2023年度の救急自動車数(人口10万人当たり)ランキングでは、島根県が11.8台で全国1位を記録し、高知県が11.0台で2位、和歌山県が9.6台で3位となっています。一方、東京都が2.6台で最下位、神奈川県が3.6台で46位、大阪府が3.8台で45位となっており、地域による大きな格差が確認されました。この指標は各地域の救急医療体制の充実度を示す重要な指標であり、人口密度、地理的条件、都市化の程度などの複合的な要因が影響しています。
概要
救急自動車数(人口10万人当たり)は、各地域の救急医療体制の充実度や緊急事態への対応能力を示す重要な指標です。この数値は救急搬送の需要や地理的条件、人口密度などを反映しており、地域の特性や社会基盤の充実度を表しています。
2023年度の全国平均は約6.2台となっており、都道府県間で最大約4.5倍の格差が存在します。上位県では広域対応や地理的条件を考慮した救急体制が影響している一方、下位県では人口密度の高さや効率的な救急体制の構築が影響している可能性があります。
地域による特徴として、地方部が上位を占める傾向があり、これは人口密度の低さや地理的条件が救急需要と密接に関連していることを示しています。一方、都市部が下位に位置し、地域特性に応じた救急体制の違いが明確に現れています。
地図データを読み込み中...
上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
島根県
島根県は11.8台(偏差値76.6)で全国1位を記録しています。人口密度の低さと広大な面積により、住民カバーのため多数の救急車両が必要となっています。高齢化率の高さも配備数増加の要因であり、山間部や離島を抱える地理的特性が配備戦略に影響しています。
高知県
高知県は11.0台(偏差値72.4)で2位に位置しています。四国山地による地理的制約と人口散在により、広域搬送体制が充実しています。高齢化率全国上位で救急需要が高く、医療機関への距離が長いため、十分な救急体制が不可欠となっています。
和歌山県
和歌山県は9.6台(偏差値65.2)で3位となっています。紀伊山地の険しい地形と南北に細長い県土により、効率的な救急搬送には多数の車両が必要です。人口減少地域での医療体制維持が重要課題となっています。
秋田県
秋田県は9.5台(偏差値64.7)で4位です。県域が広大で人口密度が低く、冬季の積雪も救急搬送の障害となります。高齢化率全国1位で救急需要が高く、地域医療体制の維持には十分な救急車配備が重要となっています。
青森県
青森県は9.4台(偏差値64.1)で5位となっています。本州最北端の地理的条件と豪雪地帯での救急搬送確保のため、多数の車両を配備しています。人口減少と高齢化の進展で、効率的な救急体制構築が課題となっています。
下位5県の詳細分析
東京都
東京都は2.6台(偏差値28.9)で全国最下位となっています。高い人口密度により効率的な救急搬送が可能なため、相対的に少ない配備数となっています。短時間での医療機関到達が可能で、集約的な配置戦略を採用しています。
神奈川県
神奈川県は3.6台(偏差値34.1)で46位です。人口密度の高い都市部では効率的な救急体制を構築しており、医療機関の充実により比較的少ない配備で対応可能となっています。しかし高齢化進展で今後の需要増が予想されています。
大阪府
大阪府は3.8台(偏差値35.2)で45位となっています。関西圏の中心として医療機関が集積し、効率的な救急搬送体制を実現しています。人口密度の高さにより集約的配置が可能で、都市型救急体制のモデルケースとなっています。
愛知県
愛知県は3.9台(偏差値35.7)で44位です。中京圏の中心として医療インフラが充実し、効率的な救急体制を構築しています。工業地帯での労働災害への対応体制も整備されており、人口集中地域での配置効率化が実現されています。
福岡県
福岡県は4.1台(偏差値36.7)で43位となっています。九州最大の都市圏として医療機関が集積し、効率的な救急搬送が可能となっています。福岡市を中心とした都市型救急体制を構築しています。
地域別の特徴分析
中国・四国地方
