2020年度の都道府県別労働力人口ランキングでは、東京都が6,187,583人で全国1位、鳥取県が279,059人で最下位となっています。両県の差は約22倍にも達し、大都市圏への労働力集中が顕著に現れています。労働力人口は地域の経済活力を示す重要な指標として、産業構造や人口分布と密接に関連しています。
概要
労働力人口は、15歳以上の人口のうち、就業者と完全失業者を合わせた人数を指します。この統計は地域の経済活力や雇用状況を把握する重要な指標として位置づけられています。2020年度のデータを基に、全国47都道府県の状況を詳しく分析します。
労働力人口は総人口規模や産業構造、高齢化率などによって大きく異なり、大都市圏に集中する傾向があります。特に東京都を中心とする首都圏、大阪府・兵庫県を中心とする関西圏、愛知県を中心とする中部圏では労働力人口が多く、地方県では相対的に少なくなっています。
全国的な傾向を見ると、大都市圏では多様な産業が集積し、高度な専門人材から単純労働まで幅広い雇用機会が存在します。一方、地方県では人口減少や高齢化の影響により、労働力人口の減少が課題となっています。
ランキング表示
地図データを読み込み中...
上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
東京都(6,187,583人、偏差値89.4)
東京都が全国で最も多い6,187,583人(偏差値89.4)を記録しています。日本の首都として多様な産業が集積し、全国から労働力が流入しています。特に金融・情報通信・サービス業などの第三次産業が発達しており、高度専門人材の集積地となっています。東京都では国際的な企業の本社機能や研究開発拠点が多く立地しており、高付加価値な雇用機会を創出しています。
神奈川県(4,311,871人、偏差値74.3)
神奈川県は4,311,871人(偏差値74.3)で2位となっています。横浜・川崎を中心に製造業や港湾関連産業が発達し、また東京のベッドタウンとして多くの労働者が居住しています。神奈川県では研究開発拠点も多く立地しており、自動車産業や電機産業を中心とした製造業が盛んです。また、横浜港を中心とした物流業も発達しており、多様な雇用機会を提供しています。
大阪府(3,808,303人、偏差値70.3)
大阪府は3,808,303人(偏差値70.3)で3位です。関西経済の中心として、製造業からサービス業まで幅広い産業が存在します。大阪府では中小企業が多く、多様な雇用機会を提供しています。特に商業・サービス業が発達しており、関西地方の経済活動の中心として機能しています。また、大阪市を中心とした都市機能の集積により、第三次産業の雇用が多く創出されています。
愛知県(3,728,752人、偏差値69.7)
愛知県は3,728,752人(偏差値69.7)で4位となっています。自動車産業を中心とした製造業が盛んで、関連企業の集積により安定した雇用を創出しています。愛知県では名古屋市を中心に商業・サービス業も発展しており、中部地方の経済活動の中心として機能しています。特にトヨタ自動車を中心とした自動車産業の集積により、製造業の雇用が多く創出されています。
埼玉県(3,526,653人、偏差値68.0)
埼玉県は3,526,653人(偏差値68.0)で5位です。東京都に隣接するベッドタウンとしての性格が強く、多くの住民が東京都内に通勤しています。埼玉県では県内にも製造業や物流業などの産業基盤があり、特にさいたま市を中心とした都市機能の集積により、第三次産業の雇用も多く創出されています。また、新幹線や高速道路の交通インフラが整備されており、物流業も発達しています。
下位5県の詳細分析
鳥取県(279,059人、偏差値42.0)
鳥取県が最も少ない279,059人(偏差値42.0)となっています。人口が最も少ない県であり、労働力人口も全国で最も少なくなっています。鳥取県では第一次産業の比率が比較的高く、若年層の県外流出が課題となっています。地域の産業基盤が限定的であり、雇用機会の創出が重要な課題となっています。
高知県(321,639人、偏差値42.4)
高知県は321,639人(偏差値42.4)で46位です。中山間地域が多く、第一次産業の比率が高い一方で、若年層の流出により労働力人口が減少しています。高知県では観光業や林業などの地域資源を活用した産業振興が進められていますが、雇用機会の創出が課題となっています。
島根県(341,878人、偏差値42.5)
島根県は341,878人(偏差値42.5)で45位となっています。高齢化率が高く、労働力人口が少なくなっています。島根県では製造業や観光業の振興による雇用創出に取り組んでいますが、人口減少の影響により労働力人口の確保が課題となっています。
徳島県(342,700人、偏差値42.5)
徳島県は342,700人(偏差値42.5)で44位です。四国の中でも労働力人口が少なく、高齢化と人口減少が進行しています。徳島県ではIT産業の誘致など新たな雇用創出に取り組んでいますが、地域の産業基盤の強化が課題となっています。
福井県(407,466人、偏差値43.0)
福井県は407,466人(偏差値43.0)で43位となっています。製造業の比率が高いものの、若年層の流出や高齢化により労働力人口が少なくなっています。福井県では原子力発電所を中心としたエネルギー関連産業も特徴的ですが、地域の産業多様化が課題となっています。
地域別の特徴分析
関東地方
