火災は私たちの生活に深刻な影響を与える災害のひとつです。2022年度の全国の火災り災人員数データから、各都道府県における火災による被害状況を分析します。り災人員数とは、火災により住居を失ったり、生活に支障をきたした人数を示す重要な指標です。
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上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
1位:東京都(4,694人、偏差値95.8)
東京都が4,694人(偏差値95.8)で全国1位となっています。首都圏という人口密集地域であることから、火災発生時の被害規模が大きくなる傾向があります。高層建築物や密集住宅地が多いことも、り災人員数の多さに影響していると考えられます。
2位:大阪府(2,759人、偏差値72.9)
大阪府が2,759人(偏差値72.9)で2位です。関西圏の中心都市として人口密度が高く、商業施設や住宅が密集していることが、火災時の被害拡大要因となっています。
3位:埼玉県(2,431人、偏差値69.0)
埼玉県が2,431人(偏差値69.0)で3位となっています。首都圏のベッドタウンとして人口が集中しており、住宅密集地域での火災被害が多いことが特徴です。
4位:神奈川県(2,347人、偏差値68.0)
神奈川県が2,347人(偏差値68.0)で4位です。横浜市や川崎市などの大都市圏を抱え、人口密度の高さが火災被害の拡大に影響しています。
5位:千葉県(1,917人、偏差値63.0)
千葉県が1,917人(偏差値63.0)で5位となっています。東京湾岸地域の工業地帯や住宅密集地域での火災リスクが高いことが要因と考えられます。
下位5県の詳細分析
47位:鳥取県(167人、偏差値42.3)
鳥取県が167人(偏差値42.3)で全国最少となっています。人口規模が小さく、住宅密度も比較的低いことから、火災時の被害が限定的になっていると考えられます。
46位:徳島県(172人、偏差値42.4)
徳島県が172人(偏差値42.4)で46位です。四国地方の中でも人口が少なく、山間部が多いため火災被害が抑制されています。
45位:福井県(175人、偏差値42.4)
福井県が175人(偏差値42.4)で45位となっています。北陸地方の中でも人口密度が低く、住宅地の分散配置が火災被害の軽減に寄与しています。
44位:島根県(236人、偏差値43.1)
島根県が236人(偏差値43.1)で44位です。中国地方の山陰側に位置し、人口減少と住宅の分散配置により火災被害が抑制されています。
43位:山梨県(245人、偏差値43.2)
山梨県が245人(偏差値43.2)で43位となっています。山間部が多く、住宅密度が低いことが火災被害の軽減要因となっています。
地域別の特徴分析
首都圏(関東地方)
東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県が上位に集中しており、首都圏の火災リスクの高さが顕著に表れています。人口密度の高さと住宅密集度が主要因となっています。茨城県(977人)、群馬県(569人)、栃木県(505人)も中位にランクインしており、首都圏全体での火災対策の重要性が浮き彫りになっています。
関西圏
大阪府が2位、兵庫県(1,475人)が8位、京都府(767人)が13位となっており、関西圏でも火災被害が深刻です。人口集中地域での火災予防対策の強化が求められています。
中部地方
愛知県(1,897人)が6位、静岡県(1,090人)が10位と比較的上位にありますが、山間部の多い長野県(685人)や新潟県(768人)は中位に留まっています。
九州・沖縄地方
福岡県(1,496人)が7位と高位にある一方、他の九州各県は中位から下位に分散しています。人口規模と都市部の集中度が影響していることが分かります。
東北・北海道地方
北海道(1,413人)が9位と比較的高位にありますが、東北各県は中位に分布しています。寒冷地域での暖房器具使用が火災リスクに影響している可能性があります。
中国・四国地方
全体的に下位にランクインしており、特に四国地方の徳島県、香川県(274人)、愛媛県(535人)、高知県(257人)は下位に集中しています。人口規模の小ささと住宅密度の低さが要因となっています。
都市部と地方部の格差
首都圏や関西圏などの大都市圏と、中国・四国地方などの地方部では、火災り災人員数に大きな格差が見られます。東京都(4,694人)と鳥取県(167人)では約28倍の差があり、人口規模の違いを考慮しても、都市部での火災被害の深刻さが際立っています。
この格差の背景には、人口密度、住宅密集度、建物の構造、消防体制の違いなど複数の要因が関係しています。都市部では火災発生時の延焼リスクが高く、一度発生すると多くの住民が被害を受ける可能性があります。
火災予防対策の重要性
データから見える課題として、都市部での火災予防対策の強化が急務であることが明らかです。特に人口密集地域では、建物の耐火性向上、避難経路の確保、住民の防災意識向上が重要となります。
一方で、地方部でも高齢化社会の進展により、火災時の避難困難者が増加する可能性があり、地域特性に応じた火災予防策の検討が必要です。
統計データの基本情報
統計的分析
2022年度の火災り災人員数データを統計的に分析すると、以下の特徴が明らかになります。
全国平均は約732人となっており、中央値は465人です。平均値が中央値を大きく上回っていることから、データは正の歪みを持つ分布となっています。これは、東京都をはじめとする大都市圏で特に高い値を示していることが影響しています。
標準偏差から見るデータのばらつきは非常に大きく、都道府県間での火災被害の格差が顕著であることを示しています。上位25%(第3四分位)と下位25%(第1四分位)の差は約607人となっており、地域格差の大きさを物語っています。
外れ値として東京都が突出しており、次いで大阪府が高い値を示しています。これらの大都市圏を除いた場合でも、首都圏各県(埼玉県、神奈川県、千葉県)が上位を占めており、都市部での火災リスクの高さが統計的にも裏付けられています。
まとめ
2022年度の都道府県別火災り災人員数ランキングからは、都市部と地方部での明確な格差が浮き彫りになりました。東京都をはじめとする首都圏、大阪府などの関西圏で特に多くの人々が火災の被害を受けており、人口密度と住宅密集度が主要な要因となっています。
一方で、鳥取県や徳島県などの地方部では被害が比較的少なく抑えられており、地域特性の違いが明確に表れています。この結果は、各地域の防災対策の方向性を考える上で重要な示唆を与えています。
都市部では建物の耐火性向上や避難体制の強化、地方部では高齢化を考慮した支援体制の整備など、地域特性に応じた火災予防対策の推進が求められています。火災は予防可能な災害であり、継続的な取り組みによって被害の軽減が期待されます。