都道府県別核家族世帯割合ランキング（2020年度）

2020年度の核家族世帯割合において、奈良県が62.59％で全国1位、東京都が45.72％で最下位となり、16.87ポイントという大きな格差が存在しています。核家族世帯割合とは一般世帯に占める核家族世帯（夫婦のみの世帯、夫婦と未婚の子どもからなる世帯、ひとり親と未婚の子どもからなる世帯）の割合を示す指標です。この指標は地域の家族構成や世帯形態の特徴を反映し、地域の社会構造や生活様式を理解する上で重要な役割を果たしています。

概要

核家族世帯割合は一般世帯に占める核家族世帯の割合を示し、地域の家族構成や世帯形態の特徴を反映する重要な指標です。夫婦のみの世帯、夫婦と未婚の子どもからなる世帯、ひとり親と未婚の子どもからなる世帯が対象となります。

この指標が重要な理由として、地域の社会構造の理解に活用できることがあります。三世代同居文化と核家族化の進行度合いを測定できます。住宅政策の立案では、世帯規模に応じた住宅需要の予測に活用されます。子育て支援政策では、保育所や学童保育の需要予測に役立ちます。高齢者福祉政策では、介護サービスの需要予測に活用されます。

2020年度の全国平均は約55.0％となっています。大都市圏のベッドタウンで高い傾向があり、東北地方や日本海側では三世代同居の文化により低い傾向があります。東京都のように単身世帯が多い地域では相対的に低くなる特徴があります。

上位5県の詳細分析

奈良県（1位）

奈良県は62.59％（偏差値78.8）で全国1位となりました。大阪都市圏のベッドタウンとして発展し、夫婦と子どもからなる世帯が多いことが核家族世帯割合の高さに影響しています。大阪への通勤・通学の利便性の高さと落ち着いた住環境から、核家族世帯が増加しています。

自然環境の良さや教育環境の充実から、子育て世帯の移住先として選ばれる傾向があり、これが核家族世帯の形成に寄与しています。住宅地開発が計画的に進められ、核家族向けの住宅供給が充実しています。

和歌山県（2位）

和歌山県は59.29％（偏差値66.4）で2位となりました。大阪都市圏のベッドタウンとしての性格があり、自然環境の良さや教育環境の充実から子育て世帯の移住先として選ばれています。関西圏へのアクセスの良さから、核家族世帯の居住地として選ばれる傾向があります。

温暖な気候と豊かな自然環境が子育て世帯に魅力的で、核家族世帯の形成が促進されています。住宅価格が大阪府より安価で、広い住宅を確保しやすいことも核家族世帯の増加に寄与しています。

埼玉県（3位）

埼玉県は58.57％（偏差値63.7）で3位となりました。東京のベッドタウンとして発展し、核家族向けの住宅供給が進んだことで、夫婦と子どもからなる世帯が多く形成されました。1970年代以降のニュータウン開発により、核家族世帯が集中して居住する地域が形成されました。

都市化の進展と住宅事情により、核家族世帯の形成が促進されています。東京都への通勤利便性と住宅価格のバランスが良く、子育て世帯に選ばれやすい環境があります。

滋賀県（4位）

滋賀県は57.95％（偏差値61.3）で4位となりました。大阪都市圏や京都府へのアクセスの良さから、ベッドタウンとして発展し、核家族世帯の居住地として選ばれています。琵琶湖周辺の自然環境の良さが子育て世帯に魅力的で、核家族世帯の形成が促進されています。

住宅価格が大阪府や京都府より安価で、広い住宅を確保しやすいことも核家族世帯の増加に寄与しています。教育環境の充実も子育て世帯の移住を促進しています。

群馬県（5位）

群馬県は57.60％（偏差値60.0）で5位となりました。東京圏への通勤圏でありながら住宅価格が比較的安価で、核家族世帯の形成が促進されています。製造業を中心とした産業構造により、若年層の定着率が高く、核家族世帯の形成につながっています。

自然環境の良さと生活コストの安さが子育て世帯に魅力的で、東京圏からの移住者による核家族世帯の増加が見られます。

下位5県の詳細分析

東京都（47位）

東京都は45.72％（偏差値15.2）で最下位となりました。単身世帯の割合が特に高く、これが核家族世帯割合の低さに直接影響しています。若年層の単身者や高齢者の単身世帯が多く、特に都心部では単身世帯が多くを占めています。