関東地方では東京都(6,187,583人、偏差値89.4)、神奈川県(4,311,871人、偏差値74.3)、埼玉県(3,526,653人、偏差値68.0)、千葉県(2,976,343人、偏差値63.6)など首都圏では労働力人口が多く、特に東京都は全国1位となっています。多様な産業が集積し、高度な専門人材から単純労働まで幅広い雇用機会が存在します。茨城県(1,418,080人、偏差値51.1)、栃木県(965,788人、偏差値47.5)、群馬県(987,514人、偏差値47.7)も比較的労働力人口が多い傾向にあります。
関西地方
関西地方では大阪府(3,808,303人、偏差値70.3)が全国3位、兵庫県(2,476,987人、偏差値59.6)が7位と労働力人口が多くなっています。製造業からサービス業まで幅広い産業が存在しますが、東京一極集中の影響で相対的な地位が低下傾向にあります。京都府(1,132,732人、偏差値48.9)では大学が多く、研究開発人材の集積があります。
中部地方
中部地方では愛知県(3,728,752人、偏差値69.7)が全国4位と労働力人口が多くなっています。自動車産業を中心とした製造業が盛んで、安定した雇用を創出しています。静岡県(1,888,347人、偏差値54.9)や岐阜県(1,006,334人、偏差値47.8)でも製造業を中心に多くの雇用が生まれています。
九州・沖縄地方
九州・沖縄地方では福岡県(2,361,108人、偏差値58.7)が全国9位と労働力人口が多くなっています。九州の経済・文化の中心として、サービス業や情報通信業などの雇用が集中しています。一方で、佐賀県(415,241人、偏差値43.1)、長崎県(642,170人、偏差値44.9)、大分県(542,949人、偏差値44.1)、宮崎県(519,245人、偏差値43.9)などでは第一次産業の比率が高く、若年層の流出が課題となっています。
東北・北海道地方
東北・北海道地方では北海道(2,449,395人、偏差値59.4)が全国8位と労働力人口が多くなっています。広大な面積を持ち、農業や観光業などの特色ある産業が発達しています。東北地方では宮城県(1,130,271人、偏差値48.8)を中心に雇用が集中する傾向があり、青森県(631,696人、偏差値44.8)、岩手県(628,881人、偏差値44.8)、秋田県(483,500人、偏差値43.7)、山形県(559,952人、偏差値44.3)、福島県(909,490人、偏差値47.1)では若年層の流出が課題となっています。
中国・四国地方
中国・四国地方では広島県(1,364,904人、偏差値50.7)が12位と比較的上位に位置していますが、その他の県は中位から下位に分布しています。中国・四国地方は比較的人口が少ない地域が多く、都市部と地方部の格差が顕著に現れています。特に島根県、徳島県、高知県は下位5県に入っており、人口の少なさが影響しています。
社会的・経済的影響
最上位の東京都(6,187,583人)と最下位の鳥取県(279,059人)の間には約22倍の格差があります。この大きな格差は、主に人口規模の違いによるものですが、産業構造や経済活動の違いも影響していると考えられます。
大都市圏では多様な産業が集積し、高度な専門人材から単純労働まで幅広い雇用機会が存在します。一方、地方県では人口減少や高齢化の影響により、労働力人口の減少が課題となっています。この格差は、地域間の経済力の違いや、雇用機会の多寡を反映しており、今後の地域経済を考える上で重要な示唆を与えています。
労働力人口の地域間格差は、産業構造の違いや若年層の大都市圏への流出、高齢化の進行度合いなどによって生じています。特に地方では生産年齢人口の減少により、労働力不足が深刻化しています。
対策と今後の展望
労働力人口の地域間格差を縮小するためには、地方創生の取り組みが重要です。地域の特性を活かした産業育成や、若年層の定着を促進する施策が求められています。また、テレワークの普及により、地方でも都市部の企業に勤務できる可能性が広がっています。
女性や高齢者の労働参加を促進することで、労働力人口の減少に対応することも重要です。多様な働き方を支援する制度の充実により、各地域が持続可能な労働環境を構築していくことが求められています。
また、単純な労働力人口の多寡だけでなく、労働生産性や雇用の質、働き方の多様性なども重要な要素です。地域の特性を活かした産業振興により、質の高い雇用機会を創出することが重要です。
統計データの基本情報と分析
指標 | 値人 |
---|---|
平均値 | 1,275,527 |
中央値 | 769,366 |
最大値 | 6,187,583(東京都) |
最小値 | 279,059(鳥取県) |
標準偏差 | 1,247,751.4 |
データ数 | 47件 |
2020年度の都道府県別労働力人口について統計的に分析すると、全国平均は約1,200万人程度と推定されます。データの分布を見ると、上位県と下位県の間に大きな格差があり、大都市圏の県が上位を占める傾向が明確です。
平均値と中央値を比較すると、平均値が中央値を上回っており、上位県の影響で分布が右に歪んでいることが分かります。これは東京都や神奈川県などの上位県が平均値を引き上げていることを反映しています。
標準偏差が大きく、都道府県間のばらつきが顕著であることが分かります。これは主に人口規模の違いによるものですが、産業構造や経済活動の違いも影響していると考えられます。
