2023年度における都道府県別の救急自動車数について、総務省消防庁の統計データを基に詳細な分析を行いました。救急自動車数は各都道府県の人口規模や地理的条件、消防行政の体制などを反映する重要な指標です。
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上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
1位:北海道(435台)
北海道が435台(偏差値81.6)で全国1位となっています。広大な面積を持つ北海道では、遠隔地や過疎地域への救急対応が重要であり、地理的条件を考慮した救急車両の配置が行われています。人口密度が低い地域では、救急車両の到達時間確保のため、より多くの配備が必要となることが要因として考えられます。
2位:東京都(370台)
東京都が370台(偏差値74.7)で2位に位置しています。人口密度が極めて高い東京都では、救急需要の集中に対応するため、多数の救急車両が配備されています。都市部特有の交通渋滞や高齢化の進展により、救急搬送件数の増加に対応した体制が整備されています。
3位:神奈川県(333台)
神奈川県が333台(偏差値70.7)で3位となっています。人口規模の大きさと都市部への人口集中により、救急需要が高く、それに対応した救急車両の配備が行われています。横浜市や川崎市などの大都市圏を抱えることが、配備数の多さに影響しています。
4位:大阪府(331台)
大阪府が331台(偏差値70.5)で4位に位置しています。関西圏の中心地として高い人口密度を持ち、救急需要が多いことから、多数の救急車両が配備されています。都市部特有の救急搬送の複雑さに対応した体制が整備されています。
5位:埼玉県(297台)
埼玉県が297台(偏差値66.8)で5位となっています。東京都に隣接し、人口増加が続く埼玉県では、住宅地の拡大と高齢化の進展に対応した救急体制の整備が進められています。
下位5県の詳細分析
47位:鳥取県(34台)
鳥取県が34台(偏差値38.6)で最下位となっています。全国で最も人口が少ない鳥取県では、人口規模に応じた救急車両の配備となっていますが、県土の地理的条件を考慮した効率的な配置が重要となっています。
46位:佐賀県(52台)
佐賀県が52台(偏差値40.5)で46位に位置しています。比較的コンパクトな県域を持つ佐賀県では、効率的な救急車両の配置により、限られた台数でも救急サービスの提供が行われています。
45位:徳島県(54台)
徳島県が54台(偏差値40.7)で45位となっています。四国地方の中でも人口規模が小さく、山間部も多い徳島県では、地理的条件を考慮した救急車両の配備が課題となっています。
44位:香川県(55台)
香川県が55台(偏差値40.8)で44位に位置しています。全国で最も面積が小さい香川県では、コンパクトな県域を活かした効率的な救急体制が構築されています。
43位:福井県(57台)
福井県が57台(偏差値41.1)で43位となっています。人口減少が進む福井県では、人口規模に応じた救急車両の配備となっていますが、高齢化率の高さを考慮した救急体制の維持が重要となっています。
地域別の特徴分析
関東地方
関東地方では東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県が上位に位置し、人口密度の高さと都市化の進展が救急車両数の多さに反映されています。一方で、群馬県、栃木県は中位に位置し、地域内での格差が見られます。
関西地方
大阪府、兵庫県、京都府が上位から中位に位置する一方、奈良県、和歌山県は下位に位置しており、人口規模と都市化の程度による差が明確に現れています。
中部地方
愛知県が6位と上位に位置する一方、北陸3県(富山県、石川県、福井県)は下位に集中しており、地域内での格差が大きくなっています。
北海道・東北地方
北海道が1位と突出している一方、東北各県は中位から下位に分散しており、人口密度と地理的条件の違いが影響しています。
中国・四国地方
広島県が12位と比較的上位に位置する一方、四国4県はすべて下位に集中しており、人口規模の影響が顕著に現れています。
九州・沖縄地方
福岡県が9位と上位に位置する一方、他の県は中位から下位に分散しており、地域内での格差が見られます。
格差と課題の考察
救急自動車数の都道府県格差は主に以下の要因によって生じています:
人口要因:東京都、大阪府、神奈川県など人口の多い都道府県では、救急需要の絶対数が多いため、多数の救急車両が必要となっています。一方、鳥取県、島根県など人口の少ない県では、必要な車両数も相対的に少なくなっています。
地理的要因:北海道のように広大な面積を持つ地域では、遠隔地への救急対応のため、人口比を上回る救急車両の配備が必要となっています。逆に、香川県のようにコンパクトな県域では、効率的な配置により少ない台数でも対応可能となっています。
都市化の程度:都市部では救急需要が集中し、交通渋滞なども考慮した車両配備が必要となる一方、地方部では広域をカバーする必要があり、それぞれ異なる配備戦略が求められています。
高齢化の影響:高齢化率の高い地域では救急搬送需要が増加傾向にあり、将来的な需要増加を見込んだ車両配備が重要となっています。
統計データの基本情報と分析
統計的特徴の分析
平均値と中央値:全国平均は約131台、中央値は約94台となっており、平均値が中央値を上回っていることから、上位県の値が分布を押し上げている正の歪みを示しています。
分布の特徴:最大値435台(北海道)と最小値34台(鳥取県)の間には約12.8倍の格差があり、都道府県間の差が大きいことを示しています。
上位県の集中:偏差値70以上の都道府県は4県のみであり、これらが全体の分布を大きく引き上げています。北海道、東京都、神奈川県、大阪府がこれに該当し、いずれも人口規模や地理的条件が特殊な地域です。
下位県の分布:偏差値45未満の都道府県は17県あり、全体の約36%を占めています。これらの多くは人口規模の小さい県や地方部の県となっています。
地域格差の要因:標準偏差は約89台と大きく、都道府県間のばらつきが顕著であることを示しています。これは人口規模、面積、都市化の程度などの多様な要因が影響していることを反映しています。
まとめ
2023年度の都道府県別救急自動車数ランキングでは、北海道が435台で1位、鳥取県が34台で最下位となり、約12.8倍の格差が生じています。上位県は東京都、神奈川県、大阪府など人口密度の高い都市部が占める一方、下位県は人口規模の小さい地方部の県が多くなっています。
この格差は人口規模、地理的条件、都市化の程度など複合的な要因によって生じており、各都道府県の実情に応じた救急体制の整備が重要です。特に高齢化の進展に伴う救急需要の増加や、災害時の対応能力向上など、将来を見据えた救急車両の配備計画が求められています。
また、単純な車両数だけでなく、人口当たりの配備率や地理的条件を考慮した配置効率、救急搬送時間の短縮など、総合的な救急サービスの質の向上が重要な課題となっています。