都道府県別年齢中位数ランキング(2020年度)
概要
年齢中位数とは、人口を年齢順に並べたときに、ちょうど中央に位置する年齢のことです。この記事では、2020年度の都道府県別年齢中位数のランキングを紹介します。
年齢中位数は、人口の年齢構成を端的に表す指標であり、高齢化の進行度や地域の人口構造を把握する上で重要です。この値が高いほど、相対的に高齢者の割合が多く、若年層が少ないことを意味します。
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上位県と下位県の比較
年齢中位数が高い上位5県
2020年度の年齢中位数ランキングでは、秋田県が56.6歳(偏差値77.2)で全国1位となりました。秋田県は若年層の流出が続き、出生率も低いことから、人口の年齢構成が高齢化しています。
2位は高知県で53.6歳(偏差値64.4)、3位は青森県で53.5歳(偏差値64.0)、4位タイは岩手県と山形県で53.0歳(偏差値61.8)となっています。上位県には東北地方や中山間地域を多く抱える地方県が目立ちます。
年齢中位数が低い下位5県
最も年齢中位数が低かったのは沖縄県で44.0歳(偏差値23.5)でした。沖縄県は出生率が高く、若年層の割合が多いことから、相対的に年齢中位数が低くなっています。
46位は東京都で45.3歳(偏差値29.0)、45位は愛知県で46.4歳(偏差値33.7)、44位は滋賀県で46.8歳(偏差値35.4)、43位は神奈川県と福岡県で同率47.4歳(偏差値38.0)となっています。下位県には三大都市圏の都府県が多く、若年層の流入や生産年齢人口の集中により、相対的に年齢中位数が低くなっています。
地域別の特徴分析
東北地方の高い年齢中位数
東北地方は全体的に年齢中位数が高く、秋田県(1位、56.6歳)をはじめ、青森県(3位、53.5歳)、岩手県(4位、53.0歳)、山形県(4位、53.0歳)と上位を占めています。福島県(14位、51.7歳)と宮城県(38位、48.3歳)は比較的低いものの、地方全体としては高齢化が進んでいます。これらの地域では、若年層の流出が続き、出生率も低いことから、人口の年齢構成が高齢化しています。
中国・四国地方の高齢化
中国・四国地方も年齢中位数が高く、徳島県(6位、52.9歳)、山口県(7位、52.4歳)、島根県(8位、52.3歳)、和歌山県(8位、52.3歳)が上位に位置しています。これらの地域は中山間地域や過疎地域を多く抱え、若年層の流出が続いていることが高い年齢中位数の要因となっています。
三大都市圏の相対的な若さ
三大都市圏(東京圏、大阪圏、名古屋圏)は相対的に年齢中位数が低く、東京都(46位、45.3歳)、愛知県(45位、46.4歳)、滋賀県(44位、46.8歳)、神奈川県(42位、47.4歳)、大阪府(40位、47.8歳)などが下位に位置しています。これらの地域は、教育機関や雇用機会が多く、若年層の流入が続いていることが要因です。
北海道・北陸地方の状況
北海道(16位、51.4歳)は全国平均よりやや高い年齢中位数を示しています。北陸地方では、新潟県(13位、51.8歳)と富山県(18位、51.1歳)が上位に位置する一方、石川県(35位、49.0歳)や福井県(25位、49.9歳)は中位にあります。
九州地方の多様性
九州地方では、長崎県(10位、52.2歳)や鹿児島県(11位、52.0歳)、愛媛県(11位、52.0歳)が上位にある一方、福岡県(42位、47.4歳)は下位に位置しています。福岡県は九州の中心都市として若年層を集めていることが、相対的に低い年齢中位数の要因です。
沖縄県の特異性
沖縄県(47位、44.0歳)は全国で最も年齢中位数が低く、2位の東京都(45.3歳)との差も1.3歳と大きく、独自の人口構造を持っています。これは、出生率の高さ、若年層の県内定着率の高さなど、複合的な要因によるものです。
年齢中位数の格差がもたらす課題
地域経済への影響
年齢中位数の高い地域では、消費市場の縮小や労働力不足が生じやすく、地域経済の活力低下につながっています。特に中山間地域や過疎地域では、年齢中位数の上昇と人口減少の相乗効果により、地域経済の衰退が加速しています。
社会保障制度の持続可能性
年齢中位数の高い地域では、年金受給者が多く、医療・介護サービスの需要も高い一方、それを支える現役世代が少ないため、社会保障制度の持続可能性に課題を抱えています。
地域コミュニティの変化
年齢中位数の上昇は、地域コミュニティの在り方にも変化をもたらしています。高齢者が多い地域では、地域活動の担い手不足や空き家の増加、公共サービスの縮小などの課題が生じています。
世代間の価値観の相違
年齢中位数の地域差は、世代間の価値観や生活様式の相違を反映しています。年齢中位数の高い地域では伝統的な価値観が強く、低い地域では新しい価値観や多様性が重視される傾向があり、これが地域政策や社会サービスの在り方にも影響を与えています。
統計データの基本情報と分析
統計的特徴の分析
2020年度の都道府県別年齢中位数データを統計的に分析すると、以下のような特徴が見られます:
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平均値と中央値の比較:平均値は約50.1歳、中央値は約50.3歳とほぼ同じ値を示しています。これは、データの分布がほぼ対称的であることを示しています。
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分布の歪み:データは全体としてはほぼ対称的ですが、秋田県(56.6歳)という極端に高い値と、沖縄県(44.0歳)という極端に低い値があります。特に沖縄県は、2位の東京都(45.3歳)との差が1.3歳と大きく、下側の外れ値と考えられます。
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外れ値の特定:秋田県(56.6歳)は上側の外れ値、沖縄県(44.0歳)は下側の外れ値と考えられます。特に秋田県は、2位の高知県(53.6歳)との差が3.0歳と大きく、統計的に見ても特異な値を示しています。
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四分位範囲による分布の特徴:第1四分位数(Q1)は約48.3歳、第3四分位数(Q3)は約52.2歳で、四分位範囲(IQR)は約3.9歳です。これは、中央の50%の都道府県の年齢中位数が48.3歳から52.2歳の間に収まっていることを示しています。
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標準偏差によるばらつき:標準偏差は約2.6歳で、多くの都道府県が平均値から±2.6歳の範囲内に分布していることを示しています。変動係数(標準偏差÷平均値)は約5.2%となり、相対的なばらつきは小さいと言えます。最高値と最低値の差は12.6歳(56.6歳−44.0歳)に達し、地域間の格差が存在することを示しています。
まとめ
2020年度の都道府県別年齢中位数ランキングでは、秋田県が56.6歳で1位、沖縄県が44.0歳で47位となりました。上位には東北地方や中国・四国地方の県が多く、下位には三大都市圏の都府県や沖縄県が位置しています。
年齢中位数の地域差は、若年層の移動パターン、出生率の違い、産業構造の変化など様々な要因によって生じており、この差は地域経済、社会保障制度、地域コミュニティ、世代間の価値観など多方面に影響を与えています。
統計分析からは、都道府県間の年齢中位数に一定のばらつきがあり、最高値と最低値の差は12.6歳に達することがわかります。この地域差は、日本の人口動態の不均衡を示すとともに、地域特性に応じた対策の必要性を物語っています。
高齢化が進む日本において、年齢中位数の上昇への対応は全国共通の課題ですが、その対応策は地域の特性に応じて異なるアプローチが必要です。年齢中位数の高い地方では若年層の定着促進や出生率向上策、都市部では高齢者と若年層の共生環境の整備など、地域の実情に合わせた取り組みが求められています。