2022年度 都道府県別通院者率ランキング
サマリー
2022年度の通院者率分析から明らかになった3つの重要なポイントをご紹介します。
- 東北・山陰地方が上位独占:秋田県が496.2‐(偏差値69.4)で1位、続いて岩手県が**490.8‐**で2位
- 首都圏は軒並み低水準:沖縄県が**358.5‐で最下位、東京都も363.7‐**で46位と低迷
- 最大格差は137.7‐:1位と47位の差は約1.4倍に達し、医療アクセスの地域格差が浮き彫りに
通院者率は地域の医療需要と医療体制を測る重要指標です。継続的な分析が求められています。
概要
通院者率(人口千人当たり)は、地域住民の医療受診状況を示す基本的な統計指標です。人口1,000人に対して何人が通院しているかを表しています。
この指標が重要な理由は3つあります。医療需要の把握により地域の健康状態が分かります。医療供給体制の評価に不可欠な基礎データです。地域格差の発見により政策立案の根拠となります。
全国平均は**430.5‐で、最高値と最低値の差は137.7‐**に達しています。東北・山陰地方で高く、首都圏で低い傾向が顕著です。
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上位5県の詳細分析
秋田県(1位)
秋田県が496.2‐(偏差値69.4)で全国1位を獲得しました。高齢化率全国トップクラスの影響が大きく関与しています。
主な特徴:
- 人口10万人当たり医師数が全国平均を上回る
- 県内医療機関へのアクセス性が良好
- 生活習慣病対策に積極的に取り組む
岩手県(2位)
岩手県は490.8‐(偏差値67.7)で2位にランクイン。広大な県土に対する医療体制整備が充実しています。
注目ポイント:
- 地域医療連携システムが発達
- 予防医療への取り組みが活発
- 高齢者の健康管理体制が整備
山形県(3位)
山形県は485.2‐(偏差値65.8)で3位を確保。県民の健康意識の高さが特徴的です。
主要因:
- かかりつけ医制度の普及率が高い
- 地域包括ケアシステムが機能
- 定期健診受診率が全国上位
高知県(4位)
高知県は479.3‐(偏差値63.9)で4位に位置。中山間地域での医療アクセス確保に力を注いでいます。
特色:
- 遠隔医療システムの導入が進む
- 地域医療支援病院の役割が重要
- 在宅医療体制の充実
山口県(5位)
山口県は477.1‐(偏差値63.2)で5位入り。県全体での医療連携体制が評価されています。
取り組み:
- 医療情報ネットワークの整備
- 専門医療機関との連携強化
- 地域医療従事者の確保対策
下位5県の詳細分析
沖縄県(47位)
沖縄県は358.5‐(偏差値25.0)で最下位。若い人口構成と独特な医療事情が影響しています。
課題:
- 離島地域での医療アクセス制約
- 専門医療機関の地域偏在
- 医師不足の慢性化
改善の兆しとして、遠隔医療導入や医師確保策の検討が進んでいます。
東京都(46位)
東京都は363.7‐(偏差値26.7)で46位の低水準。人口集中による特殊事情があります。
特徴:
- 救急医療体制は全国トップレベル
- 専門医療機関が豊富に存在
- 予防医療への関心は高い
医療資源は豊富ながら、通院の必要性が相対的に低い可能性があります。
埼玉県(45位)
埼玉県は366.4‐(偏差値27.5)で45位。人口増加に対する医療体制整備が課題です。
現状:
- 医師数が人口に対して不足気味
- 東京都への医療依存度が高い
- 地域医療連携の強化が必要
神奈川県(44位)
神奈川県は376.9‐(偏差値30.9)で44位。都市部特有の医療環境があります。
状況:
- 高度医療機関は充実
- かかりつけ医制度の普及が課題
- 地域間での医療格差が存在
愛知県(43位)
愛知県は387.0‐(偏差値34.2)で43位。製造業中心の働き方との関連が指摘されます。
