。
中国・四国地方
中国・四国地方では全般的に財政力指数が低く、特に四国4県はすべて下位グループに集中しています。人口減少と産業空洞化の影響が深刻に現れており、地域的な財政力格差が顕著となっています。
九州・沖縄地方
九州・沖縄地方では、福岡県が地域の中核として相対的に高い数値を示しているものの、離島県や過疎地域を抱える県では財政力の制約が見られます。九州地方全体として地域内での財政力格差が存在しています。
東北・北海道地方
東北・北海道地方では、宮城県が仙台都市圏を中心として地域内では高い数値を示していますが、他県では人口減少の影響により財政力の低下が進んでいます。東北地方全体として人口減少の影響が深刻に現れています。
社会的・経済的影響
最上位の東京都(1.073)と最下位の島根県(0.254)の格差は約4.2倍に達し、地域間の財政力格差の深刻さを示しています。この格差は、人口集中、産業立地、経済活動の地域偏在を反映したものです。
財政力指数が1.0を超えるのは東京都のみであり、他の46道府県は程度の差はあれ地方交付税に依存している状況です。特に0.3未満の県が3県存在し、これらの地域では国からの財政支援なしには基本的な行政サービスの提供が困難な状況となっています。
このような財政力格差は、地域間の経済格差や生活水準の違いとして現れ、さらなる人口流出や産業空洞化を招く悪循環を生み出しています。
対策と今後の展望
地方創生や人口減少対策、産業振興などの政策的取り組みが重要性を増している中、財政力格差の是正は国土の均衡ある発展の観点から重要な課題となっています。
特に、デジタル化の推進やテレワークの普及を活用した地方分散の促進が求められています。また、地域の特性を活かした産業振興や、地域間の連携による経済圏の形成も重要な取り組みです。
統計データの基本情報と分析
指標 | 値‐ |
---|---|
平均値 | 0.5 |
中央値 | 0.5 |
最大値 | 1.073(東京都) |
最小値 | 0.254(島根県) |
標準偏差 | 0.2 |
データ数 | 47件 |
この統計データは2021年度の都道府県別財政力指数を示しています。財政力指数は、都道府県の財政力を客観的に評価する指標であり、地方自治体の財政基盤の強さを表しています。
データの分析から、以下のような特徴が見られます:
財政力指数の分布は極めて不均等で、東京都(1.073)と島根県(0.254)の間には約4.2倍の格差があります。この大きな格差は、地域の経済活動の活発さや産業集積の違いを明確に表しています。
上位5県(東京都、愛知県、神奈川県、大阪府、千葉県)で全国の財政力の大部分を占有しており、地域間の財政力格差が深刻化しています。特に中国・四国地方では4県すべてが下位20位以内という結果となっており、地域全体での対応が急務となっています。
平均値と中央値を比較すると、平均値が中央値を大きく上回っており、分布に正の歪みがあることがわかります。これは少数の大都市圏で財政力が集中していることを示しており、地域間格差の深刻さを物語っています。
外れ値として東京都の1.073が突出しており、他の都道府県とは一線を画しています。この外れ値は首都圏の経済力の高さを反映しており、地域間格差の象徴となっています。
四分位範囲を分析すると、上位25%の都道府県が全国の財政力の大部分を占めており、残りの75%の都道府県で財政力が不足している状況が明らかになっています。
標準偏差が大きいことから、都道府県間のばらつきが非常に大きいことがわかります。この大きなばらつきは、地域間の財政力格差が深刻であることを示しており、早急な対策が必要です。
まとめ
財政力指数は地域の財政基盤を示す重要な指標です。東京都や愛知県などの大都市圏や製造業が集積する地域で多くの財政力が集中する一方、島根県や高知県などの地方部では財政力が不足している状況にあります。
この地域間格差は、産業構造、人口分布、経済活動など様々な要因によって形成されてきました。特に近年では人口減少の影響により、多くの地域で財政基盤の脆弱化が進んでいます。
今後は、持続可能な社会の実現において、地域間の財政力格差の是正が重要な課題となります。特に、地方創生や地域活性化の観点から、地方における産業振興や雇用機会の創出が求められています。
