評価総地積とは
評価総地積とは、固定資産税の課税対象となる土地の合計面積を示す指標です。市町村が固定資産税を課税するために評価した土地の総面積であり、宅地、農地、山林など様々な地目の土地が含まれています。
この指標は、各都道府県における課税対象となる土地の広さを示すものであり、都道府県の面積や土地利用状況、都市化の程度などを反映しています。また、固定資産税収入の基盤となる土地資産の規模を示す重要な経済指標でもあります。
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上位県と下位県の比較
評価総地積が広い都道府県の特徴
評価総地積が最も広いのは北海道で27,227,493,671平方メートル(偏差値112.7)となっています。次いで岩手県が7,765,956,656平方メートル(偏差値61.3)、福島県が5,966,356,845平方メートル(偏差値56.6)と続きます。
北海道は日本最大の面積を持つ都道府県であり、広大な農地や森林を有していることから、評価総地積も突出して広くなっています。北海道の評価総地積は2位の岩手県の約3.5倍に達しており、その規模の大きさがわかります。岩手県や福島県も東北地方の広い県土を持つ県であり、農地や森林が多いことが特徴です。
上位5県はいずれも面積の広い県であり、特に農地や森林などの非都市的土地利用が多い地域です。これらの県では、土地の単価は比較的低いものの、広大な面積を有していることから、評価総地積が大きくなっています。
評価総地積が狭い都道府県の特徴
一方、評価総地積が最も狭いのは大阪府で885,818,772平方メートル(偏差値43.2)です。次いで東京都が1,022,091,779平方メートル(偏差値43.6)、沖縄県が1,029,026,772平方メートル(偏差値43.6)と続きます。
大阪府と東京都はいずれも面積自体が小さい上に、高度に都市化が進んでおり、宅地や商業地などの高密度な土地利用が中心となっています。これらの地域では、土地の単価は非常に高いものの、面積自体は限られているため、評価総地積は小さくなっています。沖縄県は島嶼県であり、県土面積自体が小さいことが影響しています。
下位5県は、香川県や神奈川県など面積の小さい県や、都市化が進んだ地域が多く含まれています。これらの地域では、土地の有効利用が進んでおり、限られた土地を集約的に利用する傾向があります。
地域別の特徴
地方別の評価総地積
地方別に評価総地積を見ると、以下のような特徴があります:
- 北海道:27,227,493,671平方メートルと突出して広い面積を有しています。
- 東北地方:平均4,307,778,000平方メートルと全国で2番目に高く、特に岩手県や福島県で広い面積となっています。
- 中部地方:平均2,825,000,000平方メートルと全国平均を上回っており、長野県や新潟県などで広い面積となっています。
- 九州・沖縄地方:平均2,700,000,000平方メートルと全国平均に近く、特に鹿児島県や熊本県で広い面積となっています。
- 中国・四国地方:平均1,900,000,000平方メートルとやや低く、特に香川県や山口県では面積が限られています。
- 関東地方:平均1,800,000,000平方メートルと低く、特に東京都や神奈川県では面積が限られています。
- 近畿地方:平均1,600,000,000平方メートルと最も低く、特に大阪府や京都府では面積が限られています。
土地利用の地域差
評価総地積の地域差は、各地域の面積や地形的特徴、歴史的背景、産業構造などを反映しています。例えば、北海道や東北地方では広大な農地や森林が多く、評価総地積が大きくなる傾向があります。一方、関東地方や近畿地方では都市化が進み、限られた土地を集約的に利用する傾向があるため、評価総地積は比較的小さくなっています。
また、山地が多い地域では、課税対象となる土地の割合が低く、評価総地積が実際の面積に比べて小さくなる傾向があります。逆に、平野部が多い地域では、課税対象となる土地の割合が高く、評価総地積が大きくなる傾向があります。
評価総地積と地方財政
固定資産税収入への影響
評価総地積は固定資産税の課税ベースとなるため、地方自治体の財政に大きな影響を与えます。ただし、単純に評価総地積が広いからといって固定資産税収入が多いとは限りません。土地の評価額は地域によって大きく異なり、都市部では単位面積あたりの評価額が高く、地方では低い傾向があります。
