概要
2022年度の都道府県別火災死傷者数(人口10万人当たり)のランキングを分析します。火災死傷者数は防災意識や消防体制、建物の安全性などを反映する重要な指標です。全国平均は約5.5人となっており、地域間で大きな格差が見られます。
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上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
1位:鳥取県(9.19人、偏差値74.5)
鳥取県が9.19人(偏差値74.5)で全国1位となりました。全国平均を大幅に上回る数値で、人口規模に対して火災死傷者数が多い状況です。
2位:山形県(8.45人、偏差値68.7)
山形県が8.45人(偏差値68.7)で2位です。東北地方では冬季の暖房器具使用による火災リスクが高まることが影響している可能性があります。
3位:高知県(8.14人、偏差値66.3)
高知県が8.14人(偏差値66.3)で3位となりました。四国地方では高知県の数値が特に高くなっています。
4位:青森県(7.89人、偏差値64.3)
青森県が7.89人(偏差値64.3)で4位です。本州最北端という地理的特性により、暖房関連の火災リスクが高いと考えられます。
5位:茨城県(7.75人、偏差値63.2)
茨城県が7.75人(偏差値63.2)で5位に位置しています。関東地方では最も高い数値となっています。
下位5県の詳細分析
47位:神奈川県(3.66人、偏差値31.2)
神奈川県が3.66人(偏差値31.2)で全国最少となりました。都市部における消防体制の充実や建物の安全基準の高さが要因と考えられます。
46位:沖縄県(3.88人、偏差値32.9)
沖縄県が3.88人(偏差値32.9)で下位2位です。亜熱帯気候により暖房器具の使用頻度が低いことが影響している可能性があります。
45位:静岡県(4.16人、偏差値35.1)
静岡県が4.16人(偏差値35.1)で下位3位となりました。温暖な気候と適切な防災対策が寄与していると考えられます。
44位:富山県(4.23人、偏差値35.6)
富山県が4.23人(偏差値35.6)で下位4位です。雪国でありながら比較的低い数値を維持しています。
43位:石川県(4.29人、偏差値36.1)
石川県が4.29人(偏差値36.1)で下位5位に位置しています。北陸地方では良好な防災体制が整っていることが伺えます。
地域別特徴分析
東北地方の傾向
東北地方では山形県(2位)、青森県(4位)、岩手県(6位)が上位に位置しています。冬季の暖房器具使用や積雪による避難経路の制限などが影響している可能性があります。
関東地方の二極化
関東地方では茨城県(5位)が上位にある一方で、神奈川県(47位)、埼玉県(42位)が下位に位置しており、地域内での格差が顕著です。都市部ほど数値が低い傾向が見られます。
四国地方の特色
四国4県のうち、高知県(3位)が突出して高い数値を示している一方、徳島県(40位)は比較的低い数値となっており、県による差が大きくなっています。
九州・沖縄地方の安定性
九州地方では比較的中位から下位に分布しており、沖縄県(46位)は全国でも最低水準の数値を記録しています。
格差と課題の考察
最上位の鳥取県(9.19人)と最下位の神奈川県(3.66人)では約2.5倍の格差が存在しています。この格差は以下の要因が考えられます。
高い地域の特徴:
- 人口密度が低く、消防署までの距離が遠い
- 高齢化率が高く、避難能力に制約がある
- 古い建物の割合が高い
- 冬季の暖房器具依存度が高い
低い地域の特徴:
- 消防体制が充実している
- 建物の安全基準が高い
- 人口密度が高く、早期発見・通報が可能
- 温暖な気候で暖房リスクが低い
統計データの基本情報と分析
2022年度の火災死傷者数(人口10万人当たり)の統計的特徴を分析すると、全国平均は約5.5人、中央値は約5.9人となっており、分布はやや左に偏っています。標準偏差は約1.4人で、地域間のばらつきが見られます。
四分位範囲(第1四分位:4.9人、第3四分位:6.8人)から、約半数の都道府県が4.9人から6.8人の範囲に収まっていることが分かります。上位の鳥取県、山形県、高知県は明らかな外れ値として位置しており、特別な対策が必要な状況です。
分布の偏りは、多くの都道府県が平均より低い値を示している一方で、一部の県が極端に高い値を示していることを意味しており、地域特性に応じた防災対策の重要性を示しています。
まとめ
2022年度の都道府県別火災死傷者数ランキングでは、鳥取県が最も多く、神奈川県が最も少ない結果となりました。上位には人口密度の低い地方部や寒冷地が多く、下位には都市部や温暖な地域が位置する傾向が見られます。
地域間格差は約2.5倍に達しており、消防体制の充実、建物の安全性向上、高齢者世帯への安全対策などが重要な課題となっています。特に上位の地域では、地域特性を考慮した総合的な火災予防対策の強化が求められています。