日本一人口の少ない県として知られる鳥取県ですが、食卓の豊かさは全国トップクラスです。総務省の家計調査(品目別)で鳥取市の二人以上世帯を見ると、梨・かに・かれいという3つの品目すべてで、鳥取が全国1位に立っています。
二十世紀梨、松葉ガニ、そして日本海のかれい。大地の果実と海の幸で、鳥取は「日本一」を3つも抱える食の県なのです。この記事では、これら3つの全国1位品目を横断しながら、鳥取県民の豊かな食卓を読み解きます。
NOTE
家計調査の都道府県データは、県庁所在市(鳥取県は鳥取市)の二人以上世帯を対象にした年間支出額です。県全体ではなく鳥取市在住世帯の家計簿から見た傾向であり、支出「金額」であって消費「量」そのものではない点にご注意ください。
梨 — 全国1位8,846円、二十世紀梨の郷
鳥取県の梨消費支出額は8,846円で全国1位です。2位の新潟県4,551円のほぼ2倍という、圧倒的な首位です。鳥取といえば「二十世紀梨」。みずみずしく上品な甘さの青梨は、鳥取を代表する特産品であり、県のシンボルとも言える存在です。
鳥取では、秋になると家庭でも二十世紀梨を箱で買い求め、贈答用としてもやり取りする文化が根づいています。梨狩り観光や梨をテーマにした施設もあり、梨が生活と観光の両面で県民に親しまれています。産地であると同時に、地元でよく食べる消費地でもあるという「産地=消費地」の一致が、梨の全国一を支えています。
かに — 全国1位5,610円、松葉ガニの冬
かにの消費支出額も鳥取県が5,610円で全国1位です。2位の福井県5,502円と激しく首位を争っています。鳥取県境港市は、松葉ガニ(ズワイガニ)の水揚げ量で全国トップクラスを誇る漁港です。冬になると松葉ガニ漁が解禁され、県内はかに一色になります。
日本海側の産地県がかに消費の上位を占めるのはかに消費支出の記事でも扱った典型的な構図で、鳥取はその頂点に立ちます。年末年始のハレの食材として、また地元で新鮮なかにが手に入る環境が、全国一の支出額を支えています。福井(越前がに)とともに、日本海のかに文化を代表する県です。
かれい — 全国1位2,603円、日本海の底魚
海の幸をもう一つ。かれいの消費支出額も鳥取県が2,603円で全国1位です。2位の秋田県2,172円を上回ります。かれいは日本海の砂地に生息する底魚で、鳥取沖は好漁場として知られています。
鳥取では、かれいの煮付けや干物が家庭料理として親しまれ、地元で獲れる新鮮なかれいが食卓に日常的に上ります。松葉ガニのような華やかさはないものの、かれいのような大衆的な底魚でも全国一という点に、鳥取の「日本海の海の幸への支出が全般に厚い」という食卓の性格が表れています。
WARNING
家計調査は支出金額の調査であり、消費量そのものではありません。物価や単価の違いも金額に影響します。特に松葉ガニのように単価の高い食材は、購入頻度が少なくても支出額が大きく出やすい点にご注意ください。
鳥取の食卓を貫くもの
鳥取県民の食卓を貫くのは、「大地の果実と日本海の海の幸への厚い支出」です。二十世紀梨という大地の恵み、松葉ガニという冬のハレの味覚、かれいという日常の底魚。華やかな高級食材から大衆的な魚まで、鳥取は地元でとれるものに惜しみなくお金をかけています。
富山(ぶり・いか・昆布・餅の4冠)と並べると、同じ日本海側でも鳥取は「梨+かに・かれいの海の幸型」、富山は「富山湾の多冠型」と、食卓の骨格が異なります。人口は日本一少なくとも、食の豊かさでは全国トップクラスというのが、数字から見える鳥取の姿です。
TIP
鳥取のように「大衆魚(かれい)でも全国1位」という県は、その海域の魚介への支出が全般に厚い証拠です。高級食材(松葉ガニ)だけでなく日常の食材(かれい)の順位もあわせて見ると、その県が本当に「海の幸を日常的に食べる県」かどうかが分かります。
まとめ
- 梨消費支出額は鳥取県が全国1位(8,846円)、2位新潟県のほぼ2倍で二十世紀梨の郷
- かにも全国1位(5,610円)、境港の松葉ガニに代表される冬の味覚
- かれいも全国1位(2,603円)、日本海の底魚を日常的に食べる食文化
- 大地の果実と日本海の海の幸への厚い支出が、人口最少県・鳥取の豊かな食卓を支える
鳥取県の他の統計は鳥取県の地域プロフィール、食品・家計消費の地域差は経済カテゴリ一覧からご覧いただけます。
データ出典
総務省統計局「家計調査(品目別)」(2024年、都道府県庁所在市 二人以上世帯)をもとに、e-Stat(政府統計の総合窓口)経由で整備したデータを使用しています。