概要
2022年度における都道府県別の火災り災世帯数ランキングをご紹介します。火災り災世帯数は、火災によって被害を受けた世帯の数を示す重要な防災指標です。このランキングから、各都道府県の火災発生状況や被害規模の地域差を把握することができます。
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上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
1位:東京都(2,475世帯、偏差値97.7)
東京都は2,475世帯(偏差値97.7)で全国1位となっています。人口密集地である東京都では、住宅密度の高さや建物の老朽化、電気系統のトラブルなどが火災発生要因として考えられます。また、高層建築物の多さも被害拡大の一因となっている可能性があります。
2位:大阪府(1,453世帯、偏差値74.3)
大阪府は1,453世帯(偏差値74.3)で2位にランクインしています。関西圏の中心都市として人口密度が高く、東京都と同様に都市部特有の火災リスクが影響していると考えられます。
3位:神奈川県(1,159世帯、偏差値67.6)
神奈川県は1,159世帯(偏差値67.6)で3位となっています。首都圏の一角を担う神奈川県では、住宅地の密集や人口の多さが火災り災世帯数の多さに繋がっていると考えられます。
4位:埼玉県(1,114世帯、偏差値66.6)
埼玉県は1,114世帯(偏差値66.6)で4位にランクインしています。首都圏のベッドタウンとして住宅が多く、住宅火災の発生が被害世帯数に影響していると推測されます。
5位:千葉県(889世帯、偏差値61.4)
千葉県は889世帯(偏差値61.4)で5位となっています。首都圏を構成する県として、人口規模に比例した火災発生傾向が見られます。
下位5県の詳細分析
47位:福井県(73世帯、偏差値42.7)
福井県は73世帯(偏差値42.7)で全国最少となっています。人口規模が比較的小さく、住宅密度が低いことが火災り災世帯数の少なさに寄与していると考えられます。
46位:鳥取県(77世帯、偏差値42.8)
鳥取県は77世帯(偏差値42.8)で46位となっています。全国で最も人口の少ない県として、火災り災世帯数も相対的に少ない結果となっています。
45位:徳島県(92世帯、偏差値43.1)
徳島県は92世帯(偏差値43.1)で45位にランクインしています。四国地方の中でも人口規模が小さく、火災被害も限定的となっています。
44位:島根県(99世帯、偏差値43.3)
島根県は99世帯(偏差値43.3)で44位となっています。中国地方の日本海側に位置し、人口密度の低さが火災り災世帯数の少なさに反映されています。
43位:山梨県(113世帯、偏差値43.6)
山梨県は113世帯(偏差値43.6)で43位にランクインしています。内陸県として住宅密度が比較的低く、火災被害も抑制されている状況です。
地域別の特徴分析
首都圏の集中傾向
上位には東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県と首都圏の1都3県がすべてランクインしており、人口密集地域での火災り災世帯数の多さが顕著に表れています。これらの地域では、住宅密度の高さや老朽化した建物の存在が火災リスクを高めている可能性があります。
関西圏の状況
大阪府が2位、兵庫県が9位、京都府が12位と関西圏も上位にランクインしています。関西圏でも都市部特有の火災リスクが存在していることが伺えます。
地方部の低位傾向
下位には鳥取県、島根県、福井県など、人口規模の小さい地方部の県が多くランクインしています。これらの地域では人口密度が低く、住宅間の距離も十分に確保されていることが、火災被害の抑制に寄与していると考えられます。
格差と課題の考察
最多の東京都(2,475世帯)と最少の福井県(73世帯)の間には約34倍の格差があり、都市部と地方部での火災リスクの大きな差が明確に現れています。この格差は主に人口規模や住宅密度の違いに起因しているものの、都市部では以下のような課題が考えられます。
都市部では住宅の密集により延焼リスクが高く、一度火災が発生すると被害が拡大しやすい環境があります。また、高層建築物や古い木造住宅の混在、電気設備の老朽化なども火災発生要因として挙げられます。一方で、消防体制の充実や防火意識の向上、建築基準の厳格化などにより、被害の最小化を図る取り組みが重要となります。
統計データの基本情報と分析
2022年度の火災り災世帯数の全国平均は約392世帯となっています。分布を見ると、上位の都市部と下位の地方部で大きな格差があり、データの分布は正の歪みを示しています。
標準偏差から見ると、都道府県間のばらつきが大きく、特に東京都の値が他の都道府県から大きく乖離していることが外れ値として特徴的です。四分位範囲で見ると、第1四分位が約130世帯、第3四分位が約320世帯となっており、多くの県が比較的低い値に集中している一方で、一部の都市部が極端に高い値を示す分布パターンとなっています。
この分布パターンは、日本の人口分布や都市化の進展度を反映しており、火災対策においても地域特性を考慮したアプローチが必要であることを示唆しています。
まとめ
2022年度の都道府県別火災り災世帯数ランキングでは、東京都が圧倒的な1位となり、首都圏と関西圏の都市部が上位を占める結果となりました。一方、地方部の県では相対的に火災り災世帯数が少なく、人口密度や住宅環境の違いが明確に反映されています。
都市部では人口密集による火災リスクの高さが課題となっており、防火対策の強化や建築基準の見直し、消防体制の充実などが重要な取り組みとなります。また、住民の防火意識向上や定期的な防災訓練の実施なども、火災被害の軽減に向けた重要な施策といえるでしょう。