「外来受療率」とは、調査日に 病院・診療所に通院した人の割合 を人口 10 万人あたりで示した指標です。厚生労働省「患者調査」(3 年に一度) で集計され、地域の 通院しやすさ・医療機関アクセス・受診行動 を反映する代表的な医療指標とされています。
本記事では 2023 年データをもとに、47 都道府県の外来受療率を整理しました。1 位は和歌山県 (6,846 人/10 万)、最下位は 沖縄県 (4,528 人/10 万) で 1.5 倍 の地域差があります。さらに、同じ患者調査の 入院受療率 1 位が高知県 (1,785 人/10 万) であるのに対し、外来 1 位は和歌山と 県が異なる という興味深い構造も見えてきました。
外来受療率 TOP10 (2023年)
外来受療率は 和歌山県 (6,846 人) が 1 位。続いて 香川・愛媛・山口・長崎 と 西日本 が上位を独占します。
| 順位 | 都道府県 | 受療率 (人/10万) |
|---|---|---|
| 1 | 和歌山県 | 6,846 |
| 2 | 香川県 | 6,807 |
| 3 | 愛媛県 | 6,598 |
| 4 | 山口県 | 6,582 |
| 5 | 長崎県 | 6,579 |
| 6 | 佐賀県 | 6,565 |
| 6 | 宮崎県 | 6,565 |
| 8 | 愛知県 | 6,504 |
| 9 | 三重県 | 6,459 |
| 10 | 鹿児島県 | 6,451 |
上位 10 県のうち、九州・中国・四国・近畿圏 が 9 県を占めます。唯一の例外は東海の 愛知県 (8 位) で、大都市圏で唯一上位入りした県です。北海道・東北・関東の県は 1 つも TOP10 に入っていません。
最下位グループ TOP5
下位は 沖縄・京都・滋賀・茨城・長野 と、性質の異なる県が並びます。
| 順位 | 都道府県 | 受療率 (人/10万) |
|---|---|---|
| 43 | 長野県 | 5,201 |
| 44 | 茨城県 | 5,153 |
| 45 | 滋賀県 | 5,144 |
| 46 | 京都府 | 4,867 |
| 47 | 沖縄県 | 4,528 |
最下位 沖縄県 (4,528 人) は 1 位和歌山の 66% にすぎません。沖縄は 若年人口比率が全国 1 位 で、通院頻度が高い高齢層が相対的に少ないことが影響している可能性があります。
長野・滋賀・京都・茨城が下位に入る点は意外ですが、これらの県は 健康寿命が長い県 (長野は男女とも上位常連) や 大学病院集約型 の医療構造を持つ県が多く、外来通院の絶対量が抑えられる傾向があるとも考えられます。
発見 - 入院1位の高知が外来では中位
同じ患者調査の 入院受療率 と比較すると、地理パターンが大きくズレます。
| 指標 | 1 位 | 2 位 | 3 位 |
|---|---|---|---|
| 外来受療率 | 和歌山 (6,846) | 香川 (6,807) | 愛媛 (6,598) |
| 入院受療率 | 高知 (1,785) | 鹿児島 (1,743) | 長崎 (1,651) |
入院 1 位の高知県は外来では中位 (5,548 人前後)、入院 2 位の鹿児島は外来 10 位、入院 3 位の長崎は外来 5 位 と、上位の重なりは限定的です。
なぜ「入院は多いが外来は中位」「外来は多いが入院は中位」という県が出てくるのか。データ単体では断定できませんが、以下のような構造が考えられます。
- [仮説] 病床数と医療提供体制の違い — 高知県は人口あたり病床数が全国トップクラスで、入院での医療提供が多い構造。一方の和歌山県は 診療所が県内に密に分布 しており、外来通院しやすい環境が整っている可能性
- [仮説] 慢性疾患の構造の違い — 通院で管理する疾患 (高血圧・糖尿病・整形外科) が多い県 と、入院で扱う重症疾患の発生率が高い県 で偏りが分かれている可能性
- [仮説] 高齢化率と疾病構造の地域差 — 和歌山・香川・愛媛は高齢化率も上位だが、入院 1 位の高知ほど突出した医療資源集約はない
外来と入院は 「医療を必要とする人の数」というより「どこで医療を受けるか」の構造差 を反映しており、ランキング上位を見る視点も違ってきます。
まとめ
- 1 位 和歌山県 (6,846 人/10 万)、最下位 沖縄県 (4,528 人/10 万) で 1.5 倍 の地域差
- 上位 10 県のうち 9 県が 九州・中国・四国・近畿 に集中。唯一の大都市圏は愛知 (8 位)
- 最下位グループは 沖縄・京都・滋賀・茨城・長野 と都市部・健康長寿県が混在
- 入院受療率 1 位は高知県 で、外来 1 位の和歌山とは県が異なる。地理パターンが大きく違う
- 患者調査は 3 年に一度 の集計のため、2023 年値が現時点で最新の確定値
データ出典
- 厚生労働省「患者調査」(2023 年・人口 10 万対外来受療率)
- e-Stat 経由で都道府県別に整備
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