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「このまま定年まで、同じ役所で働き続けるのだろうか」──30代後半のある日、ふとそう思った瞬間が、今の自分の出発点でした。県庁職員として約20年。安定していて、周りからは「いい仕事だね」と言われる立場。それでも心のどこかで、ずっと小さな違和感を抱えていました。
この記事は、その違和感に向き合い、在職中に独学でAIを学び、IT・データの業界へ転職し、最終的に独立して「統計で見る都道府県(stats47)」を立ち上げ、年収が公務員時代の2倍以上になるまでの体験記です。成功談として読まれたくはありません。怖かったこと、後悔しかけた夜、家族に反対されたことも含めて、等身大で書きます。
WARNING
先にお断りします。本記事で触れる年収(約1500万円)は、あくまで私個人の結果です。AI学習や転職をすれば誰もが同じ年収になることを保証するものではありません。数年かけて何度も失敗し、運やタイミングにも助けられた結果であって、再現性を約束するものではない点をご理解ください。
「同じ仕事なのに、住む場所と職種で年収はこんなに違う」
転職を考え始めて最初にやったのは、自分の感覚ではなく数字で現在地を確かめることでした。私が立ち上げた stats47 のデータで、IT・専門職の年収を見てみると、思い込みが次々に崩れます。
- ソフトウェアエンジニアの平均年収は、都道府県で 京都608万 vs 沖縄402万 と約1.5倍の差(ソフトウェアエンジニアの年収、最も高い県は東京じゃない?)。「IT=東京が一番」という思い込みすら正しくありません。
- 職種をまたぐと差はさらに開き、医師1443万 vs ソフトウェア508万 のように「職種の壁」が年収を大きく左右します(ソフトウェアエンジニアの年収は専門職で中位)。
- 土台となる県民所得でも 東京521万 vs 沖縄217万 の開き(県民所得は東京521万 vs 沖縄217万)。
これらを並べて分かったのは、**「年収は、努力の総量より『どの職種で・どの市場で働くか』で大きく決まる」**という、身も蓋もない事実でした。地方公務員の給与はおおむね横並びで安定している一方、伸びしろは制度の範囲に収まります。私が動く決心をした一番の理由は、この「伸びしろの天井」を数字で直視してしまったからでした。
NOTE
当時の私は「公務員は転職に弱い」と思い込んでいました。実際には、行政で培った「制度を正確に読む力」「合意形成の段取り」「文書で物事を詰める力」は、民間でも十分に通用する武器でした。自分の経験を「潰しが効かない」と決めつけていたのは、自分自身だったと今は思います。
在職中に、独学でAIを学び始めた(最初の半年でやったこと)
最初に手をつけたのは、ごく初歩的なデータ処理の自動化でした。きっかけは些細なことです。ある業務で、何百件もの数字を Excel に手作業で延々と転記していたとき、「これ、自動化できないのか」と思ったのです。当時の私は関数すら怪しいレベル。プログラミングなんて別世界の話でした。
それでも、平日は帰宅後の1〜2時間、土日に数時間だけ、と決めて続けました。最初の到達点は「手作業の転記を Python で一括処理する」こと。たったそれだけで、毎週半日かかっていた作業が数分になり、「自分の手で時間を生み出せた」感覚が、何より大きな自信になりました。
転機になったのは、生成AIが急速に身近になった時期でした。エラーメッセージの意味をAIに尋ねれば初心者にも分かる言葉で返ってくる。コードを1行ずつ「これは何をしている?」と解説させられる。**「分からないことを、分からないまま放置しなくていい」**という環境が、独学のハードルを劇的に下げてくれました。20年別の仕事をしてきた人間でも、続ければ形になる──それを実感できたのは大きかった。
このあたりの「公務員が実務でAIを使う」具体的なやり方は、別記事にまとめています。役所の現場で何ができるのかをイメージしたい方は、公務員がChatGPTで議会答弁を10倍早く書く5ステップも合わせて読んでみてください。
転職を決めた──怖さと向き合った数ヶ月
スキルが少しずつ形になってきても、転職を決断するのは別の話でした。安定した給与、福利厚生、社会的な信用。それらを手放す怖さは、想像以上でした。家族には心配されましたし、「もったいない」と何度も言われました。その言葉は、正論だっただけに重かった。
それでも踏み出せたのは、**「やらなかった後悔のほうが、やった後悔より長く残る」**と思えたからです。とはいえ、いきなり辞めて飛び込んだわけではありません。情報収集を重ね、自分の市場価値を客観的に把握するところから始めました。ここで本当に助けられたのが、転職エージェントの存在です。
