都道府県別交通事故死傷者数(人口10万人当たり)ランキング(2023年度)

はじめに

交通事故死傷者数は、都道府県の交通安全対策の成果や道路環境、交通量などを反映する重要な指標です。本記事では、2023年度の都道府県別交通事故死傷者数(人口10万人当たり)のランキングを詳しく分析し、地域別の特徴や課題を探ります。

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上位県と下位県の比較

上位5県の詳細分析

1位:静岡県(665.1人、偏差値83.2)

静岡県665.1人(偏差値83.2)で全国1位となっています。この数値は全国平均を大幅に上回っており、交通事故死傷者数の多さが際立っています。静岡県は東西に長い県土を持ち、東名高速道路をはじめとする主要幹線道路が多数通過することで交通量が非常に多いことが影響していると考えられます。

2位:群馬県(653.2人、偏差値82.2)

群馬県653.2人(偏差値82.2)で2位となっています。静岡県に次ぐ高い数値を示しており、車社会である群馬県の特徴が反映されています。県内の移動手段として自動車への依存度が高く、それに伴う交通事故のリスクが高まっていることが考えられます。

3位:佐賀県(509.4人、偏差値70.0)

佐賀県509.4人(偏差値70.0)で3位となっています。九州地方の中でも特に高い数値を示しており、地方部における自動車利用の頻度の高さが影響していると推測されます。

4位:福岡県(505.6人、偏差値69.7)

福岡県505.6人(偏差値69.7)で4位となっています。九州最大の都市圏を抱える福岡県では、都市部の交通渋滞や交通量の多さが事故発生率に影響していると考えられます。

5位:香川県(404.4人、偏差値61.1)

香川県404.4人(偏差値61.1)で5位となっています。四国地方では最も高い数値を示しており、県土が狭い中での交通密度の高さが影響している可能性があります。

下位5県の詳細分析

47位:島根県(133.7人、偏差値38.1)

島根県133.7人(偏差値38.1)で全国最少となっています。人口密度が低く、交通量が比較的少ないことが低い事故率につながっていると考えられます。

46位:鳥取県(144.5人、偏差値39.0)

鳥取県144.5人(偏差値39.0)で46位となっています。島根県と同様に、中国地方の日本海側に位置し、人口密度が低いことが影響していると推測されます。

45位:新潟県(148.2人、偏差値39.3)

新潟県148.2人(偏差値39.3)で45位となっています。比較的広い県土を持ちながらも、交通事故死傷者数が抑えられており、効果的な交通安全対策が実施されていることが示唆されます。

44位:秋田県(150.0人、偏差値39.4)

秋田県150.0人(偏差値39.4)で44位となっています。東北地方の中でも特に低い数値を示しており、人口減少に伴う交通量の減少も影響していると考えられます。

43位:福井県(155.0人、偏差値39.9)

福井県155.0人(偏差値39.9)で43位となっています。北陸地方の中では比較的低い数値を維持しており、交通安全対策の効果が表れていると推測されます。

地域別の特徴分析

関東地方の状況

関東地方では、群馬県(2位、653.2人)が突出して高い数値を示している一方で、他の都県は中位から下位に位置しています。東京都(22位、248.5人)や神奈川県(16位、279.1人)など人口密集地域でも比較的抑制されており、公共交通機関の整備や交通安全対策の効果が見られます。

中部地方の状況

中部地方では静岡県(1位、665.1人)が全国最多となっており、山梨県(11位、329.6人)、長野県(14位、299.1人)も上位に位置しています。一方で、新潟県(45位、148.2人)は全国でも最も少ない部類に入っており、同一地方内でも大きな格差が見られます。

近畿地方の状況

近畿地方では兵庫県(8位、357.8人)、大阪府(9位、345.1人)が上位に位置している一方で、京都府(38位、186.5人)、和歌山県(40位、181.5人)は下位となっており、都市部と地方部での差異が顕著に表れています。

九州地方の状況

九州地方では佐賀県(3位、509.4人)、福岡県(4位、505.6人)、宮崎県(7位、377.9人)が上位に集中しており、全体的に交通事故死傷者数が多い傾向にあります。これは車社会である九州地方の特徴を反映していると考えられます。

交通安全の課題と格差の考察

都市部と地方部の格差

データから、人口密度や交通インフラの整備状況によって交通事故死傷者数に大きな差が生じていることが明確に示されています。特に、公共交通機関が発達している都市部では相対的に数値が低く抑えられている傾向があります。

地理的要因の影響

最上位の静岡県や群馬県では、主要な交通路が集中していることや、県内移動において自動車への依存度が高いことが高い数値の要因となっていると推測されます。一方で、島根県や鳥取県など人口密度の低い地域では、交通量そのものが少ないことが低い数値につながっています。

交通安全対策の重要性

上位県と下位県の差は5倍以上に達しており、交通安全対策の実施状況や道路環境の整備状況による影響が大きいことが示されています。効果的な交通安全教育や道路インフラの改善が求められています。

統計データの基本情報と分析

統計的特徴の分析

2023年度の都道府県別交通事故死傷者数(人口10万人当たり)の分布を統計的に分析すると、以下の特徴が見られます。

全国の平均値は約270人程度と推定され、中央値もほぼ同水準にあることから、データの分布は比較的対称的であると考えられます。ただし、静岡県(665.1人)や群馬県(653.2人)のような極端に高い値を示す都県が存在することで、分布の右側(高値側)にやや歪みが生じています。

標準偏差は約100人程度と推定され、データのばらつきは相当大きいことが示されています。これは、都道府県間での交通事故発生状況に大きな格差があることを意味しています。

四分位範囲を見ると、第1四分位(25パーセンタイル)が約180人、第3四分位(75パーセンタイル)が約320人程度と推定され、中央50%の都道府県が約140人の範囲に収まっていることが分かります。

外れ値としては、静岡県と群馬県が明確に他の都道府県から大きく離れた値を示しており、これらの県における特殊な交通事情が反映されていると考えられます。

まとめ

2023年度の都道府県別交通事故死傷者数(人口10万人当たり)ランキングでは、静岡県が665.1人で最多、島根県が133.7人で最少となり、約5倍の格差が見られました。

上位県は静岡県、群馬県、佐賀県、福岡県、香川県となっており、主要交通路を抱える県や車社会の地方県が多く含まれています。一方、下位県は島根県、鳥取県、新潟県、秋田県、福井県となっており、人口密度が低い地域や公共交通機関が整備された地域が目立ちます。

地域別では九州地方で高い数値を示す県が多く、中国地方の日本海側で低い数値を示す県が集中している傾向が見られます。これらの格差は、交通インフラの整備状況、人口密度、車社会への依存度、交通安全対策の実施状況などが複合的に影響していると考えられます。

交通事故死傷者数の削減は重要な社会課題であり、各都道府県の実情に応じた効果的な交通安全対策の実施が求められています。

出典