都道府県別簡易生命保険保有契約保険金額ランキング(2006年度)
概要
簡易生命保険保有契約保険金額は、各都道府県における簡易生命保険(かんぽ生命)の契約総額を示す重要な金融指標です。この統計は、地域の経済規模、人口規模、および住民の保険加入傾向を反映する指標として位置づけられます。
2006年度のデータでは、全国平均が28,913億円となっており、最上位の東京都(150,597億円)と最下位の沖縄県(6,330億円)の間には約24倍もの大きな格差が存在しています。首都圏や大阪府などの大都市圏が上位を占める一方で、人口規模の小さい県が下位に集中する傾向が顕著に現れています。
この指標は、地域の金融市場の規模や住民の保険意識、経済力の地域差を示すバロメーターとして、金融政策や地域開発政策を考える上で重要な意味を持っています。
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上位5県の詳細分析
上位5県はいずれも人口規模が大きく、経済活動が活発な都道府県が占めています。
東京都が150,597億円(偏差値91.0)で圧倒的な1位となっています。首都として日本最大の人口を抱え、高所得者層も多いことから、簡易生命保険の契約額も突出しています。全国平均の約5.2倍という規模は、東京の経済集積度の高さを如実に示しています。
大阪府は105,105億円(偏差値75.1)で2位に位置しています。関西圏の中心都市として、商業・金融の拠点機能を担っており、人口密度の高さと相まって高い契約額を記録しています。東京都に次ぐ経済規模を反映した結果といえます。
神奈川県は90,365億円(偏差値69.9)で3位となっています。東京に隣接し、横浜市を中心とした人口集積と、首都圏のベッドタウンとしての機能が契約額の高さに寄与しています。
愛知県は85,638億円(偏差値68.3)で4位です。製造業を中心とした産業集積により高い所得水準を維持しており、名古屋市を中心とした中京圏の経済力が反映されています。
埼玉県は71,504億円(偏差値63.3)で5位に入っています。首都圏のベッドタウンとして人口が急増している地域で、東京への通勤者を中心とした安定した所得層の存在が契約額を押し上げています。
下位5県の詳細分析
下位5県は人口規模が相対的に小さく、地方部に位置する県が占めています。
山梨県は11,466億円(偏差値42.3)で43位となっています。人口約87万人と規模が小さく、東京に隣接しながらも契約額は全国平均の約4割にとどまっています。
高知県は11,248億円(偏差値42.2)で44位です。四国地方の中でも人口減少が進んでおり、高齢化率の高さも契約額の伸び悩みに影響していると考えられます。
島根県は10,539億円(偏差値42.0)で45位となっています。中国地方の日本海側に位置し、人口約72万人と規模が限られており、若年層の県外流出も契約額に影響を与えています。
鳥取県は7,500億円(偏差値40.9)で46位です。全国で最も人口の少ない県(約59万人)であり、経済規模の小ささが契約額にも反映されています。
沖縄県は6,330億円(偏差値40.5)で47位となっています。人口約137万人を抱えながら最下位となっているのは、所得水準の低さや、本土復帰から30年余りという歴史的経緯による金融制度の普及度の違いが影響していると考えられます。
地域別の特徴分析
関東地方では、東京都、神奈川県、埼玉県が上位5位以内に入るなど、首都圏への人口・経済の集中が顕著に現れています。千葉県も上位グループに位置しており、首都圏全体での契約額の集積度の高さが際立っています。
近畿地方では、大阪府が2位と高位置にある一方で、京都府、兵庫県も上位グループに位置しており、関西圏の経済力の高さを示しています。
中部地方では、愛知県が4位と健闘している一方で、静岡県も中位に位置しています。製造業を中心とした産業集積が契約額を支えています。
九州地方では、福岡県が比較的上位に位置していますが、その他の県は中位から下位に分散しており、地域内での格差が見られます。特に沖縄県の最下位は、地理的・歴史的要因が大きく影響しています。
中国・四国地方では、全体的に中位から下位に位置する県が多く、特に山陰地方や四国地方の県が下位グループに集中しています。人口減少と経済規模の縮小が契約額に影響していることが読み取れます。
北海道・東北地方では、北海道が比較的上位に位置している一方で、東北各県は中位に分散しており、地域的な特色が見られます。
格差や課題の考察
最上位の東京都(150,597億円)と最下位の沖縄県(6,330億円)の格差は約23.8倍に達しており、極めて大きな地域格差が存在しています。この格差は、単純な人口比以上に大きく、所得水準や保険普及度の地域差が影響していることを示しています。
上位10県で全体の約6割の契約額を占めており、大都市圏への集中度の高さが浮き彫りになっています。これは、簡易生命保険市場においても東京一極集中の構造が強く反映されていることを意味します。
人口1万人当たりの契約額で見ても地域差は大きく、単純な人口規模だけでなく、所得水準、年齢構成、保険に対する意識などの要因が複合的に影響していると考えられます。特に沖縄県の低位は、歴史的経緯による金融制度の普及度の違いや、所得水準の格差が大きく影響している可能性があります。
統計データの基本情報と分析
統計分析の結果、平均値(28,913億円)が中央値を大きく上回っており、データが上位に偏った分布を示しています。これは、東京都をはじめとする大都市圏が極めて高い値を示している一方で、多くの県が平均値を下回っていることを意味します。
標準偏差の大きさは、都道府県間の格差が非常に大きいことを統計的に裏付けています。特に東京都の値は外れ値的な性格を持っており、全体の分布に大きな影響を与えています。
四分位範囲で見ると、上位25%の県と下位25%の県の間には約3倍の格差があり、中位層においても相当な差が存在していることが分かります。
偏差値の分布を見ると、50を超える県は比較的少なく、多くの県が全国平均を下回っている状況が確認できます。これは、少数の大都市圏が全体の平均を押し上げている構造を示しています。
まとめ
- 東京都が圧倒的な1位で、首都圏への経済集中が顕著に現れている
- 上位5県はすべて人口規模の大きな都道府県が占め、経済力との強い相関が見られる
- 最上位と最下位の格差は約24倍に達し、極めて大きな地域差が存在する
- 大都市圏以外の地方部では、人口減少や所得水準の影響で契約額が低位にとどまっている
- 沖縄県の最下位は、地理的・歴史的要因による影響が大きいと考えられる
- 地域ブロック別では、関東・近畿・中部の三大都市圏の優位性が明確に現れている
今後は、人口減少社会の進展により地方部の契約額のさらなる減少が予想される一方で、高齢化の進展により保険需要の質的変化も想定されます。地域間格差の動向と、簡易生命保険制度の地域的な普及状況について、継続的なモニタリングが必要です。