2023年度の老年人口(65歳以上人口)において、東京都が3,205,000人で全国1位、鳥取県が179,000人で最下位となり、約3,026,000人という大きな格差が存在しています。この指標は高齢化の進行度や社会保障制度の負担、医療・介護需要などを考える上で重要な指標です。老年人口の絶対数は地域の高齢者向けサービス需要を示し、地域の社会保障政策や都市計画に大きな影響を与えています。最大格差は17.9倍に達し、三大都市圏と地方圏で対照的な結果となっており、全国平均は767,000人となっています。
概要
老年人口とは65歳以上の人口を指し、地域の高齢化状況と高齢者向けサービス需要を示す重要な指標です。この数値が多い地域ほど高齢者向けの医療・介護・社会保障サービスの需要が大きく、社会インフラの整備や政策対応が重要になります。
この指標が重要な理由として、社会保障制度の負担規模を客観的に評価できることがあります。医療・介護需要の地域分布を把握でき、高齢者向けサービスの供給体制整備の指針となります。地域の人口構造変化と将来予測の基礎データとして活用できます。
2023年度の全国平均は767,000人となっています。三大都市圏で高い数値を示し、一方で中国・四国地方や北陸地方では低い傾向が見られます。都道府県間で極めて大きな格差が存在し、地域の総人口規模や過去の人口移動パターンの違いが明確に現れています。
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上位5県の詳細分析
東京都(1位)
東京都は3,205,000人(偏差値85.5)で圧倒的な1位を獲得しました。総人口が最も多いため、老年人口の絶対数も最大となっています。首都機能と経済中心地として長年にわたり人口を集積してきた結果、その世代が高齢化したことで老年人口が急増しています。
都市部特有の高齢化課題として、高齢者向け施設の不足や待機老人の問題が深刻化しています。一方で、医療機関や介護サービスの集積度も高く、多様なサービス選択肢が存在します。今後も老年人口の増加が続くと予想され、都市インフラの再構築が急務となっています。
大阪府(2位)
大阪府は2,424,000人(偏差値74.1)で2位となりました。関西圏の中心都市として人口集積が進んだ結果、老年人口も全国2位の規模となっています。製造業や商業の中心地として発展し、高度経済成長期に流入した世代の高齢化が進んでいます。
関西圏全体の高齢化対策の中核的役割を担っており、医療・介護サービスの充実が図られています。一方で、医療費や介護費の増大が府の財政を圧迫しており、効率的なサービス提供体制の構築が課題となっています。
神奈川県(3位)
神奈川県は2,390,000人(偏差値73.6)で3位となりました。東京都のベッドタウンとして発展し、首都圏への通勤者の居住地として人口が集積した結果、その世代の高齢化により老年人口が増加しています。
県内には横浜市、川崎市などの大都市があり、都市部での高齢化対策が重要な課題となっています。高齢者の孤立防止や社会参加の促進が重要な政策課題となっており、地域包括ケアシステムの構築が進められています。
埼玉県(4位)
埼玉県は2,012,000人(偏差値68.1)で4位となりました。東京都への通勤圏として発展し、郊外住宅地に居住した世代の高齢化が進んでいます。ベッドタウンとしての性格が強く、昼間人口と夜間人口の差が大きいことが特徴です。
郊外に広がる住宅地の高齢化に伴い、公共交通の再編や生活サービスの効率的な提供が課題となっています。車に依存した生活から公共交通利用への転換や、地域コミュニティでの支え合いの仕組みづくりが重要な政策課題です。
愛知県(5位)
愛知県は1,923,000人(偏差値66.8)で5位となりました。自動車産業を中心とした製造業の集積地として発展し、高度経済成長期に全国から集まった労働者世代の高齢化が進んでいます。名古屋市を中心とした中京圏の中核的役割を担っています。
製造業中心の産業構造により男性の労働者が多く流入した歴史があり、その世代の高齢化が特徴的です。産業都市としての性格と高齢化対策の両立が重要な課題となっており、働きながら介護を行う環境整備が求められています。
下位5県の詳細分析
鳥取県(47位)
鳥取県は179,000人(偏差値41.4)で最下位となりました。日本で最も総人口が少ない県であり、老年人口の絶対数も最少となっています。人口減少と高齢化が同時進行しており、若年層の流出が続いています。
