都道府県別年少人口指数ランキング(2022年度)

概要

年少人口指数(年少従属人口指数)とは、生産年齢人口(15〜64歳)100人に対する年少人口(0〜14歳)の比率を表す指標です。この記事では、2022年度の都道府県別年少人口指数のランキングを紹介します。

年少人口指数は、社会の年齢構成バランスや将来の労働力供給、社会保障制度の持続可能性を示す重要な指標です。この値が高いほど、相対的に子どもの割合が多く、将来の担い手が確保されていることを意味します。一方で、現役世代の子育て負担も大きくなります。

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上位県と下位県の比較

年少人口指数が高い上位5県

2022年度の年少人口指数ランキングでは、沖縄県27.1(偏差値84.4)で全国1位となりました。沖縄県は出生率が高く、若い世代の割合が多いことが特徴で、生産年齢人口100人あたりの子どもの数が他県と比べて突出しています。

2位は宮崎県24.1(偏差値68.7)、3位は鹿児島県24.0(偏差値68.2)、4位は佐賀県熊本県がともに23.6(偏差値66.1)となっています。上位県には九州地方の県が多く、比較的出生率が高い地域が目立ちます。

年少人口指数が低い下位5県

最も年少人口指数が低かったのは東京都16.5(偏差値29.0)でした。東京都は生産年齢人口の割合が高い一方、子どもの割合が相対的に低いという大都市特有の人口構造を示しています。

46位は秋田県17.8(偏差値35.8)、45位は北海道18.1(偏差値37.3)、44位は神奈川県18.2(偏差値37.9)、43位は青森県18.6(偏差値39.9)となっています。下位県には東北地方の県や大都市圏の都県が多く見られます。秋田県は高齢化率が高く、若年層の流出も著しいことから、生産年齢人口に対する子どもの割合が極めて低くなっています。

地域別の特徴分析

九州・沖縄地方の高い指数

九州・沖縄地方は全体的に年少人口指数が高く、沖縄県(1位、27.1)をはじめ、宮崎県(2位、24.1)、鹿児島県(3位、24.0)、佐賀県(4位、23.6)、熊本県(4位、23.6)、長崎県(6位、22.9)と上位を占めています。これらの地域では、比較的出生率が高く、家族形成に対する価値観や地域コミュニティの支援体制が影響していると考えられます。

福岡県(11位、21.7)と大分県(10位、21.8)も全国平均を上回っており、九州地方全体として年少人口指数が高い傾向にあります。これは、九州地方が比較的家族を重視する文化的背景や、地域社会のつながりの強さが影響している可能性があります。

中国地方の特徴

中国地方では、島根県(7位、22.6)や鳥取県(8位、22.1)が上位にランクしています。これは意外にも思えるかもしれませんが、両県とも人口規模は小さいものの、地域コミュニティの支援体制や家族形成に対する価値観が根強いことが考えられます。特に、県内での移住促進政策や子育て支援策の充実が寄与している可能性があります。

広島県(13位、21.3)、岡山県(14位、21.2)、山口県(16位、20.9)も全国平均より高い水準を示しており、中国地方全体として比較的年少人口指数が高い傾向にあります。

四国地方の状況

四国地方では、香川県(15位、21.1)が比較的上位にランクしている一方、愛媛県(19位、20.5)、徳島県(30位、19.6)、高知県(27位、20.0)は中位に位置しています。四国地方内でも県によって差があり、特に香川県は瀬戸内海側に位置し、交通アクセスの良さや産業の多様性が若い世代の定住につながっている可能性があります。

関東地方の特徴

関東地方では、茨城県と栃木県(34位、19.4)、群馬県(32位、19.5)が中位から下位に位置しており、東京都(47位、16.5)、神奈川県(44位、18.2)、埼玉県・千葉県(38位、18.9)は下位に集中しています。東京都は生産年齢人口の割合が高く、単身世帯も多いことから、相対的に年少人口指数が低くなっています。

首都圏の特徴として、若い世代の流入が多い一方で、住宅価格の高騰や長時間労働、保育施設の不足など、子育てに関する課題が多いことが低い指数の背景にあると考えられます。

東北地方の低迷

東北地方は全体的に年少人口指数が低い傾向にあり、秋田県(46位、17.8)、青森県(43位、18.6)、宮城県(38位、18.9)が下位に位置しています。岩手県(36位、19.3)や福島県(30位、19.6)も全国平均を下回っていますが、山形県(27位、20.0)は中位にあります。

これらの地域では、若年層の流出が続き、出生率も低いことから、年少人口指数の低下が進行しています。特に、秋田県と青森県は全国的にも高齢化率が高い地域であり、若い世代の流出と少子化の進行が顕著です。

近畿地方の二極化

近畿地方では、滋賀県(9位、22.0)が高位にある一方、京都府と大阪府(41位、18.7)は下位に位置しています。兵庫県(21位、20.4)、奈良県(26位、20.1)、和歌山県(21位、20.4)は中位にあります。

滋賀県が高い指数を示している理由としては、大都市近郊のベッドタウンとして子育て世代が多く居住していることや、琵琶湖を中心とした自然環境の良さ、比較的広い住宅が確保しやすいことなどが考えられます。一方、京都府と大阪府は大都市特有の課題を抱えており、住宅事情や生活コストの高さが低い指数の要因と考えられます。