例えば、東京都や大阪府は評価総地積は小さいものの、土地の評価額が非常に高いため、固定資産税収入は多くなっています。一方、北海道や岩手県は評価総地積は広いものの、土地の評価額が低いため、面積の割には固定資産税収入が少ない傾向があります。
地域間格差と財政調整
評価総地積と土地評価額の地域差は、地方自治体の財政力の格差にもつながっています。都市部の自治体は土地評価額が高いため固定資産税収入が多く、財政力が強い傾向がありますが、地方の自治体は土地評価額が低いため固定資産税収入が少なく、財政力が弱い傾向があります。
この格差を是正するため、地方交付税制度などによる財政調整が行われています。また、過疎地域等では固定資産税の特例措置が設けられるなど、地域の実情に応じた税制上の配慮も行われています。
格差と課題
地域間の格差
評価総地積の都道府県間格差は非常に大きく、最大の北海道(27,227,493,671平方メートル)と最小の大阪府(885,818,772平方メートル)の間には約30倍の開きがあります。この格差は、都道府県の面積の違いを反映したものですが、土地利用の状況や都市化の程度も影響しています。
土地利用の効率性
評価総地積が広い地域では、土地の有効活用が課題となっています。特に人口減少が進む地方では、空き地や耕作放棄地の増加が問題となっており、限られた財源で広大な土地を管理することが難しくなっています。一方、評価総地積が狭い都市部では、土地の高度利用が進んでいますが、過密化による生活環境の悪化や災害リスクの増大などの問題も生じています。
持続可能な土地利用のためには、地域の特性に応じた土地利用計画の策定や、コンパクトシティの推進、空き地・空き家対策の強化などが求められています。
統計データの基本情報と分析
統計的特徴の分析
評価総地積の全国平均は2,900,000,000平方メートル、中央値は2,100,000,000平方メートルとなっています。平均値が中央値を上回っていることから、分布は右に歪んでいることがわかります。これは、北海道など一部の道県で特に広い面積を有していることが影響しています。
標準偏差は3,800,000,000平方メートルと非常に大きく、都道府県間のばらつきが極めて大きいことを示しています。四分位範囲(第3四分位数 - 第1四分位数)は2,000,000,000平方メートルで、中央付近の都道府県でも評価総地積にかなりの差があることがわかります。
最大値(北海道の27,227,493,671平方メートル)と最小値(大阪府の885,818,772平方メートル)の差は26,341,674,899平方メートルと非常に大きく、日本の国土の多様性と地域差を反映しています。
外れ値の分析
統計的に見ると、北海道(27,227,493,671平方メートル)は明らかな上方への外れ値です。北海道の評価総地積は第2位の岩手県(7,765,956,656平方メートル)の約3.5倍、全国平均の約9.4倍に達しています。これは、北海道の面積の広さと農地・森林の多さを反映しています。
岩手県や福島県、新潟県なども上方への外れ値と考えられますが、北海道ほど極端ではありません。下方への顕著な外れ値は見られませんが、大阪府や東京都などは全国平均を大きく下回っています。
まとめ
評価総地積は、各都道府県における課税対象となる土地の広さを示す重要な指標です。北海道や岩手県、福島県などでは広い面積を有している一方、大阪府や東京都などでは面積が限られており、都道府県間で大きな差があることがわかりました。
この差は、各地域の面積や地形的特徴、土地利用の状況を反映していますが、評価総地積は単なる面積の指標ではなく、地方財政や土地利用政策にも関わる重要な経済指標です。特に固定資産税の課税ベースとなることから、地方自治体の財政基盤を考える上で重要な意味を持っています。
今後は、人口減少や高齢化、産業構造の変化などに伴い、土地利用の在り方も大きく変わっていくことが予想されます。限られた土地資源を有効に活用しながら、地域の持続可能な発展を実現するための土地政策が求められています。また、評価総地積の地域差を踏まえた上で、地方財政の安定化や地域間格差の是正に向けた取り組みも重要となるでしょう。