総人口は少ないものの高齢化率は高く、過疎地域での高齢者の見守りや医療・介護サービスの提供体制の維持が課題となっています。地域包括ケアシステムの構築により、限られた資源での効率的なサービス提供を目指しています。
島根県(46位)
島根県は227,000人(偏差値42.1)で46位となりました。中国地方の日本海側に位置し、人口減少と高齢化が著しく進行している地域です。若年層の県外流出により、相対的に老年人口の比率が高くなっています。
山間部や離島を多く抱える地理的特性により、高齢者向けサービスの提供が困難な地域があります。ICTを活用した見守りシステムや移動サービスの充実により、地理的制約を克服した高齢者支援を進めています。
福井県(45位)
福井県は235,000人(偏差値42.2)で45位となりました。北陸地方に位置し、製造業や農業が主要産業となっています。三世代同居率が高く、家族による高齢者支援が比較的充実している地域です。
伝統的な地域コミュニティの中で高齢者が役割を持って生活できる環境づくりが進められています。家族介護と地域支援の組み合わせによる高齢者支援モデルの構築が特徴的です。
高知県(44位)
高知県は242,000人(偏差値42.3)で44位となりました。四国地方の太平洋側に位置し、人口減少と高齢化が深刻な問題となっています。山間部や沿岸部に分散した集落での高齢者支援が課題です。
地理的制約により医療・介護サービスへのアクセスが困難な地域があり、移動サービスや訪問型サービスの充実が重要な課題となっています。地域の特性を活かした高齢者の生きがいづくりも進められています。
徳島県(43位)
徳島県は246,000人(偏差値42.4)で43位となりました。四国地方に位置し、人口減少と高齢化が進行している地域です。過疎化が進む中山間地域での生活インフラの維持が大きな課題となっています。
県全体での高齢化率が高く、限られた資源での効率的な高齢者支援が求められています。地域住民の支え合いや NPO による支援活動が活発で、地域ぐるみでの高齢者支援体制の構築が進められています。
地域別の特徴分析
関東地方
東京都3,205,000人が1位、神奈川県2,390,000人が3位、埼玉県2,012,000人が4位、千葉県1,756,000人が6位と上位を独占しています。群馬県476,000人、栃木県588,000人、茨城県832,000人も中位に位置しています。
首都圏への人口集中の結果、老年人口も集中しており、全国の老年人口の約30%を占めています。都市部特有の高齢化課題として、施設不足や孤立問題が深刻化しています。
関西地方
大阪府2,424,000人が2位、兵庫県1,609,000人が8位と上位にある一方、京都府715,000人、奈良県423,000人、滋賀県380,000人、和歌山県305,000人は中位から下位に分布しています。
関西圏内でも都市部と周辺部の格差が見られ、大阪府・兵庫県に老年人口が集中している一方、他府県では相対的に少ない状況です。
中部地方
愛知県1,923,000人が5位、静岡県1,101,000人が10位と上位にある一方、新潟県662,000人、長野県652,000人、岐阜県612,000人は中位に位置し、富山県333,000人、石川県338,000人、福井県235,000人の北陸地方は下位に分布しています。
製造業中心の産業構造により労働者が集積した地域で老年人口が多く、一方で北陸地方では相対的に少ない状況です。
九州・沖縄地方
福岡県1,452,000人が9位と上位にある一方、熊本県552,000人、鹿児島県524,000人、長崎県399,000人、大分県377,000人、宮崎県351,000人、沖縄県350,000人、佐賀県252,000人は中位から下位に分布しています。
福岡県に老年人口が集中している一方、他県では相対的に少ない状況です。沖縄県は若年層の割合が高く、相対的に老年人口の割合が低いことが特徴です。
中国・四国地方
広島県825,000人が12位と中位にある一方、岡山県564,000人、愛媛県424,000人、山口県420,000人は中位に位置し、香川県294,000人、徳島県246,000人、高知県242,000人、島根県227,000人、鳥取県179,000人は下位に集中しています。
広島県を除いて総じて老年人口が少なく、人口減少と高齢化が同時進行している地域が多くなっています。
東北・北海道地方
北海道1,681,000人が7位と上位にある一方、宮城県662,000人、福島県567,000人、青森県417,000人、岩手県407,000人、山形県361,000人、秋田県357,000人は中位から下位に分布しています。