中国・四国地方では島根県(1位、11.8台)、高知県(2位、11.0台)、徳島県(12位、7.8台)、愛媛県(18位、7.2台)、山口県(18位、7.2台)、岡山県(23位、6.6台)、佐賀県(24位、6.5台)、広島県(28位、6.2台)、鳥取県(26位、6.3台)、香川県(32位、5.9台)が含まれています。山間部の多い地理的条件が影響しており、人口減少と高齢化により、広域搬送体制の充実が不可欠となっています。
東北地方
東北地方では秋田県(4位、9.5台)、青森県(5位、9.4台)、鹿児島県(6位、9.0台)、岩手県(7位、8.8台)、北海道(8位、8.5台)、山形県(9位、8.0台)、福島県(13位、7.7台)、長崎県(13位、7.7台)、福井県(13位、7.7台)、岐阜県(11位、7.9台)、三重県(18位、7.2台)、熊本県(21位、7.1台)、大分県(22位、6.8台)が含まれています。広大な県域と豪雪地帯での救急搬送確保が重要となっています。
関東地方
関東地方では東京都(47位、2.6台)、神奈川県(46位、3.6台)、埼玉県(42位、4.1台)、千葉県(40位、4.5台)、茨城県(28位、6.2台)、群馬県(30位、6.0台)、栃木県(32位、5.9台)が含まれています。人口密度の高さにより効率的な救急体制を実現しており、医療機関への近接性により少ない配備数でも対応可能となっています。
関西地方
関西地方では大阪府(45位、3.8台)、兵庫県(41位、4.4台)、京都府(39位、4.7台)、滋賀県(38位、4.8台)、奈良県(26位、6.3台)、和歌山県(3位、9.6台)が含まれています。医療機関の集積により効率的な救急搬送体制を構築しており、人口密度の高さが配備効率化に寄与しています。
中部地方
中部地方では山梨県(9位、8.0台)、新潟県(16位、7.5台)、長野県(17位、7.3台)、岐阜県(11位、7.9台)、三重県(18位、7.2台)、富山県(25位、6.4台)、石川県(30位、6.0台)、静岡県(37位、5.0台)、愛知県(44位、3.9台)が含まれています。山間部や豪雪地帯を抱える県が上位に位置する傾向があります。
九州・沖縄地方
九州・沖縄地方では鹿児島県(6位、9.0台)、長崎県(13位、7.7台)、熊本県(21位、7.1台)、大分県(22位、6.8台)、佐賀県(24位、6.5台)、宮崎県(35位、5.6台)、沖縄県(34位、5.8台)、福岡県(42位、4.1台)が含まれています。地方部と都市部の格差が明確に現れており、地域特性に応じた救急体制の違いが確認できます。
社会的・経済的影響
救急自動車数(人口10万人当たり)の地域格差は、各地域の救急医療体制の整備状況や社会基盤の充実度を反映しています。島根県(11.8台)と東京都(2.6台)の間には約4.5倍の格差が存在し、これは各地域の地理的条件、人口密度、都市化の程度などの複合的な要因によるものです。
上位県では広域対応や地理的条件を考慮した救急体制が影響している一方、下位県では人口密度の高さや効率的な救急体制の構築が影響している可能性があります。この格差は、単純に多い・少ないで評価するのではなく、地域特性に応じた適切な救急体制の構築が重要であることを示しています。
対策と今後の展望
各地域の特性に応じた救急医療体制の構築が重要な課題となっています。上位県では、広域搬送体制の強化や地理的条件を考慮した救急体制の充実が必要です。下位県では、効率的な救急体制の維持と都市部特有の救急需要への対応強化が求められます。
今後の展望として、地域間の情報共有や技術交流の促進、地域特性に応じた救急体制の最適化、予防対策の強化などが重要です。また、人口減少や高齢化の進展を考慮した長期的な救急体制の構築が求められています。
統計データの基本情報と分析
指標 | 値台 |
---|---|
平均値 | 6.7 |
中央値 | 6.5 |
最大値 | 11.8(島根県) |
最小値 | 2.6(東京都) |
標準偏差 | 1.9 |
データ数 | 47件 |
2023年度の救急自動車数(人口10万人当たり)の統計分析では、平均値が約6.2台、中央値が約6.0台となっており、比較的対称的な分布を示しています。標準偏差は約2.0台と適度なばらつきを示しており、都道府県間での格差が確認できます。
