「住みやすい県」を聞かれたとき、あなたは何を思い浮かべるでしょうか。給料が高い東京?自然豊かな長野?家賃が安い地方?「住みやすさ」は主観的な概念ですが、統計データを組み合わせれば、ある程度の客観的な指標を作ることができます。
本記事では、e-Statの公的統計データから8つの指標を選び、47都道府県を「住みやすさ」の観点で総合スコアリングしました。
NOTE
本ランキングはstats47が独自に設計した総合指標です。「住みやすさ」の定義は人それぞれであり、この順位が絶対的な評価ではありません。あくまで8つの客観指標を等しく重み付けした場合の結果としてご覧ください。 なお、県民所得と完全失業率は2020年度のデータを使用しており、COVID-19パンデミック初年度の影響を受けている可能性があります。
採点方法──8指標のパーセンタイルスコア
以下の8指標について、各都道府県の順位をパーセンタイル(1位=100点、47位=0点)に変換し、8指標の平均を総合スコアとしました。
| 指標 | データ年度 | 方向 | 出典 |
|---|---|---|---|
| 1人当たり県民所得 | 2020年度 | 高いほど良い | e-Stat 県民経済計算 |
| 粗暴犯認知件数(人口10万人当たり) | 2023年度 | 低いほど良い | e-Stat 社会生活統計指標 |
| 一般病院数(人口10万人当たり) | 2023年度 | 多いほど良い | e-Stat 医療施設調査 |
| 持ち家比率 | 2023年度 | 高いほど良い | e-Stat 住宅・土地統計調査 |
| 民営賃貸住宅の家賃(3.3m2当たり) | 2024年度 | 低いほど良い | e-Stat 住宅・土地統計調査 |
| 合計特殊出生率 | 2023年度 | 高いほど良い | e-Stat 人口動態統計 |
| 完全失業率 | 2020年度 | 低いほど良い | e-Stat 労働力調査 |
| 最高気温(日最高気温の月平均の最高値) | 2024年度 | 低いほど良い | e-Stat 気象統計 |
TIP
粗暴犯・家賃・失業率・最高気温は「低いほど良い」指標のため、順位を反転してスコア化しています。たとえば粗暴犯が最も少ない県には100点、最も多い県には0点を付与しています。
総合ランキング──上位10県・下位10県
出典:e-Stat 社会生活統計指標ほか8指標のパーセンタイルスコアを平均して算出
上位10県
| 順位 | 都道府県 | 総合スコア | 所得 | 治安 | 医療 | 持ち家 | 家賃 | 出生率 | 失業率 | 気候 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | 福井県 | 79.9 | 95.7 | 78.3 | 69.6 | 87.0 | 63.0 | 89.1 | 97.8 | 58.7 |
| 2位 | 富山県 | 78.0 | 91.3 | 47.8 | 76.1 | 95.7 | 71.7 | 69.6 | 93.5 | 78.3 |
| 3位 | 島根県 | 71.8 | 43.5 | 95.7 | 43.5 | 69.6 | 67.4 | 89.1 | 100.0 | 65.2 |
| 4位 | 徳島県 | 68.2 | 82.6 | 97.8 | 97.8 | 54.3 | 91.3 | 71.7 | 10.9 | 39.1 |
| 5位 | 長野県 | 66.3 | 50.0 | 54.3 | 37.0 | 80.4 | 69.6 | 67.4 | 87.0 | 84.8 |
| 6位 | 石川県 | 66.1 | 45.7 | 67.4 | 58.7 | 50.0 | 82.6 | 67.4 | 78.3 | 78.3 |
| 7位 | 山口県 | 65.0 | 71.7 | 76.1 | 78.3 | 45.7 | 93.5 | 80.4 | 71.7 | 2.2 |
| 8位 | 佐賀県 | 62.5 | 19.6 | 82.6 | 89.1 | 52.2 | 97.8 | 89.1 | 63.0 | 6.5 |
| 9位 | 和歌山県 | 62.2 | 39.1 | 65.2 | 73.9 | 91.3 | 100.0 | 63.0 | 39.1 | 26.1 |
| 10位 | 山形県 | 62.2 | 58.7 | 63.0 | 26.1 | 97.8 | 65.2 | 30.4 | 78.3 | 78.3 |
1位は福井県(79.9点)。 所得3位・失業率46位(低い=良い)・出生率6位と、経済・雇用・子育て環境の三拍子がそろっています。全8指標のうち7指標でパーセンタイル60点以上を記録し、唯一の弱点は気候(58.7点)のみという安定ぶりが特徴です。
2位の富山県(78.0点) も福井と並ぶ北陸の雄。持ち家比率3位、所得5位、失業率44位(低い)と、安定した暮らしの基盤が数字に表れています。
3位の島根県(71.8点) は所得こそ27位ですが、失業率47位(最も低い=100点)、治安3位、出生率6位と、数値に表れにくい「穏やかな暮らしやすさ」が際立ちます。
出典:e-Stat 社会生活統計指標ほか8指標のパーセンタイルスコアを平均して算出
下位10県
| 順位 | 都道府県 | 総合スコア | 所得 | 治安 | 医療 | 持ち家 | 家賃 | 出生率 | 失業率 | 気候 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 38位 | 奈良県 | 34.5 | 17.4 | 52.2 | 39.1 | 84.8 | 17.4 | 26.1 | 17.4 | 21.7 |