高い住宅価格により核家族世帯の形成が困難で、結婚・出産の遅れや単身世帯の継続が核家族世帯割合を押し下げています。多様なライフスタイルの選択肢があることも単身世帯の多さに影響しています。

山形県（46位）

山形県は50.99％（偏差値35.1）で46位となりました。三世代同居の文化が根強く残っており、親と子と孫が同居する伝統的な家族形態が今も多く見られます。豪雪地帯という地理的条件や農業を中心とした産業構造、「家」を重視する価値観などが影響しています。

冬季の生活の安全確保のためにも家族の結束が重視される傾向があり、三世代同居率が全国で最も高い水準にあります。

岩手県（45位）

岩手県は51.34％（偏差値36.4）で45位となりました。三世代同居の文化が残っており、家族内での支え合いが重視される地域特性があります。農業や水産業など第一次産業が中心で、家族経営の事業体が多く、三世代同居が経営上も有利な面があります。

高齢化と若年層の流出が進んでいますが、残った若年層は親世代と同居する傾向があり、これも核家族世帯割合の低さに寄与しています。

宮城県（44位）

宮城県は51.71％（偏差値37.8）で44位となりました。仙台市という大都市を有しているにもかかわらず核家族世帯割合が低いのは、都市部でも三世代同居の文化が比較的残っていることを示しています。東日本大震災後の復興過程で、家族の絆を重視する傾向が強まった可能性があります。

農村部では伝統的な三世代同居が維持されており、都市部と農村部の平均として核家族世帯割合が抑制されています。

福島県（43位）

福島県は51.90％（偏差値38.5）で43位となりました。農業を中心とした産業構造により、家族経営の事業体が多く、三世代同居が経営上も有利な面があります。東日本大震災と原発事故の影響により、家族の絆を重視する傾向が強まった可能性があります。

広い住宅に家族で住む傾向があり、三世代同居に対応した住宅環境が整っていることも核家族世帯割合の低さに影響しています。

地域別の特徴分析

関東地方

埼玉県58.57％が3位、群馬県57.60％が5位と上位に位置する一方、千葉県56.82％、茨城県56.22％、栃木県55.29％は中位、神奈川県55.83％も中位に位置しています。東京都45.72％が最下位となっており、関東地方内での大きな格差があります。

埼玉県や群馬県は東京のベッドタウンとして核家族世帯の形成が進んでいる一方、東京都は単身世帯の多さにより核家族世帯割合が極端に低くなっています。

関西地方

奈良県62.59％が1位、和歌山県59.29％が2位、滋賀県57.95％が4位、兵庫県57.18％が7位と上位を占める一方、京都府52.32％、大阪府53.14％は下位に位置しています。

奈良県、和歌山県、滋賀県は大阪都市圏のベッドタウンとして核家族世帯の形成が進んでいる一方、大阪府や京都府は都市部での単身世帯の多さにより核家族世帯割合が相対的に低くなっています。

中部地方

岐阜県57.30％、三重県57.17％が上位に位置する一方、静岡県55.99％、愛知県55.50％は中位、富山県54.62％、石川県54.42％、福井県53.49％は中位から下位、新潟県53.29％、長野県56.12％、山梨県56.70％は中位に分布しています。

製造業を中心とした産業構造と都市化の進展により、岐阜県や三重県で核家族世帯割合が高くなっています。北陸地方では三世代同居の文化が残り、相対的に低い水準となっています。

九州・沖縄地方

宮崎県57.06％、長崎県56.44％が上位から中位に位置する一方、鹿児島県55.99％、大分県55.33％、熊本県55.26％、佐賀県55.21％、沖縄県55.15％は中位、福岡県52.36％は下位に位置しています。

宮崎県は温暖な気候と自然環境の良さから移住者や退職後の夫婦が増加し、核家族世帯割合が高くなっています。福岡県は都市部での単身世帯の増加により相対的に低くなっています。

中国・四国地方

香川県56.77％、山口県56.34％、広島県56.06％が中位に位置する一方、愛媛県55.33％、岡山県54.47％、高知県53.51％、徳島県53.74％、鳥取県52.90％、島根県52.15％は中位から下位に分布しています。

