2022年度の主要道路舗装率は、佐賀県・宮崎県・鹿児島県が100.0%(偏差値61.7)で全国1位、岩手県が92.0%(偏差値16.4)で最下位となりました。最も高い県と低い県では8.0ポイントもの差があり、地域間格差が顕著に現れています。道路舗装率は地域の交通利便性や経済発展に直結する重要な指標で、住民の生活水準を左右します。
概要
主要道路舗装率とは、国道・都道府県道・市町村道のうち舗装済みの道路の割合を示す指標です。この指標が重要である理由は、舗装により事故率低下や快適な走行を実現する交通安全性の向上、物流コストの削減や企業誘致に影響する経済活動の効率化、通勤・通学・医療アクセスの改善による住民の生活品質向上があります。
都市部では人口密度の高さにより道路整備への投資効果が高く、経済活動の活発さが舗装需要を促進し、平野部が多いため舗装工事コストが相対的に低いという特徴があります。一方、地方部では広大な面積と人口密度の低さにより、舗装率が低くなる傾向があります。
全国平均は97.5%で、多くの県が95%以上を達成しています。しかし東北地方を中心に95%を下回る県があり、地域格差が課題となっています。特に積雪寒冷地では舗装材料や工法の工夫が必要で、地理的条件が舗装率に大きく影響しています。
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上位5県の詳細分析
佐賀県(1位)
佐賀県が100.0%(偏差値61.7)で全国1位を達成しています。コンパクトな県土を活かした効率的な道路整備が特徴です。平坦な地形による工事コストの低減が実現し、九州地方の交通拠点としての役割を果たしています。産業誘致に向けた積極的な投資により、完全舗装を実現しています。
宮崎県(1位)
宮崎県が100.0%(偏差値61.7)で同率1位を達成しています。観光業と農業を支える道路網の充実が背景にあります。観光地アクセス改善への継続的投資により、農産物輸送における物流効率化を実現しています。災害に強い道路網の整備推進により、地域の安全性向上に貢献しています。
鹿児島県(1位)
鹿児島県が100.0%(偏差値61.7)で同率1位を達成しています。離島を含む県全体での道路整備が評価されています。島嶼部を含む総合的な道路計画により、観光・農業振興に向けたインフラ投資を実現しています。防災対策としての道路機能強化により、地域の安全性向上に貢献しています。
千葉県(5位)
千葉県が99.9%(偏差値61.2)で5位となっています。首都圏の一部として高い舗装率を維持しています。首都圏ベッドタウンとしての需要に対応し、物流拠点としての道路網充実を実現しています。継続的な道路メンテナンス体制により、高品質な交通インフラを維持しています。
熊本県(7位)
熊本県が99.6%(偏差値59.5)で7位となっています。九州地方の中核として、効率的な道路整備を実現しています。県内の主要都市間を結ぶ道路網の充実により、地域経済の活性化に貢献しています。継続的な舗装工事の実施により、高水準の道路品質を維持しています。
下位5県の詳細分析
福井県(43位)
福井県が96.0%(偏差値39.1)で43位となっています。山間部の道路舗装に課題があります。積雪地域特有の舗装材料・工法の必要性により、人口密度の低い地域での投資効率が課題となっています。維持管理コストの増大により、舗装率の向上が困難な状況です。
富山県(44位)
富山県が95.3%(偏差値35.1)で44位となっています。豪雪地域における舗装の困難さが影響しています。厳しい気象条件による舗装劣化により、山間部の地形的制約が舗装率向上の障害となっています。除雪作業による路面への影響により、舗装の維持が困難な状況です。
青森県(45位)
青森県が94.5%(偏差値30.6)で45位となっています。寒冷地特有の課題が舗装率に影響しています。凍結融解による路面損傷により、過疎地域での舗装優先度の課題が発生しています。予算制約による整備の遅れにより、舗装率の向上が困難な状況です。
山形県(46位)
山形県が93.5%(偏差値24.9)で46位となっています。積雪と地形が舗装率の向上を困難にしています。山間部の未舗装区間の存在により、冬季の厳しい環境による制約が舗装工事に影響しています。効果的な舗装技術の導入必要性により、地域特性に応じた工法の開発が求められています。