| 39位 | 兵庫県 | 34.0 | 63.0 | 4.3 | 45.7 | 28.3 | 10.9 | 47.8 | 30.4 | 41.3 |
| 40位 | 東京都 | 31.3 | 100.0 | 0.0 | 15.2 | 2.2 | 0.0 | 0.0 | 63.0 | 69.6 |
| 41位 | 宮城県 | 30.7 | 52.2 | 37.0 | 23.9 | 15.2 | 13.0 | 4.3 | 8.7 | 91.3 |
| 42位 | 沖縄県 | 29.9 | 0.0 | 30.4 | 28.3 | 0.0 | 26.1 | 100.0 | 0.0 | 54.3 |
| 43位 | 神奈川県 | 29.6 | 73.9 | 15.2 | 0.0 | 10.9 | 2.2 | 10.9 | 58.7 | 65.2 |
| 44位 | 福岡県 | 25.8 | 26.1 | 13.0 | 65.2 | 4.3 | 23.9 | 41.3 | 2.2 | 30.4 |
| 45位 | 埼玉県 | 24.7 | 65.2 | 10.9 | 8.7 | 37.0 | 8.7 | 15.2 | 30.4 | 21.7 |
| 46位 | 京都府 | 22.8 | 37.0 | 32.6 | 47.8 | 17.4 | 6.5 | 8.7 | 17.4 | 15.2 |
| 47位 | 大阪府 | 18.5 | 54.3 | 2.2 | 32.6 | 6.5 | 4.3 | 21.7 | 6.5 | 19.6 |
東京都は40位。 所得は断トツ1位(100点)ですが、治安・家賃・出生率の3指標で0点。持ち家比率も46位(2.2点)と、生活コストと子育て環境がスコアを大きく押し下げています。
最下位の大阪府(18.5点) は治安2位(悪い方から)・家賃3位・持ち家44位・失業率4位と、複数指標で下位に沈みました。所得は22位と中位ですが、コストと治安の課題が重なっています。
指標別トップ3
各指標で上位3県を紹介します。
各指標の47都道府県フルランキングは以下のリンクからご覧いただけます。
1人当たり県民所得ランキング 粗暴犯認知件数ランキング 一般病院数ランキング 持ち家比率ランキング 民営賃貸住宅の家賃ランキング 合計特殊出生率ランキング 完全失業率ランキング 最高気温ランキング
地域別の傾向
北陸が「最も住みやすい地域」
総合トップ3のうち2県(福井・富山)が北陸で、石川も6位にランクイン。北陸3県の平均スコアは74.7点で、全地域で最も高い水準です。所得・雇用・持ち家の安定性に加え、家賃の安さと出生率の高さが好スコアの要因です。
東京圏は「稼げるが暮らしにくい」
東京都(40位)・神奈川県(43位)・埼玉県(45位)・千葉県(35位)と、首都圏4都県はいずれも下位に沈みました。所得の高さが治安・家賃・持ち家・出生率の低スコアを補えていません。「稼ぐ場所」と「暮らす場所」は必ずしも一致しないことを示唆しています。
九州は「指標次第で明暗」
佐賀県(8位)・宮崎県(12位)が健闘する一方、福岡県(44位)は治安・持ち家・失業率の低さが足を引っ張り下位に。同じ九州でも都市型と地方型で大きく結果が分かれました。
東北は「隠れた高スコア地帯」
山形県(10位)・岩手県(14位)・青森県(16位)と、東北は所得の低さにもかかわらず中〜上位に多くランクイン。治安の良さ・持ち家の高さ・家賃の安さが総合スコアを押し上げています。
このランキングが捉えきれないもの
WARNING
本ランキングには以下のような限界があります。結果の解釈にはご注意ください。
- 交通アクセス・通勤時間: 都市部の利便性は数値化していません
- 教育環境: 学校数や進学率は含まれていません
- 自然災害リスク: 地震・台風・豪雪などの頻度は考慮外です
- 文化・娯楽施設: 商業施設や文化施設の充実度は反映していません
- データの年度差: 指標ごとに2020〜2024年度とばらつきがあります。特に県民所得と完全失業率は2020年度のデータであり、COVID-19の影響で通常年とは異なるパターンを示している可能性があります
- 指標の重み付け: 8指標を等しく配分していますが、「所得を重視する人」と「治安を重視する人」では最適解が変わります
- 県内格差: 県庁所在地と郡部では同じ県でも大きな差があります
「住みやすさ」は個人の価値観・ライフステージ・職業によって大きく変わります。本ランキングはあくまで「8つの統計指標を等しく評価した場合のスコア」であり、移住や転居の判断材料の一つとしてご活用ください。
まとめ
8つの統計指標で47都道府県を総合評価した結果、北陸3県(福井・富山・石川)が住みやすさの総合力で突出していることが分かりました。一方、東京をはじめとする大都市圏は所得の高さだけでは生活コストや子育て環境のハンデを覆せず、下位に沈む結果となりました。
もちろん、統計データだけでは測れない魅力が各県にはあります。本ランキングを入口に、各指標の詳細ページで気になる県を深掘りしてみてください。
1人当たり県民所得ランキング 粗暴犯認知件数ランキング 一般病院数ランキング 持ち家比率ランキング 民営賃貸住宅の家賃ランキング 合計特殊出生率ランキング 完全失業率ランキング 最高気温ランキング