都道府県別簡易生命保険保有契約件数（人口千人当たり）ランキング（2006年度）

概要

簡易生命保険保有契約件数（人口千人当たり）は、各都道府県における簡易生命保険の加入状況を示す重要な指標です。この指標は、人口1,000人当たりの簡易生命保険契約件数を測定し、地域の保険意識や金融サービスへのアクセス状況を反映します。

2006年度のデータでは、全国平均が476.2件となっており、都道府県間で大きな地域差が見られます。最上位の山形県（609.8件）と最下位の沖縄県（177.5件）の間には約3.4倍の格差が存在しており、特に東北地方や中国・四国地方で高い傾向が見られます。

この指標は、郵便局を通じて提供される簡易生命保険への加入状況を示し、地域の金融インフラや保険ニーズの地域差を理解する上で重要な意味を持ちます。

上位5県の詳細分析

上位5県は全て地方部の県が占めており、簡易生命保険への依存度の高さが特徴的です。

山形県が609.8件（偏差値65.2）で1位となっており、全国平均を大きく上回っています。東北地方の特徴として、郵便局ネットワークが地域金融の重要な役割を果たしていることが影響していると考えられます。

徳島県は600.7件（偏差値64.1）で2位に位置し、四国地方では最も高い水準を示しています。地方部における簡易生命保険の普及度の高さが表れています。

山口県は589.4件（偏差値62.7）で3位となり、中国地方での簡易生命保険の定着度を示しています。近隣の島根県も5位に入るなど、中国地方全体で高い傾向が見られます。

秋田県は584.8件（偏差値62.1）で4位に位置し、山形県と同様に東北地方の特徴を示しています。高齢化が進む地方部での保険ニーズの高さが反映されています。

島根県は580.6件（偏差値61.6）で5位となり、山口県と並んで中国地方の高い水準を示しています。

下位5県の詳細分析

下位5県は主に首都圏を中心とした都市部の県が占めており、民間生命保険会社の選択肢が豊富な地域の特徴を反映しています。

沖縄県が177.5件（偏差値12.4）で最下位となっており、全国平均の約37%という極めて低い水準です。地理的な特殊性や保険市場の構造的違いが大きく影響していると考えられます。

千葉県は330.6件（偏差値31.1）で46位となり、首都圏の特徴を示しています。都市部では民間保険会社の選択肢が豊富で、簡易生命保険への依存度が相対的に低くなっています。

神奈川県は337.0件（偏差値31.9）で45位に位置し、千葉県と同様の傾向を示しています。横浜市や川崎市などの大都市を抱える地域特性が反映されています。

埼玉県は367.4件（偏差値35.6）で44位となり、首都圏の中では比較的高い水準ながらも全国平均を大きく下回っています。

静岡県は392.2件（偏差値38.6）で43位に位置し、東海地方の工業地帯としての特徴を示しています。

地域別の特徴分析

北海道・東北地方では、山形県と秋田県が上位に入るなど、全体的に高い水準を示しています。青森県（516.8件、15位）、岩手県（543.9件、9位）、宮城県（461.9件、28位）、福島県（508.3件、18位）と、宮城県を除いて全国平均を上回っており、地域全体での簡易生命保険への依存度の高さが特徴的です。

関東地方では、全体的に低い水準となっており、特に首都圏3県（埼玉、千葉、神奈川）が下位に集中しています。東京都も397.0件（偏差値39.2）で42位と低位にあり、都市部における民間保険市場の発達が影響していると考えられます。

中部地方では、新潟県（532.9件、12位）や富山県（558.5件、7位）など日本海側で高い水準を示す一方、静岡県や愛知県（421.9件、37位）など太平洋側で低い傾向が見られます。

近畿地方では、全体的に全国平均を下回る県が多く、大阪府（427.8件、35位）、京都府（434.6件、33位）、兵庫県（412.0件、39位）など都市部を中心に低い水準となっています。

中国・四国地方では、上位県が多く集中しており、徳島県、山口県、島根県が上位5位以内に入っています。鳥取県（549.9件、8位）、高知県（523.5件、14位）なども高い水準を示しており、地域全体での簡易生命保険の普及度の高さが特徴的です。

九州・沖縄地方では、地域内で大きな格差が見られます。鹿児島県（534.4件、11位）や長崎県（501.9件、20位）が比較的高い水準を示す一方、福岡県（438.2件、32位）や沖縄県は低い水準となっています。

格差や課題の考察

最上位の山形県（609.8件）と最下位の沖縄県（177.5件）の間には432.3件の差があり、約3.4倍の格差が存在しています。この格差は、地域の金融インフラの発達度や保険市場の構造的違いを反映しています。

地域間格差の主要因として、都市部と地方部の保険市場の発達度の違いが挙げられます。都市部では民間保険会社の選択肢が豊富で競争が激しい一方、地方部では郵便局を通じた簡易生命保険が重要な役割を果たしています。

また、高齢化の進行度や所得水準の違いも影響しており、特に地方部での高齢者層における簡易生命保険への依存度の高さが上位県の特徴として表れています。民間保険会社のサービス網が限定的な地域では、郵便局ネットワークを活用した簡易生命保険が重要な選択肢となっています。

統計データの基本情報と分析

統計分析の結果、平均値（476.2件）が中央値を上回っており、データが下位に偏った分布を示しています。これは、多くの都道府県が全国平均を下回る一方で、一部の地方県が極めて高い値を示していることを意味します。

標準偏差は比較的大きく、都道府県間のばらつきが相当程度存在することを示しています。特に沖縄県の177.5件は明らかな外れ値として機能しており、全体の分布に大きな影響を与えています。

四分位範囲による分析では、上位25%の都道府県と下位25%の都道府県の間に明確な格差が存在し、中位50%の都道府県でも相当程度のばらつきが見られます。この分布特性は、地域の経済発展度や都市化の程度と密接に関連していると考えられます。

分布の偏りは、日本の地域構造の特徴を反映しており、大都市圏と地方部の保険市場の構造的違いを統計的に裏付けています。

まとめ

• 山形県、徳島県、山口県など地方部の県で簡易生命保険の契約件数が高い水準
• 首都圏を中心とした都市部では民間保険の選択肢が豊富で簡易生命保険への依存度が低い
• 最大3.4倍の地域間格差が存在し、保険市場の地域特性を反映
• 東北地方と中国・四国地方で全体的に高い水準、関東地方で低い水準
• 郵便局ネットワークが重要な役割を果たす地方部での高い契約率
• 沖縄県の極端な低水準は地理的・構造的要因による特異性を示唆
• 地域の金融インフラ整備状況と簡易生命保険需要の密接な関連性
• 高齢化進行地域での保険ニーズの高さが上位県の特徴として表出

今後は、民営化後の郵便局サービスの変化や地域金融の多様化が、この格差構造にどのような影響を与えるかを継続的に監視していく必要があります。