2023年度の都道府県別持ち家比率のランキングを分析します。このデータは、各地域の住民の生活基盤の安定性や、住宅市場の特性を理解する上で重要な指標となります。
概要
持ち家比率は、ある地域に住む世帯のうち、自己所有の住宅に居住している世帯の割合を示します。この比率は、地価、所得水準、人口構成、地域の文化や価値観など、様々な要因に影響されます。一般的に、地価が高い都市部では持ち家比率が低く、地価が比較的安い地方では高くなる傾向があります。
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上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
2023年度の持ち家比率ランキングで上位に入ったのは、主に東北地方や北陸地方の県でした。これらの地域では、比較的広い土地を手頃な価格で入手しやすいことが、高い持ち家率につながっていると考えられます。
秋田県
秋田県は、持ち家比率77.1%(偏差値65.3)で全国1位です。地価が比較的安価であることに加え、三世代同居などの伝統的な家族形態が根強く残っていることも、持ち家を選択する世帯が多い一因と考えられます。
山形県
山形県は75.0%(偏差値62.4)で2位にランクインしました。秋田県と同様に、地価の安さや地域の文化が持ち家率の高さに寄与していると推測されます。
富山県
富山県は74.9%(偏差値62.2)で3位です。製造業が盛んで安定した雇用があることに加え、広い家に住むことを好む県民性も、高い持ち家率を支えていると言われています。
新潟県
新潟県は74.0%(偏差値61.0)で4位でした。広大な平野部を有し、住宅地を確保しやすい環境にあることが、持ち家率の高さにつながっていると考えられます。
和歌山県
和歌山県は73.8%(偏差値60.7)で5位に入りました。大阪府に隣接しながらも、比較的のどかな環境で、持ち家を求める層にとって魅力的な地域となっているようです。
下位5県の詳細分析
下位の都道府県は、大都市や、特殊な事情を抱える地域が占めています。
北海道
北海道は57.0%(偏差値37.3)で43位です。広大な土地がありながら持ち家率が低いのは、札幌市への人口集中や、冬季の厳しい寒さ対策にかかる住宅維持費の高さなどが影響している可能性があります。
大阪府
大阪府は54.5%(偏差値33.9)で44位でした。西日本最大の都市であり、地価の高さや単身世帯の多さが、持ち家率を押し下げる要因となっています。
福岡県
福岡県は52.7%(偏差値31.4)で45位です。九州地方の中心都市として若者人口の流入が多く、賃貸住宅の需要が高いことが背景にあると考えられます。
東京都
東京都は44.7%(偏差値20.3)で46位です。全国で最も地価が高く、持ち家を取得するハードルが極めて高いことが、この結果に直結しています。
沖縄県
沖縄県は42.6%(偏差値17.3)で最下位の47位となりました。地価の高さに加え、米軍基地の存在による土地利用の制約や、非正規雇用の割合の高さなどが、持ち家率の低さに影響していると指摘されています。
地域別の特徴分析
社会的・経済的影響
持ち家比率は、単に住宅の所有形態を示すだけでなく、地域社会の安定性や住民の資産形成にも深く関わっています。持ち家比率が高い地域では、住民がその土地に定住する傾向が強く、地域コミュニティが活性化しやすいというメリットがあります。また、持ち家は重要な個人資産であり、世代を超えて受け継がれることで、地域の経済的な安定にも寄与します。一方、持ち家比率が低い地域では、人口の流動性が高く、コミュニティが形成されにくいという課題があります。また、家賃の支払いが家計を圧迫し、資産形成が進みにくいという側面もあります。
対策と今後の展望
持ち家比率の地域差を是正するためには、各地域の事情に応じた多角的なアプローチが必要です。地価が高い都市部では、中古住宅市場の活性化や、リノベーションへの支援などを通じて、より手頃な価格で住宅を確保できるような仕組みづくりが求められます。また、地方では、UターンやIターンを促進し、若者世代の定住を支援する住宅政策が重要になります。空き家問題の解決も、地方の住宅市場を活性化させる上で欠かせない課題です。今後、日本の総人口が減少していく中で、質の高い住宅ストックをいかに維持・活用していくかが、すべての地域にとって共通のテーマとなるでしょう。
統計データの基本情報と分析