岩手県(47位)
岩手県が92.0%(偏差値16.4)で最下位となっています。広大な県土と地理的条件が課題となっています。県土面積の広さによる整備の困難により、東日本大震災復興事業の影響が舗装率に反映されています。限られた予算での優先順位付けにより、舗装率の向上が課題となっています。
地域別の特徴分析
北海道・東北地方
東北地方は全般的に舗装率が低い傾向にあります。岩手県92.0%、山形県93.5%、青森県94.5%が下位に集中しています。積雪寒冷地特有の課題と広大な面積が影響しており、舗装材料や工法の工夫が必要です。宮城県99.2%は比較的高水準を維持していますが、地域内での格差が顕著です。
関東地方
関東地方は比較的高い水準を維持しています。千葉県99.9%が5位に入り、首都圏全体で道路インフラが整備されています。人口密度が高く投資効率が良いことが背景にあり、埼玉県99.2%、東京都98.5%も高水準を維持しています。
中部地方
中部地方では地域格差が顕著です。平野部では高い水準を保つ一方、富山県95.3%、福井県96.0%など日本海側で課題が見られます。豪雪地域特有の困難さが影響しており、石川県99.0%は比較的高水準を維持しています。
関西地方
関西地方は概ね良好な水準を保っています。都市部を中心とした効率的な道路整備により、全体的に95%以上を達成している県が多数です。大阪府99.6%、京都府98.3%など、都市機能を支える道路インフラが充実しています。
中国・四国地方
四国地方では高知県100.0%が全国トップクラスを達成しています。コンパクトな県土を活かした効率的な整備が特徴的です。中国地方も概ね良好な水準を維持しており、鳥取県99.3%、島根県99.1%など高水準を維持しています。
九州・沖縄地方
九州地方は全国でも最高水準の地域です。佐賀県100.0%、宮崎県100.0%、鹿児島県100.0%が同率1位を達成しており、地域全体での道路整備が進んでいます。熊本県99.6%、大分県99.2%、沖縄県99.5%も高水準を維持しています。
社会的・経済的影響
最上位の100.0%と最下位の岩手県92.0%では8.0ポイントの格差があります。この差は地域住民の生活に大きな影響を与えています。舗装率の低い地域では、未舗装道路による輸送効率の低下により物流コストの増加が発生しています。アクセス性の悪さによる投資敬遠により企業誘致の困難が生じ、緊急時の搬送時間延長により救急医療への影響が発生しています。
逆に舗装率の高い地域では、快適なアクセスによる来訪者増加により観光業の振興が実現しています。日常生活の利便性向上により住民満足度の向上が達成され、効率的な物流による競争力強化により地域経済の活性化が実現しています。
対策と今後の展望
下位県では地域特性に応じた舗装技術の導入が進んでいます。寒冷地舗装や透水性舗装など、気候条件に適した工法の採用により改善が期待されます。成功事例として佐賀県の取り組みが注目されています。県全体での計画的な整備と効率的な予算配分により、完全舗装を実現しました。この手法は他県でも参考にされています。
今後の課題は維持管理体制の強化です。舗装後の適切なメンテナンスにより、長期的な品質維持が重要になっています。地域間格差の是正に向けて、各地域の特性に応じた舗装技術の開発と導入が求められています。
指標 | 値% |
---|---|
平均値 | 97.9 |
中央値 | 98.3 |
最大値 | 100(高知県) |
最小値 | 92(岩手県) |
標準偏差 | 1.8 |
データ数 | 47件 |
統計データの特徴分析
全国平均97.5%と中央値の比較から、全体的に高い水準にあることがわかります。しかし標準偏差から、地域間でのばらつきが存在することも明らかです。分布の特徴として、100%を達成した県が3県ある一方で、95%未満の県も3県存在します。この二極化が地域格差の要因となっています。
四分位範囲の分析では、上位25%の県は99%以上を達成している一方、下位25%では96%台に留まっています。この差が地域間の利便性格差につながっています。偏差値の分布では、佐賀県・宮崎県・鹿児島県(61.7)が突出している一方、岩手県(16.4)など下位県との格差が顕著で、地理的・社会的要因の影響が数値に明確に反映されています。