中部・北陸地方の状況

中部・北陸地方では、福井県(12位、21.6)が比較的上位にある一方、山梨県(36位、19.3)や富山県(32位、19.5)は中位から下位に位置しています。石川県(21位、20.4)、長野県と岐阜県(17位、20.8)、静岡県と三重県(24位、20.2)、愛知県(19位、20.5)は中位にあります。

この地域内でも、都市化の程度や産業構造によって年少人口指数に差が見られます。特に、福井県は繊維産業などの地場産業が発達し、三世代同居率が高いことも影響して、比較的高い指数を示しています。

年少人口指数の格差が生み出す課題

世代間バランスへの影響

年少人口指数の地域格差は、世代間のバランスにも影響を与えています。指数の低い地域では、将来的な担い手不足が深刻化し、高齢者を支える現役世代の負担が増大する傾向にあります。

例えば、東京都(47位、16.5)では、生産年齢人口に対する年少人口の割合が低いため、将来的に労働力人口の減少が懸念されます。これに対し、沖縄県(1位、27.1)では、相対的に若い世代が多く、将来的な担い手の確保という点では有利な状況にあります。

教育環境の地域差

年少人口指数の違いは、教育環境にも影響を与えています。指数の低い地域では学校の統廃合が進み、教育の選択肢が減少する一方、指数の高い地域では教育施設の充実が求められています。

例えば、秋田県(46位、17.8)では、年少人口の減少により小中学校の統廃合が進んでおり、一部の地域では通学距離が長くなるなどの課題が生じています。一方、宮崎県(2位、24.1)では、相対的に子どもの数が多いため、教育施設の整備や充実が求められています。

社会保障制度の持続可能性

年少人口指数の低下は、将来的な労働力人口の減少につながり、社会保障制度の持続可能性に課題をもたらします。特に指数の低い地域では、将来の年金や医療、介護などの社会保障制度の維持が困難になる可能性があります。

例えば、神奈川県(44位、18.2)では、今後の高齢化の進行に伴い、社会保障費の増加が見込まれる一方、それを支える現役世代の相対的な減少が懸念されます。これに対し、佐賀県(4位、23.6)では、相対的に将来の担い手が多いため、社会保障制度の持続可能性という点では有利な状況にあります。

地域経済の活力への影響

年少人口指数は、将来の地域経済の活力にも関わる重要な指標です。指数の低い地域では、将来的な消費市場の縮小や労働力不足による経済活動の停滞が懸念されます。

例えば、北海道(45位、18.1)では、広大な面積に対して将来の担い手が減少することで、地域経済の活力低下や過疎化の加速が懸念されます。一方、熊本県(4位、23.6)では、相対的に将来の担い手が多いため、地域経済の持続的な発展という点では有利な状況にあります。

統計データの基本情報と分析

統計的特徴の分析

2022年度の都道府県別年少人口指数データを統計的に分析すると、以下のような特徴が見られます:

  1. 平均値と中央値の比較:平均値は約20.5、中央値は約20.4とほぼ同じ値を示しています。これは、沖縄県を除けば、データの分布がほぼ対称的であることを示しています。

  2. 分布の歪み:沖縄県(27.1)が他の都道府県と比べて特に高い値を示していますが、それを除けば、データの分布は比較的対称的です。もう一方の極端な値として、東京都(16.5)も他と比べて特に低い値を示しています。

  3. 外れ値の特定:沖縄県(27.1)は、2位の宮崎県(24.1)と比べても3.0ポイントも高く、統計的に見ると上側の外れ値と考えられます。また、東京都(16.5)は46位の秋田県(17.8)よりも1.3ポイント低く、下側の外れ値と考えられます。

  4. 四分位範囲による分布の特徴:第1四分位数(Q1)は約19.0、第3四分位数(Q3)は約21.8で、四分位範囲(IQR)は約2.8ポイントです。これは、中央の50%の都道府県の年少人口指数が19.0から21.8の間に収まっていることを示しています。

  5. 標準偏差によるばらつき:標準偏差は約2.0ポイントで、多くの都道府県が平均値から±2.0ポイントの範囲内に分布していることを示しています。変動係数(標準偏差÷平均値)は約9.8%となり、相対的なばらつきは小さいと言えます。ただし、最高値と最低値の差は10.6ポイント(27.1−16.5)に達し、地域間の格差が存在することを示しています。

まとめ

2022年度の都道府県別年少人口指数ランキングでは、沖縄県が27.1で1位、東京都が16.5で47位となりました。上位には九州地方や中国地方の県が多く、下位には東北地方の県や首都圏の都県が見られました。

年少人口指数の地域差は、出生率の違い、若年層の移動パターン、地域の産業構造、子育て環境の充実度など様々な要因によって生じており、この差は世代間バランス、教育環境、社会保障制度の持続可能性、地域経済の活力など多方面に影響を与えています。

統計分析からは、沖縄県が突出して高い値を示す一方、東京都が突出して低い値を示しており、その差は10.6ポイントに達しています。一方、多くの都道府県は19.0から21.8の比較的狭い範囲に分布しています。

少子高齢化が進む日本において、年少人口指数の維持・向上は全国共通の課題ですが、その対応策は地域の特性に応じて異なるアプローチが必要です。出生率の向上策、子育て支援の充実、若い世代の定住促進など、地域の実情に合わせた取り組みが求められています。

出典