要因:
- 健康管理への意識が高い
- 企業による健康診断体制が充実
- 予防医療の取り組みが活発
地域別の特徴分析
東北地方
東北地方は上位県が集中する地域です。秋田県、岩手県、山形県がトップ5入りしています。高齢化の進行と地域医療体制の充実が背景にあります。
地域特性:
- 人口当たり医療機関数が多い
- 地域包括ケアシステムが発達
- 住民の健康意識が高い傾向
関東地方
関東地方は全体的に低水準で推移。東京都、埼玉県、神奈川県が下位に集中しています。都市部特有の医療環境と人口構成が影響。
課題と特徴:
- 医療資源は豊富だが通院率は低い
- 予防医療への関心は高い
- 地域医療連携の更なる強化が必要
中部・近畿地方
中部・近畿地方は中位から下位に分布。愛知県が43位と比較的低く、地域間のばらつきが大きいのが特徴です。
傾向:
- 都市部と地方部での格差が顕著
- 産業構造による影響が見られる
- 医療アクセスの地域差が課題
中国・四国地方
中国・四国地方では高知県が4位、山口県が5位と健闘。一方で地域内での格差も存在しています。
特色:
- 中山間地域での医療確保が重要課題
- 地域医療連携体制の整備が進む
- 高齢化対応策が充実
九州・沖縄地方
九州・沖縄地方は中位が中心ですが、沖縄県が最下位と特異な状況。地理的条件と人口構成の影響が大きいです。
現状:
- 離島医療の確保が最重要課題
- 若年人口比率が高い地域は通院率低下
- 専門医療への アクセス改善が必要
社会的・経済的影響
最上位の秋田県と最下位の沖縄県の格差は**137.7‐**に達し、約1.4倍の開きがあります。この格差は地域の医療需要と供給体制の違いを反映しています。
地域間格差の主要因:
- 高齢化率の地域差
- 医療機関の分布状況
- 地理的アクセス条件
- 住民の健康意識レベル
社会的影響として医療費負担の地域格差拡大が懸念されます。経済的には医療従事者の地域偏在が深刻化しています。健康格差の拡大により地域活力にも影響が及んでいます。
対策と今後の展望
地域特性に応じた対策が重要です。高齢化地域では在宅医療体制の充実が急務。都市部では効率的な医療提供体制の構築が課題です。
具体的取り組み:
- 遠隔医療システムの全国展開
- 地域医療連携ネットワークの強化
- 医療従事者確保対策の推進
秋田県の地域包括ケアシステムが成功事例として注目されています。岩手県の広域医療連携も他地域の参考となっています。
今後の課題として医療DXの推進による効率化が挙げられます。予防医療の充実により通院需要の適正化も重要です。
統計データの基本情報と分析
平均値430.5‐と中央値423.0‐がほぼ同水準で、比較的正規分布に近い形となっています。標準偏差41.3は適度なばらつきを示しており、地域差が存在することを表しています。
分布の特徴として第1四分位数402.8‐から第3四分位数461.5‐の範囲に約半数の都道府県が含まれます。最高値の秋田県と最低値の沖縄県が外れ値的存在です。
四分位範囲58.7‐は地域間格差の程度を示しています。この値は他の医療統計と比較して標準的なレベルです。偏差値分布では秋田県の69.4が突出しています。
まとめ
2022年度の通院者率分析から得られた主要な知見をまとめます。
主な発見:
- 東北・山陰地方が上位を独占し、地域医療体制の充実が評価
- 首都圏は医療資源豊富ながら通院率は低水準
- 最大格差137.7‐は地域の医療需要差を反映
- 高齢化率と通院者率に強い相関関係
- 地理的条件が医療アクセスに大きく影響
- 遠隔医療導入による格差縮小の可能性
今後は医療DXの推進と地域特性に応じた対策実施が重要です。継続的なデータ収集・分析により、より効果的な医療政策立案を目指すべきです。各地域は成功事例を参考にした改善取り組みの実施が求められています。