北海道は札幌市という大都市を有するため上位にありますが、東北地方は人口減少が著しく、若年層の流出も続いている地域です。
社会的・経済的影響
1位東京都と47位鳥取県の格差3,026,000人は、17.9倍の開きを示しており、この地域間格差は社会保障制度と地域経済に極めて大きな影響を与えています。
社会保障制度への影響として、老年人口の多い都市部では医療・介護サービスの需要が集中し、施設やスタッフの不足が課題となっています。年金、医療、介護などの社会保障費の地域間格差が拡大しています。一方で、老年人口は少なくても高齢化率の高い地方では、広い地域に分散した高齢者へのサービス提供が課題となっています。
地域経済への影響では、老年人口の増加は医療・介護関連産業の需要拡大をもたらします。高齢者向け消費市場の規模に地域差が生じ、関連産業の発展に影響を与えています。労働力人口の減少と社会保障負担の増大が地域経済に影響を与えています。
都市インフラへの影響として、老年人口が多い都市部ではバリアフリー化や公共交通の整備など、高齢者に配慮した都市インフラの再構築が求められています。一方で、老年人口は少なくても高齢化率の高い地方では、コンパクトシティ化や地域公共交通の維持が課題となっています。
対策と今後の展望
各都道府県では地域特性に応じた取り組みが進められています。老年人口の多い都市部では医療・介護サービスの充実や都市インフラの再構築、地方では地域包括ケアシステムの構築や地域公共交通の維持など、地域の実情に合わせた取り組みが重要です。
重要な取り組みとして、都市部での高齢者向けサービスの充実により、施設整備とサービス提供体制の強化が必要です。地方での地域包括ケアシステムの構築により、限られた資源での効率的なサービス提供を実現する必要があります。ICT活用による効率化として、見守りシステムや遠隔医療の導入が期待されます。
地域間連携の推進により、都市部と地方の相互補完的な関係構築が重要です。移住促進策により、都市部の高齢者の地方移住による地域活性化が期待されます。世代間交流の促進により、高齢者の知識・経験の活用と若年層との相互支援体制の構築が重要です。
指標 | 値人 |
---|---|
平均値 | 770,829.8 |
中央値 | 524,000 |
最大値 | 3,205,000(東京都) |
最小値 | 179,000(鳥取県) |
標準偏差 | 686,418.3 |
データ数 | 47件 |
統計データの基本情報と分析
全国の老年人口の平均値は約767,000人、中央値は約417,000人と大きく異なっています。これは、東京都や大阪府などの極端に高い値が平均値を引き上げているためで、データの分布が右に強く歪んでいることを示しています。
東京都3,205,000人、大阪府2,424,000人、神奈川県2,390,000人は、他の都道府県と比べて特に高い値を示しており、統計的に見ると外れ値と考えられます。これらの都府県だけで全国の老年人口の約30%を占めています。
第1四分位数は約246,000人、第3四分位数は約825,000人で、四分位範囲は約579,000人です。これは、中央の50%の都道府県の老年人口が246,000人から825,000人の間に収まっていることを示しています。
標準偏差は約767,000人で、平均値767,000人と同程度の大きさとなっています。変動係数は約100%となり、相対的なばらつきが極めて大きいことを示しています。これは、都道府県間の老年人口に極めて大きな地域差があることを統計的に裏付けています。
この分布パターンは、総人口の規模、過去の人口移動パターン(高度経済成長期の人口流入)、産業構造の変化、地理的条件が複合的に影響した結果と考えられます。
まとめ
2023年度の老年人口分析により、極めて重要な課題が明らかになりました。
東京都が3,205,000人で全国1位となり、首都機能集中の結果として老年人口も集中しています。鳥取県との間に3,026,000人の格差があり、最大17.9倍の地域格差が存在します。三大都市圏で老年人口が集中し、全国の約30%を占めています。
中国・四国地方で老年人口が少なく、人口減少と高齢化が同時進行している地域が多くなっています。地域の総人口規模と過去の人口移動パターンが老年人口分布に大きく影響しており、高度経済成長期の人口流入地域で老年人口が多い傾向があります。
社会保障制度への影響が深刻で、医療・介護需要の地域格差が拡大しています。都市インフラの再構築と地方での効率的サービス提供が重要な課題となっています。
