2020年度の核家族世帯数において、東京都が3,299,649世帯で全国1位、鳥取県が115,881世帯で最下位となり、約3,183,768世帯という大きな格差が存在しています。核家族世帯とは夫婦のみの世帯、夫婦と未婚の子どもからなる世帯、ひとり親と未婚の子どもからなる世帯を指し、現代日本の標準的な世帯形態です。この指標は地域の人口規模や家族構成の特徴を反映し、住宅政策や福祉政策の基礎データとして重要な役割を果たしています。
概要
核家族世帯数は地域の人口規模や家族構成の特徴を反映する重要な指標です。夫婦のみの世帯、夫婦と未婚の子どもからなる世帯、ひとり親と未婚の子どもからなる世帯が含まれ、現代日本の標準的な世帯形態となっています。
この指標が重要な理由として、住宅需要の予測に活用できることがあります。中小規模住宅への需要動向を把握できます。子育て支援政策の立案では、保育所や学童保育などの施設整備計画に活用されます。地域コミュニティの分析では、住民の定着率や地域活動への参加度を推測できます。
2020年度の全国平均は約621,000世帯となっています。大都市圏では人口集中により核家族世帯数も多く、地方部では人口減少により核家族世帯数も少ない傾向があります。また、地域により核家族化の進行度合いに差があり、三世代同居の文化が残る地域では相対的に核家族世帯数が少なくなっています。
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上位5県の詳細分析
東京都(1位)
東京都は3,299,649世帯(偏差値89.1)で全国1位となりました。日本最大の人口を有するだけでなく、核家族化が進んでいることが核家族世帯数の多さに影響しています。住宅事情や就業環境から、夫婦のみの世帯や夫婦と子どもの世帯が多く形成されています。
単身世帯の割合も高いですが、核家族世帯も多く、これが核家族世帯数の多さに寄与しています。都心部では高層マンションの建設が進み、核家族向けの中小規模住宅の供給が増加しています。多様な就業機会がある一方、高い生活コストにより専業主婦(主夫)の選択をする世帯も存在します。
神奈川県(2位)
神奈川県は2,350,377世帯(偏差値75.2)で2位となりました。首都圏のベッドタウンとして人口規模が大きく、東京都への通勤者の家族が多く含まれています。横浜市や川崎市などの大都市部を抱え、多様な人口構成を有しています。
核家族世帯が多く、共働き世帯も増加していることから、保育所や学童保育などの子育て支援施設の整備が進んでいます。住宅地開発が計画的に進められ、子育て世帯に適した住環境が整備されています。
大阪府(3位)
大阪府は2,192,989世帯(偏差値72.8)で3位となりました。関西圏の経済中心地として大阪市を中心とする大都市圏を有し、人口規模の大きさが核家族世帯数の多さに直接影響しています。住宅事情や就業環境から、夫婦のみの世帯や夫婦と子どもの世帯が多く形成されています。
サービス業など第三次産業の比重が高く、多様な就業形態が存在します。都市部では高密度化が進み、核家族向けの集合住宅の供給が増加しています。
埼玉県(4位)
埼玉県は1,849,525世帯(偏差値67.8)で4位となりました。首都圏のベッドタウンとして人口増加が続いており、東京都への通勤者の家族が多く含まれています。住宅地開発が進み、子育て世代の流入により核家族世帯が増加しています。
計画的な住宅地開発により住環境が整備され、核家族が子育てに専念できる環境が整っています。ベッドタウンとして発展してきた地域では、核家族世帯の比率が特に高くなっています。
愛知県(5位)
愛知県は1,794,260世帯(偏差値67.0)で5位となりました。名古屋市を中心とする中京圏の経済中心地として、人口規模の大きさが核家族世帯数の多さに影響しています。自動車産業を中心とする製造業が盛んで、雇用機会が多いことが若年層の流入を促進しています。
製造業の企業城下町的な性格により、核家族世帯の形成が促進されています。名古屋市という大都市を有していることに加え、周辺地域での住宅地開発も進んでいます。
下位5県の詳細分析
鳥取県(47位)
鳥取県は115,881世帯(偏差値42.3)で最下位となりました。日本で最も人口が少ない県であり、人口規模の小ささが核家族世帯数の少なさに直接影響しています。人口減少と高齢化が進行し、特に若年層の県外流出により核家族世帯の形成が抑制されています。
