エンゲル係数の都道府県ランキング

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エンゲル係数
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「食費が家計を圧迫している」と感じる人が増えています。その実感を裏付けるのがエンゲル係数です。2024年の全国平均は27.8%と、1980年以来44年ぶりの高水準を記録しました。

エンゲル係数とは、消費支出に占める食料費の割合を示す指標で、一般に値が低いほど生活にゆとりがあるとされます。19世紀にドイツの統計学者エルンスト・エンゲルが発見した「所得が低いほど食費の割合が高くなる」という法則は、160年以上たった現在の日本でも都道府県間に明確な差として現れています。

この記事では、総務省「家計調査」の2024年データ(二人以上の世帯)をもとに、47都道府県のエンゲル係数をランキング・タイルマップ・時系列の3つの視点で分析します。

エンゲル係数の都道府県ランキング(2024年)

エンゲル係数ランキング Top10・Bottom10 出典:家計調査2024

エンゲル係数が最も高いのは兵庫県(31.8%)。2位の大阪府(31.5%)とともに、近畿の2府県が30%超で頭一つ抜けています。3位には青森県(30.7%)が入り、4位の岐阜県(30.0%)まで30%台が続きます。

一方、最も低いのは栃木県(25.2%)。次いで茨城県(25.4%)、鳥取県(25.5%)、長野県(25.8%)と続きます。1位の兵庫県と47位の栃木県では6.6ポイントもの差があり、食費の「重さ」は住む場所によって大きく異なることがわかります。

注目すべきは愛知県が9位(29.2%)に入っていることです。消費支出が比較的大きい都市圏でありながらエンゲル係数が高い。名古屋圏の食文化やモーニング文化に代表される「食への投資」が数字に表れている可能性があります。

NOTE

エンゲル係数は「二人以上の世帯」の消費支出に対する食料費の割合です。単身世帯は含まず、外食・中食も食料費に計上されます。世帯人数の違いが値に影響する点にご注意ください。

食料費割合の地域マップ

エンゲル係数 都道府県タイルマップ 出典:家計調査2024

タイルマップで47都道府県を俯瞰すると、3つの地域パターンが浮かびます。

近畿に濃い色が集中しています。兵庫(31.8%)、大阪(31.5%)、京都(29.5%)、和歌山(29.2%)と、近畿圏は軒並み高水準です。大阪の「食い倒れ」に象徴される食文化の厚みが、統計にもはっきりと現れています。

北関東は一帯が薄い色です。栃木(25.2%)、茨城(25.4%)、群馬(27.6%)と比較的低い値が並びます。持ち家率が高く住居費の負担が小さいこと、農業が盛んで食料の地産地消が進んでいることが、エンゲル係数を押し下げる要因と考えられます。

九州は南北で差があるのも特徴です。宮崎(29.6%)、長崎(29.3%)が上位に入る一方、鹿児島(26.0%)、熊本(26.6%)は下位グループ。同じ九州でも消費構造にかなりの違いがあります。

エンゲル係数の推移(全国平均)

エンゲル係数の推移 出典:家計調査

2000年代のエンゲル係数は22〜23%台で安定していました。デフレ経済のもと食料品の価格競争が激しく、PB商品の普及や外食チェーンの低価格化が進んだ時代です。

転機は2010年代後半から始まります。共働き世帯の増加による中食・外食支出の拡大、高齢化による世帯人数の減少(少量パックの割高感)、そして何より2022年以降のインフレが食料費を押し上げました。

2024年の**27.8%**は、2000年の22.9%と比べて約5ポイントの上昇です。仮に消費支出が月30万円の世帯であれば、食料費だけで月1.5万円(年間18万円)多く支出している計算になります。

WARNING

エンゲル係数の上昇は「生活水準の低下」を直ちに意味するわけではありません。高齢化に伴う世帯人数の減少、健康志向による食の高品質化、中食・デリバリーの普及など、構造的な変化も含まれています。ただし、2022年以降の急上昇は明らかに食料品インフレの影響が大きく、家計の実質的な負担増を示していると言えます。

上位県・下位県の特徴

エンゲル係数が高い県の共通点

兵庫・大阪・京都の近畿3府県が上位6位以内を占めています。いずれも消費支出自体は全国平均を下回る水準(兵庫28.0万円、大阪28.1万円)でありながら、食料費の割合が突出して高いのが特徴です。

近畿圏のエンゲル係数の高さには複数の要因が考えられます。

  • 外食・中食文化の厚み -- 大阪・京都を中心とした食の多様性が、食料費を押し上げている
  • 商店街・市場の存在 -- 小売の多様性が購買機会を増やし、結果的に食費が膨らむ傾向
  • 住居費の相対的な低さ -- 東京と比べて家賃が安く、その分のお金が食に回りやすい

青森県(3位・30.7%)と宮崎県(5位・29.6%)は、消費支出が全国下位でありながらエンゲル係数が高い「エンゲルの法則」の典型例です。所得水準が低い地域では、食費を削る余地が小さく、結果的に食費の割合が高くなります。

エンゲル係数が低い県の共通点

栃木(25.2%)、茨城(25.4%)の北関東2県がワンツーを占めました。両県はともに消費支出が全国上位(栃木6位・33.0万円、茨城も平均超)でありながら、食料費の割合が低い。家計にゆとりがあるだけでなく、食料費以外(住居・教養娯楽・交通)への支出配分が大きい構造です。

長野県(25.8%)と福井県(25.9%)も低いグループに入ります。両県は持ち家率が全国トップクラスで住居費の負担が小さく、食費以外の余裕が生まれやすい家計構造を持っています。

まとめ

指標
全国平均(2024年)27.8%
最高兵庫県 31.8%
最低栃木県 25.2%
最大格差6.6ポイント
2000年比の変化+4.9ポイント

2024年のエンゲル係数は44年ぶりの高水準に達し、食費が家計に与える負担は確実に大きくなっています。ただし、その「重さ」は住む場所によって大きく異なります。近畿圏では食文化の豊かさが数字を押し上げ、北関東では消費支出のバランスの良さが数字を押し下げています。

家計を見直す際は、全国平均との比較だけでなく、自分の住む地域の消費構造を理解した上で、食費・住居費・教養娯楽費のバランスを考えることが大切です。

TIP

エンゲル係数を下げるには「食費を減らす」だけでなく、「消費支出全体を見直す」視点も重要です。固定費(通信費・保険料・サブスク)の削減で消費支出の構造を変えれば、食費の割合は相対的に下がります。

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