指標 | 値% |
---|---|
平均値 | 66.1 |
中央値 | 67.8 |
最大値 | 77.1(秋田県) |
最小値 | 42.6(沖縄県) |
標準偏差 | 7.2 |
データ数 | 47件 |
まとめ
2023年度の持ち家比率ランキングは、日本の住宅事情が地域によって大きく異なることを改めて示しました。東北・北陸地方の高い持ち家率は、豊かな土地と安定した地域社会を背景に持つ一方、大都市圏や沖縄では、地価の高騰や社会経済的な要因から、持ち家を持つことが依然として難しい状況にあります。このデータは、私たちがどのような地域で、どのようなライフスタイルを選択するかを考える上で、一つの重要な示唆を与えてくれると言えるでしょう。
順位↓ | 都道府県 | 値 (%) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 秋田県 | 77.1 | 65.3 | -0.3% |
2 | 山形県 | 75.0 | 62.4 | +0.1% |
3 | 富山県 | 74.9 | 62.2 | -2.5% |
4 | 新潟県 | 74.0 | 61.0 | - |
5 | 和歌山県 | 73.8 | 60.7 | +1.1% |
6 | 岐阜県 | 73.7 | 60.5 | -0.8% |
7 | 福井県 | 73.5 | 60.3 | -1.9% |
8 | 奈良県 | 73.2 | 59.8 | -1.2% |
9 | 三重県 | 72.3 | 58.6 | +0.4% |
10 | 長野県 | 71.7 | 57.8 | +0.7% |
11 | 青森県 | 71.4 | 57.3 | +1.6% |
12 | 群馬県 | 71.1 | 56.9 | -0.4% |
13 | 滋賀県 | 70.9 | 56.7 | -1.0% |
14 | 岩手県 | 70.3 | 55.8 | +0.6% |
15 | 鳥取県 | 69.6 | 54.8 | +1.2% |
16 | 島根県 | 69.6 | 54.8 | -0.8% |
17 | 茨城県 | 69.4 | 54.6 | -2.5% |
18 | 香川県 | 69.4 | 54.6 | +0.1% |
19 | 栃木県 | 69.1 | 54.2 | - |
20 | 山梨県 | 68.6 | 53.5 | -2.3% |
21 | 福島県 | 68.3 | 53.0 | +0.9% |
22 | 徳島県 | 68.1 | 52.8 | -1.6% |
23 | 佐賀県 | 67.9 | 52.5 | +1.5% |
24 | 石川県 | 67.8 | 52.3 | -2.2% |
25 | 静岡県 | 67.4 | 51.8 | +0.6% |
26 | 山口県 | 67.0 | 51.2 | -0.1% |
27 | 高知県 | 66.0 | 49.8 | +1.7% |
28 | 宮崎県 | 65.7 | 49.4 | - |
29 | 岡山県 | 65.6 | 49.3 | +1.1% |
30 | 埼玉県 | 65.1 | 48.6 | -0.9% |
31 | 愛媛県 | 65.0 | 48.5 | -2.3% |
32 | 千葉県 | 64.7 | 48.0 | -1.1% |
33 | 長崎県 | 64.7 | 48.0 | +1.6% |
34 | 兵庫県 | 64.4 | 47.6 | -0.6% |
35 | 鹿児島県 | 63.3 | 46.1 | -2.0% |
36 | 熊本県 | 62.9 | 45.5 | +1.6% |
37 | 大分県 | 62.3 | 44.7 | -2.0% |
38 | 広島県 | 61.9 | 44.2 | +0.8% |
39 | 京都府 | 60.7 | 42.5 | -1.0% |
40 | 宮城県 | 60.0 | 41.5 | +3.3% |
41 | 愛知県 | 59.6 | 41.0 | +0.2% |
42 | 神奈川県 | 58.7 | 39.7 | -0.7% |
43 | 北海道 | 57.0 | 37.3 | +1.2% |
44 | 大阪府 | 54.5 | 33.9 | -0.4% |
45 | 福岡県 | 52.7 | 31.4 | -0.2% |
46 | 東京都 | 44.7 | 20.3 | -0.7% |
47 | 沖縄県 | 42.6 | 17.3 | -4.0% |