また、デジタル化やテレワークの普及により、地方分散を促進することで、地域間格差の是正につながる可能性があります。これが地域間格差の是正につながる可能性があり、地方における財政力の向上が期待されています。
財政力指数は地域社会の基盤であり、地域社会の維持・発展に重要な役割を果たしています。持続可能な社会においても、すべての地域で適切な財政基盤を確保することが求められています。
順位↓ | 都道府県 | 値 (‐) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 東京都 | 1.073 | 82.4 | -6.7% |
2 | 愛知県 | 0.885 | 71.8 | -3.0% |
3 | 神奈川県 | 0.853 | 70.0 | -4.0% |
4 | 大阪府 | 0.752 | 64.3 | -5.0% |
5 | 千葉県 | 0.751 | 64.2 | -3.5% |
6 | 埼玉県 | 0.744 | 63.8 | -3.4% |
7 | 静岡県 | 0.693 | 60.9 | -4.5% |
8 | 茨城県 | 0.631 | 57.4 | -3.8% |
9 | 福岡県 | 0.628 | 57.2 | -4.6% |
10 | 兵庫県 | 0.623 | 56.9 | -4.0% |
11 | 栃木県 | 0.620 | 56.8 | -4.3% |
12 | 群馬県 | 0.612 | 56.3 | -4.1% |
13 | 宮城県 | 0.597 | 55.5 | -4.6% |
14 | 広島県 | 0.593 | 55.2 | -4.0% |
15 | 三重県 | 0.586 | 54.9 | -3.8% |
16 | 京都府 | 0.568 | 53.8 | -4.5% |
17 | 滋賀県 | 0.548 | 52.7 | -4.9% |
18 | 岐阜県 | 0.536 | 52.0 | -4.1% |
19 | 福島県 | 0.522 | 51.2 | -4.2% |
20 | 岡山県 | 0.511 | 50.6 | -4.5% |
21 | 長野県 | 0.508 | 50.4 | -3.8% |
22 | 石川県 | 0.497 | 49.8 | -4.0% |
23 | 富山県 | 0.462 | 47.8 | -4.7% |
24 | 香川県 | 0.461 | 47.8 | -5.3% |
25 | 新潟県 | 0.457 | 47.5 | -3.8% |
26 | 北海道 | 0.446 | 46.9 | -3.5% |
27 | 山口県 | 0.435 | 46.3 | -4.8% |
28 | 愛媛県 | 0.425 | 45.7 | -5.1% |
29 | 奈良県 | 0.417 | 45.3 | -4.6% |
30 | 福井県 | 0.405 | 44.6 | -3.8% |
31 | 熊本県 | 0.403 | 44.5 | -5.6% |
32 | 山梨県 | 0.384 | 43.4 | -6.1% |
33 | 大分県 | 0.375 | 42.9 | -5.1% |
34 | 山形県 | 0.362 | 42.2 | -4.5% |
35 | 沖縄県 | 0.362 | 42.2 | -3.5% |
36 | 岩手県 | 0.359 | 42.0 | -3.5% |
37 | 青森県 | 0.342 | 41.0 | -4.5% |
38 | 佐賀県 | 0.342 | 41.0 | -3.9% |
39 | 宮崎県 | 0.342 | 41.0 | -4.5% |
40 | 鹿児島県 | 0.338 | 40.8 | -4.3% |
41 | 長崎県 | 0.335 | 40.6 | -3.7% |
42 | 和歌山県 | 0.323 | 40.0 | -4.4% |
43 | 徳島県 | 0.312 | 39.3 | -4.6% |
44 | 秋田県 | 0.311 | 39.3 | -3.4% |
45 | 鳥取県 | 0.273 | 37.1 | -4.9% |
46 | 高知県 | 0.261 | 36.4 | -4.7% |
47 | 島根県 | 0.254 | 36.0 | -4.5% |