都市化の進展した地域では核家族世帯割合が比較的高い一方、過疎化と高齢化が進行した地域では三世代同居の文化が残り、相対的に低い水準となっています。

東北・北海道地方

東北6県すべてが全国平均を下回り、山形県50.99％、岩手県51.34％、宮城県51.71％、福島県51.90％、秋田県52.98％、青森県52.73％と下位に集中しています。北海道53.64％も中位から下位に位置しています。

東北地方では三世代同居の文化が根強く残っており、豪雪地帯という地理的条件や農業を中心とした産業構造、「家」を重視する価値観などが影響しています。

社会的・経済的影響

1位奈良県と47位東京都の格差16.87ポイントは、地域の世帯構成の違いを明確に示しており、子育て環境や高齢者福祉、住宅需要に大きな影響を与えています。

子育て環境への影響として、核家族世帯割合が高い地域では共働き世帯が増加し、保育所や学童保育などの子育て支援施設への需要が高まっています。核家族世帯割合が低い地域では祖父母による子育て支援が期待でき、公的な子育て支援施設への依存度が比較的低くなっています。

高齢者福祉への影響では、核家族世帯割合が高い地域では高齢者の単身世帯や夫婦のみの世帯が増加し、介護サービスや見守りサービスの需要が高くなっています。核家族世帯割合が低い地域では家族内での介護や支え合いが期待でき、公的介護サービスへの依存度が比較的低くなっています。

住宅需要への影響として、核家族世帯割合が高い地域では中小規模住宅への需要が高く、集合住宅の供給が増加しています。核家族世帯割合が低い地域では三世代同居に対応した大規模住宅への需要が比較的高く、一戸建て住宅の割合が高くなっています。

対策と今後の展望

核家族世帯割合の地域格差に対応するため、世帯構成の多様化を踏まえた政策展開が重要です。核家族世帯が多い地域では保育所や学童保育の整備、介護サービスの充実が必要です。

三世代同居が多い地域では家族介護者の支援や、住宅のバリアフリー化支援などが重要になります。地域コミュニティの維持・活性化により、世帯形態に関わらず住民同士の支え合いを促進する必要があります。

住宅政策では核家族向けの中小規模住宅と三世代同居対応住宅の両方の供給が求められます。単身世帯の増加に対応した住宅政策も重要な課題となります。

統計データの基本情報と分析

平均値約55.0％と中央値約55.3％がほぼ同じ値を示しており、データの分布がほぼ対称的であることがわかります。ただし、東京都45.72％という極端な下側の外れ値が存在します。

分布の特徴として、東京都を除くとデータは全体としてわずかに負の歪み（左に裾を引いた形状）を示しており、山形県50.99％などの下側の外れ値が存在しています。また、奈良県62.59％は上側の外れ値と考えられます。

四分位範囲による分布の特徴では、第1四分位数（Q1）は約53.1％、第3四分位数（Q3）は約57.1％で、四分位範囲（IQR）は約4.0％です。これは中央の50％の都道府県の核家族世帯割合が53.1％から57.1％の間に収まっていることを示しています。

標準偏差約2.4％（東京都を除くと約2.2％）で、変動係数（標準偏差÷平均値）は約4.4％となり、相対的なばらつきは比較的小さいと言えます。最高値と最低値の差は16.87％であり、奈良県と東京都の間には大きな格差があることを示しています。

まとめ

2020年度の核家族世帯割合分析により、重要な発見がありました。

奈良県が62.59％で全国1位となり、大阪都市圏のベッドタウンとしての特性を明確に示しています。東京都との間に16.87ポイントの格差があり、世帯構成の地域差が明確になりました。関東・関西地方のベッドタウンで高い傾向があり、核家族向けの住宅地開発が進んでいます。

東北地方では三世代同居の文化が根強く残り、全国で最も低い水準となっています。豪雪地帯という地理的条件や農業中心の産業構造が影響しています。東京都は単身世帯の多さにより最下位となり、大都市特有の世帯構成を示しています。

今後は世帯構成の多様化を踏まえた政策展開が重要になります。核家族世帯と三世代同居世帯の両方に対応した子育て支援と高齢者福祉政策が必要です。継続的なデータモニタリングにより、効果的な家族政策と住宅政策の策定を支援していくことが重要です。