都道府県別可住地面積率ランキング（2023年度）

2023年度の都道府県別可住地面積率ランキングでは、大阪府が70.0%で全国1位、埼玉県と千葉県が68.5%で2位、東京都が64.9%で4位となっています。最下位は高知県の16.3%で、大阪府との差は約4.3倍にも達します。可住地面積率は総面積に対する可住地面積の割合を示す重要な指標であり、平野部が多い地域では高い値を示し、山岳地帯が多い地域では低い値となっています。この指標は土地利用状況や開発可能性を理解する上で重要な意味を持ち、地域の社会経済構造に大きな影響を与えています。

概要

可住地面積率とは、都道府県の総面積に対する可住地面積の割合を示す指標です。可住地面積は、総面積から森林面積と主要湖沼面積を差し引いた面積であり、人間が居住や経済活動に利用できる土地の広さを表しています。

この指標は、都道府県の土地利用状況や開発可能性を理解する上で重要な指標となります。可住地面積率が高い地域は平野部が多く都市化が進んでいる傾向があり、低い地域は山岳地帯が多いことを示しています。

2023年度のデータによると、全国の可住地面積率は地域によって大きな差があります。大阪府は70.0%で全国で最も高く、関東地方の埼玉県（68.5%）、千葉県（68.5%）、東京都（64.9%）なども高い値を示しています。一方、高知県（16.3%）、島根県（18.9%）、岐阜県（20.8%）などは可住地面積率が低く、山岳地帯が多い地域の特徴を示しています。

可住地面積率の地域差は、主に地形条件によって形成されています。日本は国土の約7割が山地・丘陵地であり、平野部は限られているため、可住地面積率の地域差は大きくなっています。特に関東平野や大阪平野などの広大な平野を有する地域では高い値を示し、日本アルプスや中国山地などの山岳地帯が多い地域では低い値となっています。

この地域間格差は、人口密度や都市化の程度、産業構造など様々な面に影響を与えています。可住地面積率が高い地域では都市機能が集積し、経済活動が活発である一方、低い地域では限られた平地を効率的に活用する必要があります。

上位県と下位県の比較

上位5県の詳細分析

大阪府（70.0%、偏差値72.3）

大阪府は可住地面積率70.0%で全国1位となっています。大阪府の面積のうち約7割が人間の居住や経済活動に利用可能であることを示しています。国内最大の平野である大阪平野を有し、山地が少ないことが高い可住地面積率につながっています。関西地方の経済・文化の中心地として発展し、高度に都市化された地域です。

埼玉県（68.5%、偏差値71.3）

埼玉県は可住地面積率68.5%で全国2位です。関東平野に位置し、比較的平坦な地形が特徴です。首都圏のベッドタウンとして発展し、都市化が進んだ地域です。東京に隣接する立地を活かし、住宅地や工業地帯が広がっています。

千葉県（68.5%、偏差値71.3）

千葉県は可住地面積率68.5%で埼玉県と同率の2位です。関東平野の東部に位置し、房総半島の平野部が広く分布しています。首都圏の重要な構成要素として発展し、成田国際空港や千葉港などの重要なインフラも有しています。

東京都（64.9%、偏差値68.8）

東京都は可住地面積率64.9%で全国4位です。関東平野の中心部に位置し、都市化が最も進んだ地域です。限られた面積を効率的に活用し、高密度な都市機能を維持しています。日本の政治・経済・文化の中心地として、高度な都市機能が集積しています。

茨城県（63.8%、偏差値68.1）

茨城県は可住地面積率63.8%で全国5位です。関東平野の北部に位置し、比較的平坦な地形が広がっています。農業や工業が盛んな地域として発展し、首都圏に近いという立地を活かした産業集積が進んでいます。

下位5県の詳細分析

高知県（16.3%、偏差値35.7）

高知県は可住地面積率16.3%で全国最下位です。四国山地が県土の大部分を占め、人間が居住できる地域が非常に限られています。県の面積のうち約8割以上が森林や湖沼であり、地形的な制約が大きい地域です。太平洋に面した温暖な気候を活かした農業や漁業が盛んです。

