「餃子といえば宇都宮、それに浜松」──餃子購入額の街対決はニュースの定番だ。だが家計調査のぎょうざ消費支出額(都道府県庁所在市・二人以上世帯の年間支出)で47都道府県を並べると、王者は宇都宮(栃木県)でも浜松(静岡県)でもない。
2024年に最もぎょうざに金を使ったのは宮崎県だ。その額は1世帯あたり3,517円にのぼる。続く栃木県は2,801円。餃子の街として知られる浜松を抱える静岡県にいたっては1,952円と、全国のちょうど真ん中あたりまで沈んでいる。最下位は高知県の1,105円で、王者宮崎県とは3.18倍の開きがある。
NOTE
この指標は家計調査の「ぎょうざ」支出額で、各都道府県の県庁所在市の二人以上世帯の年間平均値。県全体ではなく県庁所在市の家計を映す点に注意。外食の餃子ではなく、スーパーで買う冷凍餃子・チルド餃子などの家庭内消費が中心になる(出典: 総務省 家計調査、2024年)。
この記事では、なぜ「餃子の街」が支出額1位にならないのか、そして九州勢が上位に食い込む構造を、47都道府県のデータから読み解く。
ぎょうざ消費支出額 TOP10 と最下位
まずは2024年の上位10県と最下位3県を見る。
| 順位 | 都道府県 | 支出額(円) |
|---|---|---|
| 1 | 宮崎県 | 3,517 |
| 2 | 栃木県 | 2,801 |
| 3 | 埼玉県 | 2,393 |
| 4 | 福岡県 | 2,383 |
| 5 | 滋賀県 | 2,344 |
| 6 | 大阪府 | 2,238 |
| 7 | 福島県 | 2,220 |
| 8 | 鹿児島県 | 2,195 |
| 9 | 愛知県 | 2,186 |
| 10 | 岡山県 | 2,164 |
| … | … | … |
| 45 | 徳島県 | 1,430 |
| 46 | 山形県 | 1,282 |
| 47 | 高知県 | 1,105 |
目を引くのは首位の独走だ。トップの3,517円に対し、2位の栃木県は2,801円。その差は716円にもなる。3位の埼玉県(2,393円)以下とは大きく水をあけている。上位に九州勢が複数入るのも特徴で、1位宮崎県、4位福岡県、8位鹿児島県と、トップ10に3県が顔を出す。
ぎょうざ消費支出額ランキングをもっと見るTIP
「餃子の街」として有名な宇都宮市は栃木県、浜松市は静岡県の県庁所在市ではない(県庁所在市は宇都宮市・静岡市)。宇都宮市は栃木県の県庁所在市なので栃木県の値に反映されるが、浜松市は静岡市ではないため、静岡県の値には浜松市の餃子文化が直接は乗らない。これが「餃子の街イメージ」と支出額ランキングがズレる一因になっている。
最下位グループはどこか
最下位5県を抜き出すと、地域に偏りが見える。
| 順位 | 都道府県 | 支出額(円) |
|---|---|---|
| 43 | 佐賀県 | 1,492 |
| 44 | 秋田県 | 1,484 |
| 45 | 徳島県 | 1,430 |
| 46 | 山形県 | 1,282 |
| 47 | 高知県 | 1,105 |
下位には四国(高知県47位・徳島県45位)と東北(山形県46位・秋田県44位)が並ぶ。最下位の高知県は1,105円で、1位宮崎県(3,517円)の約3分の1にとどまる。
WARNING
家計調査は標本調査であり、県庁所在市の二人以上世帯という限られた母集団を対象とする。年によって順位は入れ替わりやすく、単年の数値だけで「この県は餃子を食べない」と断定するのは危険だ。九州内でも佐賀県は43位と下位にあり、九州=餃子高支出という単純な括りも成り立たない。傾向として読む程度にとどめたい。
なぜ「餃子の街」が1位ではないのか
ニュースで毎年話題になる宇都宮市・浜松市の「餃子購入額日本一」争いは、総務省 家計調査の**市区町村別ランキング(政令市・県庁所在市)を指すことが多い。一方で本記事の指標は都道府県別(県庁所在市の値を都道府県に割り当てたもの)**だ。
ここに「餃子の街なのに県では1位でない」というズレが生まれる。
- 栃木県(2位・2,801円): 県庁所在市の宇都宮市はそのまま栃木県の値に反映される。それでも首位の宮崎県には届かず、2位どまりだった。
- 静岡県(21位・1,952円): 浜松市は静岡県の県庁所在市ではなく、県庁所在市は静岡市。浜松市の高い餃子需要は静岡県の家計調査値には直接乗らないため、全国21位と平凡な水準に落ち着く。
つまり、「餃子の街」の名声は市区町村のデータで語られ、都道府県ランキングでは別の県が王者になるという構図だ。
NOTE
[仮説] 宮崎県・鹿児島県が上位に来る背景には、九州南部で餃子チェーンや持ち帰り・冷凍餃子の利用が日常に根付いていることがあると考えられる。ただしこれは家計調査の支出額からは断定できず、外食・中食の習慣を含む別データでの検証が必要。本記事では「支出額として九州勢が強い」という事実の提示にとどめる。
まとめ
- 2024年のぎょうざ消費支出額1位は宮崎県(3,517円)、最下位は高知県(1,105円)で3.18倍差。
- 餃子の街・宇都宮を抱える**栃木県は2位(2,801円)**で王者には届かず。
- 浜松を抱える静岡県は21位(1,952円)。浜松市が静岡県の県庁所在市でないことがズレの一因。
- 上位は九州勢が強く、宮崎(1位)・福岡(4位)・鹿児島(8位)がトップ10入り。ただし佐賀は43位で「九州一括り」は成立しない。
- 下位は**四国(高知47位・徳島45位)と東北(山形46位・秋田44位)**に偏る。
データ出典
総務省統計局「家計調査」(品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング、2024年)。e-Stat 経由で整備したデータをもとに、都道府県庁所在市の二人以上世帯の年間ぎょうざ消費支出額を集計した。