犬の登録頭数1位は東京51万頭・最下位鳥取2.2万頭|なぜ人口の多い県が並ぶ?23.6倍格差 (2020)

「犬を飼っている人が一番多い県はどこか?」と聞かれたら、多くの人は北海道や長野のような自然豊かな県を思い浮かべるかもしれない。だが2020年の犬の登録頭数(狂犬病予防法に基づく市区町村への登録数)を都道府県別に並べると、トップは東京都の51万511頭。続く神奈川県・愛知県・大阪府・埼玉県と、上位はすべて人口の多い大都市圏で占められた。

最下位の鳥取県は2万1627頭。1位東京都とのあいだには23.6倍もの開きがある。だがこの「格差」は、犬好きの県とそうでない県の差を本当に表しているのだろうか。

この記事では、まず絶対数のランキングを確認したうえで、「絶対数で犬好きを測ることの限界」と、人口比で見たときに何が変わりうるのか(derived 指標)を整理する。データに即して、ランキングの読み方そのものを点検していく。

NOTE

ここでいう「犬の登録頭数」は、狂犬病予防法に基づき各市区町村に登録された犬の数(2020年・衛生行政報告例)。飼育されていても未登録の犬は含まれず、登録率は自治体によって差があるとされる。あくまで「登録された頭数」であり、実際の飼育頭数そのものではない点に注意。

犬の登録頭数 TOP10 と最下位

まず2020年の上位10県と最下位3県を見る。

順位都道府県登録頭数(頭)
1東京都510,511
2神奈川県452,197
3愛知県432,025
4大阪府383,030
5埼玉県349,443
6千葉県310,146
7兵庫県296,198
8福岡県253,226
9北海道243,339
10静岡県202,195
45島根県31,993
46福井県30,190
47鳥取県21,627

上位10県の顔ぶれは、東京都・神奈川県・愛知県・大阪府・埼玉県・千葉県・兵庫県・福岡県・北海道・静岡県。北海道(9位)を除けば、関東・東海・近畿・北部九州という三大都市圏とその周辺に集中している。これは「犬好きの県ランキング」というより、ほぼ「人口の多い県ランキング」と重なって見える。

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TIP

1位の東京都(510,511頭)と最下位の鳥取県(21,627頭)の差は510,511 ÷ 21,627 ≒ 23.6倍。47都道府県のなかでこれだけ開くと「犬好き度の差」に見えてしまうが、東京都の人口は鳥取県の20倍以上ある。格差の大半は人口規模の差で説明できる可能性が高い。

最下位グループ:人口の少ない県が並ぶ

下位の県を見ると、その構造はさらにはっきりする。

順位都道府県登録頭数(頭)
43佐賀県37,226
44秋田県36,904
45島根県31,993
46福井県30,190
47鳥取県21,627

最下位は鳥取県(21,627頭)、続いて福井県(30,190頭)、島根県(31,993頭)、秋田県(36,904頭)、佐賀県(37,226頭)。いずれも全国でも人口規模の小さい県ばかりだ。

これらの県の登録頭数が少ないのは「犬を飼う人が少ないから」というより、そもそも県の人口=飼い主になりうる世帯数が少ないからと考えるのが自然だ。鳥取県・島根県・福井県・佐賀県・秋田県はいずれも人口でも全国下位に位置する県であり、絶対数のランキングは人口ランキングをほぼなぞっている。

WARNING

絶対数のランキングは「規模の大きい県が上、小さい県が下」になりやすく、地域の特性(犬を飼う文化や住環境)を読み取りにくい。たとえば集合住宅の多い都市部では飼育に制約がある一方、戸建て中心の地方では飼いやすいという仮説も立つが、絶対数だけではその差は見えない。

発見:「犬好きの県」を測るなら人口比(derived)が必要

ここで重要なのは、絶対数の頭数ランキングと「住民あたりでどれだけ犬が飼われているか」は別物だという点だ。

絶対数で1位の東京都(510,511頭)は人口も全国最大なので、頭数が多いのは当然とも言える。一方、最下位の鳥取県(21,627頭)は人口が全国でもっとも少ない県のひとつだ。つまり23.6倍という格差の大部分は、犬好き度の差ではなく人口規模の差を映している可能性が高い。

「住民あたりの犬の多さ(=その地域がどれだけ犬と暮らしているか)」を測りたいなら、登録頭数 ÷ 人口 で求める人口比(per-population)という derived 指標が必要になる。本記事で確認できたのは絶対数のみのため、ここでは計算の枠組みだけを示す:

  • 計算式(derived): 人口10万人あたり登録頭数 = 登録頭数 ÷ 人口 × 100,000
  • たとえば東京都(510,511頭)を人口で割ると、絶対数1位でも人口比では順位が大きく下がる可能性がある。逆に、絶対数では下位でも人口の少ない県が人口比で上位に浮上することがある。

NOTE

stats47 の犬の登録頭数ランキングページでは、「人口10万人あたり」「面積100km²あたり」への正規化表示に対応している。絶対数で隠れていた「人口比でみた犬好きの県」は、そちらの正規化ビューで確認できる。本記事の頭数はすべて絶対数(2020年・実データ)であり、人口比の具体順位はそのビューを参照してほしい。

[仮説] 人口比(人口10万人あたり)で並べ替えると、絶対数で上位の大都市圏は順位を下げ、人口の少ない地方県が相対的に上位へ浮上する──「人口比で見える意外な犬好き県」が現れる可能性がある。 検証方法: 各県の登録頭数 ÷ 当該年人口 × 100,000 を計算し、絶対数順位との差(順位変動)を比較する。stats47 のランキングページの「人口10万人あたり」表示で確認できる。

この仮説が示すのは、「犬好きの県」を語るときにどの指標で測るかで結論が逆転しうるということだ。絶対数ランキングは規模の地図、人口比ランキングは文化・習慣の地図──同じデータでも、見たいものによって正しい物差しは変わる。

まとめ

  • 2020年の犬の登録頭数1位は東京都(510,511頭)、2位神奈川県(452,197頭)、3位愛知県(432,025頭)。
  • 最下位は鳥取県(21,627頭)で、1位東京都との格差は23.6倍(510,511 ÷ 21,627)。
  • 上位10県は北海道(9位)を除き、関東・東海・近畿・北部九州の大都市圏に集中。絶対数ランキングは人口規模をほぼ反映している。
  • 下位は鳥取・福井・島根・秋田・佐賀と、人口規模の小さい県が並ぶ。
  • 「犬好きの県」を測るには、絶対数ではなく**人口比(登録頭数 ÷ 人口、derived 指標)**が必要。物差しを変えると順位が逆転しうる。

データ出典

  • 厚生労働省「衛生行政報告例」(2020年)。狂犬病予防法に基づく犬の登録頭数を、e-Stat 経由で整備したもの(統計表ID: 0004026908)。
  • 本記事中の登録頭数はすべて2020年の絶対数(実データ)。人口比に関する記述は計算枠組みおよび仮説であり、具体順位は正規化ビューを参照のこと。

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