島根県（18.9%、偏差値37.5）

島根県は可住地面積率18.9%で全国46位です。中国山地の影響で可住地が限られており、山岳地帯が多い地域です。日本海側の気候と地形の影響を受け、限られた平野部に人口が集中しています。歴史的な文化財も多く、観光資源としても重要な地域です。

岐阜県（20.8%、偏差値38.8）

岐阜県は可住地面積率20.8%で全国45位です。飛騨山脈など険しい山岳地帯が広がっており、可住地が限られています。中部地方の山岳県として知られ、美濃地方の平野部に人口が集中しています。山岳地域の観光資源も豊富です。

山梨県（21.3%、偏差値39.1）

山梨県は可住地面積率21.3%で全国44位です。富士山や南アルプスなどの山々に囲まれた内陸県であり、地形的な制約から居住可能な土地が限られています。甲府盆地を中心に人口が集中し、果樹栽培などの農業が盛んです。

長野県（24.0%、偏差値41.0）

長野県は可住地面積率24.0%で全国41位です。日本アルプスを有する山岳県であり、可住地が限られています。限られた平野部に人口が集中する傾向があり、観光業や農業が重要な産業となっています。冬季スポーツのメッカとしても知られています。

地域別の特徴分析

関東地方

関東地方は埼玉県（68.5%）、千葉県（68.5%）、東京都（64.9%）など高い値を示し、関東平野の広がりを反映しています。茨城県（63.8%）や栃木県（46.9%）も比較的高い値を示しており、関東平野の恩恵を受けています。群馬県（35.7%）は山地の影響でやや低い値となっています。

関東平野は日本最大の平野であり、肥沃な土壌と温暖な気候に恵まれています。首都圏として高度に発達した都市機能を有し、住宅地やオフィス、商業施設などの都市的土地利用が進んでいます。特に東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県（61.0%）は首都圏の核として機能し、高い可住地面積率を有しています。

関西地方

関西地方では大阪府（70.0%）が全国で最も高く、近畿平野の中心部として発展しています。兵庫県（33.0%）は山地の影響で比較的低い値となっています。京都府（25.5%）や奈良県（23.1%）は山地が多いため低い値となっています。

大阪府は関西地方の経済・文化の中心地として、高度に都市化された地域です。京都府は歴史的な都市として古くからの都市機能と農村地域が共存しています。兵庫県は播磨平野や但馬地方など多様な地形を有し、農業と工業がバランスよく発達しています。

中部地方

中部地方では愛知県（57.9%）が比較的高い値を示していますが、山梨県（21.3%）、長野県（24.0%）、岐阜県（20.8%）など山岳地帯の影響で低い値が多いです。静岡県（35.7%）や富山県（43.4%）は中間的な値を示しています。

愛知県は濃尾平野を中心に工業地帯と農業地帯がバランスよく分布しています。山梨県や長野県は盆地を中心に居住地が集中し、果樹栽培などの集約的な農業が行われています。岐阜県は美濃地方の平野部と飛騨地方の山岳部が対照的な地形となっています。

九州・沖縄地方

九州・沖縄地方では福岡県（55.4%）や佐賀県（54.7%）が比較的高く、沖縄県（49.3%）も高い値を示しています。長崎県（40.4%）や熊本県（37.1%）は中間的な値です。宮崎県（24.2%）は山地の影響でやや低い値となっています。

福岡県は筑紫平野を中心に都市機能と農業地域が共存しています。佐賀県は有明海に面した平野部が広がり、農業が盛んです。沖縄県は島嶼地域であり、限られた土地を観光業や農業に活用しています。鹿児島県（35.8%）は薩摩半島や大隅半島など広大な地域を有しています。

中国・四国地方

中国・四国地方では香川県（53.5%）が高い一方、高知県（16.3%）、島根県（18.9%）は全国でも特に低い値です。岡山県（31.3%）や広島県（27.1%）は中間的な値を示しています。徳島県（24.5%）も山地の影響で低い値となっています。