まとめ
2022年度の主要道路舗装率分析から、九州・四国地方で高い舗装率を達成し、東北地方で舗装率の課題が集中していることが明らかになりました。気候条件が舗装率に大きく影響し、計画的整備により完全舗装が実現可能であることが示されています。地域格差是正が今後の重要課題となり、維持管理体制の強化が必要です。
今後は各地域の特性に応じた舗装技術の導入と、効率的な予算配分による格差是正が期待されます。継続的なデータ分析により、より効果的な道路整備政策の立案が重要です。住民の生活品質向上と地域経済発展のため、全国的な舗装率向上への取り組みを強化する必要があります。
順位↓ | 都道府県 | 値 (%) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 高知県 | 100.0 | 61.7 | +0.1% |
2 | 佐賀県 | 100.0 | 61.7 | - |
3 | 宮崎県 | 100.0 | 61.7 | - |
4 | 鹿児島県 | 100.0 | 61.7 | - |
5 | 千葉県 | 99.9 | 61.2 | - |
6 | 香川県 | 99.9 | 61.2 | - |
7 | 大阪府 | 99.6 | 59.5 | - |
8 | 熊本県 | 99.6 | 59.5 | - |
9 | 沖縄県 | 99.5 | 58.9 | - |
10 | 愛知県 | 99.4 | 58.3 | - |
11 | 広島県 | 99.4 | 58.3 | - |
12 | 鳥取県 | 99.3 | 57.8 | - |
13 | 宮城県 | 99.2 | 57.2 | - |
14 | 埼玉県 | 99.2 | 57.2 | - |
15 | 大分県 | 99.2 | 57.2 | - |
16 | 島根県 | 99.1 | 56.6 | - |
17 | 茨城県 | 99.0 | 56.1 | -0.1% |
18 | 石川県 | 99.0 | 56.1 | - |
19 | 山口県 | 98.9 | 55.5 | - |
20 | 岡山県 | 98.8 | 54.9 | +0.1% |
21 | 福岡県 | 98.7 | 54.4 | - |
22 | 東京都 | 98.5 | 53.2 | +0.1% |
23 | 静岡県 | 98.3 | 52.1 | - |
24 | 京都府 | 98.3 | 52.1 | - |
25 | 長野県 | 98.2 | 51.5 | - |
26 | 滋賀県 | 98.2 | 51.5 | - |
27 | 徳島県 | 98.0 | 50.4 | - |
28 | 秋田県 | 97.6 | 48.1 | - |
29 | 新潟県 | 97.6 | 48.1 | +0.1% |
30 | 奈良県 | 97.6 | 48.1 | - |
31 | 群馬県 | 97.4 | 47.0 | - |
32 | 栃木県 | 97.3 | 46.4 | +0.1% |
33 | 福島県 | 97.2 | 45.9 | - |
34 | 岐阜県 | 97.2 | 45.9 | - |
35 | 長崎県 | 97.1 | 45.3 | - |
36 | 神奈川県 | 96.8 | 43.6 | - |
37 | 山梨県 | 96.8 | 43.6 | - |
38 | 三重県 | 96.7 | 43.0 | - |
39 | 和歌山県 | 96.5 | 41.9 | +0.1% |
40 | 北海道 | 96.2 | 40.2 | - |
41 | 兵庫県 | 96.1 | 39.6 | +0.1% |
42 | 愛媛県 | 96.1 | 39.6 | - |
43 | 福井県 | 96.0 | 39.1 | - |
44 | 富山県 | 95.3 | 35.1 | +0.1% |
45 | 青森県 | 94.5 | 30.6 | - |
46 | 山形県 | 93.5 | 24.9 | - |
47 | 岩手県 | 92.0 | 16.4 | +0.2% |