都道府県別火災り災世帯数ランキング(建物火災100件当たり)(2022年度)

概要

2022年度の都道府県別火災り災世帯数(建物火災100件当たり)について、全国47都道府県のランキングを分析しました。この指標は、建物火災100件当たりに何世帯が被害を受けているかを示す重要な災害指標です。

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上位県と下位県の比較

上位5県の特徴

火災り災世帯数(建物火災100件当たり)が多い上位5県は以下の通りです。

長崎県117.5世帯(偏差値74.4)で1位となっています。これは全国平均を大きく上回る数値で、建物火災1件当たりの被害世帯数が特に多いことを示しています。

2位は大阪府富山県が同率で114.2世帯(偏差値71.5)となっています。大阪府は人口密集地域特有の住宅事情が、富山県は地域の建物構造や気候条件が影響している可能性があります。

4位の京都府112.5世帯(偏差値70.0)、5位の埼玉県107.2世帯(偏差値65.4)となっており、いずれも全国平均を大幅に上回っています。

下位5県の特徴

火災り災世帯数が少ない下位5県の状況を見ると、防火対策や建物構造の特徴が見えてきます。

最も少ないのは沖縄県66.3世帯(偏差値29.8)で、これは全国平均を大きく下回る数値です。沖縄県の建物構造や気候条件が火災被害の拡大を抑制している可能性があります。

46位は栃木県69.7世帯(偏差値32.7)、45位は鹿児島県74.7世帯(偏差値37.1)となっています。

44位の三重県76.6世帯(偏差値38.8)、43位の北海道76.7世帯(偏差値38.8)と僅差で続いています。

地域別の傾向分析

九州地方

九州地方では地域差が大きく、長崎県(1位)、熊本県(6位)、福岡県(8位)が上位に位置する一方で、鹿児島県(45位)、沖縄県(47位)は下位となっています。

関東地方

関東地方は埼玉県(5位)、神奈川県(10位)、千葉県(13位)が上位から中位に位置し、東京都(28位)は意外にも中位に留まっています。人口密集地域での火災対策の効果が表れている可能性があります。

関西地方

大阪府(2位)、京都府(4位)が上位に位置する一方で、奈良県(15位)、兵庫県(24位)は中位となっており、地域内での差が見られます。

中部地方

富山県(2位)が上位に位置する一方で、愛知県(36位)、三重県(44位)は下位に位置し、地域内での大きな差が特徴的です。

格差と課題の考察

最上位の長崎県(117.5世帯)と最下位の沖縄県(66.3世帯)の差は51.2世帯と、約1.8倍の格差があります。この格差は以下の要因が考えられます。

建物密度と構造:人口密集地域や古い建物が多い地域では、一度の火災で複数世帯が被害を受ける可能性が高くなります。

地域の防火体制:消防体制の充実度や地域コミュニティの防火意識の違いが、被害の拡大防止に影響している可能性があります。

気候・地理的条件:乾燥しやすい気候や強風が多い地域では、火災の拡大が早く、より多くの世帯に被害が及ぶ可能性があります。

住宅事情:集合住宅の比率や建物の築年数、耐火構造の普及度などが影響している可能性があります。

統計データの基本情報

統計的分析

2022年度の火災り災世帯数データの統計的特徴を分析すると、以下のような傾向が見られます。

分布の特徴:全国平均は約87.1世帯で、データの分布は比較的正規分布に近い形を示しています。ただし、上位県の数値が突出しており、わずかに右裾の長い分布となっています。

地域格差:標準偏差は約11.2で、相対的なばらつきは中程度です。しかし、最大値と最小値の差は51.2世帯と大きく、地域による防火体制や建物事情の違いが明確に表れています。

外れ値の影響:長崎県の117.5世帯は他県と比較して突出しており、統計的な外れ値として注目されます。この値が全体の平均を押し上げている要因となっています。

四分位分析:上位25%(第3四分位)は約95世帯以上、下位25%(第1四分位)は約80世帯以下となっており、中央50%の県は80-95世帯の範囲に集中しています。

まとめ

2022年度の都道府県別火災り災世帯数ランキングでは、長崎県が全国で最も多く、沖縄県が最も少ない結果となりました。上位県では建物密度や住宅事情が影響している可能性があり、下位県では効果的な防火対策や建物構造が被害抑制に寄与していると考えられます。

この指標は単に火災の発生件数ではなく、1件の火災がどれだけ多くの世帯に影響を与えるかを示しており、地域の防災体制や都市計画の重要性を示唆しています。各都道府県は、自らの位置づけを把握し、より効果的な火災予防対策と被害拡大防止策の検討が求められます。

出典