農業や水産業など第一次産業が中心で、家族経営の事業体が多く、三世代同居の割合も比較的高いことが核家族世帯数の少なさに影響しています。
島根県(46位)
島根県は140,016世帯(偏差値42.6)で46位となりました。人口規模の小ささに加え、三世代同居の割合が比較的高いことが核家族世帯数の少なさに影響しています。農業や水産業、林業など第一次産業が盛んで、家族経営の事業体が多く存在します。
地域コミュニティが密接で、伝統的な家族観が残っており、親と子と孫が同居する形態が比較的多く見られます。人口減少により若年層の流出が続いています。
福井県(45位)
福井県は155,501世帯(偏差値42.9)で45位となりました。人口規模が小さいことに加え、三世代同居の割合が高く、核家族化が比較的進んでいないことが特徴です。繊維産業や眼鏡産業など伝統的な産業が発達しており、家族経営の事業体が多く存在します。
三世代同居や近居の割合が高く、家族内での支え合いが期待できる環境があります。持ち家率も高く、広い住宅に家族で住む傾向があります。
徳島県(44位)
徳島県は165,161世帯(偏差値43.0)で44位となりました。人口規模の小ささに加え、三世代同居の割合が比較的高いことが核家族世帯数の少なさに影響しています。農業や製造業が中心の産業構造で、家族経営の事業体が多く存在します。
地域の結束が強く、伝統的な家族観が残っており、親と子と孫が同居する形態が比較的多く見られます。人口減少により若年層の流出が続いています。
高知県(43位)
高知県は168,195世帯(偏差値43.0)で43位となりました。人口減少が深刻で、特に若年層の県外流出により核家族世帯の形成が抑制されています。農業や水産業が中心の産業構造で、家族経営の事業体が多く存在します。
三世代同居の割合も比較的高く、家族内での支え合いが期待できる環境があります。高齢化率は高いものの、絶対的な世帯数は人口減少により減少傾向にあります。
地域別の特徴分析
関東地方
東京都3,299,649世帯が1位、神奈川県2,350,377世帯が2位、埼玉県1,849,525世帯が4位、千葉県1,572,544世帯が6位と上位を独占し、首都圏の人口集中と核家族化を反映しています。茨城県664,239世帯、群馬県462,667世帯、栃木県439,807世帯も中位に位置しています。
関東地方全体で核家族世帯数が多い理由は、人口規模の大きさに加え、核家族化の進行、住宅事情や就業環境による核家族世帯の形成促進が挙げられます。
関西地方
大阪府2,192,989世帯が3位、兵庫県1,371,842世帯が7位と上位に位置する一方、京都府622,055世帯、奈良県340,422世帯、滋賀県330,640世帯は中位、和歌山県233,292世帯は下位となっています。
関西圏では都市部と郊外部で格差があり、大阪府や兵庫県などの人口規模の大きい都府県と、滋賀県や和歌山県などの人口規模の小さい県との差が明確に現れています。
中部地方
愛知県1,794,260世帯が5位、静岡県829,251世帯が10位と上位に位置する一方、岐阜県446,358世帯、三重県423,745世帯は中位、新潟県459,787世帯、長野県465,774世帯も中位に分布しています。
富山県220,136世帯、石川県255,131世帯、福井県155,501世帯、山梨県191,669世帯は下位に位置し、地域により大きな格差が存在しています。
九州・沖縄地方
福岡県1,213,986世帯が9位と上位に位置する一方、熊本県396,063世帯、鹿児島県406,396世帯、長崎県313,876世帯、大分県269,815世帯、宮崎県267,348世帯、沖縄県338,232世帯は中位、佐賀県171,795世帯は下位に位置しています。
福岡県を除いて人口規模が全国的に見て小さく、九州地方全体として核家族世帯数が比較的少ない傾向があります。
中国・四国地方
広島県695,820世帯が11位、岡山県435,515世帯が20位と中位に位置する一方、山口県336,505世帯、愛媛県331,966世帯、香川県230,506世帯は中位から下位、徳島県165,161世帯、高知県168,195世帯、島根県140,016世帯、鳥取県115,881世帯は下位に集中しています。