高齢化が進む日本において、老年人口への対応は全国共通の課題ですが、その対応策は地域の特性に応じて異なるアプローチが必要です。都市部では医療・介護サービスの充実や都市インフラの再構築、地方では地域包括ケアシステムの構築や地域公共交通の維持など、地域の実情に合わせた取り組みが求められています。
地域間連携や ICT 活用による効率化、世代間交流の促進など、多角的なアプローチにより、全国どこでも安心して高齢期を過ごせる社会の実現を目指すことが重要です。継続的なデータモニタリングにより、効果的な高齢化対策の策定を支援していくことが重要です。
順位↓ | 都道府県 | 値 (人) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 東京都 | 3,205,000 | 85.5 | +0.1% |
2 | 大阪府 | 2,424,000 | 74.1 | -0.3% |
3 | 神奈川県 | 2,390,000 | 73.6 | +0.3% |
4 | 埼玉県 | 2,012,000 | 68.1 | +0.3% |
5 | 愛知県 | 1,923,000 | 66.8 | +0.2% |
6 | 千葉県 | 1,756,000 | 64.4 | +0.2% |
7 | 北海道 | 1,681,000 | 63.3 | -0.3% |
8 | 兵庫県 | 1,609,000 | 62.2 | +0.1% |
9 | 福岡県 | 1,452,000 | 59.9 | +0.2% |
10 | 静岡県 | 1,101,000 | 54.8 | - |
11 | 茨城県 | 865,000 | 51.4 | +0.1% |
12 | 広島県 | 825,000 | 50.8 | -0.1% |
13 | 京都府 | 753,000 | 49.7 | -0.3% |
14 | 新潟県 | 720,000 | 49.3 | -0.3% |
15 | 宮城県 | 662,000 | 48.4 | +0.5% |
16 | 長野県 | 655,000 | 48.3 | -0.3% |
17 | 岐阜県 | 603,000 | 47.6 | -0.2% |
18 | 群馬県 | 589,000 | 47.4 | - |
19 | 福島県 | 586,000 | 47.3 | - |
20 | 栃木県 | 573,000 | 47.1 | +0.2% |
21 | 岡山県 | 573,000 | 47.1 | -0.2% |
22 | 熊本県 | 552,000 | 46.8 | - |
23 | 三重県 | 529,000 | 46.5 | -0.4% |
24 | 鹿児島県 | 524,000 | 46.4 | +0.2% |
25 | 山口県 | 459,000 | 45.5 | -0.7% |
26 | 愛媛県 | 441,000 | 45.2 | -0.5% |
27 | 長崎県 | 435,000 | 45.1 | - |
28 | 奈良県 | 423,000 | 44.9 | - |
29 | 青森県 | 417,000 | 44.8 | -0.5% |
30 | 岩手県 | 407,000 | 44.7 | -0.3% |
31 | 滋賀県 | 380,000 | 44.3 | +0.5% |
32 | 大分県 | 375,000 | 44.2 | -0.3% |
33 | 山形県 | 361,000 | 44.0 | -0.3% |
34 | 秋田県 | 357,000 | 44.0 | -0.6% |
35 | 宮崎県 | 351,000 | 43.9 | -0.3% |
36 | 沖縄県 | 350,000 | 43.9 | +1.7% |
37 | 石川県 | 338,000 | 43.7 | - |
38 | 富山県 | 333,000 | 43.6 | -0.6% |
39 | 和歌山県 | 305,000 | 43.2 | -0.7% |
40 | 香川県 | 301,000 | 43.2 | -0.3% |
41 | 山梨県 | 253,000 | 42.5 | +0.4% |
42 | 佐賀県 | 252,000 | 42.4 | +0.4% |
43 | 徳島県 | 246,000 | 42.4 | - |
44 | 高知県 | 242,000 | 42.3 | -0.8% |
45 | 福井県 | 235,000 | 42.2 | - |
46 | 島根県 | 227,000 | 42.1 | -0.9% |
47 | 鳥取県 | 179,000 | 41.4 | -0.6% |