はじめに
道路交通法違反検挙件数は、各都道府県の交通安全への取り組み状況や交通環境を示す重要な指標の一つです。人口千人当たりの検挙件数を比較することで、地域ごとの交通法規の遵守状況や警察の取り締まり状況を客観的に把握することができます。本記事では、2022年度の都道府県別道路交通法違反検挙件数について詳しく分析します。
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上位県と下位県の比較
上位5県の詳細分析
道路交通法違反検挙件数が多い上位5県について詳しく見てみましょう。
富山県が68.4件(偏差値74.7)で全国1位となっています。富山県は北陸地方の県として、交通量の多い主要道路での取り締まりが積極的に行われていることが考えられます。
山口県が54.5件(偏差値63.9)で2位、福岡県が54.3件(偏差値63.7)で3位となっており、中国・九州地方の県が上位に位置しています。
香川県が53.5件(偏差値63.1)で4位、兵庫県が53.0件(偏差値62.7)で5位と続いており、四国・関西地方からも上位県が出ています。
下位5県の詳細分析
道路交通法違反検挙件数が少ない下位5県について分析します。
青森県が16.0件(偏差値33.8)で全国最下位となっています。青森県は東北地方の県として、人口密度や交通量が相対的に少ないことが影響している可能性があります。
長崎県が17.4件(偏差値34.9)で46位、滋賀県が17.5件(偏差値35.0)で45位となっており、九州・関西地方からも下位県が出ています。
愛媛県が18.1件(偏差値35.5)で44位、沖縄県が20.1件(偏差値37.0)で43位と続いています。
地域別の特徴分析
北陸地方では富山県が突出して高い値を示しており、地域全体での交通取り締まりの傾向に違いが見られます。石川県も50.3件(偏差値60.6)と9位に位置しており、北陸地方では積極的な交通取り締まりが行われている傾向があります。
首都圏では、神奈川県が48.3件(偏差値59.0)で11位、埼玉県が48.1件(偏差値58.9)で13位、東京都が47.8件(偏差値58.6)で14位と、いずれも全国平均を上回っています。
関西地方では兵庫県が5位と高位にある一方、滋賀県が45位と低位にあり、地域内でのばらつきが大きくなっています。
九州地方では福岡県が3位と高位にある一方、長崎県が46位、沖縄県が43位と下位に位置しており、地域内での格差が顕著です。
格差と課題の考察
最高値の富山県(68.4件)と最低値の青森県(16.0件)の間には4.3倍もの格差があり、都道府県間で大きな差が生じています。この格差は、各県の交通環境、人口密度、警察の取り締まり方針、道路インフラの整備状況など、様々な要因が複合的に影響していると考えられます。
特に、人口密度が高く交通量の多い都市部を抱える県では検挙件数が多くなる傾向があり、一方で人口密度が低い地方部では相対的に少なくなる傾向が見られます。
また、各県の交通安全対策や取り締まり方針の違いも、この格差に影響している可能性があります。積極的な取り締まりを行う県では検挙件数が多くなる一方、啓発活動に重点を置く県では検挙件数が相対的に少なくなることが考えられます。
統計データの基本情報と分析
2022年度の都道府県別道路交通法違反検挙件数(人口千人当たり)の統計分析を行うと、全国平均は約37.1件となっています。標準偏差は約12.8件で、都道府県間でのばらつきが比較的大きいことが分かります。
分布の特徴として、平均値と中央値がほぼ同程度であることから、極端な外れ値の影響は限定的であり、比較的正規分布に近い形状を示しています。ただし、富山県の68.4件は明らかに他県より突出しており、この値が分布の右側を引き上げる要因となっています。
四分位範囲(25%点から75%点)は約22件から51件となっており、多くの都道府県がこの範囲内に収まっています。第1四分位(25%点)以下には主に東北地方や九州地方の一部県が、第3四分位(75%点)以上には北陸地方や関西地方の一部県が位置しています。
まとめ
2022年度の都道府県別道路交通法違反検挙件数(人口千人当たり)では、富山県が68.4件で全国1位、青森県が16.0件で全国最下位となりました。上位県は北陸地方や九州地方の県が多く、下位県は東北地方や九州地方の一部県が占めています。
最高値と最低値の間には4.3倍の格差があり、各県の交通環境、人口密度、取り締まり方針などの違いが影響していると考えられます。この統計データは、各都道府県の交通安全への取り組み状況を理解する上で重要な指標となっており、今後の交通安全対策の検討において参考となる貴重な情報と言えるでしょう。