中国・四国地方全体として人口規模が小さく、特に四国や山陰地方では人口減少により核家族世帯数も少なくなっています。
東北・北海道地方
北海道1,324,406世帯が8位、宮城県507,063世帯が14位と比較的上位に位置する一方、福島県384,082世帯、青森県268,760世帯、岩手県252,005世帯は中位、山形県202,342世帯、秋田県203,177世帯は下位に分布しています。
東北地方では三世代同居の割合が高く、核家族化が比較的進んでいない地域も存在します。人口減少と若年層の流出により核家族世帯の形成が抑制されています。
社会的・経済的影響
1位東京都と47位鳥取県の格差約3,183,768世帯は、主に人口規模の差を反映していますが、住宅需要や子育て環境、地域コミュニティにも大きな影響を与えています。
住宅需要への影響として、核家族世帯数が多い地域では中小規模住宅への需要が高く、マンションやアパートなどの集合住宅の供給が増加しています。核家族世帯数が少ない地域では大規模住宅への需要が比較的高く、一戸建て住宅の割合が高くなっています。
子育て環境への影響では、核家族世帯数が多い地域では保育所や学童保育などの子育て支援施設への需要が高く、これらの施設の整備が進んでいます。核家族世帯数が少ない地域では祖父母による子育て支援が期待でき、公的な子育て支援施設への依存度が比較的低くなっています。
地域コミュニティへの影響として、核家族世帯数が多い地域では住民の流動性が高く、地域コミュニティの形成が難しくなる傾向があります。核家族世帯数が少ない地域では住民の定着率が高く、地域コミュニティの絆が強くなる傾向があります。
対策と今後の展望
核家族世帯数の地域格差に対応するため、世帯構成の変化を踏まえた住宅政策の展開が重要です。核家族向けの中小規模住宅の供給促進と、多世代同居に対応した住宅の整備の両立が求められます。
子育て支援政策では、核家族世帯の増加に対応した保育所や学童保育の整備と、祖父母による子育て支援を活用した地域ぐるみの子育て環境の構築が必要です。
地域コミュニティの再構築により、核家族世帯の増加による地域の絆の希薄化を防ぎ、住民同士の支え合いを促進する必要があります。高齢者福祉では、核家族化の進行による介護需要の増加に対応した介護サービスの充実が重要です。
指標 | 値世帯 |
---|---|
平均値 | 640,650.4 |
中央値 | 384,082 |
最大値 | 3,299,649(東京都) |
最小値 | 115,881(鳥取県) |
標準偏差 | 679,619.3 |
データ数 | 47件 |
統計データの基本情報と分析
平均値約621,000世帯と中央値約323,063世帯に大きな差があり、東京都や神奈川県などの極端に高い値が平均値を引き上げていることがわかります。これはデータが強い正の歪みを持っていることを示しています。
分布の特徴として、データは全体として強い正の歪み(右に裾を引いた形状)を示しており、東京都や神奈川県、大阪府などの上側の外れ値が存在しています。一方、鳥取県や島根県は下側の外れ値と考えられます。
四分位範囲による分布の特徴では、第1四分位数(Q1)は約202,342世帯、第3四分位数(Q3)は約673,063世帯で、四分位範囲(IQR)は約470,721世帯です。これは中央の50%の都道府県の核家族世帯数が202,342世帯から673,063世帯の間に収まっていることを示しています。
標準偏差約726,000世帯で、変動係数(標準偏差÷平均値)は約117.0%となり、相対的なばらつきは非常に大きいと言えます。最高値と最低値の差は3,183,768世帯に達し、東京都と鳥取県の間には大きな格差があることを示しています。
まとめ
2020年度の核家族世帯数分析により、重要な発見がありました。
東京都が3,299,649世帯で全国1位となり、首都圏への人口集中と核家族化の進行を明確に示しています。鳥取県との間に約3,183,768世帯の格差があり、主に人口規模の差を反映しています。大都市圏では核家族化が進み、中小規模住宅への需要が高まっています。
地方部では人口減少により核家族世帯数も少なく、三世代同居の文化が残る地域では相対的に核家族世帯数が少なくなっています。農業や水産業中心の地域では家族経営の事業体が多く、家族全体での事業参加が見られます。
