2023年度の都道府県別一般旅券(パスポート)発行件数(人口千人当たり)のランキングを分析します。このデータは、各地域の住民の海外への関心の高さや、国際的な交流の活発さを示す指標です。
概要
人口千人当たりの一般旅券発行件数は、その地域の住民がどの程度海外へ渡航しているかを間接的に示すデータです。この数値は、ビジネスでの海外出張、観光、留学など、様々な目的での海外渡航を反映します。発行件数が多い地域は、経済的に豊かで、国際的なつながりが強い傾向があると考えられます。
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上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
2023年度のランキングでは、大都市圏が上位を独占しました。これは、国際空港へのアクセスの良さや、グローバルに事業を展開する企業が集中していることなどが主な要因です。
東京都
東京都は、人口千人当たりの旅券発行件数が50.3件(偏差値86.3)で、全国1位です。日本の首都として、多くの国際企業が本社を構え、海外とのビジネスが活発であることが、この高い数値を支えています。
神奈川県
神奈川県は37.8件(偏差値71.1)で2位にランクインしました。東京都に隣接し、羽田空港や成田空港へのアクセスも良いことから、海外渡航がしやすい環境にあります。
大阪府
大阪府は33.8件(偏差値66.2)で3位です。関西国際空港を擁し、西日本の空の玄関口として機能していることが、高い発行件数につながっています。
京都府
京都府は33.2件(偏差値65.5)で4位でした。国際的な観光都市であり、学術・文化交流も盛んなことから、海外との往来が多い地域です。
兵庫県
兵庫県は30.7件(偏差値62.4)で5位に入りました。神戸港という国際貿易港を抱え、古くから海外との交流が盛んな歴史的背景も影響しているでしょう。
下位5県の詳細分析
下位の県は、主に東北地方に集中しています。これらの地域では、国際空港からの距離や、経済的な要因が、海外渡航へのハードルとなっている可能性があります。
島根県
島根県は11.7件(偏差値39.3)で44位です。国際線の便数が限られており、海外へ出るための時間的・経済的コストが他の地域に比べて高いことが一因と考えられます。
岩手県
岩手県は9.4件(偏差値36.5)で45位でした。地理的に内陸部に位置するエリアが多く、国際空港へのアクセスが不便なことが影響していると推測されます。
青森県
青森県は8.4件(偏差値35.3)で46位です。若年層の県外流出による人口減少や、地域経済の規模が、海外渡航の機会を限定的にしている可能性があります。
秋田県
秋田県は8.2件(偏差値35.1)で最下位の47位となりました。高齢化率が全国で最も高い水準にあることも、海外渡航者数が少ない一因と考えられます。
地域別の特徴分析
社会的・経済的影響
パスポートの発行件数は、その地域の「国際性」を測る一つの指標です。発行件数が多い地域は、住民が海外の文化や価値観に触れる機会が豊富であり、グローバルな視野を持つ人材が育ちやすい環境にあると言えます。これは、地域の国際競争力を高める上で有利に働きます。また、海外旅行やビジネスが活発なことは、旅行業や航空業、貿易関連産業などの発展にもつながり、地域経済に好影響を与えます。一方で、発行件数が少ない地域は、国際的な交流から取り残され、経済や文化の面で内向き志向が強まる懸念があります。特に、若者が海外に触れる機会が少ないことは、将来的な人材育成の観点から課題となる可能性があります。
対策と今後の展望
海外渡航の地域差を是正するためには、地方空港の国際線拡充や、LCCの誘致が有効な手段となります。これにより、地方からでも手軽に海外へ渡航できるようになり、時間的・経済的なハードルを下げることができます。また、自治体が主導する国際交流事業や、学生の留学支援プログラムを充実させることも、住民の海外への関心を高める上で重要です。近年では、パスポートのオンライン申請も導入され、申請手続きの利便性は向上しています。今後は、こうしたインフラ整備と並行して、各地域がそれぞれの魅力を活かした国際交流を推進し、住民が海外に目を向けるきっかけを創出していくことが求められます。
統計データの基本情報と分析
指標 | 値件 |
---|---|
平均値 | 20.5 |
中央値 | 18.6 |
最大値 | 50.3(東京都) |