偏差値を見ると、東京都の89.4が突出して高く、続く神奈川県の74.3との間にも差があります。一方、下位県は軒並み偏差値が43前後に集中しており、人口の少ない地方県の特徴を示しています。
四分位範囲を分析すると、上位25%の県と下位25%の県の間に大きな格差があることが分かります。これは大都市圏と地方部の経済活動の違いを反映しており、地域間格差の実態を明確に示しています。
まとめ
2020年度の都道府県別労働力人口ランキングでは、大都市圏の県が上位を占める結果となりました。東京都、神奈川県、大阪府、愛知県、埼玉県が上位5県となり、これらの県では多様な産業が集積し、幅広い雇用機会を提供しています。
一方、鳥取県、高知県、島根県、徳島県、福井県などの人口の少ない地方県では相対的に数値が低くなっています。この結果は、労働力人口が人口規模と密接に関連していることを示しており、今後の地域経済施策を考える上で重要な基礎データとなります。
地域間の格差は、産業構造や経済活動の違いを反映しており、それぞれの地域特性を踏まえた適切な経済施策の推進が求められています。大都市圏では産業の多様化や高度化、地方部では地域特性を活かした産業振興が重要です。
各都道府県においては、それぞれの地域特性を踏まえた適切な経済施策の推進が求められています。全国的な標準化と地域特性を踏まえた柔軟な対応の両立により、持続可能な地域経済の構築が重要です。
順位↓ | 都道府県 | 値 (人) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 東京都 | 6,187,583 | 89.4 | +1.5% |
2 | 神奈川県 | 4,311,871 | 74.3 | +0.5% |
3 | 大阪府 | 3,808,303 | 70.3 | -4.5% |
4 | 愛知県 | 3,728,752 | 69.7 | -1.8% |
5 | 埼玉県 | 3,526,653 | 68.0 | -3.1% |
6 | 千葉県 | 2,976,343 | 63.6 | -0.9% |
7 | 兵庫県 | 2,476,987 | 59.6 | -3.3% |
8 | 北海道 | 2,449,395 | 59.4 | -4.1% |
9 | 福岡県 | 2,361,108 | 58.7 | -0.8% |
10 | 静岡県 | 1,888,347 | 54.9 | -2.8% |
11 | 茨城県 | 1,418,080 | 51.1 | -3.3% |
12 | 広島県 | 1,364,904 | 50.7 | -1.7% |
13 | 京都府 | 1,132,732 | 48.9 | -9.2% |
14 | 宮城県 | 1,130,271 | 48.8 | -0.3% |
15 | 新潟県 | 1,125,401 | 48.8 | -5.0% |
16 | 長野県 | 1,069,616 | 48.3 | -3.5% |
17 | 岐阜県 | 1,006,334 | 47.8 | -4.3% |
18 | 群馬県 | 987,514 | 47.7 | -2.1% |
19 | 栃木県 | 965,788 | 47.5 | -4.1% |
20 | 福島県 | 909,490 | 47.1 | -5.7% |
21 | 岡山県 | 900,627 | 47.0 | -4.1% |
22 | 三重県 | 872,958 | 46.8 | -3.4% |
23 | 熊本県 | 852,575 | 46.6 | -2.4% |
24 | 鹿児島県 | 769,366 | 45.9 | -2.8% |
25 | 滋賀県 | 689,843 | 45.3 | -1.8% |
26 | 山口県 | 642,978 | 44.9 | -4.3% |
27 | 長崎県 | 642,170 | 44.9 | -4.7% |
28 | 青森県 | 631,696 | 44.8 | -4.5% |
29 | 岩手県 | 628,881 | 44.8 | -5.1% |
30 | 愛媛県 | 624,645 | 44.8 | -7.1% |
31 | 沖縄県 | 611,102 | 44.7 | -2.9% |
32 | 奈良県 | 598,156 | 44.6 | -3.7% |
33 | 石川県 | 579,751 | 44.4 | -2.2% |
34 | 山形県 | 559,952 | 44.3 | -4.0% |
35 | 富山県 | 545,680 | 44.2 | -1.9% |
36 | 大分県 | 542,949 | 44.1 | -5.1% |
37 | 宮崎県 | 519,245 | 43.9 | -4.6% |
38 | 秋田県 | 483,500 | 43.7 | -4.2% |
39 | 香川県 | 459,289 | 43.5 | -2.6% |
40 | 和歌山県 | 446,046 | 43.4 | -4.3% |
41 | 佐賀県 | 415,241 | 43.1 | -3.0% |
42 | 山梨県 | 414,903 | 43.1 | -3.0% |
43 | 福井県 | 407,466 | 43.0 | -1.3% |
44 | 徳島県 | 342,700 | 42.5 | -5.1% |
45 | 島根県 | 341,878 | 42.5 | -3.2% |
46 | 高知県 | 321,639 | 42.4 | -5.4% |
47 | 鳥取県 | 279,059 | 42.0 | -4.5% |