今後は世帯構成の変化を踏まえた住宅政策の展開が重要になります。子育て支援政策と高齢者福祉政策の連携により、核家族化に対応した社会システムの構築が必要です。継続的なデータモニタリングにより、効果的な家族政策と住宅政策の策定を支援していくことが重要です。
順位↓ | 都道府県 | 値 (世帯) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 東京都 | 3,299,649 | 89.1 | +3.1% |
2 | 神奈川県 | 2,350,377 | 75.2 | +1.5% |
3 | 大阪府 | 2,192,989 | 72.8 | -0.2% |
4 | 埼玉県 | 1,849,525 | 67.8 | +1.6% |
5 | 愛知県 | 1,794,260 | 67.0 | +3.0% |
6 | 千葉県 | 1,572,544 | 63.7 | +2.4% |
7 | 兵庫県 | 1,371,842 | 60.8 | +0.1% |
8 | 北海道 | 1,324,406 | 60.1 | -2.9% |
9 | 福岡県 | 1,213,986 | 58.4 | +1.4% |
10 | 静岡県 | 829,251 | 52.8 | +2.2% |
11 | 広島県 | 695,820 | 50.8 | +0.1% |
12 | 茨城県 | 664,239 | 50.3 | +3.1% |
13 | 京都府 | 622,055 | 49.7 | -0.2% |
14 | 宮城県 | 507,063 | 48.0 | +4.9% |
15 | 長野県 | 465,774 | 47.4 | +1.5% |
16 | 群馬県 | 462,667 | 47.4 | +1.2% |
17 | 新潟県 | 459,787 | 47.3 | +2.6% |
18 | 岐阜県 | 446,358 | 47.1 | +2.2% |
19 | 栃木県 | 439,807 | 47.0 | +1.9% |
20 | 岡山県 | 435,515 | 47.0 | +1.0% |
21 | 三重県 | 423,745 | 46.8 | +0.6% |
22 | 鹿児島県 | 406,396 | 46.6 | -3.9% |
23 | 熊本県 | 396,063 | 46.4 | +0.5% |
24 | 福島県 | 384,082 | 46.2 | +2.3% |
25 | 奈良県 | 340,422 | 45.6 | +0.6% |
26 | 沖縄県 | 338,232 | 45.6 | +3.3% |
27 | 山口県 | 336,505 | 45.5 | -2.7% |
28 | 愛媛県 | 331,966 | 45.5 | -1.8% |
29 | 滋賀県 | 330,640 | 45.4 | +4.8% |
30 | 長崎県 | 313,876 | 45.2 | -1.5% |
31 | 大分県 | 269,815 | 44.5 | -1.3% |
32 | 青森県 | 268,760 | 44.5 | -0.9% |
33 | 宮崎県 | 267,348 | 44.5 | -2.3% |
34 | 石川県 | 255,131 | 44.3 | +2.8% |
35 | 岩手県 | 252,005 | 44.3 | +0.4% |
36 | 和歌山県 | 233,292 | 44.0 | -1.1% |
37 | 香川県 | 230,506 | 44.0 | +1.3% |
38 | 富山県 | 220,136 | 43.8 | +2.7% |
39 | 秋田県 | 203,177 | 43.6 | +0.9% |
40 | 山形県 | 202,342 | 43.6 | +3.5% |
41 | 山梨県 | 191,669 | 43.4 | +0.4% |
42 | 佐賀県 | 171,795 | 43.1 | +2.2% |
43 | 高知県 | 168,195 | 43.0 | -3.7% |
44 | 徳島県 | 165,161 | 43.0 | -1.4% |
45 | 福井県 | 155,501 | 42.9 | +5.8% |
46 | 島根県 | 140,016 | 42.6 | +2.3% |
47 | 鳥取県 | 115,881 | 42.3 | +0.9% |