都道府県別労働組合員数ランキング(2023年度)
概要
労働組合員数とは、各都道府県における労働組合に加入している労働者の総数を示す指標です。この指標は、地域の労働環境や労働者の権利意識、産業構造などを反映しています。2023年度のデータによると、大都市圏や工業地帯で多く、人口規模の小さい地方県で少ない傾向が見られます。また、産業構造や企業規模、公務員比率なども組合員数に影響を与えています。
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上位県と下位県の比較
上位5県と下位5県の詳細説明
上位5県
1位は東京都で2,429,062人(偏差値110.4)と全国で最も多い労働組合員数を示しています。東京都は企業数が多く、特に大企業や官公庁が集中していることが主な要因です。また、多様な産業が集積しており、組合活動も活発な地域です。
2位は愛知県で791,853人(偏差値65.8)となっています。愛知県は自動車産業を中心とした製造業が盛んで、トヨタ自動車をはじめとする大企業の労働組合が強いことが背景にあります。製造業は伝統的に組織率が高い産業であり、これが組合員数の多さにつながっています。
3位は大阪府で694,625人(偏差値63.2)です。大阪府も企業数が多く、製造業やサービス業など多様な産業が集積していることが特徴です。関西地方の経済中心地として、労働組合の活動も活発です。
4位は神奈川県で570,315人(偏差値59.8)、5位は千葉県で397,112人(偏差値55.1)となっています。両県とも首都圏に位置し、多くの企業や工場が立地していることが組合員数の多さにつながっています。特に神奈川県は京浜工業地帯を抱え、製造業の労働組合が強い地域です。千葉県も京葉工業地帯があり、製造業や公務員の組合が多く存在しています。
下位5県
47位は鳥取県で31,455人(偏差値45.1)と最も少ない労働組合員数となっています。鳥取県は人口規模が小さく、大企業や製造業の集積が少ないことが主な要因です。また、第一次産業や小規模事業所の比率が高く、これらの分野は組織率が低い傾向があります。
46位は高知県で31,640人(偏差値45.1)です。高知県も第一次産業や小規模事業所の比率が高く、労働組合の組織化が進みにくい産業構造を持っています。
45位は山梨県で39,890人(偏差値45.4)、44位は島根県で41,408人(偏差値45.4)となっています。これらの県も人口規模が小さく、大企業の立地が少ないことが組合員数の少なさにつながっています。
43位は奈良県で47,096人(偏差値45.6)となっています。奈良県は大阪府のベッドタウンとしての性格が強く、県内の産業基盤が弱いことが特徴です。多くの労働者が県外で就業しており、県内の組合員数が少なくなっています。
地域別の特徴分析
大都市圏の多さ
東京都(2,429,062人)、愛知県(791,853人)、大阪府(694,625人)、神奈川県(570,315人)、千葉県(397,112人)など、大都市圏では労働組合員数が多い傾向にあります。これらの地域は企業数が多く、特に大企業や官公庁が集中していることが特徴です。また、製造業やサービス業など多様な産業が集積しており、組合活動も活発です。
工業地帯の特徴
愛知県(791,853人)、神奈川県(570,315人)、静岡県(283,023人)、兵庫県(347,081人)など、製造業が盛んな地域でも労働組合員数が多い傾向が見られます。製造業は伝統的に組織率が高い産業であり、大規模な工場が多い地域では組合員数も多くなります。
地方県の状況
鳥取県(31,455人)、高知県(31,640人)、山梨県(39,890人)、島根県(41,408人)など、人口規模の小さい地方県では労働組合員数が少ない傾向にあります。これらの地域は大企業の立地が少なく、第一次産業や小規模事業所の比率が高いことが特徴です。また、若年層の流出により労働力人口自体が減少していることも影響しています。
格差や課題の考察
産業構造と組合員数
製造業や公務員が多い地域では労働組合員数が多く、第一次産業やサービス業、小規模事業所が中心の地域では少ない傾向があります。製造業や公務員は伝統的に組織率が高く、サービス業や非正規雇用が増加している地域では組織率が低下しやすいという特徴があります。
企業規模と組織率
大企業が多い地域では労働組合の組織率が高く、中小企業や個人事業主が多い地域では低い傾向があります。大企業では労働組合の設立や運営がしやすい環境があり、中小企業では組織化が進みにくいという課題があります。
非正規雇用の増加と組織率低下
全国的に非正規雇用が増加する中、労働組合の組織率は低下傾向にあります。特に、サービス業や小売業が中心の地域では非正規雇用の比率が高く、組織率の低下が顕著です。非正規雇用労働者の組織化は労働組合の大きな課題となっています。
統計データの基本情報と分析
統計的分析
全国の労働組合員数の平均値は約193,000人、中央値は約75,000人と大きく乖離しており、分布が非常に偏っていることがわかります。特に、東京都の2,429,062人が平均値を大きく引き上げています。
最大値(東京都の2,429,062人)と最小値(鳥取県の31,455人)の差は2,397,607人と非常に大きく、都道府県間の格差は顕著です。
標準偏差は約353,000人で、データのばらつきは非常に大きいと言えます。特に、上位の東京都、愛知県、大阪府、神奈川県は他の道府県と比べて突出して高い値を示しています。
四分位範囲を見ると、上位25%の都道府県は約167,000人以上、下位25%の都道府県は約53,000人以下となっており、中間50%の都道府県は比較的近い値に集中しています。これは、極端に高い一部の都道府県と、極端に低い一部の都道府県を除けば、多くの都道府県が似通った状況にあることを示しています。
まとめ
2023年度の労働組合員数は、東京都が2,429,062人で全国1位、愛知県が791,853人で2位、大阪府が694,625人で3位となりました。一方で、鳥取県が31,455人で全国47位、高知県が31,640人で46位、山梨県が39,890人で45位となっています。
この指標は、地域の労働環境や産業構造、労働者の権利意識を反映しており、大都市圏や工業地帯で多く、人口規模の小さい地方県で少ない傾向が明確に表れています。労働組合は労働条件の改善や労働者の権利保護に重要な役割を果たしており、組織率の低下は労働者の交渉力低下につながる懸念があります。非正規雇用の増加や産業構造の変化に対応した組織化の取り組みが求められています。