第1四分位数は約4.8台、第3四分位数は約7.4台で、四分位範囲は約2.6台となっています。特に島根県(11.8台)は明確な外れ値として、特殊な地理的条件を反映しています。
分布の特徴として、地方部の高値と都市部の低値が明確に分離しており、これは人口密度と地理的条件の違いによる構造的格差を示しています。
まとめ
2023年度の救急自動車数(人口10万人当たり)ランキングは、日本の地域特性を明確に反映した結果となっています。島根県が圧倒的な1位を占め、地方部が上位を独占する一方、都市部が下位に位置しています。
この傾向は救急需要が人口密度や地理的条件と密接に関連していることを示しており、各地域の特性に応じた効率的な救急体制の構築が重要であることがわかります。また、広域連携による資源の効率的活用や、地域特性を考慮した救急力の最適化が今後の課題として挙げられます。
順位↓ | 都道府県 | 値 (台) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 島根県 | 11.8 | 76.6 | +0.8% |
2 | 高知県 | 11.0 | 72.4 | +1.9% |
3 | 和歌山県 | 9.6 | 65.2 | +1.1% |
4 | 秋田県 | 9.5 | 64.7 | +3.3% |
5 | 青森県 | 9.4 | 64.1 | +2.2% |
6 | 鹿児島県 | 9.0 | 62.1 | -1.1% |
7 | 岩手県 | 8.8 | 61.0 | +2.3% |
8 | 北海道 | 8.5 | 59.5 | +2.4% |
9 | 山形県 | 8.0 | 56.9 | +1.3% |
10 | 山梨県 | 8.0 | 56.9 | - |
11 | 岐阜県 | 7.9 | 56.4 | +1.3% |
12 | 徳島県 | 7.8 | 55.9 | - |
13 | 福島県 | 7.7 | 55.3 | +1.3% |
14 | 福井県 | 7.7 | 55.3 | +1.3% |
15 | 長崎県 | 7.7 | 55.3 | +1.3% |
16 | 新潟県 | 7.5 | 54.3 | - |
17 | 長野県 | 7.3 | 53.3 | +1.4% |
18 | 三重県 | 7.2 | 52.8 | +2.9% |
19 | 山口県 | 7.2 | 52.8 | - |
20 | 愛媛県 | 7.2 | 52.8 | -1.4% |
21 | 熊本県 | 7.1 | 52.2 | - |
22 | 大分県 | 6.8 | 50.7 | - |
23 | 岡山県 | 6.6 | 49.6 | +3.1% |
24 | 佐賀県 | 6.5 | 49.1 | - |
25 | 富山県 | 6.4 | 48.6 | +1.6% |
26 | 奈良県 | 6.3 | 48.1 | - |
27 | 鳥取県 | 6.3 | 48.1 | - |
28 | 茨城県 | 6.2 | 47.6 | - |
29 | 広島県 | 6.2 | 47.6 | +1.6% |
30 | 群馬県 | 6.0 | 46.5 | - |
31 | 石川県 | 6.0 | 46.5 | +1.7% |
32 | 栃木県 | 5.9 | 46.0 | +1.7% |
33 | 香川県 | 5.9 | 46.0 | +1.7% |
34 | 沖縄県 | 5.8 | 45.5 | - |
35 | 宮崎県 | 5.6 | 44.5 | +3.7% |
36 | 宮城県 | 5.5 | 44.0 | +1.9% |
37 | 静岡県 | 5.0 | 41.4 | +2.0% |
38 | 滋賀県 | 4.8 | 40.3 | - |
39 | 京都府 | 4.7 | 39.8 | +2.2% |
40 | 千葉県 | 4.5 | 38.8 | +2.3% |
41 | 兵庫県 | 4.4 | 38.3 | - |
42 | 埼玉県 | 4.1 | 36.7 | +5.1% |
43 | 福岡県 | 4.1 | 36.7 | +5.1% |
44 | 愛知県 | 3.9 | 35.7 | - |
45 | 大阪府 | 3.8 | 35.2 | - |
46 | 神奈川県 | 3.6 | 34.1 | - |
47 | 東京都 | 2.6 | 28.9 | - |