公務員からの転職は、民間転職とは勝手が違います。職務経歴書の書き方、面接でのアピールの仕方、そもそも自分のどの経験が評価されるのか──独りで考えていると堂々巡りになりがちです。第三者のプロに「あなたのこの経験は、こう言い換えれば民間で刺さる」と整理してもらえたことが、自信につながりました。
TIP
知っておいてほしいのは、**転職エージェントは登録も相談も「すべて無料」**だということ。費用は採用した企業側が負担する仕組みなので、求職者がお金を払う場面はありません。「いずれ転職するかも」という段階でも使えるのが、無料サービスの大きな利点です。
そして何より大事なのは、今すぐ辞める必要はないということ。在職中のまま登録でき、「求人を眺めるだけ」「話を聞くだけ」でもまったく問題ありません。私自身、最初は"情報収集のつもり"で登録し、自分の経験が外でいくらに評価されるのかを知るところから始めました。合わないと感じればいつでも退会できます。動かないこと自体のリスクが静かに積み上がる前に、まずは無料で自分の市場価値を知る一歩を踏み出してみてください。
特に、未経験に近い分野へ挑む場合は求人の探し方そのものが難しい。私のように「年収をある程度確保しつつ、自分らしく働ける環境」を探すなら、条件で絞り込めるエンジニア特化のエージェントを使うと効率的でした。下記は私が情報収集に使ったような、エンジニア・データ職に強い転職サービスです(登録・相談は無料)。
※PR:エンジニア・データ職に強い転職サービスです。登録・相談は無料。在職中でも「まず求人を見るだけ」から始められます。
転職後、そして独立──stats47を立ち上げるまで
IT・データの業界へ移ってからは、毎日が学び直しでした。年下の同僚に教わることも多く、プライドが邪魔をした時期もありました。でも、**「知らないことを素直に知らないと言える」**ようになってから、成長は一気に加速したように思います。役所で培った「正確さ」と「段取り力」は、思っていた以上に現場で重宝されました。
数年かけて経験を積むうちに、「自分が一番情熱を注げるのは、公的統計を分かりやすく届けることだ」と確信するようになりました。県庁時代に感じた「貴重なデータが複雑なサイトの奥に眠っている」という問題意識が、ずっと胸に残っていたのです。そうして2024年10月、独立して立ち上げたのが、この統計で見る都道府県(stats47)です。
WARNING
独立後すぐに収入が安定したわけではありません。立ち上げ当初は収入が大きく落ち込み、貯金を取り崩す時期もありました。現在の年収(約1500万円)に届くまでには時間がかかっています。これは私個人の結果であり、独立すれば誰もが同じ年収になることを保証するものではありません。 安易な独立はおすすめしません。
振り返って思う、3つのこと
20年の公務員生活を経て、AIを独学し、転職・独立した今、伝えたいことが3つあります。
1つめは、**「学び直しに遅すぎることはない」**ということ。40代手前で初めてコードに触れた私でも、続けることで形になりました。
2つめは、**「安定を手放す前に、まず武器を作る」**こと。私は在職中に少しずつスキルを蓄え、転職の準備を整えてから動きました。いきなり辞めるのは、私には怖すぎました。
3つめは、「独りで抱え込まない」こと。転職の不安は、エージェントという第三者に相談できたことで、かなり軽くなりました。自分の市場価値を客観視できると、判断の質が変わります。しかも相談は無料。「辞めるかどうか」を決めるより前に、まず"選択肢を持っておく"ために登録だけしておく、という使い方で十分です。
働き方やキャリアに関心がある方は、賃金・労働カテゴリの各種ランキングも、自分の置かれた状況を客観的に見るヒントになるはずです。地域ごとの賃金や雇用の実態を数字で知っておくと、転職先の条件交渉でも役立ちます。
TIP
もし今のあなたが、かつての私のように「このままでいいのか」と迷っているなら──いきなり決断する必要はありません。まずは情報を集め、自分の経験が外でどう評価されるのかを知ることから。エージェントの無料登録は数分で終わります。動かないことのリスクも、静かに積み上がっていきます。
転職や独立が正解とは限りません。安定した職場で力を発揮し続けることも、立派な選択です。ただ、「選べる状態」にしておくこと自体が、人生の安心材料になる──それが、回り道をしてきた私の実感です。
データ出典
本記事はキャリア・働き方に関する筆者の体験記です。年収・賃金の数値は厚生労働省「賃金構造基本統計調査」および内閣府「県民経済計算」を基にした stats47 の各ランキングを参照しています(記事中のリンク先に出典と算出方法を記載)。
本記事の関連データ: 賃金・労働カテゴリ