最小値 | 8.2(秋田県) |
標準偏差 | 8.2 |
データ数 | 47件 |
まとめ
2023年度の一般旅券発行件数ランキングは、日本の国際化が、東京や大阪などの大都市圏に集中している現状を明確に示しました。一方で、地方においては、海外との距離が依然として大きいことがうかがえます。このデータは、グローバル化が加速する現代社会において、日本の各地域がどのような立ち位置にあるのかを客観的に示しており、今後の地域振興や国際戦略を考える上で、重要な基礎資料となるでしょう。
順位↓ | 都道府県 | 値 (件) | 偏差値 | 前回比 |
---|---|---|---|---|
1 | 東京都 | 50.3 | 86.3 | +128.6% |
2 | 神奈川県 | 37.8 | 71.1 | +150.3% |
3 | 大阪府 | 33.8 | 66.2 | +196.5% |
4 | 京都府 | 33.2 | 65.5 | +196.4% |
5 | 兵庫県 | 30.7 | 62.4 | +198.1% |
6 | 千葉県 | 30.3 | 61.9 | +161.2% |
7 | 愛知県 | 29.9 | 61.5 | +202.0% |
8 | 福岡県 | 29.6 | 61.1 | +252.4% |
9 | 奈良県 | 28.2 | 59.4 | +213.3% |
10 | 滋賀県 | 27.6 | 58.7 | +213.6% |
11 | 沖縄県 | 27.4 | 58.4 | +204.4% |
12 | 埼玉県 | 27.3 | 58.3 | +184.4% |
13 | 静岡県 | 21.8 | 51.6 | +194.6% |
14 | 岐阜県 | 21.3 | 51.0 | +238.1% |
15 | 三重県 | 21.3 | 51.0 | +238.1% |
16 | 山梨県 | 21.2 | 50.9 | +207.3% |
17 | 石川県 | 21.0 | 50.6 | +268.4% |
18 | 茨城県 | 20.9 | 50.5 | +194.4% |
19 | 広島県 | 20.4 | 49.9 | +218.8% |
20 | 熊本県 | 20.1 | 49.5 | +272.2% |
21 | 佐賀県 | 19.9 | 49.3 | +298.0% |
22 | 福井県 | 19.7 | 49.0 | +264.8% |
23 | 和歌山県 | 18.8 | 48.0 | +268.6% |
24 | 岡山県 | 18.6 | 47.7 | +244.4% |
25 | 栃木県 | 18.1 | 47.1 | +178.5% |
26 | 群馬県 | 18.0 | 47.0 | +215.8% |
27 | 長野県 | 17.9 | 46.9 | +198.3% |
28 | 香川県 | 17.6 | 46.5 | +252.0% |
29 | 長崎県 | 17.3 | 46.1 | +246.0% |
30 | 大分県 | 17.2 | 46.0 | +258.3% |
31 | 山口県 | 17.0 | 45.8 | +240.0% |
32 | 富山県 | 16.7 | 45.4 | +221.2% |
33 | 徳島県 | 16.2 | 44.8 | +268.2% |
34 | 宮城県 | 16.0 | 44.5 | +207.7% |
35 | 愛媛県 | 15.4 | 43.8 | +258.1% |
36 | 北海道 | 15.3 | 43.7 | +188.7% |
37 | 鳥取県 | 14.6 | 42.8 | +284.2% |
38 | 高知県 | 13.8 | 41.9 | +228.6% |
39 | 宮崎県 | 13.3 | 41.3 | +241.0% |
40 | 鹿児島県 | 12.7 | 40.5 | +225.6% |
41 | 新潟県 | 12.6 | 40.4 | +231.6% |
42 | 福島県 | 12.1 | 39.8 | +218.4% |
43 | 山形県 | 12.0 | 39.7 | +275.0% |
44 | 島根県 | 11.7 | 39.3 | +265.6% |
45 | 岩手県 | 9.4 | 36.5 | +203.2% |
46 | 青森県 | 8.4 | 35.3 | +200.0% |
47 | 秋田県 | 8.2 | 35.1 | +203.7% |