「炭酸飲料に一番お金を使う県は、暑い南国だろう」──そう思った人は、データを見ると裏切られる。2024年の家計調査(都道府県庁所在市・二人以上世帯)で、炭酸飲料消費支出額のトップに立ったのは**福島県の10,689円**。2位青森県、3位岩手県と続き、上位はまるごと東北勢が占めた。一方で最下位は**三重県の4,699円**。1位と最下位の差は2.27倍にもなる。
炭酸飲料消費支出額とは、コーラやサイダーなどの炭酸入り飲料に1世帯が年間で支出した金額のこと。同じ日本でも、住む県によって倍以上の開きがある。なぜ「寒い東北」が炭酸飲料にこれほど使い、「三重・近畿」が使わないのか。この記事では47都道府県の地図から、その意外な構造を読み解く。
NOTE
本データは総務省「家計調査」の品目別支出額で、各都道府県の県庁所在市における二人以上世帯の年間支出額です。県全体の平均ではなく、調査対象市の傾向を示す点に注意してください。金額には価格差も含まれるため、「飲んだ本数」そのものではなく「炭酸飲料に振り向けたお金」を表します。
炭酸飲料消費支出額ランキング 上位10と最下位
まずは2024年の全体像から。上位10県と最下位を並べると、東北・北海道が上位に固まり、最下位に三重県が沈む構図がはっきり見える。
上位の顔ぶれは驚くほど偏っている。1位福島県(10,689円)・2位青森県(10,567円)・3位岩手県(10,135円)の3県だけが1万円超えで、4位北海道(9,401円)、5位宮城県(9,321円)、6位秋田県(9,004円)まで含めると、トップ6のうち5つが東北、残り1つが北海道。北日本が炭酸飲料の「支出地帯」を形成していることがわかる。
炭酸飲料消費支出額ランキングをもっと見る最下位グループ なぜ西日本・近畿が並ぶのか
下位5県を見ると、上位とはまったく違う地域が並ぶ。
| 順位 | 都道府県 | 支出額 |
|---|---|---|
| 43 | 長崎県 | 6,227円 |
| 44 | 愛媛県 | 6,154円 |
| 45 | 兵庫県 | 6,090円 |
| 46 | 福岡県 | 5,756円 |
| 47 | 三重県 | 4,699円 |
最下位の三重県(4,699円)は、46位福岡県(5,756円)に1,000円以上の差をつけて単独最下位に沈んでいる。トップの福島県と比べると、年間で約6,000円、率にして2.27倍の開きだ。
下位グループの特徴は、近畿・西日本に寄っていること。兵庫県は6,090円(45位)、和歌山県は6,310円(41位)、京都府は6,655円(37位)と、近畿圏がそろって下位に位置する。「南北格差」という言葉で語られがちだが、正確には**「北日本が高く、近畿が低い」**という非対称な分布で、単純な南北の温度差では説明しきれない。
WARNING
上位・下位の解釈には、価格水準や世帯構成、地元飲料メーカーの存在など複数の要因が絡みます。家計調査は標本調査のため、年によって順位が入れ替わることもあります。ここでの分布は2024年単年のスナップショットとして読んでください。
発見1 大都市は意外と「中位」に沈む
炭酸飲料というと若者や都市の消費イメージが強いが、データは逆を示す。**東京都は25位(7,638円)、神奈川県は28位(7,443円)、愛知県は31位(7,084円)**と、三大都市圏の中心が軒並み中位に沈んでいる。
例外は大阪府で13位(8,523円)。同じ近畿でも大阪は比較的高く、京都府(37位・6,655円)とは大きく離れている。隣接する近畿圏のなかで、大阪と京都でこれだけ差が開くのは興味深い。
[仮説] 上位の東北・北海道で支出が大きい背景には、地元の炭酸飲料文化(ご当地サイダーや乳性炭酸など)や、寒冷地ほど自宅でまとめ買いする習慣がある可能性が考えられる。ただし本データは支出額のみで、購入動機までは特定できないため、検証には消費数量データや品目内訳との突き合わせが必要だ。
発見2 1位福島と最下位三重で2.3倍 ── 食の地図は気候だけでは決まらない
「暑い地域ほど炭酸飲料を飲む」という直感は、このデータでは成り立たない。最も使うのは寒い福島県(10,689円)で、暑い沖縄県は20位(8,278円)にとどまる。むしろ北日本がまとめて上位を占め、温暖な近畿・三重が下位に並ぶ。
つまり炭酸飲料の支出地図は、気温よりも地域ごとの嗜好と買い物文化に強く規定されている。1位福島県と最下位三重県の2.27倍差は、同じ商品に対する「お金の使い方の地域差」がいかに大きいかを物語っている。
まとめ
- 1位は福島県(10,689円)。2位青森県(10,567円)、3位岩手県(10,135円)と、上位は東北が独占した
- 最下位は三重県(4,699円)。46位福岡県(5,756円)に大差をつけて単独最下位
- 1位と最下位の差は2.27倍。同じ炭酸飲料への支出が県で倍以上違う
- 上位は東北・北海道、下位は近畿・西日本という非対称な分布。「南北格差」というより「北日本が高く近畿が低い」構図
- 東京25位・愛知31位と大都市は中位。一方で大阪は13位と近畿のなかでは高い
データ出典
総務省統計局「家計調査」(品目別支出額・都道府県庁所在市・二人以上世帯)。集計年は2024年。e-Stat(政府統計の総合窓口)経由で整備したデータをもとに作成しています。