2022年度の都道府県別火災死亡者数について、全国の状況を詳しく分析します。火災による死亡者数は、都市部の人口集中や建物の密集度、高齢化率、住宅事情などが複合的に影響する重要な安全指標です。
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上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
1位:東京都(90人、偏差値79.1)
東京都が90人(偏差値79.1)で全国1位となっています。首都圏最大の人口を抱える東京都では、人口密度の高さと建物の密集度が火災死亡者数に影響していると考えられます。
2位:北海道(81人、偏差値74.7)
北海道が81人(偏差値74.7)で2位です。北海道は面積が広大で暖房器具の使用頻度が高いことから、火災リスクが高まる傾向があると推察されます。
3位:愛知県(75人、偏差値71.7)
愛知県が75人(偏差値71.7)で3位となっています。中京圏の中心として人口が集中し、製造業が盛んな地域特性が関係している可能性があります。
4位:埼玉県(69人、偏差値68.8)
埼玉県が69人(偏差値68.8)で4位です。首都圏のベッドタウンとして人口が急増しており、住宅密度の高さが要因の一つと考えられます。
5位:兵庫県(65人、偏差値66.8)
兵庫県が65人(偏差値66.8)で5位となっています。関西圏の主要県として、神戸や姫路などの都市部での火災リスクが反映されていると思われます。
下位5県の詳細分析
47位:佐賀県(6人、偏差値37.8)
佐賀県が6人(偏差値37.8)で全国最少となっています。人口規模が小さく、比較的住宅密度が低いことが火災死亡者数の少なさにつながっていると考えられます。
46位:徳島県(8人、偏差値38.7)
徳島県が8人(偏差値38.7)で46位です。四国地方の中でも人口が少なく、火災予防対策が効果的に機能している可能性があります。
43位(同率):和歌山県、高知県、福井県(各10人、偏差値39.7)
和歌山県、高知県、福井県がそれぞれ10人(偏差値39.7)で43位に並んでいます。いずれも人口規模が比較的小さく、地域コミュニティでの防火意識の高さが寄与している可能性があります。
地域別の特徴分析
関東地方
関東地方では東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、茨城県が上位に位置しており、首都圏の人口集中と住宅密度の高さが火災死亡者数に大きく影響していることが明らかです。
関西地方
関西地方では兵庫県(5位)、大阪府(8位)、京都府(27位)と府県による差が見られます。人口規模と都市化の程度が火災死亡者数に関係していると考えられます。
九州地方
九州地方では福岡県(7位)が比較的上位にある一方、佐賀県(47位)が最下位となっており、県内の人口格差と都市部への集中度の違いが反映されています。
四国地方
四国4県はいずれも下位に位置しており、人口規模の小ささと地域コミュニティでの防火対策の充実が効果を発揮していると推察されます。
格差と課題の考察
全国で最も多い東京都(90人)と最も少ない佐賀県(6人)の間には84人という大きな格差があります。この格差は主に人口規模の差によるものですが、人口密度、住宅事情、高齢化率、防火対策の充実度なども影響していると考えられます。
特に偏差値を見ると、東京都の79.1から佐賀県の37.8まで幅広く分布しており、都市部と地方部での火災リスクの違いが顕著に現れています。人口当たりの火災死亡率も重要な指標として、今後の防火対策に活用すべきでしょう。
統計データの基本情報と分析
2022年度の都道府県別火災死亡者数の統計分析を行うと、平均値は約27.4人、中央値は24人となっており、平均値が中央値を上回っていることから、上位県による押し上げ効果が見られます。
最大値の東京都90人は平均値の約3.3倍となっており、明らかな外れ値として統計に大きな影響を与えています。一方で、下位10県はすべて15人以下と、比較的安定した低い値を示しています。
標準偏差は約20.1人と比較的大きく、都道府県間のばらつきが顕著であることを示しています。これは主として人口規模の違いによるものですが、都市部と地方部での住環境や社会構造の違いも反映していると考えられます。
四分位で見ると、第1四分位(下位25%)が17人以下、第3四分位(上位25%)が35人以上となっており、中位50%の都道府県が17〜35人の範囲に分布していることがわかります。
まとめ
2022年度の都道府県別火災死亡者数ランキングでは、人口規模と都市化の程度が大きく影響していることが明確になりました。東京都をはじめとする首都圏や、愛知県、兵庫県などの大都市圏で火災死亡者数が多くなっている一方、佐賀県や徳島県など人口規模の小さい県では相対的に少ない結果となっています。
ただし、絶対数だけでなく人口当たりの死亡率や高齢化率、住宅の構造・密度など、より詳細な分析を行うことで、効果的な火災予防対策の立案につなげることが重要です。各自治体においては、地域特性に応じた防火対策の強化と、住民の防火意識向上に向けた取り組みが求められています。