香川県は讃岐平野を中心に集約的な農業が行われています。高知県は四国山地が県土の大部分を占め、太平洋に面した温暖な気候を活かした農業や漁業が盛んです。島根県は中国山地の影響で可住地が限られています。広島県は太田川デルタを中心に都市機能が集中しています。

東北・北海道地方

東北・北海道地方では宮城県（43.7%）が比較的高いものの、岩手県（24.6%）など山地の多い県は低い値となっています。北海道（28.9%）は全国平均に近い値ですが、広大な面積の中で地域差が大きいです。青森県（33.7%）や秋田県（27.8%）は中間的な値を示しています。

宮城県は仙台平野を有し、東北地方の中心都市として発展しています。岩手県は北上川流域を中心に広大な平野部を有していますが、県土の大部分は山地です。北海道は広大な面積を有し、石狩平野や十勝平野などの広大な平野部がありますが、山岳地帯も多いため可住地面積率は全国平均に近い値となっています。

社会的・経済的影響

可住地面積率の格差は、地域の社会経済構造に大きな影響を与えています。最高の大阪府（70.0%）と最低の高知県（16.3%）では約4.3倍の開きがあり、この格差は自然地理的条件に起因するものです。

可住地面積率が低い地域では、限られた平地を効率的に活用する必要があります。一方、可住地面積率が高い地域でも、都市化の進展による緑地の減少や生態系への影響が課題となっています。

対策と今後の展望

持続可能な土地利用のためには、地域の特性に応じたバランスの取れた開発と保全が求められます。可住地面積率が低い地域では、限られた土地資源の効率的活用と、山岳地域の特性を活かした産業振興が重要です。

可住地面積率が高い地域では、都市化の進展による環境負荷の軽減と、緑地の保全が課題となっています。地域ごとの可住地面積率の違いを理解することは、地域計画や防災対策、環境保全など様々な政策立案において重要な基礎情報となります。

統計データの基本情報と分析

統計的特徴の分析

2023年度の可住地面積率データを分析すると、全国47都道府県の平均値は約37.5%となっています。中央値はこれよりも低く、データの分布がやや右に偏っていることを示しています。これは、大阪府（70.0%）や埼玉県・千葉県（共に68.5%）など一部の都府県で特に高い値を示していることが影響しています。

標準偏差は大きく、都道府県間のばらつきが大きいことを示しています。四分位範囲（第3四分位数 - 第1四分位数）も広く、中央付近の都道府県でも可住地面積率にかなりの差があることがわかります。

最大値（大阪府の70.0%）と最小値（高知県の16.3%）の差は53.7ポイントと非常に大きく、日本の地形の多様性を反映しています。

偏差値による分析

偏差値70以上の都道府県は大阪府（72.3）、埼玉県（71.3）、千葉県（71.3）の3都府県です。これらは全国平均を大きく上回る可住地面積率を持っています。

逆に偏差値40以下の都道府県は高知県（35.7）、島根県（37.5）、岐阜県（38.8）、山梨県（39.1）の4県であり、これらは可住地面積率が全国平均を大きく下回っています。

まとめ

可住地面積率は、都道府県の地形的特徴を反映する重要な指標です。大阪府や埼玉県など平野部が多い地域では高い値を示し、高知県や島根県など山岳地帯が多い地域では低い値となっています。

この指標は単に土地の利用可能性を示すだけでなく、人口分布や都市化の程度、自然環境の保全状況など、多くの社会経済的要素と関連しています。日本全体では国土の約3〜4割が可住地であり、限られた土地資源をいかに効率的かつ持続可能な方法で活用していくかが今後の課題となっています。

地域ごとの可住地面積率の違いを理解することは、地域計画や防災対策、環境保全など様々な政策立案において重要な基礎情報となります。特に人口減少社会において、限られた可住地をどのように活用していくかは、今後の日本の国土計画における重要なテーマとなるでしょう。